どきなさい!私は「お姉ちゃん」よッ!!   作:とろねぎ

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「天高く尾肥ゆる冬...あ?今私に肥えてるって「だーっ!やめろ!自分で言ってつっかかんな!」

 

大陸版でスズランの新モジュール来るらしいじゃないですか...!(感涙)

 

 

 


 

 

 

もふっもふっもふっ...

 

「あ、ギョクソウさんこんにちわ!」

 

「こんにちわー」

 

尻尾を揺らして歩くギョクソウ。

 

もっふもっふもっふ

 

そのギョクソウの前に、ニェンがやってきた。

 

「お!ギョクソウ!なあなあ、これから飯食いに行くんだけど、オメーも来るか?てか来い!」

 

「アッタマモ...タスケテ...タマモ...」

 

脇に青白い顔をしているシーを抱えながらギョクソウを食事に誘う。

 

シー本人はさっきから「タマモ...タスケテ...」としか言わない。

 

ニェンに無理矢理連れ出されているのは明白だったが、その事に下手に触れれば確実に面倒なことになるだろう。

 

「ニェンちゃん?今日は遠慮しておくわ、ごめんなさいね。それとシーちゃん凄い顔してるからやめてあげて。」

 

もふもふもふ

 

「んだよつれねぇなぁ。...ところでさ...」

 

「誰がタマモよ!?」

 

「うおっ!いきなり声出すんじゃねぇよ。」

 

「ごめんなさい、さらっとシーちゃんのタマモ呼び見逃してたから...それで、どうしたの?」

 

もふっ

 

歩き出して直ぐに声をかけられたギョクソウは尻尾を弾ませながら振り返った。

 

「...尻尾デカくね?」

 

もふもふっ

 

「...最近寒くなってきたわよねぇ。」

 

もふふっ

 

「いや、明らかにでけぇだろ。さっきからもうなんかよ、もふもふ聞こえるんだけど。」

 

「何言ってんのよ。そんな音聞こえるはずないでしょ。もう」

 

「え?私がおかしいのか?ちょ、ちょっとそこで回ってみろ。ほれ」

 

「えぇー?」

 

「いいから!」

 

「仕方ないわねぇ」と文句を言ってその場で舞うように一回転する。

 

もっふぁあっ

 

「それだよそれぇ!」

 

「えっ!?」

 

「...今!」

 

「しまったァァァ!」

 

ニェンの同様の隙をついてシーが抜け出し、走り出した。

 

「あぁぁ...ギョークーソーウー!」

 

「(私が悪いの!?)」

 

珍しく声を荒らげるニェンにギョクソウは萎縮していたが、すぐに手を取られたことで呆気にとられることになった。

 

「ありがとな!」

 

「...うぇっ?」

 

「シーちゃんがあんなに走ってるの久しぶりに見た!やー!いいもん見れたなぁ。」

 

睨みつけるような顔は一転、すぐにいつもの明るい笑顔になったニェンであった。

 

「んでよ、なんでそんなに尻尾でけぇんだ?」

 

「だから、寒いから。」

 

「...?」

 

「嘘...わかんない?聞いた事ぐらいあると思うんだけど...」

 

本気で知らない、というのをニェンの顔が物語っていた。

 

ニェンは、ギョクソウがやたらと自分の下半身を見つめてくるのを「気持ちわりぃなコイツ」と思っていた。

 

「...あぁ!」

 

しかし、見つめていたものが自分の尻尾であることに気づいたニェンは合点がいったようで少し笑った。

 

「換毛期!」

 

「せーいかーい...どんどんぱふぱふー」

 

「...バカにしてんのか?」

 

「いや?」

 

「そ、ならいいや。」

 

「(良いんだ...)」

 

「そっか換毛期かぁ〜そうだもんな、ギョクソウお前、元々尻尾デカいし九本あるしで大変だよな。」

 

「えぇ、だから毎日ブラッシングしては居るんだけど...」

 

「一向に減らない...ってか?」

 

「その通り。...一度皆にこの苦しみを味わって欲しいわ。」

 

「そんなになのかよ?」

 

「いやっ...もう、本当に...大変で大変で...!服に毛が有り得ないぐらい付くわ向きを変えたら人を引っぱたくわ...」

 

愚痴が止まらない。

 

「私の尻尾が廊下とか部屋を勝手に掃除してるのを見たアヴドーチャは『ヴァルポシロモップ...ですわね!』とか巫山戯た事抜かしおるし...!」

 

段々とニェンも気の毒そうな顔をし始めた。

 

「わだじだっでねぇ!ファッハッハッハッハ~ン!!ゥウーン...なりだぐでごんなからだじでるわげじゃないのよぉぉ!エゥァッヘッヘェァ!」

 

