【✨書籍化✨】怠惰な悪役貴族の俺に、婚約破棄された悪役令嬢が嫁いだら最凶の夫婦になりました【悪役✕結婚】   作:メソポ・たみあ

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第36話 男子会、からの出会い

 

「……で、この状況はなんだ?」

 

 俺は城下町の通りを歩きながら、ブスっとした顔でぼやく。

 

 なんでブスっとしてるのかって?

 そりゃ不機嫌だから。

 

 なんで不機嫌かって?

 今、俺の隣にいるのがレティシアじゃなくてむさくるしいFクラス男子共だからだよ。

 

 マティアスは屋台で買ったホットドッグを頬張りながら、

 

「なんだって、見りゃわかんだろ? Fクラスの男同士、親睦を深めてんじゃねーか」

 

「どうして俺がお前らと親睦を深めなくちゃならないんだよ……」

 

「そりゃお前は”(キング)”だからな。臣下とは仲良くしてくれねーと。それよりホットドッグ食うか?」

 

「いらん。っていうかお前が屋台飯を食べるなんて意外なんだが」

 

「俺はジャンクが好きなの」

 

 もっきゅもっきゅとホットドッグを食べ尽くすマティアス。

 

 ウルフ侯爵家は途方もない金持ちだから、いくらでも贅沢な食事ができるはず。

 

 にも関わらずジャンクフードを好むとは、コイツも案外物好きだな……。

 

 ――話を少し前に戻そう。

 何故唐突に、俺がFクラスの男子たちと一緒に町へ繰り出すことになったのか?

 

 それはレティシアの提案があったからだ。

 

『せっかくFクラスの”(キング)”が決まったのだし、少し親睦を深めるべきだと思うの』

 

 これにFクラスのメンバーも賛同。

 

 とはいえ十人がまとまって動くと大所帯になるため、男子組・女子組で分かれることとなった。

 

 なので今頃、レティシアたちは女子会を漫喫?しているのだろう。

 

 で、俺たちも男子会をする流れになったのだが――ぶっちゃけ、なにをしていいかわからん。

 

 俺は城下町にまだそこまで詳しくないし、シャノアの喫茶店にはレティシアたちが行ってるし。

 

 そもそもなにが悲しくて、男五人で街中をデートしなくちゃならんのか……。

 

 あ~、レティシアのとこへ行きたい……。

 

「そうつまらなそうな顔をするな、オードラン男爵」

 

 イヴァンが諭すように言ってくる。

 

 コイツはこういう馴れ合いを嫌うタイプと思っていたが、意外にも乗り気である。

 

「僕たちは今や運命共同体なんだ。いつまでもいがみ合っているより、多少なりとも友好的にした方が合理的だろう」

 

「お前にそれを言われてもね……」

 

「厚顔無恥な自覚はあるさ。それでも敢えて言わせてもらう」

 

 ……ふーん、憎まれ役でも買って出たつもりかね。

 

 まあ見てわかるが、イヴァンは組織の中にあって参謀を務めるタイプの人間だ。

 

 得てして参謀は恨まれがち。

 だって、誰に対しても言い難いことをズバズバ言わなきゃならないから。

 

 既に前科がある身だからこそ、意識してそう振る舞ってるのかもな。

 

 一応、イヴァンなりの罪滅ぼしの形なのかもしれない。

 

「そうだぞ”(キング)”よ! 強き者同士、仲良くしようではないか!」

 

 気安い感じで俺の背中をバンバン叩いてくるローエン。

 微妙に痛い。

 

 お前そこそこ筋肉あるんだから、無暗に叩くなよな……。

 

「強き者同士、ねぇ……。俺に瞬殺されてたのに?」

 

「ふぐっ!?」

 

「せめてレオ並に強くなってくれたら、強者と認めてやれるんだけどな~」

 

「くほぉっ!?」

 

 心に傷を負うローエン。

 傷付けるつもりはちょっとしかなかったのだが、本人には大ダメージだったようだ。

 

 だがこれは、俺から彼への要望でもある。

 

 武力を是とする武闘派ならば、今の強さで満足してほしくはない。

 

 おそらくだが、ローエンはまだ強くなれるだろう。

 筋は悪くないからな。

 

 レオニールほどの強さになれるかはわからないが、その次くらいには強くなれるんじゃなかろうか。

 

 そうなってくれたら、他クラスとの揉め事は全部コイツに擦り付けられるのに。

 頑張ってほしいなぁ。

 

「ま、まあまあオードラン男爵。その辺にしておいて……」

 

 最後に、苦笑しつつも俺をたしなめてくるレオニール。

 

 だが彼はひと呼吸ほど間を置くと、

 

「だけど……想像もできなかったな」

 

「? なにがだ?」

 

「オレがこうして、貴族の皆と肩を並べて歩いていることが――だよ」

 

 なんとも感慨深そうに、レオニールは言った。

 

