【✨書籍化✨】怠惰な悪役貴族の俺に、婚約破棄された悪役令嬢が嫁いだら最凶の夫婦になりました【悪役✕結婚】   作:メソポ・たみあ

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第207話 俺の妻を、奪ったな?

 

「は~あ、やっと終わった。面倒くさ……」

 

 教員共による拘束&説教から解放された俺は、そんなことをボヤきながら廊下の中を歩く。

 

 ……なんで喧嘩を止めに入った俺が、説教を受ける羽目になったのかって?

 そりゃ、無傷なのが俺しかいなかったからだな。

 ローエンの奴は右腕がへし折られてたし、その後輩のコルシカはボロボロにリンチされてたし。

 

 あの二人は今、医療棟で治療を受けている。

 医療棟の養護教諭共は優秀な回復魔法使いだし、まあ任せれば大丈夫だろう。

 ……一番酷いダメージを受けてたっぽいコルシカの〝喉〟は、元通りになるかわからんが。

 

 そんなこんなで、治療の必要がなかった俺に対して教員共の説教の矛先が向かったワケで。

 ちなみに説教をした教員の中にはパウラ先生もいたけど、あの人だけ何故か凄く楽しそう&嬉しそうにしながら説教してたな。

 なんか全然怒る気もなかったっぽい、っていうか途中から叱られてるのか褒められてるのかわからんかったし。

 相変わらずだよなぁ、あの先生も……。

 身体が闘争を求めすぎだろ……。

 

 ――それと、俺だけ説教を受けた理由がもう一点。

 コルシカをリンチにし、ローエンの腕を折った張本人でるジャックが、捕まらなかったからだという。

 俺たちの下に駆け付けた教員共はすぐにジャックの後を追ったそうなのだが、どこにも姿が見当たらなかったらしい。

 

 そんなことあるか? と思ったりするが、ま~どうせすぐに捕まるだろ。

 学園の生徒である以上、逃げ場なんざないんだから。

 精々長丁場の説教でも受けるがいいさ。

 それが終わり次第、俺が直々にぶん殴ってやる。

 

 ……ただ、な~んか引っ掛かるんだよな。

 ジャックが最後に見せた、あの驚いた顔。

 そして――アイツの背後にいた、よくわからんモンスター。

 ありゃ一体……。

 

「あ~やめやめ、考えても無駄だわ。早く個別棟に帰ろ……レティシアが待ってる」

 

 ほとんどいきなり飛び出してきちまったからな、俺。

 レティシアも心配してるかも。

 それにシャノアにも彼女の傍にいるようにって押し付けちまったし、そこんトコも礼を言わなきゃな。

 

 あ~あ、帰ったらレティシアにもお説教されちゃうかも。

 でもレティシアにならいいや。

 妻からの説教を粛々と受けるのも、夫の甲斐性ってモンだろ。

 

 なんてことを思っていると――

 

「――ハァ……ハァ……!」

 

 トタトタトタ……と、背後から誰かが走る音が聞こえてくる。

 この軽い感じの足音は――女?

 そう思って振り向くと、そこには――

 

「オ、オードラン男爵~……!」

 

「あれ? エレーナ?」

 

 息を切らしながら俺の下に駆け寄ってきたのは、エレーナ・ブラヴァーツカヤだった。

 妻《レティシア》と仲のいい一年女子である。

 

「どうしたんだ? そんなに急いで」

 

「ど、どうしたもこうしたも~……! レ、レティシアさんのところに、あ、あの子(・・・)が~……!」

 

「……?」

 

 酷く焦った様子のエレーナ。

 

 なんだ? レティシアがどうしたって?

 俺が聞き返そうとした刹那、

 

 ――〝ズンッ!〟

 

 ……という重苦しい地鳴りが響き、僅かに廊下全体が揺さぶられる。

 

「な、なんだ……?」

 

「あ、あああ~……! 早く! オードラン男爵、早くレティシアさんの所へ!」

 

 何故か俺を急かそうとするエレーナ。

 

 ――嫌な予感がした。

 それも猛烈に。

 

「――」

 

 俺は間髪入れずに足を動かし、全速力で個別棟へと向かう。

 廊下を抜け、土砂降りの雨の中を全力疾走で駆け抜ける。

 

 そして、個別棟がようやく視界の中に入るが――

 

「……! クソッ!」

 

 俺の隻眼に映ったのは、無惨に壁が破壊され、濛々と煙を上げる個別棟の姿。

 腰の剣を抜き放って臨戦態勢に入り、壁に空いた風穴から個別棟の中へと飛び込む俺。

 そんな俺の目に最初に映ったのは、

 

「……! シャノア! おいシャノア、しっかりしろ!」

 

 ――そこにあったのは、血を流しながら床に倒れるシャノアの姿。

 部屋の中では激しい戦闘の後があり、レティシアやシャノアが何度も攻撃魔法を発動したであろう痕跡もある。

 明らかに、何者かの襲撃を受けたのだ。

 

 シャノアはどうやら頭部を激しく打ち付けたらしく、額を真っ赤に染めるように流血している。

 だが息はしており、辛うじて意識もあるようだ。

 

「オ……オードラン男爵……アレ(・・)を……」

 

 俺がシャノアの身体を抱きかかえると、シャノアは僅かに目を空けて壁の方を指差す。

 俺がその指先に誘われ、視線を向けた先には――

 

 

〝ママのお腹は僕のものだ〟

 

 

 そんな気色悪い一言が、深紅の血で殴り書かれてあった。

 それを見た俺は――

 

 

 

 

 

「…………殺してやるぞ、クソ野郎が」

 

 

 

 

 

 隻眼の瞳孔が開くのを感じる。

 全身の血が沸騰する。

 心臓に送られる血液がマグマのように煮え滾り、頭の中が激怒と憎悪と殺意で染め上げられる。

 

 ――奪った(・・・)な?

 俺から、俺の一番大事な、俺の(レティシア)を奪ったな?

 

 許さん。

 許さん。許さん。許さん。

 許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん。

 

 許してなるものか。

 断じて許してなるものか。

 

 殺す。

 なにがなんでも殺す。

 殺す殺す殺す殺す殺す。

 地の果てまで追いかけて、地獄の果てまで追い詰めて、殺してやる。

 

 俺の――

 俺の生きる意味(レティシア)を、返しやがれ。

 

「ハァ……ハァ……! オ、オードラン男爵~……! レ、レティシアさんは~――!」

 

 やっと追い付いたと言わんばかりに、エレーナが俺の下へやってくる。

 そして傍まで駆け寄ってきたので――俺はエレーナの胸ぐらを掴み上げた。

 

「ヒッ……!?」

 

「レティシアはどこだ?」

 

「オ、オードラン男爵~……お、おおおお落ち着いて~……――!」

 

「レティシアはどこだ? お前はなにに気付いた? 何故気付いた? 話せ」

 

 瞳孔が開いた片目で、俺はエレーナを睨み付ける。

 

「は、話します~! 話しますから、どうか~……!」

 

「お前はなにを知ってる? 知ってること全部、洗いざらい、話せ。俺がお前をぶっ殺しちまう、その前に」

 

 




Q.アルバンからレティシアを奪うとどうなる?
A.殺戮が始まる。

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