柄にもなく取り乱して奇声をあげるギョクソウ。

 

それを困惑した顔で見つめるニェン。

 

「あー...ブラッシングの時間が少ないとかじゃねぇのか?毎日してんだろ?」

 

「ウン...でもねぇ、時間が...ちょっと...」

 

「なんでだよ。そんなに忙しいのか?私と大違いだな!」

 

「...それツッコミ待ち?」

 

「...?何がだ?」

 

「あ、じゃあいいわ。」

 

「はぁ?気になるけど...オメーがなにやってんのかって方が気になるな!昨日仕事終わってから寝るまでの教えてくれよ。」

 

「昨日?昨日は...んーと...」

 

 

 


 

 

 

「ただいまぁ...ふう、今日も疲れた。」

 

部屋の扉を開いて電気をつける。

 

そして、椅子に腰掛けて懐から一つの機械を取り出す。

 

「プロヴァンスちゃんが貸してくれた、電動ブラシ...えーと、確かこのスイッチを上に...」

 

かちっ

 

ヴヴヴヴヴっ!

 

「ひゃあ!?」

 

かちっ

 

「え、本当にこれを尻尾に添わせるだけで...?」

 

恐る恐る尻尾に機械を当てて再びスイッチをオンにした。

 

ヴヴヴヴ...

 

「おぉぉぉ...これは、なかなか...」

 

ヴヴヴヴ...

 

「すご...ずっと、同じ力で毛がジャンジャン出てる...」

 

ヴヴヴヴ...

 

「ひぃぃやっぱ無理ぃ!めちゃくちゃハイテクな機械って感じがするぅ!!」

 

かちっ

 

慣れない強烈な感覚によってびっしりと鳥肌が立った腕を擦りながら、そっと機械を机の上に置いた。

 

「うん、明日...返しましょう。」

 

そう言ってから引き出しを漁って、ギョクソウの手のひらから少しこぼれる程度の大きさで半月状の木で出来ている手櫛を取り出した。

 

そして、途中だった尻尾を抱えて手櫛で尻尾の毛を解き始めた。

 

「あぁ〜...やっぱりこれねぇ...」

 

落ち着いた様子でゆっくりと地道にブラッシングを始めたギョクソウの耳に、ココ最近で聞きなれた扉を叩く音が入った。

 

「ん、開いてるわよー」

 

扉が開き、パジャマを着たスズランが入って来た。

 

「お姉ちゃん、今日も、お願い...」

 

「そんな遠慮しなくて良いわよ?座っててねー」

 

「...!うんっ!」

 

笑って、とてとてと駆け寄ってくるスズラン。

 

「(ウソ...私の妹...可愛すぎ...?)」

 

いつも通りアホな事を考えていたら、膝の上に僅かな重みがかかった。

 

「おひざ、いただいちゃいましたっ。お姉ちゃんの尻尾...おっきくて...ふわふわして...お布団みたいっ!えへへっ...」

 

自分の尻尾を抱えて笑いかける愛妹をゼロ距離で直視したことにより、ギョケソウは無事に死亡した。

 

「」

 

「...?お姉ちゃん?」

 

「...っは!」

 

失敬、生きていた。

 

「大丈夫?」

 

「えぇ。リサの尻尾もふわふわで、気持ちいいわよ。」

 

「私よりお姉ちゃんの方が気持ちいいもんっ」

 

「なんでそんなにムキになってるのよ。ふふっ」

 

「ムキになってなんかいないよっ!」

 

「はいはい、じゃあ、私のお膝の上じゃなくて、ベッドに座ってて?ここだとブラッシング出来ないでしょ。」

 

 

 


 

 

 

「...て事があったわね。」

 

「なげーよ。それで、最終的にどうなったんだ?」

 

「リサの尻尾の毛を解いたあと、もう夜遅くだったから一緒に寝たわ。」

 

「...それだな。ゼッテーにそれだ。てか、ココ最近リサの尻尾がやけに綺麗だとは思ったけどよ、お前がやってたのか...」

 

「リサの尻尾は私が育てた。」

 

「何言ってんだオメー」

 

「あの子の尻尾、私が見繕ったシャンプーを使って洗ってるだけなのにあんなに良い匂いするのよ...リサ...凄いわよね。」

 

「いやお前ら『尻尾ふわふわ族』が普段どんな手入れをしてるかなんて知らねぇから凄さが分かんねぇよ。」

 

「今すごい頭悪い単語出なかった?」

 

「んなこたぁいいんだよ。今の問題は、お前がリサの尻尾を手入れしてるから、お前自身の時間が取れてねぇって事だ。そうだろ?」

 

「それもそうだったわね。でも、お手入れは私がやるから。絶対」

 

