どきなさい!私は「お姉ちゃん」よッ!!   作:とろねぎ

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120連したら目当てのファントムじゃなくてスルトが出ました。

うんなんで?嬉しいけども。

あ、でもくなちんは6回単発回したら出ました。え?「自慢かよ」?

そうですけど!?クナチンカワイイヤッタ-!でも汎用性は低いんすよね。

っぱ我らが光とGGちゃんいれば高台は十分なんですわ。地上はデストレッツァか裁判官で解決するし。

...はぁ、スルト育てるか。


夢遊病

 

 

 

あれからどれだけ時が経った。

 

なぜ私はまだ生きている。なぜ私は...

 

こんなにも若いままなんだ?

 

ふとそんなことを思っていると、いつものやつらがやってきた。

 

「──様。こちらをお納めください。」

 

またか。なぜみんな私なんかに何かを捧げ続ける?

 

どうしてこんな山奥の洞穴なんかに来るの。

 

隠れてたのに近くで村が起きて...村人に見つかって...それだけなのになんで崇められてるの。

 

私に頼んでもどうもならないわよ。

 

「──様。さっき取れたばかりの野菜です。これでどうか娘の怪我を治してやってください...」

 

やめてよ。

 

「──様。■の■■です。南雲の野郎を飛び切りの不幸に...」

 

誰だよ南雲。知らない奴の不幸を私に願うな。しかもなんだその気持ち悪いの。

 

「この村で一番年若い男です。どうか、どうか天よりのお恵みを...!」

 

そんなこと出来るわけが無いでしょう。

 

そもそも、生贄なんていらない。

 

「あ、あの、──様!どっどうぞっ!」

 

食わねぇよやめろ。なんでちょっと乗り気なんだよ。

 

なにをもってお前が食い殺されれば村が救われると思ってんの。

 

「私が生贄になれば、村に雨が降りみんなが救われると...そう言われたので。」

 

やめろやめろ、私が今までアンタたちにやってあげたことなんか無いわよ。

 

「え、じゃ、じゃあ...」

 

アンタが死んでも雨は降らない。

 

「そんな...!」

 

てことで帰れ。

 

「それだと皆が餓死してしまいます!ただでさえ最近は人攫いが...」

 

しつこい、これ以上怒らせないで。

 

「は、はい...」

 

全く...私が人を救えるわけ無いでしょう。

 

人を食って、怪異を食って、化け物同然の醜い私に。

 

あの糞みたいな屋敷を燃やしたあと、気絶してるあの子を分家の方に渡したのはよかったのかしら。

 

一応調べた限りはシロだったけど...さすがに分家まであんな気狂いとしか言えない事はしてないはず。

 

はぁ...ここももう駄目になってきたか。

 

山、森、渓谷、湖、他は...何処があるのだろうか。

 

...海の向こうには何があるのかしら。

 

船は私のクソッタレな力で作れば良いとして、食糧...はいらないか。気づけば飢えは感じなくなってたわけだし。

 

...やっぱり化け物じゃない。

 

そうと決まればもう行こうか。

 

おそらく、もうここに私の居場所は無いから。

 

海の先には世界が広がっていてもいいし、本当に世界の果てなんてものがあるならそこに飛び込んでもいい。

 

 

 

 

海の上をひたすらにさまよい続けて数年、久方ぶりに陸を見た。木や草が好き放題に生えていたが、間違いなく島では無い陸地だろう。

 

目的もなく訪れた私は上陸したあとただただ適当に歩いた。夕焼けに背後から照らされながら背の高い草をかき分けひたすらに歩いた。

 

しばらく歩いていると、太陽とは違う明かりの気配がした。

 

そっちに行くと、そこは瓦の屋根に木製の一軒家が大量に連なっている場所だった。

 

繁華街なのだろうか。日が沈みかけているにもかかわらず、多くの人がいた。

 

こうして見ていると、京を思い出す光景だ。

 

闇に包まれていくなかでも人々の声は絶えず、やがては角材の先を燃やし明かりをつける人もいた。

 

「傑夫先生!你賺到錢了嗎?」

「哦,當然。」

 

「天快黑了。」

「嘿,該回家了。」

 

「等一下!我想買那個有羽毛的動物的肉!」

「哦,抱歉!」

 

...言語は全くわからないが、少なくとも日常の穏やかな場面なのは確かだろう。

 

