【ネタ】Fate/Eternity stories実況プレイ集   作:すも

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初投稿です。今回は短めです。


【オマケ】獅子劫先輩の聖杯大戦④

「令呪3画を使って命じるわ。ライダー、私が逃げるまでの時間を稼ぎなさい」

 

赤の陣営のサーヴァントの1騎がユグドミレニアの居城に真っ直ぐ向かって来るのを見て、黒のライダーのマスターセレニケは迷うことなく令呪を使用した。自分のライダーが時間を稼ぐ間に逃げるしかないと。

幸いにも他のユグドミレニアのマスター達が襲撃者に意識を向けている隙に動くことができた。後は急いでここを脱出するだけである。ダーニックとランサーはすぐに自分の独断行動に気がついただろうが、敵サーヴァントの対処を優先し自分の行動を邪魔しないだろうとセレニケは考えていた。

 

(ライダーをもっと可愛がりたかったけど命の方が大事よね)

 

黒のライダー、シャルルマーニュの十二勇士であるアストルフォに対してセレニケは異常な執着心を持ち、事あるごとに彼を嬲っていた。聖杯大戦よりもアストルフォを凌辱できればいいと考えてるほどの妄執を見せていたが、赤の陣営にヘラクレスがいること、そのヘラクレスが(こちらのアーチャーの言うことが正しければ)アキレウスと共に襲撃してきたという事実を前にして、黒魔術師としての理性が生き残る事を優先すべきだと判断していた。それと「ライダーprprしてる場合じゃねぇ!」と生存本能が警鐘を鳴らし頭が冷えたのもある。

 

(部屋に戻る時間なんてないし着のみ着のままで脱出するしかないわね。急がないと)

 

「おい!何してんだよアンタ!」

 

脱出しようとした矢先に声をかけられる。振り向くと黒のバーサーカーのマスターであるカウレスがいた。

 

「何って、逃げるつもりだけど……邪魔しないでくれるかしら?」

 

セレニケは苛立ちを隠そうとせず答える。一瞬ダーニックやランサーが追ってきたかと緊張したが杞憂に終わったことに安堵していたものの、今は一分一秒でも時間が惜しいためカウレスに時間を取られたくなかったからだ。

 

「勝手な行動をするなよ!もうすぐ敵が来るっていうのに……」

 

「あっそ」

 

カウレスの言葉を無視してセレニケは脱出しようとした。目の前の男に構っている暇などないと。

カウレスが何か言おうとして……轟音と衝撃が走った。

 

「ッ!?来た!!バーサー」

 

赤のライダーが居城に突入してきたのだ。脅威が直ぐ側まで迫っているとわかったセレニケは全力で走り出し、カウレスは黒のバーサーカーであるフランケンシュタインをサポートしようとして

 

「えっ?」

 

バーサーカーとの繋がりが絶たれたことに気づき呆然とする。それが意味するのは一つ……碌に抵抗できずバーサーカーが倒されたということだった。令呪を使う暇もなく瞬殺されたのだと。

 

(何を呆けているのよ、アキレウス相手にあのバーサーカーじゃ勝負にならないのは当然でしょ……時間稼ぎもできないなんて使えないわね!)

 

走りつつも後ろを見てカウレスの様子を確認し、黒のバーサーカーの敗北を察したセレニケは毒づく。自分の為に時間を稼いで欲しかったと。

 

(私みたいに先に令呪を使えばよかったのに)

 

アキレウスを前にして悠長に令呪を使う余裕などあるはずがない。セレニケが令呪を使ったのは咄嗟の判断だったが後悔はしていなかった。アレコレ考えて使う前にライダーが倒されたら令呪が残っていても意味がないのだから。

 

(伝説通りならアキレウスは踵を攻撃されない限り無敵、なら令呪を使ってアキレウスの背後に移動し、また令呪を使って踵を切るように命じればよかったのかしら?……背後に回った瞬間反撃されてライダーが負けるわね。それに踵を切ってもすぐ死ぬするわけじゃないでしょうし結局負けるか。今更考えても仕方ないわ、ユグドミレニアはもう終わりだし逃げることを優先しないと)

 

もっと上手くやれたのではないかとセレニケは走りながら考えたが、どう足掻いても負けるだろうなと諦めた。黒の陣営のサーヴァント達ではヘラクレスとアキレウスに勝てるわけがない、奇跡でも起きない限り無理だろうと。

 

(……そういえばあるわね、奇跡を叶える手段が)

 

ふと聖杯があることを思い出す。巷の亜種聖杯戦争の紛い物とは違う大聖杯があれば逆転できるのではと。

 

(こちらのサーヴァント達が敗北して大聖杯に魔力が注がれる。その貯まった魔力を使って奇跡を起こせば……聖杯戦争に勝つために聖杯を使うって本末転倒ね。それにヘラクレスとアキレウスを排除できたとして向こうにはまだサーヴァントが残っているし)

 

