執務室、一人死にかけのドクター。なにも起こらないはずがなく...
...
......
.........
...何も起こらなかったみたい。
「あ...わぁ...!やっとある程度片付いた...癒しが欲しい...」
なんかとち狂ったことを言い始めたなこいつ。
「レッド...モフらせてくれるかな...」
息を吸うようにもっととち狂ったこと言い始めた。
「レッド...?おーい、レッドー。こっち来てぇぇ!」
「...まだギョクソウに埋もれてるのか?探しに...」
「どうした、ドクター」
「あっいたのね。」
「どうした?」
「そ、その〜尻尾か耳を触らせて欲しいな〜なんて...」
その言葉を聞いた途端、レッドの目が据わる。
「(あ、死んだ。)」
死を覚悟するドクター。
「い、いいぞ...」
しかし、返ってきたのは思いもよらない言葉だった。
「ゑ?」
「だから、少しなら触っても...いいぞ。」
「大好き...(大好き...)」
「なっ!なにを言うんだ!?」
「いい子...!」
「や、やめろ!急に掴むな!」
「許可もらったから合法だよね...」
「優しくしろ!」
ニェンは今日も一人、特にアテもなくロドス艦内を歩き回っていた。
「(退屈だ。なんかおもしれぇことねぇかな〜ギョクソウも最近はあんまりネタ提供に来ねぇしよ。)」
「はぁ〜...ラヴァでも拉致ってなんかやるか?」
「...それラヴァちゃんが可哀想だからやめよ?ニェンちゃん。」
「お?なんだギョクソウか。イイもん思いついたか?...あ?お前...」
「そうね、面白いもの思い出したの。ここじゃちょっと言えないから、私の部屋に行きましょ?」
「...へぇ、気になるじゃねぇか。いいぜ、ついてってやるよ。」
「ふふ、じゃあ行きましょう。」
歩き始めて数分後...
「(ガンガン人気のないトコに入っていきやがんなコイツ...)」
「ニェンちゃん。」
「あ?」
「聞きたいことがあるんじゃないかしら。」
「なんだよ、気づいてたのかよ。」
「そりゃあ、そんな『いつでも殺れます』みたいな顔しといて...ねぇ?」
「アレだアレ。少し声をかけてから人気のないところに誘導するなんて、誘拐犯みてぇだなぁって思ってよ。」
「失礼しちゃうわね。」
「じゃあなんで、他のヤツらが通らないような道を通って遠回りしてお前の部屋に向かってるんだ?」
「気のせいじゃないかしら。」
「これから、なにか見られたらまずいもんでもあんのか?」
「...バレちゃあ仕方ないわね。」
「...」
少し残念そうに身構えたニェンだったが、次の瞬間には、呆れたような声を出した。
「甘やかさせろ!慰めさせろ!」
「...は、何言ってやがんだおめー。」
「前から思ってたのよ...ニェンちゃんがでろんでろんになったら、どんな感じになるのかって...」
「そんなこと思うなよ...」
「もう辛抱たまらん!*聞き取れないヴァルポの奇声*」
「あぁ!?なんなんだいきなり!おい抱きしめんなって!」
「よいではないか!よいではないか!」
「いつの人間だお前は!?離せって!はーなーせ!」
「そんなこと言っちゃってー!おーヨシヨシヨシヨシヨシヨシヨシヨシヨシヨシヨシ!」
「頭撫でんな!暑苦しい!」
「なに?恥ずかしいの!?仕方ない、誰にも見られないMy♡roomにお持ち帰りよー!」
「話聞け抱き抱えんな!うわぁぁ!尻尾撫でんじゃねぇ!」
「やだ、軽すぎ...?ニェンちゃん、もっとしっかり食べた方がいいんじゃないかしら...」
「...?」
「通じろよ!!」
「えっごめん。」
「てかよ、一っつだけいいか?」
「言ってみなさい!」
「じゃ、遠慮なく...」
ズブッ
「...え、ちょっと...?」
ギョクソウが抱き抱えてたニェンを見下ろすと、ニェンは巨大な剣を持ち、ギョクソウの腹に突き刺していた。
「...ひ、酷いわ...ニェンちゃん...!信じてたのに...!」
「くっせぇ芝居すんなって。私と遊びたけりゃせめて本人がこい。失礼だぞ?」