それに知らない言語ならばここがあそことは違う場所という証明にもなる。

 

よかった。

 

ここなら、誰も私を知らない。

 

 

 

 

ここ...炎国に移ってからも以前とは変わらず人里を離れた何処か遠いところでひっそりと暮らしていた。

 

いつの間にか炎国の言葉がわかるようになっていた。話したことは無いはずなのに...なぜ。

 

不思議と飢えることは無かった。眠る必要も無くなった。

 

どうやら死ぬこともまともに出来ないようだった。

 

ただ眠気は来る。

 

今でもあの日と同じような夢を見る。

 

故郷でも見ていた夢だった。ただ出てくる人が炎国の人々になっただけだ。

 

肋骨を踏み砕き腕を千切り取り心臓を抉り出して汚らしく脳漿を啜る。

 

生命の暖かさを顔面に浴び、生に執着し力強く脈動する深紅の果実を食らう。

 

暫く核を失い痙攣している肉体に食いついているとそこで目が覚める。

 

目覚める度に吐いた。

 

そうして確認しないと、さっきの手が足が私の胃の中を漂っているようにしか思えなかったから。

 

そうして何も入って無い少量の黄色い液体を見て毎日安堵する。

 

それでも私がいつの間にか誰かを害していたのではないかと考える度、吐き気に襲われた。

 

何度も自死は試した。

 

首吊り、入水、身投げ、脈を切断、動物...

 

縄が溶けた。

 

何かに水面まで押し上げられた。

 

地面に激突する時に勢いが弱まった。

 

刃物が溶けた。

 

虎はおろかどんな獣も私に近寄ろうとしなかった。

 

日に日に増していく恐怖と渇き。

 

このまま恐怖を受け入れ渇きを満たそうとすれば私はまた悪鬼の類となり得るだろう。

 

だから誰か

 

わたしをころして

 

 

 

 

 

夢を見る。

 

「うわぁーん!痛いよー!おとうさん、おかあさん!」

 

子供の夢を見る。

 

小綺麗な服を着た子供だったが、地面に座り込んでいるせいか泥にまみれている。

 

膝から先はなく細い神経と血液を絶え間なくを垂らしている。

 

助けようとする私の意思に反して私の爪は子供の胸を指し貫いた。

 

夢だとしてもタチの悪い。

 

ここからまた私は血にまみれて肉を食い漁るのだろう。

 

そしてそれをさして抵抗感もなく見続ける自分がいることにもいずれ気づいてしまうだろう。

 

ほら、そんなことを考えているうちに体から肉を抉り出して口に運ぶ。

 

目の前まで新鮮なピンク色をした肉がやってくる。

 

いたたきます。

 

 

 

 

「おい、ここら辺で毎日人が消えてるって話を聞いてんだけど...なぁテメーか?」

 

口に運ぼうとした瞬間、少女が現れる。

 

白と赤を基調とした露出の多い少女だった。

 

「ま、見りゃ分かるか。随分好き勝手してくれたじゃねぇか。あぁ?」

 

辺りに満ちる熱気、少女から溢れ出す殺意、およそ人ならざる者の気配。

 

今日の夢は変わっている。

 

だが不思議だ。この暑さは夢では...

 

...夢でなかったとしたら?

 

人を襲う夢と毎日消える人。

 

そうか。

 

夢じゃないのか。

 

そうか。やっぱり。嘘だ。

 

気付かないフリをしていただけだったんだ。

 

何が夢だ。馬鹿らしい。

 

少女は何処からか身の丈以上の大きさの剣を取り出して私の腕を切り落とす。

 

少女を信じよう。その場に座り込み、首をさらけ出す。

 

「どういうつもりだ。いや、なんて言うか...拍子抜け?」

 

私を

 

「あ?」

 

殺して。

 

「...」

 

気温が下がる。それは実際のことなのか錯覚なのかは分からない。

 

私を殺して。

 

もう嫌なの。

 

大事なものを自分で壊して、その癖して私はしぶとく生きている。

 

恥知らずにも程がある。

 

「...は、わーったよ。」

 

ありがとう。

 

少女が私の首に剣を振り下ろす。

 

凄まじい熱と一瞬の痛み。そして首から上が突然軽くなる感覚。

 

よかった。

 

少女が私の首を切り落とす光景を傍から見ていた私は安堵した。

 

...傍から?

