【✨書籍化✨】怠惰な悪役貴族の俺に、婚約破棄された悪役令嬢が嫁いだら最凶の夫婦になりました【悪役✕結婚】 作:メソポ・たみあ
《レティシア・
「――ぷはぁ!」
やっと……やっと狭い抜け穴から出られたわ……。
息苦しかった……。
――狭苦しい抜け穴の中を進み続け、私はどうにか〝外〟へと脱出。
幸い抜け穴自体は一本道だったし、ベンが慣れた様子で先を進んでくれていたから、特に迷ったりすることもなかった。
……けれど、抜け穴は途中から急勾配の登り坂となっていて、進むだけでも一苦労だったわ……。
よくよく考えれば、地下水道から地上へ繋がる通路を進むのだから、道が
お陰で、抜け穴を出るまで思ったより時間がかかってしまった。
ドレスも泥だらけになっちゃったし。
「……」
――アルバン。
彼は――我が最愛の夫は――無事かしら――。
幾ら彼が強くても、子供たちを守りながら無数の
多勢に無勢の中、消耗戦になんてなったりしたら……。
それに――あまりにも未知数な〝
――なんとかしないと。
でも、私だけじゃ……。
私はしばし思案した後、「ふぅ」と小さく息を吐き――
「……仕方ないわね。こうなったら
できれば、巻き込みたくなかったのだけれど……。
でも彼らがいてくれたら百人力――いいえ、
――と自分に言い聞かせる。
「貴族のお姉ちゃん、こっち! こっちだよ!」
そんなことを考えていると、一足先に抜け穴から出ていたベンが私の下へ駆け寄ってくる。
彼は私の手をグイグイと引っ張り、ちょっとだけ歩かせると――なにやら開けた場所に出た。
――〝外〟。
空はすっかり暗くなっており、少し離れた場所には灯りの付いた家々が見える。
そのさらに向こうには、王城の姿も。
どうやらここは東区の最端らしく、ほんの少しだけ地面が盛り上がって丘のようになっているらしい。
東区の中にこんな風に王都を見渡せる場所があるなんて、知らなかったわ……。
「き、貴族のお姉ちゃん、助けを呼ぼうよ! セラお姉ちゃんたちを助けなきゃ……!」
「ええ、わかってる。――ねえベン、少し
「? お、お使い……?」
「そう、お使い。中央区の中にね――」
私はベンに〝とあるお店〟の場所を教え――同時にメッセージを伝える。
「――という風に、お店の女の子に伝えてほしいの。どう? 頼める?」
「う、うん! 任せて!」
「いい子ね。それじゃあ、お願い」
力強く頷き、タッタッタと勢いよく走り去って行くベン。
その背中を見送った私は――
「さて……私も私にできることをしましょうか」
▲ ▲ ▲
「ハァ……ハァ……!」
――レティシアから
無我夢中だった。
息を切らし、滝のように汗を流し、途中で転んで膝を擦りむいても、決して止まらずに走り続けた。
ベンは皆を――家族を助けたかった。
ヒメナ、ジェリー、アンドレ、パコ――そしてセラ。
ベンにとって、皆はかけがえのない存在だった。
血は繋がっていなかったとしても、六歳という短い人生の中で苦楽を共にしてきた家族だったのだ。
だから走った。
つらくても、痛くても。
皆を絶対に助けるんだという強い意志を、決して捨て去ろうとはしなかった。
そしてようやく――ようやく、ベンは〝とあるお店〟の前に辿り着く。
店内には明かりが灯り、店の周囲にはとてもいい香りが漂っている。
そこが飲食店――所謂〝喫茶店〟であることは、幼いベンにもすぐわかった。
ベンは迷うことなく、そのお店のドアを開ける。
すると「カランカラン」という鈴の入店音が響き――
「いらっしゃいませ! 何名様で――って、あれ? 子供……?」
カウンターの奥から、一人の少女が出迎えてくれる。
エプロンを身につけた、栗色の髪の少女。
優し気な顔立ちをしており、年齢はおそらくレティシアやアルバンと同じくらい。
ベンにはすぐわかった。
この人が、
ベンはハァハァと息を切らし、
「お……お姉ちゃんが、〝シャノア〟って人……?」
「ふぇ? そ、そうです、けど……」
「き、貴族のお姉ちゃん……レティシアお姉ちゃんから伝言! 〝大至急、Fクラスの皆を集めて〟――って!」
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