「妹が可愛いのはよく分かるけどよ。それでお前の身嗜みがなって無けりゃ...分かったよ。だからそんな目で私を見るな。」

 

「分かったならヨシ。結局、ちゃっちゃと最低限整えられればそれでいいのよ。私は」

 

「ふーん...?私が作ってやろうか?」

 

「えっ!?」

 

あまりにも突拍子もない提案にギョクソウが声を荒げた。

 

詳しく聞こうと詰め寄るギョクソウをニェンは人差し指を立てて静止した。

 

「待て待て。まずは歩きながらでも話そうか。...さてと、これは交換条件だ。」

 

「...えーと?」

 

「なに、簡単な話だよ。赤ん坊だって分かる。私がオメーに役立つ良いもん作ってやっから、お前は私に寄越せばいいんだよ。」

 

「...寄越す?何を...?」

 

「はっ、お前の抜け毛だ。それ寄越せ。」

 

「...」

 

「...あ?」

 

「...」

 

「なんだ?なんで固まってんだ?おーい。」

 

「...ニェンちゃん...」

 

ギョクソウは自分の体を抱きしめて、青い顔で諭すように話す。

 

「嫁入り前の生娘にそんなこと要求するの...中々、こう...中々よ?」

 

「...は?オメーもう生娘って歳じゃねぇだろ。あと勘違いすんな、私が欲しいのは『長生きしたヴァルポの尾毛』だ。」

 

「おいちょっと、乙女の夢をぶち壊すな。」

 

「乙女...?どこに?」

 

「はっ倒すわよあなた。...それで?何が言いたいのよ。」

 

「古今東西、長命な生物の一部ってのは何らかの力が宿ってるもんだ。皮なんて、それこそ『火鼠の皮衣』とか使ったことあるからさすがに要らねぇけど、体毛は初めてだからな!なんかおもしれぇもんが出来るかもしれねぇだろ?」

 

「...なるほど...?」

 

「だから、お前の抜け毛を寄越せ。」

 

「んー...それ、リサにも使えるようなもの作ってくれるの?」

 

「どうせそう言うと思ってたからな。言われなくともそのつもり「じゃあお願いしようかしら。」

 

「よし来た!」

 

くしゃっと笑ってガッツポーズをしたニェンは立ち止まり、方向転換した。

 

「...どうしたの?立ち止まって。」

 

「へへ、機械は門外漢だからな。『餅は餅屋』ってな。」

 

「それってどういう...」

 

「おーい!マリアー!!いるかー!」

 

そう叫びながら、ギョクソウを置いて部屋の中に入っていった。

 

一人置いていかれたギョクソウは

 

「なんか、嫌な予感がしてきた...」

 

持ち前の危機察知能力が警鐘を鳴らしていた。

 

 


 

 

ギョクソウ...ハイテクな機械が苦手系ヴァルポ。

仕事は電子機器を用いてしているが、それは仕事だから大丈夫。でもプライベートだと使っていると鳥肌が立つ。でも使うのは好きっちゃ好き。なんなんだこいつ

 

スズラン...換毛期に入って最初の頃は一人で整えていたが、すぐさまギョクソウが違和感に気付いて毎晩部屋を訪れ、ブラッシングしてもらいそして一緒に寝るという習慣がついた。

最近は目的と過程が逆転し始めてきた。

「尻尾が綺麗になる」という目的から「ギョクソウに尻尾を触ってもらう」のが目的になりつつある。

そして、いざ手櫛で解いてもらう時に嬉しくて尻尾をちぎれんばかりに振るようにもなってきた。

 

ニェン...ギョクソウに対してしょっちゅう『やべーなこの変態』とは思っているけど、自分も妹が絡んだらこうなってもおかしくないから絶対に口に出さない。

マリア・ニアールと『解きほぐす君MK-V』を開発した。

あの時ばかりは、さすがのニェンもマリアのネーミングセンスと正気を疑った。

 

マリア・ニアール...突然やって来たニェンの、突然のお誘いに嬉々として乗ったタイプのクランタ。

『解きほぐす君MK-V』のネーミングは至って真面目にやった。

 

解きほぐす君MK-V...これが初製造だが、MK-Vである。なぜかって?マリア曰く、カッコイイからとのこと。よく分かってるじゃないか...

使う人それぞれの毛の質に合わせられるように水面が微かに揺れる程度の力から、ハガネガニの表面を削り取る程度の力まで出すことが出来る。

耐熱性・耐寒性にも優れており、ブレイズ、フロストリーフがアーツを使っても耐えた。

普段はオーバースペック故に批評されることも多い彼女の発明品だが、今回は多くのロドスオペレーター(主にループスとヴァルポ)から絶大な評価を得た。

噂によると、レーザー砲を撃てるらしい。

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