どきなさい!私は「お姉ちゃん」よッ!!   作:とろねぎ

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過去編まであと3...いや4話やります。やりたい話とか過去入る時の繋ぎとかでいろいろと...


パティシエの朝は早い...今はお昼だけど

「〜♪〜...〜♪」

 

ギョクソウは鼻歌交じりにお菓子を作っていた。

 

お菓子を作っていたこと自体はさほど珍しいことでもないのだが、キッチンで作っているというのなら話は別だろう。

 

そんなギョクソウに声をかける人物がいた。

 

「ギョクソウさん。私に代わり、子供たちのお菓子を作っていただき感謝します。」

 

「いいのよ〜マッターホルンくん。怪我は仕方ないわ。」

 

「いえ、これも全て俺の至らぬ所があったせいです。ところで、今は何を作っているのですか?ポップコーン...?」

 

そう心底申し訳なさそうに言ったマッターホルンは右腕に包帯を巻いていた。

 

「あなたで怪我するなら他の子だったら最悪死んでたわよ。自信持ちなさい。あと、これは私個人の物ね。」

 

「そう...ですかね。...え?個人の?」

 

「あと怪我人は休んでなさい。あとは私がやっとくから。」

 

「あっあぁ、それについてですがくれぐれもお菓子から目を離さないようにしてくださいね?事情を知らない人達につまみ食いでもされたら敵いません。特に...」

 

「わかるわよ、はちみつクッキーあるものね。でも大丈夫。」

 

「何を根拠に...?」

 

不思議そうな顔をするマッターホルンだったが、向こうの方から聞こえる声によってすぐに理解した。理解出来てしまった。

 

『ギャウギャウギャウギャウ!!』

「わーっ!なにこれー!?」

「罠だったのか!?」

 

「ほら。」

 

「なるほど...」

 

マッターホルンは少し、はにかんだ。

 

音の方へ向かうと複数の炎狐に組み伏せられたケオベとルナカブの二人がいた。そして一匹の炎狐が二人の上に座った状態で尻尾を振っている。

 

『わふっ』

 

「はーいありがとう。」

 

「ねぇっ!なーにーこーれー!」

 

「こんな獣、アンニェーゼは教えてくれなかった!」

 

「つまみ食いしようとしたでしょ。この子に見張ってもらってたのよ?」

 

「えぇー?少しくらい...だめ?おいらもうお腹がぐーぐーしてるよー...」

 

「ルナカブもだ!」

 

「ちょっと待ちなさい野生児共。もうそろそろ出来るから。」

 

チンッ!

 

今度はキッチンの方から音がし、それを聞いたギョクソウが少し急ぎ足で向かっていった。

 

「...えっとー...」

 

「...ふん。」

 

「...はぁ。」

 

取り残された三人の間にはそれはもう気まずい空気が流れていた。

 

「いい加減、つまみ食いをするのをやめたらどうなんだ。」

 

「もうー!それ何回もきいたよ!マッターホルンおじさん!」

 

「おじっ...!?」

 

「そうだぞ。無防備に食事を置いたら取ってくださいと言ってるようなもの。」

 

「それが今回は罠だっただろう。」

 

「それは...予想外だったからだ。」

 

「うんうん!あんなにがふがぶされるなんてー!」

 

「がぶがぶ...?」

 

『ギャアッ!』

 

「ひーっ!」

 

牙を見せつけるように吠えるとケオベが飛び跳ねて驚くのが楽しいのか、何回も繰り返しているとギョクソウが戻ってきた。

 

「...なにやってるのよあなた。」

 

『きゃんっ』

 

「えぇ...」

 

「そんなことよりも!何かあるんじゃないのか!?」

 

「はいはい、ケオベちゃんにははちみつクッキー。ルナカブちゃんにはキャラメルポップコーン。」

 

「え!ほんとー!やったー!」

 

「あ、これ、前にエクシアたちとのパーティーにあった...」

 

「『出してみたらもしゃもしゃ食べてた』ってエクシアちゃんたちから聞いたのよね。」

 

「...大丈夫そうですね。なら俺は怪我の療養に努めようと思います。」

 

「うん。お大事に。」

 

「ありがとうございます。」

 

マッターホルンが出ていった後も美味しそうに食べる二人を見ていた。

 

見ているとケオベが突然大声を出した。

 

「あーっ!これ、ヴァルカンおねえちゃんのクッキーとおんなじ味がする!どうして!?」

 

「作り方聞いたのよ。子供たち用のお菓子作るためにも、つまみ食い常習犯のお菓子を作るのにも必要だったから。」

 

「そうなんだ!すごいね!」

 

「...」モシャモシャモシャ

 

共感を求めるようにケオベはルナカブに言うが、ルナカブはポップコーンを頬張っていた、

 

「(リスみたいになってる...)」

 

「マッターホルンおじさーん?もう出来たー?」

「お腹減ったー」

「今日は何ー?」

 

そうこうしているうちに子供たちがやってきた。子供たちはマッターホルンを探していたが、ギョクソウを見つけると目をぱちくりとさせた。

 

「ギョクお姉さん!?」

「本当だ!」

「なんで?」

「マッターホルンおじさんは?」

「今日のおやつは?」

 

「はいはい、落ち着いて。マッターホルンくんは今日怪我で「あー!ケーちゃんとルナちゃん先食べてる!」

 

「えぇー!」

「ずるーい!」

「僕も僕も!」

 

「えぇい話を聞きなさい!?こらこら抱きつくんじゃありません!動けないでしょう。」

 

それでも大勢の子供たちはギョクソウに抗議し続けて動けない。

 

「ガウー!持ってきてぇー!」

 

『...わふ...』

 

渋々返事をすると、キッチンの方へ...

