【✨書籍化✨】怠惰な悪役貴族の俺に、婚約破棄された悪役令嬢が嫁いだら最凶の夫婦になりました【悪役✕結婚】   作:メソポ・たみあ

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第151話 悪役、怨敵の前に立つ!

 

《エルザ・ヴァルランド視点(Side)

 

「……一体どういうつもりだ、エルザよ」

 

 お父様――ディートフリート・ヴァルランドが、ギロリと私を睨み付ける。

 

 もっともその視線は、いつものように王座から見下ろされるモノではない。

 

 逆に王座から引きずり降ろされ、床に這いつくばって私を見上げている有り様だ。

 

 ――今、私は大勢の騎士と共に王座の間を占拠している。

 

 この騎士たちは王国に反旗を翻した者たちであり、私の言うことならなんでも聞く忠実なる私兵。

 

 そんな騎士たちに捕らえられたお父様とお母様は床へ膝を突き、その首筋には剣があてがわれている。

 いつでも、老いぼれた首を落とせるようにと。

 

「どういうつもり? 見ておわかりにならなくて?」

 

 怒る父を、私はフフッとせせら笑う。

 

「この国を滅茶苦茶にしているのよ。全て滅茶苦茶に破壊して、その後に新しい王国を作るの。私のためだけの王国をね」

 

「バカな真似を……! 気でもおかしくなったか……!」

 

「――おかしい(・・・・)のは、この世界の方よ」

 

 ……ええ、そう。

 この世界は、おかしくなってしまった。

 こんなはずじゃなかったのに。

 

 全部――あの忌々しい夫婦(・・・・・・)のせいだ。

 

「こんな……なにもかも思い通りにならない世界なんて、滅びてしまえばいい」

 

「エルザよ、思い直せ……! ワシが国の平和に心を砕いてきたのは、全て子供であるお前たちを思ってのことなのだぞ……!」

 

「黙れ」

 

 まるで説教でもするかのようなディートフリートの言葉に対し、私は冷たく言い返す。

 

「私は、お前らを親などと思ったことはないわ」

 

「エルザ……!」

 

「――騎士よ」

 

「ハッ」

 

「ディートフリートの首を、跳ねなさい」

 

 剣を手にする騎士へと、命じる。

 

 直後、ディートフリートの首筋へとあてがわれていた剣は大きく振り被られ――躊躇なく、首を斬り落とした。

 

 飛び散る血飛沫。

 ゴロンッ、と床の上を転がる頭部。

 

 それを見た王妃メルセデスは、

 

「き…………きゃあああああああああああああああああああああッ!!!」

 

 王座の間に響き渡るような、耳障りな悲鳴を上げた。

 

「エ、エエエエルザ……! あなた、なんてことを……ッ!」

 

「うるさいわね。次はアンタの番よ」

 

 目配せすると、メルセデスの首筋に剣をあてがっていた騎士が剣を振り被る。

 

「やめッ――!」

 

 次の瞬間、剣は振り下ろされた。

 二つ目の頭部が、ボトッと床へ落ちる。

 

 その光景を見て、私は胸がすく思いだった。

 

「フン……幾らか清々したわ。ところで、第一王子(ルイス)第二王子(アルベール)はまだ見つからないの!?」

 

「ハッ……城内をくまなく捜索しているのですが、未だ捕らえられず……!」

 

 そんな騎士の返答を聞いて、私は思わず「チッ」と舌打ちする。

 

「なにしてるのよ! さっさと見つけ出しなさい! でないとアンタらも――!」

 

 胴と首を斬り離してやるわよ、と言おうとした――まさにその時だった。

 

 ズ――――ン……ッ!

 

 ……という地鳴りのような音と揺れが、私の言葉を遮る。

 

「な……なに……?」

 

 王城全体が揺さぶられているかのような感覚。

 足元から鈍い揺れが伝わり、天井からはパラパラと埃が落ちてくる。

 

 その後も立て続けに地鳴りのような音と揺れが発生し――その感覚は徐々に短く、そして大きくなっていく。

 

 ――なにか(・・・)が、近付いてきている。

 

 これは……〝破壊〟の音だ。

 王城の中で、なにかが暴れている。

 

 そして――。

 

「エ……エルザ様……! ご報告申し上げます……!」

 

 私がいる王座の間の前に、全身傷だらけの騎士が一人辿り着く。

 

「て、敵襲(・・)です……! あ……あの男が……〝アルバン・オードラン男爵〟が、城の中に――ッ!」

 

 満身創痍の騎士は叫ぼうとした。

 だが――言い終えるよりも早く、騎士の身体は八つ裂き(・・・・)になる。

 

 目にも止まらぬ連続の斬撃が全身を襲い、バラバラに斬り刻まれたのだ。

 

 おびただしい量の鮮血がぶちまけられ、無数の肉片と化した人体が床にへばりつく。

 

 その光景はさながら真っ赤な水風船が床に叩き付けられ、破裂したかのようだった。

 

 

 

 

 

「…………見つけた(・・・・)ぞ」

 

 

 

 

 

 コツ、コツ……という足音が聞こえ――男の姿が、ゆっくりと現れる。

 

 返り血で全身を真っ赤に染め上げ、右手に持った剣の切っ先からはポタポタと血を垂らす、そんな悪魔(・・)にも似た男の姿が。

 

「これまで、よくも散々レティシアを苦しめてくれやがったな……。今、ここで、お前を――地獄に叩き落としてやる」

 

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