「クーリーアー♪アサヒが家で冷えてる♪それが罠とも知らずにぃッ!?」
これまた奇妙な歌を口ずさんでいたギョクソウは曲がり角からやってきた人物もぶつかり、尻もちを着く。
誰とぶつかったのかと思いま前を見るが、目の前にいたのは巨大な山のような人物であった。
その人物は少しの間のあと、手を差し伸べた。
「申し訳ございません。お怪我は...ないでしょうか?」
「(でっか...)」
「...?あの、」
「えっあ!?うん!大丈夫よ、ありがとう。」
「初めまして...ですよね。私はマウンテンと申します。貴方は?」
「これはこれは丁寧に...私はギョクソウよ。」
「ギョクソウ殿、重ね重ね確認しますが、本当に大丈夫でしたか?」
「もちろん。マウンテンくんこそなにか急いでいたみたいだけど?」
マウンテンは少し頬をかきながら答えた。
「くん...?あぁ、いえ、お恥ずかしい話なのですが良い酒が入りまして。それで少し浮き足立っていた様です。」
「あら〜良いじゃない!」
突然のギョクソウのセリフに目をパチクリとさせる。そんなマウンテンの事はお構い無しにギョクソウは更に喋る。
「そうだ!飲み会やらない?」
「飲み会?」
「そう!他の子たちも誘ってさ、どっかで呑むの。面白そうじゃない?」
「そ、それは...」
「みんなでお酒持ち寄ってさ。」
「...やりましょう。」
「よしッ!あとはどこでやるかね...言い出しっぺの私が言うのも申し訳ないんだけど、私の部屋はリサが不定期で来るから無理そうなのよね。」
「でしたら、私の部屋でどうでしょうか。あまり物を置いておりませんのでスペースも確保できると思いますよ。」
「本当に?ありがとうねぇ。...ビニール袋は多めに持っていくわね。あとファブ〇ーズも。」
「はは、お気遣い感謝します。」
「お酒と聞いて。」
話していた二人の間に、ひょっこりと頭に花を咲かせたフォルテの少女が生えてきた。
「んーと...ごめんなさい、初めましてよね?」
「私?パラス〜よろしくね〜」
「もしやパラス殿、既に呑まれて...」
意識してみると、ツンと鼻を突くアルコールの臭いが漂ってくる。それに思わず二人は顔を顰めてしまう。
「...あまり、日中から呑まれるのは感心しません。」
「子供の教育に悪いわよ。お願いだからその状態でリサにだけは近付かないでよね。」
「ひでぇ言われようしてんなぁもう。平和が続くと体は刺激を求めるの、その刺激となり得るのがお酒なだけ〜」
「「(タチの悪い酔っ払い方してる...)」」
「コホン、時間なのですが、20時に私の部屋でよろしいでしょうか。わからない場合はドクターに聞いていただければすぐだと思いますので。」
「「わかった!」」
「各々、ご友人を誘うなり、自前の酒を持ってくるなりしましょうか。」
「そうだ、二人は何人くらい他の子を誘うのかしら?」
「私は...一人ですかね。」
「ゼロ〜」
「わかったわ。じゃあおつまみ作って持ってくから、夜ご飯食べすぎないようにね。」
「夕食代わりになるような物をお出しいただけるのですか...!ありがとうございます。」
「私は極東にある植物の実を使った酒を持ってくるつもりなんだけど...二人は?」
「私は今日入ったものを持っていこうかと。それと、ブレイズ殿から勧められたものも。」
「好きなやつ全部持ってくわ。」
「パラスちゃん?ちょっと?...マウンテンくんの出すのってワイン...だよね?」
「はい。片方はワインですねブレイズ殿の方は...やけに度数の高い、なんでも極東のものだとか。」
「わかった。じゃあワインに合うのも作っておくわね。」
「ありがとうございます。それではまた20時に。」
その言葉を皮切りに三人は別れた。
「(酒飲める友達...アヴドーチャかニェンちゃんかな...)」
ギョクソウは自前のケータイを取り出し、パゼオンカへ連絡を入れる。
ギョクソウ
『今日の夜から飲み会やるんだけど、来る?』
「(これでよし、と。)」
「...お、あれは...」
「ホーシーグーマーちゃん!」
「うん?あぁ、ギョクソウさんですか。小官になにか御用でしょうか。」
「あぁ仕事の話じゃないから楽な話し方でいいわよ。今日飲み会やるの。」
「それはそれは、楽しそうですね。」
「ホシグマちゃんはどうなの?今夜さ。」
「なるほど、お誘いに来て頂いたのですか。そういうことなら喜んでお受けいたします。」
「じゃ、今夜の20時に...マウンテンくんわかる?彼の部屋に集合ね。」
「問題ありません。自前で持って行った方がいい物はありますか?」
「自分イチオシのお酒だけでいいわよ。ビニール袋とファ〇リーズは私が持っていくし。」
