どきなさい!私は「お姉ちゃん」よッ!!   作:とろねぎ

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誰よ今あの子のことペッローって言ったやつ。

「今度の話はどうしたものでしょうか...あ、ギョクソウさん。」

 

「おはよ。アヴドーチャ、なにやってんの?」

 

「少し考えがまとまらなかったものですので、朝の散歩を。そういうあなたは?」

 

「私も同じ感じ。リサは今日訓練室で教官やるから私は暇でね。」

 

「ほぉ、どなたとですの?」

 

「プラマニクスちゃんだね。」

 

「...スカジさんでなくて良かったですわ。」

 

「そう?スカジちゃんでもリサには勝てないわよ。」

 

「言い切る辺りもはや清々しいですわね...それでしたら、今日一日暇なんですの?」

 

「えぇ。...いや、今日一日リサを見守らないと。」

 

「つまり暇ということですわね。よろしければお付き合いいただけます?」

 

「なにを。」

 

「わらわ最近髪が伸びてきまして、気分転換がてら切ろうと思ってますの。」

 

「あー、私も切ろうかしら。そろそろ地面に引きずりそう。」

 

「...前々から思っていたのですが、その髪のトリートメント大変じゃありませんの?」

 

「と、とりぃとめんと、ってなに?」

 

「はぁ?髪の手入れですわ。そこまでの綺麗な髪、どうやれば維持できますの。」

 

「いやしてないけど?」

 

「え...」

 

パゼオンカは口を半開きにして遠くを見つめ始めてしまった。

 

「いつも適当なもの使ってシャワー浴びてるだけだしねぇ...ってアヴドーチャ?大丈夫?...え、死んだ?おーい、もしもーし。」

 

「...ッは!」

 

「あ、生きてた。どうしたのよいきなり。」

 

「いえ...ただ、女としての格の違いをまざまざと見せつけられた気分ですわ...」

 

「...?」

 

「分からないなら良いですわ。あー、聞いたところによるとオペーターのなかには床屋を...営んでいる?方がいるとお聞きしたのですが...」

 

「あぁ、いや、むしろアヴドーチャは知らないの?スージーちゃん。」

 

「スー...?」

 

「知らない?ほらあなたみたいなピンクの髪を持ってるフェリーンの子。」

 

「心当たりはないですわね...」

 

「えー?じゃあもう行った方が早いわね。ほら行くわよ。」

 

「ちょ、ちょっと!ギョクソウさんやっぱり強引でしてよ!」

 

 

 

 

部屋で身支度を整えている。フェリーンの少女がいた。

 

垂れている耳がペッローのようだし、事実よく間違えられるがフェリーンだ。

 

彼女の名前はスージー...ロドスでのオペレーター名ではゴールデングローと呼ばれている。

 

こんこんこん

 

「スージーちゃん?起きてる?」

 

「あっはーい!」

 

「おはよう。」

 

「おはようございます!ギョクソウさんと...パゼオンカさん?どうしたんですか。」

 

「髪をお願いしたくてね。そこのアヴドーチャも一緒。」

 

「そうだったんですね!それなら今すぐにでも始めましょうか?」

 

「いいの?」

 

「はい!今日は朝から予約があって、ちょうど今ぐらいの時間からなんです。」

 

「わぁお、都合よすぎね。」

 

「あのー、どこで理髪をしますの?」

 

「普段は宿舎の一部を借りて、やってます。」

 

「アヴドーチャはじめてなの?」

 

「えぇ、普段は外で済ませますので...」

 

「もったいないわねぇ〜この子の腕前はなかなかのものなのよ?」

 

「どうしてあなたが自慢げに...」

 

「で、では第二宿舎でお待ちしてます!あ、でも予約してくれた人が先なので少しお待ちください!」

 

「そりゃもちろん。暇だし、見てていいかしら?」

 

「ギョクソウさん。それはさすがに...」

 

「良いですよ。」

 

「いいんですのね...」

 

 

 

 

 

「ということで宿舎に来た訳だけど...まだ来ないの?」

 

「うーん...もう来てもいい時間なのですが...あっ!」

 

ゴールデングローが声を上げた先からは銀髪のループスの女性が歩いてきていた。

 

「いやーごめんね。ちょっと手こずっちゃって。」

 

「「「(なにに...!?)」」」

 

「あなただったのね、ラッピーちゃん。」

 

「あはは!ボクをそんな名前で呼ぶのはキミぐらいだよ!」

 

「可愛いじゃないラッピー」

 

ラッピー...じゃない。ラップランドは心底愉快そうに笑うとゴールデングローの方を向く。

 

「少し遅れたけど、お願いするよ。」

 

「はいっ!ところで、なにか希望はありますか?」

 

「この子と同じふうにして欲しいな。」

 

「なになにー?」

 

そう言って差し出した写真は...

