どきなさい!私は「お姉ちゃん」よッ!!   作:とろねぎ

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(突然流れ出す例のBGM)


...いや、クッキング描写ほぼ無いけどね?(タイトル詐欺RTA)


ギョクソウ3分クッキング

「おい!おいおいおいおい!何してんのお前!?」

 

「キャベツを山盛りの千切りキャベツにしてるだけですが文句でもあるのかしらぁ?」

 

「なんで朝っぱらからそんなに大量に作ってんのかって聞いてんのよ!」

 

なにやら、同じような声の二人が言い争いをしているのが聞こえた。

 

「いやいや、野菜は大事よ?」

 

「そういう問題じゃないわよ!私は『小骨とってから魚焼くからその間みそ汁作っといて』って言ったわよね。」

 

「だって、山盛りの千切りキャベツはごきげんな朝飯に必要だし...」

 

「ごきげんな朝飯ってなによ。起き抜けにボウル一杯のキャベツ食わされたらむしろ不機嫌だわ。」

 

「ちょっとー?割った卵四つのうち二つ双子ちゃんだったんだけどー?」

 

そこにもう一人が参入してくる。

 

「あ!今出てきちゃ「何やってんだお前。」

 

「アッ...」

 

「何勝手にもう一人増やしてんの!?しかも、卵四つって...何を作らせようとしてたわけ!?オムレツ!?」

 

ベーコンエッグ...でしゅ...

 

「何新たに一品追加してるわけ!?」

 

「ごきげんな朝飯に必要だったからね。」

 

「くたばりなさい!今すぐ!」

 

ぎちぎちぎちぎち...

 

「カヒュッ!ギブギブギブギブ!」

 

一人がもう一人へスリーパーホールドをキメていると、新しく声がした。

 

「...なにを、しているんですか...!?」

 

「「「あっ!おはよう!ドロシーちゃん!」」」

 

「...まだ夢の中みたいですね。おやすみなさい。」

 

ドロシーは朝自分の部屋にギョクソウが三人いて朝食を作っているという事実から目を背ける。

 

「二度寝キメようとしないの、現実よ。」

「いやしょうがないでしょ。」

「アンタらが勝手に色々やったからでしょ!」

 

「あの...これは...」

 

「ごきげんな...朝飯ぃ...ですか「死ね!今すぐ死ね!」

 

「あふん!」

 

「私ただの巻き添えなnあふん!」

 

一人のギョクソウがもう二人を恐ろしく手際よく処理する。

 

「ちょっとまっててね〜」

 

そして、すぐさま新しいものを作り出す。

 

それは白と赤の狐面で顔を覆い隠したヴァルポだった。

 

「うわ思ってたよりそっくり。まぁいいや、残りのヤツお願い!あと一人分しか無かったらみそ汁ちょっと増量しといて。」

 

『...』コクッ

 

面の人物は無言のまま頷くと作り途中で放棄されている調理を再開した。

 

「いやーさすがの手際ね。」

 

「あ、あの...「ごめん!もうちょい待って!」

 

質問しようとしたドロシーを制止し、ギョクソウは今度は炎狐を作り出す。

 

「...六匹ぐらいでいいかしら。どっかのバカが作ったやつ一人じゃ食べきれそうにないから、二人か三人連れてきて。」

 

『ギャウッ!』

 

返事(?)をした炎狐たちは部屋を出ていく。

 

「ふぅ...さ、どうしたの?」

 

「どうしたもこうしたも無いでしょう!?どうして私の部屋に入っているのですか!?」

 

「...えへっ!」

 

「通報しますよ。」

 

「いやごめんって、こうでもしないとあなた朝食抜くでしょ?」

 

「そんなことは...」

 

「冷蔵庫にごくわずかな冷凍食品しか無かったのにまだそんなこと言うかしら。」

 

「う...」

 

「しかも夜も食べてるかすら怪しいのだけど?」

 

「ぐ...」

 

ドロシーが言葉に詰まっていると、ドアから炎狐たちがなだれ込んできた。

 

「...どこ、ここ...」

 

「いてて...お怪我はありませんか?」

 

ドクターとアーミヤの二人を背中に乗せて。

 

「ありがとーってあら、てっきりリサを連れてくると思ったんだけど...」

 

『キャンッ』

 

「あぁ、今日はお友達二人と食堂に行ってたのね。なるほどなるほど。」

 

「ギョクソウさん、一体何を...?」

 