そんな都合よくいくなら苦労しないと思い直したセレニケは魔術で脚を強化しつつ疾走する。

 

(敵の目的は大聖杯の確保とユグドミレニアの当主の首が最優先のはず。そして今回の襲撃者は少数だからライダーが時間を稼いでいる間に逃げ切るチャンスはある。そう願いたいわね)

 

希望的観測だと自覚はあるが可能性を信じて逃げるしかなかった。居城に残っていても死ぬだけだとセレニケは考えていたからだ。宣戦布告してきたユグドミレニアに時計塔が容赦するわけがないと。

 

(まずはこの場を乗り切らないと……ライダー、亜種聖杯戦争でまた呼んであげるわね)

 

空のガラス瓶……アストルフォの触媒を持ちだせたのは数少ない幸運だと思いつつセレニケは走り続けるのであった。

 

 

 

 

 

「どうしてこうなったかねぇ……」

 

赤のライダー(アキレウス)は頭を掻きつつぼやいた。ユグドミレニアの居城に突入してすぐ黒の陣営のサーヴァントを1騎倒したまではよかったのだが、次に戦った黒のライダーが逃げに徹していたため排除に少し時間がかかったのである。時間稼ぎだと看破したアキレウスは次の攻撃を警戒していたのだが……

 

「降伏する」

 

何故か黒のキャスターが降伏してきたのだった。

 

「話を聞いてくれてよかったよ。降伏すら許されず殺されるかと」

 

「まだ助けるとは言ってないぞ、判断を保留してるだけだ」

 

目の前で座り込む黒のキャスター(アヴィケブロン)を見てアキレウスは溜息を吐く。もしキャスター一人だけなら「降伏するくらいなら聖杯戦争に参加するな」と腹を立てて殺していただろうが、マスターの助命嘆願のためということなので話を聞くことにしたのである。

 

「とりあえず姐さん達を待つかね。妙な真似はするなよ」

 

「そんなことしないさ。というかアキレウスなら僕が何かしようとすれば即座に殺せるだろう?僕のゴーレム達なんて障害にもならないだろうし……外の戦闘も既に終わったみたいだ、君の仲間もすぐ来るだろうね」

 

「おいおい、自分の仲間が勝ったとは思わないのかよ」

 

「無理だよ、ヘラクレス相手に勝てるわけがない」

 

黒のキャスター(アヴィケブロン)を監視しつつアキレウスはヘラクレス一行の到着を待っていた。

 

 

 

 

「降伏ねぇ……まずは聖杯を確保してからだな!アーチャー、キャスターとそのマスターの監視を頼む」

 

アキレウスから話を聞いた獅子劫はとりあえず保留とすることにした。

 

「私は構わんが、それでいいのかヘラクレスのマスター?」

 

「いや俺は時計塔に雇われた傭兵だし、俺個人で捕虜の処遇とか判断できないぞ?」

 

雇われの身である獅子劫が勝手に決めるわけにもいかず保留するしかないのだった。

 

「オレが2騎、ヘラクレスも2騎倒して残りのサーヴァントは3騎か。1騎はここにいるキャスターで」

 

「残りはランサーのサーヴァントのヴラド三世。ルーマニアで召喚されているから知名度補正を最大限受けているけど君達なら問題なく勝てるだろうさ。アサシンは何処にいるか僕やユグドミレニアも把握していないよ」

 

「そうかい、アサシン風情にオレやヘラクレスが遅れをとるわけないしランサーを先に倒すとするか。」

 

「アキレウスの案でいいと思う。ランサーを倒しそのマスターであるユグドミレニアの当主の首を取れば聖杯大戦は終わる。アサシンより優先するべき相手だ」

 

ヘラクレスとアキレウスはアヴィケブロンを尋問し、残りのユグドミレニアのサーヴァントについて確認していた。

 

「ヘラクレス、ランサーはオレに譲ってくれ!さっき倒した敵が大したことなくて不完全燃焼なんだよ」

 

「いいだろう。トロイアの大英雄の活躍を見せてもらおうか」

 

「ランサーとマスターは大聖杯の側にいるだろうね。彼らが大聖杯を捨てて逃げ出すわけがないし…………なんだ?」

 

アヴィケブロンが話している途中で膨大な魔力の気配が発せられる。

 

「何か企んでいるようだな。行くぞアキレウス!マスター!」

 

「おうよ!」

 

ただならぬ気配に臨戦態勢となったヘラクレス一行はアタランテとアヴィケブロンを残して発生源に向かうのであった。

 

「なあ赤のアーチャー、ヘラクレスがマスターを連れて行ってたがいいのか。明らかに厄介事が起きていると思うんだがマスターが危険なのでは?」

 

「問題ない、ヘラクレスの側が一番安全だと思うが?」

 

「……確かにそうか」




駄文で申し訳ありません。獅子劫先輩のオマケ編はなんとか完結させるつもりですのでよろしくお願いいたします。10話くらいで終わるといいな……



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