 

「これは...ソラさん?」

 

「しかもこれ写真集のヤツよ。今だとかなりのプレミアの。」

 

「ラップランドさんってもしかしてソラさんの...」

 

「ははっ!違うよ。テキサスはやけにその子にご執心のようだからね。早い話が、その子とそっくりになって今日一日テキサスをからかいたいだけだよ。」

 

「なるほど...?」

 

「髪色も...ですか?」

 

「そうだね。まぁ、出来るなら。」

 

「あ、それな「ハロー!私を呼んだ!?」

 

「いえまだですロベルタさん。ロベルタさんもお待ちしてますし、そろそろ切りましょうか。...ラップランドさん?」

 

「「「耳がぁ...ッ!」」」

 

「あっ...」

 

 

 

 

「ごめんねー?久しぶりだったからちょっと興奮しちゃってさ!」

 

「あぁうん...大丈夫...私は。」

 

「まだ...まだ少しクラクラしますわ...」

 

「そういえば、鼓膜って綺麗に破れたら再生するらしいわよ。」

 

「どうして今その話をしましたの!?」

 

「あはは、仲良いね二人とも。」

 

「まぁそれほどでも。それより、ロベルタちゃんはスージーちゃんと一緒にお仕事してるって認識でいいの?」

 

「いつもって訳じゃないけどね。私の気が向いた時とか、メイク教えて欲しい人が居た時とか、シンプルに指定された時とか...割といつもいるね。」

 

「そうでしたのねぇ...」

 

「「「...」」」

 

ある程度の会話が終わった三人は黙ってゴールデングローがラップランドの髪を鮮やかな手つきで切り、整えていくのを見ていた。

 

「おぉ...すごい、ですわね。」

 

そうしてしばらくするとゴールデングローがラップランドの髪を一度ツインテールに結び、不自然でないことを確認すると、ほどいてこちらを振り返った。

 

「ロベルタさんお願いします。それからお二人ともこちらにどうぞ!」

 

「あら早い。」

 

座るとすぐさま布を被せられる。

 

「ギョクソウさんはいつもと同じでいいですか?」

 

「あぁごめん、今回はポニーテールの気分なの。だから、後ろ髪を短くしてまとめてくれるぐらいでいいわよ。」

 

「おまたせしましたー!」

 

「わかりました。パゼオンカさんは?」

 

「うんわかった。だからとりあえず声量下げてくれないかな。」

 

「わらわは...あー、とりあえず短k「アヴトーチャはウルフカットでお願い。」

 

「ギョクソウさん!何を言いますの!?」

 

「あなたのウルフカットが見たいわ。大丈夫、ループスの子みんな似合うんだから。」

 

「わかりました!では始めていきます。」

 

「こちらの道具はフェイシャルボーンフルストラクチャードセルフイメージシェーディングハイライター!と言って...」

 

散髪が始まる。

 

目の前の鏡に自分が映っている。

 

チョキチョキというハサミの音と、地面に切られた髪が落ちる音、そして...

 

「道具の説明は聞いてないかなぁ...あとそのポーズなに?」

 

「いります!」

 

向こうでの話し声だけが聞こえる。

 

「うーん...ちょっと待ってね。もう少し...明るいかな。」

 

「(向こうなにやってんの?)」

 

「(なにやら騒がしいですわね...)」

 

二人を同時に理髪作業を進め、それでいて正確なゴールデングローの腕前は確かなものだった。

 

「よし!これだ!」

 

「そう。じゃあ頼むよ。」

 

「いきますよー?バクダンムシ抽出液スタイリングスプレーッ!!」

 

「耳がァーッ!」

 

「(え?ラッピーちゃん?)」

 

「(一体何が...)」

 

「終わりだよ。うん、我ながら完璧!はいこれ鏡」

 

「ふぅん...?確かに、完璧だね。これならテキサスも喜んでくれそうだよ!」

 

「それだけ喜んでくれるなら私も嬉しいよ。」

 

足音が近づいてくる。

 

足音の主が鏡に映る。

 

「え、ソラちゃん!?」

 

それはソラとそっくりのラップランドだった。ラップランドと鏡越しに話始める。

 

「おぉ、全身を映してみるとかなりの出来栄えだね。あの子そっくりだ。じゃあね、楽しんで。」

 

「ありがとう。ラッピーちゃんも楽しんでね。」

 

「(それテキサスさんが不憫なだけなのでは?)」

 

「...くちゅっ!」

 

バチッ!

 

「んぅ!?」

 

「あ、あぁぁっ!ごめんなさいごめんなさい!私のアーツが...」

 

「私なら大丈夫よ。ちょっとビックリしたけど...アヴドーチャは?」

 

「わ、わらわも無事ですわ。ですのでお気になさらず。」

 

「それだと私の気がすみませんよ!えーと、えーと...そうだ!ロベルタさんのメイクを無償で...」

 

「「結構です。」」

 

「もしかしてもしかして!今こそこのウェット・ドライ両用アンビエントカラーアダプトグロスチーク!の出番!?」

 

「「違います!」」

 

 


 

 

ギョクソウ...なんだか無性にポニテにしたかった。髪はオススメされたシャンプーを使って適当にシャワーしてるけど、サラサラキューティクルヘアーを維持している。

 

パゼオンカ...無事短髪(ウルフカット)デビュー

とりあえずでしっかり写真を取られた。ただパゼオンカ本人も楽で少し気に入った。

 

ゴールデングロー...フェリーンで電気系のアーツだから実質ゼラオラ。彼女をペッローと呼ぼうものなら絵師様にお礼参りされるので気をつけよう。

 

ロベルタ...表面筋電位追跡オートフィリングコンシーラー!

バクダンムシ抽出液スタイリングスプレー!

フェイシャルボーンフルストラクチャードセルフイメージシェーディングハイライター!

ウェット・ドライ両用アンビエントカラーアダプトグロスチーク!

別名ロベえもん。うるさくて好き。

 

ラップランド...ペンギン急便の連中にはソラだと間違えられたがテキサスには何故か見抜かれた。

まぁそれはそれとして殴りあっておいた。

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