「あはは、おはよう。アーミヤちゃん。」

 

「私は!?」

 

「...あとドクターも。ご飯食べていきなさい。」

 

「待ってください!?ここ、私の部屋なのですが...」

 

「作りすぎたんだって!しょうがないでしょ...」

 

『...』トントン

 

「ん?できた?」

 

『...』コクコク

 

「いやーありがとうね、お疲れ様。」

 

「...そんなものまで作り出せるんだな。」

 

調理を終了させたという報告をした狐面を労うギョクソウにドクターは呆れたように言う。

 

「いい思い出ないから出したくなかったんだけどねぇ。ささ、座ってて。出来たヤツ持ってくるから。」

 

「あっ、私もお手伝いします!」

 

「あら、アーミヤちゃんありがとう。」

 

「で、では私も...」

 

「ドロシーちゃんは座ってなさい。ドクターは...うん。」

 

「えっなに!?」

 

「ギョクソウさーん?この魚が半分に切ってあるのは?」

「あぁ、小骨抜いてから塩振って焼いたヤツよ。そこまで大きい訳じゃないし二つとも持ってっちゃって。あ、そこの白い山と醤油もお願い。」

「わかりました。」

 

「...ドクター」

「はい?」

「...大変ですね。」

「分かってくれる?」

 

「みそ汁...はちゃんと作ってあったのかあんにゃろう...」

「あ、あの!目玉焼きが六つなのですが、どう分ければ...」

「あぁ、ドクター2、アーミヤちゃん2、ドロシーちゃん2で。」

「それだとギョクソウさんの分が...」

「いいのよ、私もう食べてきてるから。だから器は三つしか出てないでしょ?」

 

「あの人...ギョクソウさんって、いつもあんな感じなの?」

「そう...だね。」

「厄介な方に目をつけられた気がするのだけど...」

「厄介ではないよ...決して...ウン。」

「最後の方自信なさげじゃありませんでした?」

 

「うわっは!キャベツヤバっ!」

「...キャベツなら、必要な分だけとってあとは冷蔵庫に入れておけばいいのでは無いですか?」

「あー、それもそうね。」

 

「ねぇ、なんでこんな状況になってるとかは...」

「知ってたらここまで取り乱してないわ。」

「アッハイ。」

 

「うん、お手伝いありがとう!いやー、こういう子がお嫁さんに来てくれたらお母さん安心すると思うわ。」

「およっ...!?」

「...そういや、意中の相手を落とすのは胃袋掴むのが手っ取り早いわよね。」

「...」

 

「ねぇなんでいきなりあんな会話始まったの?しかもなんでアーミヤに?」

「(にぶちんドクターは黙ってなさい──)」

「何その顔!?」

『...』カチャン

「うん?あぁ、ご飯か...ありがとう...?」

 

「あ、あの...」

「なぁに?」

「あとで、その、教えてくれませんか?...お料理。」

「やぁーんもうこの子かーわーいーいー!」

「わっぷ、や、やめふぇふだふぁい...!」

 

「...仲良いな。」

 

「はいはーい、お待たせぇ。」

 

「...ありがとうございます。」

 

「えっと、本当にいいの?」

 

「いいからさっさと食べなさい朝食抜き常習犯の民共。」

 

「なんでバレてるの!?」

 

「あ、アーミヤちゃんもだからね?」

 

「えっ」

 

「食事もせずに仕事してたのを連行してきたってあの子たちが教えてくれたわ。」

 

「「あぁ...」」

 

「ほら、食べて食べて。」

 

「...わかった。」

「ありがとうございます。」

「やっぱり納得いかないのだけど...」

 

「「「いただきます。」」」

 

「魚は乗ってる皿から適当につまんでね。で、そこの白い山...大根おろしからもつまんで、醤油かけて一緒に食べると美味しいわよ。」

 

それを聞いた三人は試しにと、言われた通りにやってみる。

 

「(そういえばドクターの素顔見れるのかしら?)...あぁ、なるほど...」

 

「どうしたんだ?」

 

「ドクター...あなた食べる時もその不審者装備外さないのね。」

 

「失礼だな。」

 

「はぁ...それで、お味の程は?」

 

「「「美味しい(です)!」」」

 

純粋に空腹であったアーミヤとドロシーはもちろんのこと、最近は過労により食欲不振気味であったドクターも箸が進む。

 

「...あら?箸?」

 