「王立学園に入ってすぐの頃は、仲間なんてできないかもって思ってたんだ。オレは平民出身だから」

 

「……」

 

「孤独なまま学生生活を終えるのも覚悟の上だった。だけど、あなたと出会って全てが変わったんだ。改めてお礼を言わせてくれ」

 

「よ、よせよ……俺はなにもしてない」

 

 そんな改まって堂々と感謝されると、なんだか背中が痒くなってしまう。

 

 やれやれ、相変わらず素直な奴というか、愚直な奴というか……。

 

 ――なんて俺が思っていると、

 

「きゃああああッ!!!」

 

 町の中に、突如悲鳴が響き渡った。

 

「ス、スリよ! 誰か捕まえてッ!」

 

 見ると、二人組の男が女性モノの鞄を掴んで走り去っている。

 どうやら”ひったくり”らしい。

 

「! アイツら――!」

 

「あ~あ、面倒くさ。レオ、片方(・・)頼むぞ」

 

 流石に見て見ぬふりはできまい。

 でも、俺一人で二人捕まえるなんて怠すぎる。

 片方はレオにやってもらおう。

 

「承知した!」

 

 ほぼ同時に地面を蹴る俺たち。

 

 ひったくり犯は全力で逃げようとしているようだが、その足の速さは到底俺たちに及ばない。

 

「逃がさないよ」

 

 最初にレオが追い付き、一人目に手を掛ける。

 そして腕を掴んで背負い投げし、男の身体を石畳の地面に思い切り叩き付けた。

 

「ぐほぉッ!」

 

「なっ、なんだ!?」

 

「残るはお前だけだぞ、コソ泥」

 

「く、くそ!」

 

 仲間がやられて焦ったのか、残りの一人は大通りから横道へと逃げていく。

 

 路地にでも入ればこっちのもんだってか?

 阿呆が。

 見失うワケないだろ。

 

 俺も素早く路地へと入ると、建物の壁と壁の間を跳躍して一気に距離を詰める。

 

 鬼ごっこは、もう終わり――

 

 

「凍らせなさい――〔エスメラルダ〕」

 

 

 しかし、俺が男に追い付く直前――。

 

 強烈な冷気が、周囲を包んだ。

 まるで俺たちのいる場所だけ、吹雪が襲ってきたかのような。

 

「な……ん……!?」

 

 次の瞬間、目の前に”氷の精霊”が現れる。

 全身が氷と霜で出来た、女性型のシルエットを持つ精霊。

 

 間違いない、これは――”召喚魔法”だ。

 

「ぐお……!? か、身体が、動か……!?」

 

 氷の精霊は、ひったくり犯の周りを舞うように浮遊。

 すると彼の身体は見る間に凍り付いていき、瞬時に動けなくなった。

 

 人体をこれほど早く凍らせるとは、凄まじい魔力である。

 

「――あら? スリだという声が聞こえたのだけれど……お邪魔だったかしら?」

 

 遅れて、従者を引き連れた貴族らしき女性が現れる。

 

 その姿を見て、俺は驚愕を隠せなかった。

 

「レティ……シア……?」

 

 あまりにも――よく似ていた。

 

 長く綺麗な白銀の髪、

 雪のように真っ白な肌、

 氷を彷彿とさせる青い瞳、

 

 そっくりなのだ。

 我が妻、レティシアの姿に。

 

 ただよく見れば、レティシアより少し年長のように感じる。

 大人びて見える、というか。

 

 まるで数年後のレティシアの姿と言われても信じてしまえそうな――

 

「え、えっと……アンタ……」

 

「あなた、王立学園の生徒さん? ひったくり犯を追いかけてくれていたの?」

 

「ま、まあ一応……」

 

「殊勝なのね。民のために動くのは、とても良い心掛けです。立派だわ」

 

 微笑を浮かべ、優しく褒めてくれるレティシア似の女性。

 

 そこに、遅れてレオニールがやってくる。

 

「おーい、オードラン男爵! ひったくり犯は――って、あれ? レティシア夫人……? どうしてここに……?」

 

 レオニールも彼女をレティシアと見間違えたらしく、困惑した様子を見せる。

 

 そんな彼の発言を聞いて、今度はレティシア似の女性の方が驚いた顔をした。

 

「オードラン男爵、ですって……? あなたまさか、アルバン・オードラン男爵なの?」

 

「え? あ、ああ、そうだけど……」

 

「……」

 

 何故か、表情が険しくなるレティシア似の女性。

 彼女は少しの間だけ沈黙すると、

 

「……そう、あなたが……。()がお世話になっているわね」

 

「妹……? じゃあまさか――」

 

「ええ、私の名前はオリヴィア・バロウ。レティシア・バロウは……私の妹よ」

 




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本格的に『悪役主人公』『悪役令嬢』を題材にした作品を書くのはこれが初めてで、本当にめちゃめちゃ悩んで書き進めております。

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