【✨書籍化✨】怠惰な悪役貴族の俺に、婚約破棄された悪役令嬢が嫁いだら最凶の夫婦になりました【悪役✕結婚】   作:メソポ・たみあ

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第181話 目標にされるのは慣れてる

 

 ――グレッグ区長と〝魔導書(グリモワール)〟の一件から、七日後。

 

 東区には新たな区長が据えられることとなり、結局は地下水道の埋め立て工事も進められることが決まった。

 

 ちなみに半魚人共の餌になったグレッグ区長は事故死として世間に公表され、同時に〝魔導書(グリモワール)〟に関する情報も隠蔽されることに。

 

 これは、現場に居合わせたオリヴィアさんが魔法省上層部やアルベール国王と話し合った結果――だそうだ。

 ま、妥当っちゃ妥当な判断だろう。

 

 情報が隠蔽されたことで、同じく現場にいた俺たちFクラスメンバーやセラたちは緘口令が敷かれた以外お咎めなし。

 そこら辺もオリヴィアさんが口を利いてくれたのだろう。

 まったく大助かりだ。

 

魔導書(グリモワール)〟の出所に関しては、今後もオリヴィアさんが主体となって調査が続けられるそうだが……グレッグ区長が持ってた本は跡形もなく燃えちまったしな。

 物的証拠がない以上、そう簡単に調査は進むまい。

 

 ……最後に声だけ聞こえたあの女(・・・)のことも、結局なにもわからずじまい――か。

 

 ま、別にいいけど。

 どこの誰だろうが――レティシアに危害を加えてくるなら、叩き潰すだけだ。

 

 そんなこんなで――

 

「さてと……それじゃあ忘れ物はないかしら?」

 

 王立学園・正門前。

 少しばかり小綺麗な格好に着替えたセラたちに向かって、レティシアは言う。

 

「わ、忘れ物なんてあるワケないだろ……。アタシたちは、ずっと食うや食わずの素寒貧だったんだから……」

 

 微妙に気恥ずかしそうに答えるセラ。

 そんな彼女の背後には、同じく小綺麗な服装に着替えた五人の子供たちと――大きな馬車(・・)が。

 

 ――約束の通り、セラたち六人はオードラン領に孤児院を建てて養うこととなった。

 事件後の七日間は学園が一時的に子供たちを預かってくれたが、いつまでも学園に預けっぱなしってワケにもいかないからな。

 

 セーバスとも手紙で連絡を取り合い、向こうではさっそく孤児院建設の着工準備を進めているらしい。

 もっとも、「そういう大事なお話は、先にご相談頂けると助かりますな」と文面で怒られてしまったが……。

 

 そんなワケで、セラたちはこれからオードラン領へと向かうこととなる。

 セラだけクラオン閣下に預けることも考えたが、彼女も子供たちを守れる場所にいた方が心休まるだろう。

 そう思って、クラオン閣下には俺から説明しておいた。

 

 それに、オードラン領にはセーバスがいるんだ。

 剣の稽古の相手としては申し分あるまい。

 

「向こうでしっかりセーバスに鍛えてもらえよ。俺自慢の執事なら、お前の短剣術にも磨きをかけてくれるはずだ」

 

「……わかってる」

 

 セラはしばし俯いた後、顔を上げて――

 

「本当に……アンタたちには世話になった。だから、改めて礼を言う。……あ、ありがとう……」

 

「あらあら、どういたしまして」

 

 なんとも嬉しそうにクスッと笑うレティシア。

 子供好きな彼女としては、こうやって感謝される瞬間の嬉しさもひとしおなのだろう。

 

 うんうん、愛する妻のこんな晴れ晴れとした笑顔を見られたなら、頑張った甲斐もあったってモンだ。

 レティシアの最高に可愛い笑顔が見られて、俺も幸せ……。

 

「……アルバン・オードラン男爵」

 

「あん?」

 

 ふと――セラが俺の名を呼ぶ。

 

「アタシ……強くなるよ。子供たちを、大事な家族を一人で守れるくらい、強くなってみせる。できることなら――アンタと同じくらいに」

 

 ――強い意志の宿った瞳。

 

 俺を見つめて語るセラの瞳は、決意に満ちていた。 

 初めて出会ったコソ泥の頃の目とは違う。

 大きな目標を見つけたらしいその(まなこ)は、とても澄んで見えた。

 

 だが――こちとら、目標にされる(・・・・・・)のは慣れてるんでね。

 

「……そうかい。ま、少しは期待して待ってるよ」

 

 ワザと悪戯っぽく笑って、俺はセラにそう返す。

 

 でも少し期待してるってのは本当。

 愛する人のために剣を振るう――その点において、コイツと俺は同じだから。

 

 ――セラと子供たちは、馬車に乗り込んでいく。

 馬車は走り出し、子供たちは名残惜しそうに馬車の中からこちらに手を振る。

 

 そうして馬車が見えなくなる最後の瞬間まで、子供たちは手を振り続けてくれたのだった。

 

 レティシアは少ししんみりとした様子で、

 

「……行っちゃったわね」

 

「ああ。寂しいか?」

 

「そんなことないわ。オードラン領に戻ればまた会えるのだもの。それに向こうにいた方が、彼女たちも幸せなはず。ならそれでいいのよ」

 

「そっか。レティシアは優しいなぁ」

 

「あら、それは誰かさんも同じではなくって?」

 

「俺はレティシアにしか優しくないから」

 

「フフ、そうだった」

 

 クスッと可愛らしく笑ってくれるレティシア。

 それに釣られて、俺もクスッと微笑する。

 

 ――俺たち夫婦がそんなやり取りをしていると、

 

「――くぅおら! レティシア夫人! オードラン男爵!」

 

 遠くから俺たちを呼ぶ声。

 言わずもがな――この声はエステルだ。

 

「そろそろ授業が始まりますわよ! 初日からお遅刻ぶちかますおつもりですの!?」

 

 ……やれやれ、気付けばもうそんな時間か。

 俺とレティシアは顔を見合わせてちょっと残念そうにし、肩を並べて歩き出す。

 

 そう――約半月の春休み(・・・)は、昨日でおしまい。

 今日から授業開始だ。

 

 二年生(・・・)となった俺たちの生活が、始まる。

 

 




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