「どうしましたか?」

 

「私も当たり前のように出しちゃったけど、みんな箸使えるのね。」

 

「サガのおかげでね...」

「極東の方と食事することもありましたので。」

「私も似たような感じね。」

 

「ほぇーすごいわねぇ企業のお偉いさん方は...」

 

そうして、三人の食事を見ているともう一つの疑問が降って湧く。

 

「そういえば、ドクターってすごい悪食だと聞いてたんだけど...案外普通そうね?」

 

「え?ドクター?」

 

「...い、いったい...なんのことやら...」

 

目に見えて動揺するドクターをからかうようにギョクソウは喋り続ける。

 

「最近はバニラちゃんのペットのハガネムシを食べようとしたらしいじゃない。」

 

「嘘ですよねドクター!?」

 

「ドクター正気ですか!?」

 

「...イヤッ、チンミナンダモン...」

 

「でもハガネガニはもう珍味のレベルじゃないでしょただの珍よ。」

 

「「ドクター...」」

 

「...控えます...」

 

その後、三人の食事が終わるまで、ギョクソウは隣にいた炎狐と戯れていた。

 

 

 

 

 

 

「「「ごちそうさまでした。」」」

 

「はい、お粗末さま。」

 

「さて、あなたたち、飲み物何がいいかしら。」

 

「いや、悪いよ。それに仕事もあるし...」

「はい...お気持ちは嬉しいのですが...」

 

「今日も休みのドロシーちゃんはともかく、仕事に余裕を持って取り組んでる人達が何言ってんの。ほら、早く。Hurry Up!Hurry Up!」

 

「じゃあ...コーヒーを...」

「あ、私もコーヒーで。」

「...紅茶を。」

 

「じゃあ、アーミヤちゃんにはミルクと砂糖付けて、ドロシーちゃんは砂糖ね。」

 

「「なんで!?」」

 

「え、違ったかしら。」

 

「「合ってるけども!」」

 

「はーい、注文入りやしたぁぁい!」

 

『ギャウッ!』

 

ギョクソウの隣で座っていた炎狐が返事をする。...が、返事をしただけで動く気配がない。

 

不思議に思っていた三人だったが、それは豆やパックを運んで入ってきた炎狐を見ることでその疑問は解消された。

 

「ありがと〜はい!じゃあお願い!」

 

『...』コクン

 

「ギョクソウがやる訳じゃないんだな。」

 

「私、コーヒーやらお茶を入れるのは専門外でしてよ?」

 

「ギョクソウさん?あの方は一体...」

 

三人が疑問に思っていたことをアーミヤが聞くと、ギョクソウはとても気まずそうに答えた。

 

「...実家の使用人よ。」

 

一瞬で空気が固まる。豆を砕く音や、水が沸騰する音のみが聞こえる。

 

「「「え?」」」

 

「あ、再現したヤツだけどね?」

 

「え、使用人?ギョクソウさんって良家の出なんですか?」

 

「ドロシーちゃんはともかく...二人とも私がリサのお姉ちゃんってこと忘れてない?」

 

「「あ、あぁー!」」

 

「え、じゃ、じゃあなんで今まで使ってなかったんですか!?」

 

「...嫌いなのよ。」

 

「えぇ...それだけで。」

 

「あのお面を見ると、若かりし頃のにっがい思い出...いや、トラウマが...!」

 

「何やったんですか一体...」

 

「私悪いことしてなかったはずなんだけどねぇ...」

 

頼んでいたものが入るまで、会話は続いた。


 

 

 

ドロシー...不法侵入してかつ、同一人物三人がごきげんな朝飯を作っているという状況を即通報しなかっただけで十分聖人だと思う。

なんか悪い男に貢がされてそうだな、とか思ったことあるけどなんやかんやで(自分のこと以外なら)しっかりしてるから大丈夫なのでは?と気づいた。

「アーツの差による不平等が...」みたいなこと言ってたのに、朝起きたら汎用性の塊みたいなアーツ()を見て内心ピキってる。

 

アーミヤ...ドクターへの思いは、敬愛・情愛・親愛・偏愛とかだと思う。ただただ尊敬しているとかでもいいし、バチバチ恋愛感情でもいいし、なんなら表に出てないだけでズブズブに依存していてくれても素晴らしいと思うのですよ。(ここまで早口)

さすがメインヒロインは格が違うな!(右手の甲から目を逸らしつつ)

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