 

「あー、どういう事だこれ?」

 

首のない私の体と少女。そして五体満足の私。

 

乾いた笑いしか出なかった。

 

そして再度絶望した。他殺すら許されないとは!

 

この世に神が居るのならそれは大層醜い顔をして笑っているのでしょうね!

 

「なんだオメー死にたいのか?」

 

そうよ。もう疲れたの。もう誰も傷つけたくないの。

 

「へぇ、さっきまで子供を殺してたヤツとは思えない発言だな。」

 

そうだ。あの子供は...私は...なんてことを...!

 

「まだ獣が人里におりて悪さしてるとしか思われてねぇよ。だから...ソイツは腐らないようにしておく。」

 

どうして死ねないのかしら。

 

「...なぁ、オメーが死んだところで償いにはなんねぇよ。償いたいんなら人を助けろ。」

 

私が...人を助ける...?

 

「江山改め易く、本性移し難し。オメー、根はいい奴だろ。その食人衝動さえ抑えることが出来りゃ人から愛されるようになるよ。」

 

...そんなこと

 

「『無理だ』ってか?ま、それはオメーの取り組み次第だな数十年数百年と続けていけ。時間はあんだろ?」

 

...そうだけど。

 

「ならいい!あ、そうだ。ちょっと付き合え。飯食いに行くぞ。」

 

...は?

 

「せっかくこんな面白そうなやつがいんだ、一緒にメシ食ったって良いだろう?」

 

え、いやいや。なんでそうなるのかしら!?

 

「ほらー行くぞー」

 

うわっ!ちょ!おい!担ぐな!

 

 

 

 

目の前で鍋が赤い液体で満たされた何かを少女と挟んで見つめていた。

 

...なにこれ

 

「んあ、なんだ火鍋を知らねぇのか?しかも年サマお手製の火鍋だぞ感謝して食えー?」

 

いや食欲無いって。むしろなんであんなことした後なのに食欲あると思ってんの?

 

馬鹿なの?

 

「うお急に口悪いな。ほらいいから食えよ。」

 

うわちょ、なんか凄い臭いするのだけど?到底人が食べていい臭いじゃむぐっ...!

 

「へへ、どうだ?」

 

痛い...!

 

超痛い...なにこれ...毒?

 

「ひでーなぁ。」

 

でも...

 

「お?」

 

美味しい...

 

「良いねぇ!あとそれは痛いじゃなくて辛いってんだ。辛味は生きる活力になってくれる。てか生きることは辛いモンを食べるのと同じなんだよ。」

 

変なこと言い出した...

 

「どんなに苦しいことがあってもそれを飲み込んで、明日・明後日...遠い未来を生きる力にすんだ。」

 

良いこと言ってる感じのところ悪いのだけど...

 

水を...!

 

「ほらよ...ははっそうだ。お前名前は?」

 

...御前。

 

「あ?ゴゼン?ここいらじゃ聞かねぇな。」

 

先祖にあやかった名前。苗字と併せて一つの名前にされてる。

 

「へぇ、苗字は。」

 

玉藻。

 

私がこうなった原因。聞くだけで不愉快な...

 

「じゃ、お前は今日からギョクソウだ。」

 

...は?

 

「ここいらじゃそんなに珍しい名前じゃねぇし、なにより...変わりたいんだろ?」

 

軽い調子で言ったその言葉は私にとっては天啓だった。

 

 

 

 

その日から食人衝動は嘘のように消え去った。

 

嬉しかったんだ。

 

私の周りの人間は、私を『玉藻御前』としか見ていなかったから。

 

他の人間は、私を『崇拝対象』としか見ていなかったから。

 

ただの一人の人として見てくれたのはあなたが初めてだったから。

 

情けない私に道を示してくれたから。

 

とても、とっても嬉しかった。

 

そこからは人を助けるために旅をして、その子のためならどんな苦痛も耐えられるぐらい大事な子もできて。

 

みんながギョクソウを見てくれた。

 

本当に感謝してる。でも一つだけ...いややっぱり二つ。

 

なんであなたが忘れてるわけ?もしかして別のギョクソウさんだと思ってるの?嘘でしょ?

 

そしてもう一つ。

 

なんであなた妹に間違った名前教えてるの?

 

初めて会った時にさも知り合いかのように玉藻呼びされたの超ビビったんですけど...!?

 

しかも久しぶりに会ってもそれされたし。

 

歳ってみんなこうなの?

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