【✨書籍化✨】怠惰な悪役貴族の俺に、婚約破棄された悪役令嬢が嫁いだら最凶の夫婦になりました【悪役✕結婚】   作:メソポ・たみあ

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第113話 動き出す仲間たち①

 

《オリヴィア・バロウ視点(Side)

 

「……此度はしてやられましたな、ウィレーム公爵」

 

 クラオン閣下はなんとも悔しそうに、深いため息を言葉に混ぜ込む。

 

 ――場所はバロウ公爵家のお屋敷。

 その中でも、内部での会話が外に聞こえにくいこじんまりとした客室。

 

 ここは主に、お父様が密談をする際に使われる部屋だ。

 

 今、その密談部屋の中にはクラオン閣下、お父様(ウィレーム)、そして(オリヴィア)の三人がいる。

 

「そうですな、クラオン殿……。こちらは完全に後手に回ってしまった」

 

「我としたことが迂闊であった。御身の誘拐をしくじって以降、第三王女は身動きが取れないものと思い込んでいた」

 

「私もです。あの一件で、ヴァルランド王家内での第三王女の立場はかなり弱くなりましたからな」

 

「しばらくは自由に動けまいと思っておったが、まさかここに来て強硬手段に出るとは……」

 

「――ええ、予想外でしたわね。でも、そんなことはもうどうでもいいのではなくって?」

 

 私は二人の会話に割って入る。

 かなり強めの口調で。

 

「大事なのは、一刻も早くオードラン男爵を――妹の夫を助け出すこと。その作戦を考える以外のお話なんて時間の無駄ですわ」

 

「オリヴィア……口を慎め」

 

「いいえ、慎みません」

 

 私はギュッとスカートの裾を強く掴む。

 

 今にも監獄に殴り込みに行ってしまいそうなほど激しく苛立つ心を、必死に抑えながら。

 

「今……今こうしている間にも、(レティシア)は泣いているかもしれませんのよ……? あの子がどれほど夫を愛し、大事に想っているか……よくおわかりでしょう?」

 

「「……」」

 

「お二人がすぐにオードラン男爵を助けに動かないなら、私が一人で動きます。では失礼しますわ」

 

 そう言い残し、部屋を去ろうとする私。

 だが、

 

「待たれよ、オリヴィア嬢」

 

 クラオン閣下が、私を呼び止める。

 

「確かに我らは不覚を取った。だが、まだ動いていないとは一言も言っておらぬ」

 

「え……?」

 

「それにオードラン男爵が捕まったからとて、すぐに処刑されるとは限らんぞ?」

 

「オリヴィア……我が娘よ」

 

 クラオン閣下に続き、お父様も口を開く。

 やれやれ、と僅かに呆れたような口ぶりで。

 

「やはりお前は、政治や(はかりごと)には些か疎い。その点だけは、妹を見習った方がいいかもしれないな」

 

「ほっほっほ」

 

 その言葉を聞いたクラオン閣下は、自らの顎髭を撫でながら穏やかに笑い、

 

「時にウィレーム公爵、彼女は――レティシア嬢は、気付いている(・・・・・・)とお思いか?」

 

「どうであろうな。まあ、あの子の聡明さと強かさを鑑みれば……自明の理であろうが」

 

 

 

 ▲ ▲ ▲

 

 

 

《イヴァン・スコティッシュ視点(Side)

 

「うぅ……これから、一体どうしましょう……」

 

 シャノアががっくりと肩を落とし、涙目になって言う。

 

 その表情から、彼女がどれだけの絶望と悲壮感に苛まれているか……推して知るべしだろう。

 

「ああもうっ、泣くんじゃありませんわシャノア! 泣く暇があったら、どうやればエレガントにお監獄へ殴り込んでエクセレントにオードラン男爵を助け出せるか、お脳味噌を働かせなさい!」

 

「そ、そんなこと言われてもぉ……」

 

 エステルに喝を入れられるが、それでも涙が止まらないシャノア。

 

 ――残された僕たちFクラスのメンバーは、いつもの集合場所である王立学園の中庭に集まっていた。

 

 ……レオニールと、レティシア嬢の二人を除いて。

 

 どういうワケかレオニールは寮の自室を尋ねても姿が見えず、連絡が取れずじまい。

 

 レティシア嬢に至っては……「少し一人にさせて」と個別棟へ戻り、部屋に引き籠ってしまった。

 

 残された僕ら七人は、これからの方針を話し合うべく集まったものの……場の空気は最悪。

 まるで葬式前夜のようなムードである。

 

 ラキも「ハァ~」と深くため息を吐き、

 

「ほんっと最悪、信じらんないんですけど♠ あのアルくんが王家への叛逆なんて企てるワケないじゃん!♦」

 

 長椅子に座って頬杖を突き、如何にも不機嫌そうに言う。

 それを聞いたマティアスはクスッと笑い、

 

「へへ、そうかね? あのオードラン男爵なら、レティシア嬢のためだったら王家へだって喧嘩を売りそうなモンだが」

 

「そのレティシアちゃんがブレーキ役になるって意味も込めて、企てるワケないって言ってんの♣」

 

「ま、そりゃそうか。レティシア嬢がいる限り、バカな真似はしない男だしな」

 

「その通りだ」

 

 僕は眼鏡をクイッと動かし、マティアスの言葉に賛同する。

 

「今回の件、明らかに何者かの陰謀だ。オードラン男爵に罪を被せ、亡き者にしようとしている誰か(・・)がいる」

 

「イヴァンよぉ……その誰か(・・)ってーのは、ぶっちゃけ察しがついてんじゃねーか?」

 

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