「あ、そうなの。分かったわ!」
苦悶の表情から打って変わって、明るく返事をしたギョクソウは炎となって消えた。
そして、ニェンは一人になった。
「はぁ...鍛冶師が炎に慰められるだなんて、映画のネタにもなんねぇよ。シーちゃんに言ったら多分鼻で笑うだろうなぁ...」
ニェンの呟きを聞くものは居ない。
「(あ゙あ゙あ゙あ゙...!癒させろ...癒させろ...)」
イカれたヴァルポ、ただいまロドスを徘徊中。
「(今リサとレッドちゃんはピザ食べてるし...あ、チーズもきゅもきゅしてる、可愛い。...今度、お腹ぷにってからかってみようかしら。)」
「(さすがにピザ食っただけじゃぷにらんと思うけど...その後の反応が楽しみなのよ。)」
「(あん?『食べたらどうするか』って...好きなようにしなさい。変なことするなよ?見えてるし私だから大丈夫だと思うけど。)」
「もし変なことしようもんなら楽には...」
一人でなにやら物騒なことを呟いていた時。
「あ、あれギョクさんじゃない!?」
誰かが自分の名前を呼ぶ声が聞こえ、反応する。
「あ、ホンマや。ギョクはんやないか。」
「一人なの珍しくない!?」
「あぁせやな。いつもレッドはんかスズランちゃんと一緒のイメージあるわ。」
「(あっ...次の子発見♡)」
「...エクシア、呼び止めてしまったみたいだぞ。」
「えっ?」
「こんにちわ、ペンギン急便のみなさん!」
「「どわっ!ビックリしたぁ!!」」
「久しぶりね。いまさっきお仕事が終わったのかしら?」
「あぁ、これからドクターに報告しに行くところだ。ギョクソウは何をしていたんだ?」
「ちょっと今ね、ある条件に当てはまる子を探してるの。」
「えっ、捜し物!?」
「私が捜し物してたら悪いかしら?」
「いいえ!滅相も!アーツ使えば良いのにって思っただけだよ。」
「あぁ、それはウチも思った。どうしたん?」
「自分の目で見ないとダメなのよね〜」
「ほお、それはどうしてだ?」
「だって...(あの子にきーめたぁ♡)」
レッドを襲った時と同じように笑みを浮かべるとエクシア目掛けて飛び掛る。
「えっなに!?」
「「エクシア(はん)!」」
「よしよし。今日もお仕事お疲れ様。あなたたちトランスポーターのおかげで私も、ロドスも、すごい助かってるわ。」
「(ひえ〜いい匂いする〜っ!まって、私なんでこんなことになってるの!?)」
「ま、待って!仕事終わったばっかだから汗臭いと思うよ!?」
「頑張った証じゃない。恥ずかしがる必要は無いわ。」
「(この人無敵だー!)」
「ギョクソウはん!アンタ何してんの!?」
「うふふへへへ...関わりの薄い子をでろんでろんに甘やかしても得られる栄養ってのがあるのよね。」
「何を言ってるんだ?」
「こっちの話よ。気にしないでちょうだい。」
「いやいやいや!エクシアはんすっごい顔しとるで!?」
「...お母さん...」
「エクシア...!?」
「エクシアはんがオギャッたー!!」
「ふぅ...満足...次は。」
「こ、こっち見んといて!?」
「うふふ...♡」
「いやーっ!セクシーっ!」
「ギョクソウ。甘やかしたいと言うなら、執務室に行ったらどうだ?」
「なん...ですって...?どうして。」
「アーミヤは分からないが、執務室にはドクターが居るはずだ。ドクターは日々の激務で摩耗しているだろうからそれを甘やかしてやるのはどうだ。」
「...」
「(どうだ...?)」
「(頼むでぇホンマに!)」
「情報提供感謝するわ!」
「「(よかった...)」」
レッド...確かにレッドです。でも本当にレッドなのでしょうか。
ニェン...撫で方が思いのほか気持ち良くてちょっとビビった。「シーちゃんだったら堕とせるんじゃねぇかな...」とか思ってる。
エクシア...知り合いの目の前でオギャッた。あまりの恥ずかしさにエンペラーの腹に顔を突っ込むエクシアが見られたとか見られなかったとか...