【✨書籍化✨】怠惰な悪役貴族の俺に、婚約破棄された悪役令嬢が嫁いだら最凶の夫婦になりました【悪役✕結婚】   作:メソポ・たみあ

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第226話 王子の来訪

 

「あら、いらっしゃ~い♥ お久しぶりねアルバンちゃん、レティシアちゃん」

 

 王城へと着いた俺たち夫婦を、以前と同じ一室である謁見の間で迎え入れてくれるアルベール国王。

 相変わらず、腹の底が見えない魔性の笑みだ。

 

「どーも。で、今日はまたなんの用です?」

 

「まあまあ、とにかく座んなさいな。今日はいい茶葉入ってるわよぉん♪」

 

 茶葉――と聞いて「それは楽しみですわ」と我先にと対面するソファに腰掛ける我が妻レティシア。

 彼女も彼女で、相変わらず紅茶に目がない。

 そんな妻の姿も可愛い……。

 

 まあでも、悔しいが確かにアルベール国王が淹れてくれる紅茶は美味いんだよな……。紅茶に詳しくない俺でも「美味い」ってわかるくらいだもの……。

 しかも使用人にやらせるんじゃなくて、自分で淹れてくれる辺りこだわりがあるみたいだし。

 それだけいい茶葉をストックしておけるのは、流石国王と言うべきか……。

 

 レティシアに続くようにソファへと腰掛ける俺の姿を見たアルベール国王は、

 

「――聞いたわよぉ、今度は学園の新入生に厄介なの(・・・・)が紛れ込んでたんですってね」

 

 俺たちに紅茶を振る舞う準備をしながら、そう切り出す。

 

「……はい、間違いなく〝薔薇教団〟の手の者でしたわ。もう少しで大変な事態になるところでした」

 

「ま、きっちり仕留めておきましたけど。でも〝邪神〟だかなんだか連れ回してて、ウザいったらなかったですよ、マジで」

 

 ――〝邪神〟。

 その単語を聞いた瞬間、アルベール国王の手が一瞬止まる。

 

「……〝サタニア教会〟でなにがあったのか、報告は全て聞いたわ」

 

 彼は改めて手を動かし、ティーカップに紅茶を注いでくれると、自らの手で俺たちの前に運んでくれた。

 

「アルバンちゃんは、よく可愛い奥さんを守ってくれたわね。流石は英雄だわ」

 

「夫として当然のことをしたまでです。……それより――」

 

「それよりどうして〝邪神〟のことを自分たちに教えなかったのか――かしら?」

 

 アルベール国王はわかり切った様子で、俺の言いたい台詞を横取りしてくる。

 

「〝薔薇教団〟については教えたじゃない。新世界の神と交信しようとしてるカルト宗教だ~って」

 

「いや、そこだけ聞いてまさか本物の〝邪神〟が出てくるなんて思わんでしょーが」

 

 びっくらポンですよマジで、と言う俺に対して、若干不服気味な顔をするアルベール国王。

 

「ならアタシが〝邪神は実在する〟って言ってたら、あなたたち信じたかしら?」

 

 彼の言葉に、俺は「う……」と言葉を詰まらせる。

 それはまあ……素直には信じられなかったかもしれんけど……。

 

「ジャック・ムルシエラゴの偽物は、はた迷惑にも〝邪神〟の力を使って世界平和(・・・・)を目論んでいたそうじゃない」

 

「……はい。アレ(・・)は――とても恐ろしい力でしたわ」

 

 レティシアが答える。

 アルベール国王は少し悩ましそうにため息を漏らし、

 

「〝王家特別親衛隊(ホラントちゃんたち)〟に頼んで奴らの行方は全力で追っているけど、もうぜ~んぜん足取りが掴めないの。ホント、不気味過ぎるくらいにね」

 

「「……」」

 

「この国の中にいながら、アタシたち王家の人間の目を掻い潜るなんて至難の業よ。それも〝邪神〟様の力のお陰なのかも――なんちゃってね」

 

 ややおどけるように言った彼は、自らの分のティーカップを指で掴む。

 

「でも、一つハッキリした。奴らはあなたたち夫婦――というよりレティシアちゃんを狙ってる」

 

「……私の身体を母体とし、新たな〝邪神〟を生み落として、この世界に平和をもたらす……それが彼らの狙いでしたわ」

 

「世界中の人間を皆殺しにするのが世界平和だなんて、皮肉もいいトコだけど。でもそんなことやらせない」

 

 ティーカップを持ったアルベール国王は紅茶を一度口に含み、コクッと嚥下。

 そして鋭い目つきとなり、

 

「余所の国は知ったこっちゃないけどね、この国の人間はアタシのモノよ。臣民たちがアタシにくれる富も名声も権力も、なにもかも」

 

「だから勝手に皆殺しにされちゃ困る――ってワケですか」

 

「当然。アタシってば強欲だから♪」

 

 俺の言葉に対し、不敵な笑みを交えつつ答えるアルベール国王。

 ホント、この人も相変わらずだよ。

 

 それにたぶんだが――〝薔薇教団〟について、まだなにか隠してる(・・・・)

 言わないのか言えないのか、それはわからんが。

 

 ま、興味ないけど。

 俺の夫婦生活を邪魔してくるなら、なにもかもぶっ潰すだけだし。

 

「ヴァルランド王国は今後〝薔薇教団〟――『薔薇色の黄昏(ローゼン・トワイライト)』を正式に危険組織に認定。徹底的に排除と根絶を進めるわ。王立学園にもそれ相応の警備を付ける」

 

「そりゃ心強い。少しは役に立ってくれるといいですけど」

 

 皮肉交じりに俺が言うと、「ア・ル・バ・ン」とレティシアが俺の脇腹にドスッと肘を突き込んでくる。

 俺の妻、やっぱり軽率な発言を見逃してくれない……。

 でもそこもいい……。

 

 アルベール国王は微笑して軽く受け流し、

 

「あなたたち夫婦は要人として警護対象となるけれど、場合によっては力を借りる時がくるかもしれない。その時はよろしくねぇ」

 

「はい、勿論ですわ。私たちでよろしければ」

 

 実に誠実な態度で、レティシアは答えた。

 すると――その直後、俺たちがいる部屋のドアが〝コンコン〟とノックされる。

 

『国王様、ネワール王国の使者の方々がお見えです』

 

「ああ、どうぞどうぞ~。入って頂いて」

 

 アルベール国王がドアの向こうの使用人に答える一方、レティシアは不思議そうに目を丸くした。

 

「ネワール王国……?」

 

「そ、実は今日レティシアちゃんたちを呼んだ理由はコレ(・・)もあるのよん。救国の英雄様を、ぜひ余所の国にご紹介したくってねぇん♥」

 

 ニヤリと笑うアルベール国王。

 次の瞬間、部屋のドアがゆっくりと開く。

 

 そして――背の低い褐色肌の美少年が姿を現した。

 

 




悪役夫婦VSオネェ国王VSショタ王子、ファイッ!٩(◦`꒳´◦)۶

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