【✨書籍化✨】怠惰な悪役貴族の俺に、婚約破棄された悪役令嬢が嫁いだら最凶の夫婦になりました【悪役✕結婚】 作:メソポ・たみあ
「……」
「どうだい? ここまでの話を聞いて、信じる気になるかな?」
ルイス第一王子が、俺に向かって問うてくる。
――執務室の中に静寂が流れる。
同時に、部屋にいる全員の視線が俺へと向けられた。
ルイス第一王子、アルベール国王、ホラント、そしてもう一人の騎士……全員が答えを待つかのように、沈黙のまま視線だけをこちらへ向けてくる。
そんな視線を面倒に感じつつ、俺は短く息を吐いた。
ああ……な~んか話の筋が見えてきたぞ……。
あと薄っすら思い出してきちまった。
本来この場所にいるべきなのは俺じゃなくて――
アンブローズが言ってたよな、〝『
それと自分たちは〝第二部の
微妙に思い出してきたけど、確かファンタジー小説の本来の
で、レオニールが主人公パワーを発揮して〝外なる神々〟をぶっ倒し、めでたしめでたし……ってな流れだったはず。
……だけど俺が
お陰で世界の
なんだよそれ、そんなクソ面倒くせぇことあるかよ。
俺がレオの代わりに〝外なる神々〟と戦わなきゃならなくなって、挙句大事な妻が〝外なる神々〟に狙われ始めるなんざ……。
ホント……この世界はいつまで俺とレティシアを呪い続けるつもりなのかね。
俺たちはただ二人で平穏に暮らしたいだけだっつーのに。
でも――どうあっても俺たち夫婦に七難八苦を突き付けたいってんなら――上等だ。
そんなモン……この俺がなにもかも、片っ端から
「……ええ、信じますよ。俺がこの目で見てきたクソッタレ共も、似たようなことをやろうとしてましたから」
「ならば、話を続けよう」
俺の返事を聞いて、ルイス第一王子の表情がほんの少し和らぐ。
アルベール国王たちも声に出しこそしなかったが、幾らか安堵している様子なのが雰囲気からわかった。
「もし〝外なる神々〟を野放しにすれば、五百年前と同じ悲劇が――いや、この国は内部から食い破られ、第一次ゼネバトス会戦よりもさらに酷い惨劇が国内で繰り広げられるだろう。僕は……五百年に同志たちが命がけで築いたこの国を、守りたいんだ」
「……そっちの言い分はわかりました。で、俺になにをしろと?」
「〝外なる神々〟を残らず一掃してほしい。一体も残さず、全て」
「簡単に言ってくれますねぇ。アイツら一体とマトモに戦うだけでも、こっちは相当面倒だってのに」
俺と戦ったアンブローズ、アイツは腕を斬り飛ばしても首を斬り落としても平然としていた。
オマケにおかしな
あの時は向こうが遊んでて完全に俺のことを舐めてかかってたから、どうにかなったものの……もし本気でこっちを殺す気できてたら、一体どうなっていたことやら。
ぶっちゃけ、考えるだけでも面倒くせぇわ。
なんて俺がかったるく思っていると、
「それは安心してほしい。こう見えても、伊達に五百年前の戦いを経験してはいなくてね。奴らの
これはきっと僕しか知らないことだろう、とルイス第一王子は言う。
「へぇ……弱点?」
「もっとも、〝外なる神々〟との戦いの最中で、その弱点を突けるだけの豪傑が奴らと対峙しなければならない……という前提があるけれどね」
どこか期待の眼差しで俺のことを見てくるルイス第一王子。
やめてくれよな~、面倒なんですけどそういうの~。
内心でため息を漏らす俺に対し、ルイス第一王子は話を続ける。
「だが〝外なる神々〟の一掃はあくまで最終目標であって、まずは
司祭――。
その響きを聞いて、俺はムカつく気分を思い出す。
目の前でおめおめと逃がしてしまった、あの時の気分を。
「キミたちが取り逃がした司祭――信徒たちは司祭ゼイラムと呼んでいたそうだが、まずはその女をなんとしても捕縛したい。仮に捕縛が不可能であるというなら、殺害しても構わない」
「どうしてそんなにあの女に執着するんです? アイツ自身は別に普通の人間なんでしょうし、放っておいて〝外なる神々〟共を殺しちまえばいいんじゃ?」
「司祭ゼイラムは、おそらくこの時代で初めて〝外なる神々〟との
「? それに?」
「これは僕の直感にすぎないが……奴はなにか
どこか不安気に言うルイス第一王子。
確かに……
それはつまり、アンブローズにとって司祭ゼイラムは生かしておく価値のある人間だということになる。
それにルイス第一王子やアルベール国王が言うように、多額の資金を溜め込んでいたくせに、それを表立って使う様子がまるでなかったっていうのも不気味すぎる。
まさか贅沢をするために溜め込んでいたワケでもあるまいに。
なにか妙なコトしでかす前に、とっ捕まえるかぶっ殺すべき……っていうのは、俺も賛成だわな。
「当面の目標は司祭ゼイラムを捕縛、ないしは抹消することとしたい。どうだろうか」
「異論はないっすよ。だけど……どうやってアイツを見つけ出すんです?」
当人の行方が全然わからないし、〝外なる神々〟に匿われちゃ流石にお手上げなんですが――なんてかったるく思いながら後頭部で手を組む俺。
これは本当に、面倒くせぇなぁ~と思いながら何気なく聞いたつもりだったのだが――
「「「……」」」
ルイス第一王子もアルベール国王もホラントたちも、何故か沈黙する。
それも神妙な面持ちで。
「あ、あの……?」
「……オードラン男爵、どうか落ち着いて聞いてほしい」
ルイス第一王子が声を発する。
しかしその表情には、先程までのような微笑はほんの少しも含まれてはいない。
「〝外なる神々〟と司祭ゼイラムが一体なにを企んでいるのか……それは僕たちにもわからない。ただ一つ明確に言えるのは、奴らの狙いの中に
「……!」
「〝薔薇教団〟の一員がジャック・ムルシエラゴに扮してまで王立学園へと忍び込み、彼女の誘拐を図った一件……あれは紛れもなく、レティシア・オードランというたった一人の女性を狙ったモノだった」
――何度思い出しても吐き気がする。
アンブローズと戦った時もそうだった。
アイツもレティシアのことを知っていた。
〝外なる神々〟がレティシアでなにをしようとしてるのかなんざ、どうでもいい。酷く酷くどうでもいい。
どうせ――俺がいる限り、アイツらの好き勝手になんざさせねぇんだから。
「何故レティシア・オードランが狙われるのか、それも謎だが……奴らの目的が一つでも判明しているのは、僕らにとって
ルイス第一王子が言う。
その発言を聞いて、俺は初めて眉をひそめる。
「……なに?」
「僕の考えた
「――――ッ!?」
「そしてキミと騎士たちで一網打尽にする。――どうかな?」
――
そして鈍く輝く刃を、ピタリとルイス第一王子の首筋へとあてがった。
レティシアを囮にするなんて、アルバンが許すワケないんだよなぁ(´·ω·`)
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