【✨書籍化✨】怠惰な悪役貴族の俺に、婚約破棄された悪役令嬢が嫁いだら最凶の夫婦になりました【悪役✕結婚】   作:メソポ・たみあ

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第200話 センパイ、後輩を想う

《ローエン・ステラジアン視点(Side)

 

「 イ 」「 ヤ ――ッ!!!」

 

 ……一字一句、声を大にして叫ぶコルシカ。

 そして地面に寝そべりってジタバタと暴れ、子供のように駄々をこね始める。

 

「ヤですッ! 絶対にヤッ! こればっかりは、センパイのお言葉でも聞けませんッ!」

 

「コルシカよ……言ったろう。〝王位決定戦〟に参加するのは、もはや危険だと」

 

「センパイのお心遣いには感謝いたします! 本当の本当に、センパイは後輩想いの素敵お方だと尊敬しますッ! 流石です! 私の自慢のセンパイですッ!」

 

 う、うむ? そうか?

 そこまで言われると、あまり悪い気も……。

 

 ――いや、いかんいかん。

 照れてどうする、ローエン・ステラジアン。

 俺は今日、コルシカを止めに来たのだぞ。

 彼女を――〝王位決定戦〟から離脱させるために。

 

「お前も知っての通り、ビクトールが何者かに殺された。まだ犯人は見つかっていないが、俺のクラスメイトの話だと〝王位決定戦〟の参加者は狙われる可能性が高いらしい」

 

 カーラは俺に忠告してくれた。「コルシカって子に注意喚起した方がいい」と。

 あくまで念のため、と彼女は言っていたが……あれほど手練れの暗殺者(アサシン)が言うのだ。

 それを聞いた瞬間、俺はコルシカを〝王位決定戦〟から離脱させようと決めた。

 

「……俺は、お前の命が狙われるような事態になってほしくないのだ」

 

「……う、う゛う゛う゛ぅ゛ぅ゛~~~!」

 

 俺が諭すように言うと――突然、コルシカはボロボロと泣き始める。

 

「!? コ、コルシカ!? 何故泣くのだ!?」

 

「やっぱりセンパイはお優しいですッ! 私、感動しました! 私を心配してくれるセンパイは、いつまでも私の憧れの人ですッ!」

 

 ボタボタと涙を流しながら嬉しそうに話すコルシカ。

 なんとも器用な子であるな。

 

「ですが! それ故に! 私は王位(トップアイドル)を決める戦いから、逃げるワケにはいかないのですッ!」

 

 コルシカは立ち上がってシュバッとポーズを取り、両目の☆を煌かせる。

 

「センパイがお一人でミノタウロスを倒したあの日から、センパイはずっと私の目標です! 私はセンパイに追い付くために、トップアイドルを目指し続けてきたのです!」

 

「俺に追い付く……? それなら、お前はとうの昔に追い付いているだろう。一年前、お前は俺と同じようにミノタウロスを倒したではないか」

 

「いいえ! それではダメです! ダメだった(・・・)のですッ!」

 

 ブンブンと首を振るコルシカ。

 俺は彼女の言っている言葉が飲み込めず、困惑してしまう。

 しかしコルシカは話を続け、

 

「私がミノタウロスを倒した時……〝職業騎士〟の皆は、私を二番目(・・・)としか見てくれませんでした!」

 

「――! それ、は……」

 

「あの時、知ったのです! 私がセンパイに追い付くには――センパイも成し得なかったなにかを成し遂げ、記録を刻み、先駆者の一人にならねばならないとッ!」

 

 雄弁に、彼女は語る。

 

 ……二番目、か。

 そうか、そうだったのか。

 だからこんなにも、一年の〝(キング)〟となることに熱心だったのだな。

 

 ――俺が初めてミノタウロスを一人で討伐した時、皆に言われたモノだ。

〝偉業〟だと。お前は〝職業騎士〟の歴史に名を刻んだのだと。

 誰もが俺を褒め称えてくれた。

 ……今思えば、あの時からオードラン男爵に負けるまで、俺はどこか夜郎自大(やろうじだい)になっていたのかもしれない。

 

 コルシカは、あの時の俺の背中を見ていたはずだ。

 だから同じようにミノタウロスを倒して見せたが――それはもはや〝偉業〟ではなくなっていたのだろう。

 俺が、前例を作ってしまったことで。

 

 コルシカはそれに気付いたのだ。

 だから「(ローエン)が成し得なかったなにかを成し遂げる」ことでしか追い付けない――ローエン・ステラジアンと並び立つことはできない、という想いに至ったのだろう。

 

「見ていてくださいセンパイ! 私はこの学園の〝(キング)〟となり、〝職業騎士〟の歴史に名を刻むトップアイドルとなります! そうして、センパイと肩を並べられる存在になってみせます!」

 

「コルシカ……お前は……」

 

「ですから――私のアイドル活動、どうか最後まで見守っていてはくれませんかッ!?」

 

 少しもブレることなく、俺の目を見つめて言ってくるコルシカ。

 

 ……。

 …………。

 まったく……どこまで真っ直ぐなのだ、お前は。

 

 その高潔な魂は、既に俺と並んでいる――いいや、俺などよりずっと高みにいるではないか。

 もっとも、そう言ったところでお前は聞き入れまい。

 ならば――

 

「……わかった、いいだろう」

 

「――! ということは……!」

 

「そこまで言うなら、止めはすまい。お前の言うアイドル活動……存分に頑張ってみろ」

 

 俺が応援してやることを決めると――コルシカは今日一番、目の☆を輝かせて見せた。

 

「うおおおおおッ! 私は! 最強無敵の! 頂点トップ無双アイドルになりまぁすッ!!!」

 

 身体全体で喜びを表現するコルシカ。

 やれやれ、やはり俺はこの子に甘いよなぁ……。

 

「だが、もう一度言っておくぞ。もしもお前の身に危険が迫ったら――」

 

「ハイ! 無限のアイドル☆パゥワーで薙ぎ払いますッ!」

 

 シュバッと手を上げ、コルシカは元気よく答える。

 その答えを聞いて、俺は頭を抱えた。

 

 やれやれ……本当に、何事も起こってくれなければいいが……。

 

 




パパパッパッパッパ、パァウァー!!

そして祝・200話!^^

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