「分かりました。」
「あと、がっつりとおつまみ作るからあんまり夜ご飯食べすぎないようにね。」
「はは、なるほど。それはもう楽しみにしておきます。」
ホシグマと別れてから、ふとした時にギョクソウのケータイが震えた。
「(返信かしら。)」
パゼオンカ
『申し訳ありません。明日はお仕事がありますので参加は出来そうにありませんわ...』
「ほげー!マジか。そうなるともう飲み会に誘えるような子ニェンちゃんしか居ないんだけど?」
「(あ、リサの写真爆撃しとこ。)」
ギョクソウ
『それは残念...ならば、そんなあなたにこれをあげるわ。』(複数のスズランの写真)
パゼオンカ
『くぁwせdrftgyふじこlp』
「(めっちゃ取り乱してる...おもろ。)」
「...ニェンちゃんには会ったら伝えるかぁ。探してる時間はないわ。仕込みしないといけないもの。それに、来たかったら勝手に来るでしょあの子。」
「んー!帰宅!」
部屋に帰ったギョクソウをキッチンの方から狐面と炎狐がひょこと顔を出すことで出迎える。
「ありがとありがと、これ何やってるの?なんの漬物?あ、そう。」
『わう!』
「どうしたのよ...はいはい、あなたもお留守番ありがとう。」
『...!』パタパタ
「(これで良かったのか...あなた段々可愛くなっていくわよね。リサの方が可愛いけど。)」
「お面ちゃん、それやったら一旦おしまいにしましょう。今から全部やったらさすがに早すぎるわ。」
『...』コクン
「んー...少し足りないわねぇ。購買部行ってきますか。...いや、いくら購買部でもあるかしら...いやいや、まずは行ってみましょうか。」
ギョクソウは部屋の扉を開けて出ていった。
そのまたすぐ後、再び扉が開かれる。なにか忘れ物でもしたのだろうか。
「おーい、ギョクソウーなんか面白そうなことやってんじゃねぇかー?」
しかし、入ってきたのはギョクソウではなく、ニェンだった。ニェンは部屋を見回したあと肩透かしを受けたような顔をする。
「あぁ?なんだよ、いねぇのかよ。じゃあ扉開けっぱにしとくなよ、不用心だな...ったく。」
『がふっ!』
「あ?」
『...』チョイチョイ
「...誰だお前ら。なんだ、待ってればいいのか?」
『...!』コクコク
「...そうか。」
「...(退屈だぁー)」
「おい狐。...少しでいいから触らせt『ガルルル...!』
「...なんだ、オイ。私とやろうってのか?」
唸る炎狐をみたニェンの薄紫の瞳が妖しく光る。それと同時にニェンの体が強い熱を発し始める。
『...キューン...』
あまりにも愕然とした差を見せつけられ、炎狐はすぐさまひっくり返り、敵意がないことをアピールする。
その様子を見たニェンはいつもの調子に戻ったちょうどその時、扉が開かれ今度こそギョクソウが帰ってくる。
ギョクソウは当たり前のように居座っているニェンとその横で腹を向けている炎狐を見て顔を引き攣らせる。
「来てたのね...というか、ガウとニェンちゃんって初対面だよね?いつの間に仲良くなったのよー?」
『ヒューンヒューン...!』
「情けない声出してんじゃないわよ...で、よ。ニェンちゃんはどうしたの?」
「あぁそうだった。オメー、私に隠れてなんか面白そうなことやってんじゃねぇか。教えろよ。」
「...?」
「ほら、早く教えろよー?」
「...えっ知らないの?」
「なんだその反応、知らねぇよ。」
「今日の夜にみんなで酒盛りするのよ。今はそのおつまみの仕込み...のさらに仕込みしてるところ。」
「ほぉ、酒か。それなら良いもんもあるし、私も行くかな。どこでやんだ?」
「マウンテンくんの部屋だけど...あなたわかる?」
「うんにゃ、全然。」
「ハッキリ言ったわね...じゃあ、19時30分にここ来てちょうだい。連れて行くから。」
「よーし決まり!じゃあな!また来る。」
「...行ったわねぇ。それと...ガウ?何やってたのよ。」
『ひゅーん!ひゃんひゃんひゃん!』
「え?待って怖い怖い怖い。」
『ぎゃうぎゃうぎゃう...!』
「何を思ってそうなった!私が居ない間にそんな事なるかしら!?」
『わふぅ...!うわうわうわう!』
「ねぇそうやってボカされるのが一番怖いのだけど!?何されたの!?ねぇ!?」
マウンテン...マ ウ ン テ ン い つ も あ り が と う
パラス...酔っぱっぱお姉さん。むしろ酔わせといた方が良い人説ありますあります。
ホシグマ...いきなり関わりの薄い人が飲みに誘ってきて少し驚いたけど快諾。
さすが鬼と、褒めてやりたいところだァ!