 

「あ、思ってるよりもあるからみんな行ってきてー!」

 

『『『がう...』』』

 

それを聞いた他の子炎狐たちも渋々返事をして向かって行った。少しして、次々に様々なクッキーが乗った皿を二匹で一皿頭に乗せて運んできた。

 

『『わふっわふっわふっわふっ...』』

 

「ほら来たわよ!席着きなさい...」

 

「ほんと!?わーい!」

 

運ばれてきたものが全てテーブルの上に出揃い、子供たちはそれをつまみ始める。

 

それと反対にケオベとルナカブは食べ終わったようで

 

「おいしかった!また今度もつくって!」

 

「満足。また頼む。」

 

そう感謝(?)を述べて席を離れていった。

 

「「「「おいしー!」」」」

 

「なら良かったわ。たくさんあるんだから落ち着いて食べなさいよ?」

 

「(あ、見慣れた顔もいくつか。こういう歳相応の事してるのを見ると、和むわぁ...)」

 

「(ポプカルちゃん、シャマレちゃん、ロスモンティスちゃん、リサもいるわね、ドゥリンちゃん、テンニンカちゃん...ん?)」

 

「(ドゥリン族ってあれでも年齢...)」

 

『ドゥリンは子供のような清純さを持ち合わせているのでしてよ!?なにか文句でも!?』

 

「(あ、なんか怪電波飛んできた。リサ写真集でカウンターしとこ。)」ポチポチ

 

『マ゚ッ!?』

 

「(よし。)」

 

しばらくして、子供たちが食べ終わると不満の声があがる。

 

「足りないー!」

「もっとほしいー!」

 

「ダメよ、あんまり食べると体に悪いし夜ご飯が食べれなくなるわよ。」

 

「「「えー」」」

 

「また作ってあげるから。」

 

「...わかったー」

 

少し不満げながらも子供たちは納得して、「ごちそうさまでした」と言って席を離れた。

 

子供たちの中からリサだけすぐに出ていかず、炎狐と手伝って皿を運んできた。

 

「はいっ、ごちそうさまでしたっ!」

 

「あぁちょっと待ちなさい。」

 

呼び止めると不思議そうな顔をして、尻尾が少し揺れる。

 

「手出して。」

 

首を傾げながら手を出すと、ギョクソウはその上にピンクのリボンで結んである小袋を乗せた。

 

「あの...これは?」

 

「おやつ。さっきのクッキーいくらか入れといたから。」

 

「わ、私、食べましたよ?」

 

「クッキーを一つ二つちびちび齧ってたのが?」

 

「うっ...で、でも!お腹減ってませんし...」

きゅ〜う

 

お腹から可愛らしい音がすると同時にスズランの顔はみるみる赤くなっていき、ゆっくりと下を向いた。

 

よく見ると服をギュッと掴んでいる手が小刻みに震えている。

 

「はぁ、大方他の子に遠慮してたんでしょ。それなのに片付けまで手伝う良い子にご褒美。」

 

「やっぱり、お姉ちゃんにはお見通し...ですね...えへへっ...」

 

「そういうこと。あそこには無かったのも入れといたから、みんなには内緒よ?」

 

「はいっ!お姉ちゃん、ありがとう!」

 

「...ねぇリサ。」

 

「は、はい?」

 

スズランはギョクソウをじっと見つめるが、ギョクソウは黙り込んでしまう。

 

「...」

 

「...?ど、どうしたの?」

 

「...いや、なんでもない。リサは可愛いなって思っただけよ。」

 

「くす...もう、なんですかそれ?...ふふっ。」

 

「さ、あんまり長くいるとみんなに怪しまれるわよ。私は後片付けがあるから、お戻り。」

 

「それも...そうですね。じゃあ、ありがたくいただきますっ。」

 

「うん、そうして。...またね、リサ。」

 

「うんっ!お姉ちゃんもまたね!」

 

スズランはパッと笑顔を咲かせて、ギョクソウと別れた。

 

さっきまで子供たちの声が絶えなかった食堂は、皿を置く音と水の流れる音だけになった。

 

 

 

スズランは一人廊下を歩いていた。

 

足取りはいつも通りだったが、表情には少し影が差していた。

 

「(お姉ちゃん...)」

 

思い出すのは自分を呼び止めた時の姉の表情。

 

「(どうしてあんなに...)」

 

 

 

 

「(悲しそうな顔をしていたの...?)」

 

 


 

ケオベ...太もも...あっなんでもありません。

これみよがしに置いてあったはちみつクッキーをこっそり取ろうとしたら炎狐にめちゃくちゃ吠えられたし少し噛まれた。でも、最終的には食べれたのでおっけーです!

 

ルナカブ...ガチ野生児。誰よアンニェーゼ...

コーデが最初見た時誰かわからんくて、わかった時思わず二度見した。無事ギョクソウに餌付けされた。

 

マッターホルン...ガチムチ胸筋お化け。

スキル発動中ならロンディニウム都市防衛副砲を余裕で耐える体力お化けでもある。

あなたが怪我するっていったいなにが...

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