【✨書籍化✨】怠惰な悪役貴族の俺に、婚約破棄された悪役令嬢が嫁いだら最凶の夫婦になりました【悪役✕結婚】 作:メソポ・たみあ
《エステル・アップルバリ
「さ、そんじゃさっさと帰ると致しますわよ」
「…………ま、待ちやがれ……!」
アル王子を連れて、優雅に去ろうとする私を呼び止める声。
振り向くと、さっき私がお顔に蹴りを入れて差し上げた
「よ、よくもやってくれやがったな……! このまま、おめおめと逃げられると思うなよ……!」
「あーら、そういうおセリフは、その折れ曲がったダッセェお鼻を曲げ直してから仰ったら如何?」
「うるせぇッ!!! このクソアマ、ぜってぇぶっ殺してやるあぁッ!!!」
それを見せられて、「ハァ……」と私の口から漏れる憂鬱なため息。
……まだ十歳の
ダセェを通り越して――もはや見るに堪えませんわね。
「私は……私が思うクッソおダセェ真似はしませんの」
「あぁ……!?」
「私は
「なに言ってやがる! 死ねオラァッ!」
そして私のお腹目掛けて、切っ先を突き込んできやがりますけれど――月夜の下で鈍く輝くその刃を、私は片手で掴んで止めて見せます。
「な……ンなっ……!?」
驚いて目を丸くする
鋭い刃を生身でギュッと握り、私の手からはボタボタと紅い血が滴り落ちますの。
ああもう、
でもこんな
「私は拳より先に刃物を頼ったりしませんの。私は徒党を組んで弱い者虐めをしたりしませんの」
「ク、クソッ……離せテメェッ!」
「――〝
私は片手で刃を握ったまま、もう片方の手で
いつまでも凶器に頼ろうとするから、そんな隙だらけになるんでしてよ。
「ぐ……おッ……!」
「どうかしら、私の
私はようやく
その衝撃で鼻血が噴き出て、せっかく曲げ直したお鼻がさっきよりも酷く
「ぶあッ――――!!!」
「私はお嬢様ですから、そんじょそこらのおゴロツキ共とは鍛え方が違うんですの」
血がボタボタと垂れる拳を握り込んでおパンチをお見舞いするくらい、お嬢様ならできて当然。
だってお嬢様とは気高く、誇り高く、肝が据わって、お根性がキマッているモノですから。
「でもこんなのは、まだほんの
私は人差し指をチョイチョイッと動かして、
「どうしたのかしら? ほら、かかってらっしゃいな」
「こ、こ、こンの……ッ!」
頭に血が上ってタコ助みたいにお顔を真っ赤にした
でも私は優雅かつ余裕に
「グごッ……!」
「性根の捻じくれたおゴロツキだの、お金のためならどんなセコい悪行でもおやりになる小悪党だの……心底おダッセェですわ」
一撃、二撃――。
三撃、四撃、五撃、六撃――。
一撃入魂のつもりで、連撃を叩き込んで参ります。
「ましてや
助走をつけ、大きく振り被った全力の右腕ストレートが
〝ゴキャッ!〟という豪快な音色を奏でながら、凶悪な人相のおゴロツキが地面を擦って吹っ飛んでいく様は、実に滑稽ですわね。
「そういう軟弱者は〝力《おパワー》〟でぶちのめすッ! それが私の目指す〝お嬢様〟ですわッ!」
「ふ……ふ……ふざけッ……!」
「あなたみたく
私は息も絶え絶えになった
ベコベコのボコボコにしていきます。
「その腐り切った性根を――少しはお清楚に鍛え直してらっしゃい!」
そして最後に――
ありったけの、
全身全霊の、
全力全開の、
純情可憐の、
そんな〝
「〝お嬢様〟を……舐めんじゃねぇッッッ、ですわッ!!!」
大爆発するかのような
「ぶぎゅああああああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァ――――ッッッ!!!」
盛大かつ豪快かつ雅やかに宙を舞う
一回、二回、三回、四回、五回――。
まるで水切り石みたいに石畳の上をおバウンドしながら、遥か何十メートルも先までぶっ飛んでいきますの。
途中で靴が片方脱げて彼方へ消えたりしていく様は、実にお惨め。
そうしてお豆粒くらいの大きさにしか見えなくなった距離まで離れて、ようやく停止。
これで起き上ってきたら大したものだと思いましたけれど……結局盛大に伸びたまま、ピクリとも動くことはありませんでした。
やっぱり根性なしでしたわね。
「フン……一昨日来やがれ、でしてよ」
最後に「〝対あり〟ですわ」と言って差し上げようかと思いましたけれど、あんなお畜生にそんな言葉は勿体ないですわね。
私はサッと縦ロールを払って、
――その直後、舞踏会場の護衛騎士たちを連れたコピルさんたちが私たちの下へと到着。
ようやく事態を察知したようですわね。
後は私がなにもしなくても、あの
エステル・アップルバリは――優雅に去りますわ。
年内の投稿は今話で最後となります!
2025年は途中だいぶ期間が空いてしまいましたが、それでもお付き合い頂ける読者の方々がいてくださって本当に嬉しく思っております……!
ぜひ2026年も『最凶夫婦』をよろしくお願いします!
それでは、良いお年を!(≧ω≦)
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