どきなさい!私は「お姉ちゃん」よッ!!   作:とろねぎ

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人生の先輩を頼った方が良い事多いわよね

前回のあらすじ

 

つい最近までクリスマスプレゼントの存在を知らなかったギョクソウは、スズランへのプレゼントを用意するためにそれとなく聞き出そうとする。

 

まず第一に、アンジェリーナを尋ねるが手掛かりはなかった...

 

ならば自らの足で情報を集めようとするギョクソウ。

 

しかし、謎にかまちょしてくる暇人ドゥリコンループスや一般通過モフリストR、酒飲みチェーンソーウーマン、陽キャニート等に阻まれて(?)未だにスズランを見つけることが出来ていなかった。

 

それもそのはず。

 

現在スズランは、他のオペレーターたちと共に長期遠征に出ているのだから。

 

口内カップラーメンをどついて得た情報だから間違いない。

 

何故ギョクソウにそれを黙っていたのかでもう一度どつかれていたが、それはまあ良いだろう。

 

しかも帰ってくるのはクリスマス当日、もしくは前日と言うでは無いか。

 

こうなってしまっては本人に聞くことも出来ない。

 

そこでギョクソウは、せめてスズランが欲しかったものじゃなくてもプレゼントを用意したいと思い、他の保護者たちを当たることにした。

 

...

 

......

 

.........?

 

『前回はこんな話を見た覚えは無い』...?

 

これも全てWって奴が悪いんだ。

 

汚い。

 

さすが傭兵汚い。

 

 


 

 

 

「...なんだ今の。」

 

「...なればお前の気持ちも分か...どうした?...何か聞こえたのか?」

 

何かが聞こえたらしいギョクソウに、チョンユエが小首を傾げて質問した。

 

身近な保護者と考えて一番最初に出たのが彼だった。

 

もっとも、ギョクソウはチョンユエ自身とはあまり関わりがなかったが...

 

それでも最初に思い浮かんだのが彼だったのは、ひとえに彼らの姉でもあり妹でもあるニェンとギョクソウが友人だったことがある。

 

...なんならついさっき絡まれたし。

 

「...気のせいだったみたい。」

 

「なら良かった。はて、どこまで話したかな?」

 

「妹ちゃんたちに何をプレゼントしているのかってところね。」

 

「あぁ、贈り物。そうだな...我らの間でそう頻繁に何かを祝い贈り合うと言ったことはしないのだが...」

 

「そうなのね...ごめんなさい、時間取らせちゃって。」

 

「まあ待ちなさい。頻繁にしないと言うだけで、しない訳では無いのだ。」

 

「本当に?出来ればどんなことをして、どんなものをあげているのかを聞きたいのだけど。」

 

「あぁ。そのために来たのだろう?」

 

「...じゃあ最初から言ってくれれば良かったんじゃ?」

 

顔をじっと見つめるギョクソウと目が合って、チョンユエはイタズラが成功した子供のような笑顔をフッと浮かべた。

 

「すまないな。如何せん妹たち以外、それも人の子の友人とこうして歓談するのは何年ぶりだったか...年柄にもなくはしゃいでしまったな。」

 

恥ずかしそうな顔でチョンユエが続ける。

 

「仕事上、他のオペレーターと関わる機会こそあれど、どれも鍛錬の話ばかりであったからな。...どうした?何か疑問があるようだが。」

 

「...私、人間?」

 

何処かにまだ引っ掛かりがあるような顔持ちで呟くように、確認するように言った。

 

「ニェンから少し話は聞いてな。昔に色々あったようではないか。」

 

「...まあ。」

 

「それでも、愛する者たちと食卓を囲い、社会に混ざり合って過ごす者のどこが怪物なものか。安心するといい、お前は立派な人間だろうよ。」

 

「...知らない人の作った物はまだ食べるのしんどいけどね。」

 

「そうなのか?それまた難儀な...あぁ、だからニェンが食事に誘っても、いつも断っているのか。」

 

なにやら残念そうな顔になったチョンユエをフォローするように言葉を続ける。

 

「それは単純に忙しかったり、気分じゃないだけよ。ニェンちゃんはなんか...安心できるって言うか...本当に気分の問題なんだけど、ニェンちゃんとならそこまで。」

 

「ほう...それはなかなかに...」

 

「面倒でしょ?気を使わなくていいのよ。」

 

「...難儀だな?」

 

「さっきから難儀しか言ってないじゃない。」

 

「...」

 

「...」

 

沈黙と共に、顔を合わせる二人。

 

そして、二人同時に吹き出した。

 

「「ふっ...はははっ...!」」

 

「...じゃない!」

 

「ふむ?」

 

「プレゼント!あの子たちには何をあげたの?」

 

「そうだったそうだった。私が個人的に面白かったものを教えてやろう。」

 

気を取り直して、昔を懐かしむように話し始めた。

 

「ニェンは確か...いまもなお鮮明に思い出せるほどの、美しい七色の実を付けた植物と、燃え尽きることの無い皮衣だったか...」

 

「(それ優曇華の花と火鼠の皮では...?かぐや姫...?)」

 

「そうだ、シーには最近やってな。機械で描かれた絵を、なにか新しい知見を得られるやも知れんと見せたのだが...こっぴどく怒られてな...」

 

「あ、うん。なんかわかる。」

 

「『微塵も美しさのない冒涜』だと。あそこまで感情を露わにするあの子は久しかったな。」

 

「それで、リィンちゃんは?」

 

「リィンはだな...贈り物を用意させられた、と言った方が正しいか。」

 

「...?」

 

「なに、簡単な話だ。あの子の気になっている酒を造るのを手伝っただけだ。なにやら、そろそろ酒瓶が空になりそうだったらしくてな。」

 

「えぇ...ちなみにそれ、いつの話?」

 

「シーはほんの2年前だな。ニェンとリィンは...600年前だか700年前だったか...それくらいでは無かったか。」

 

年月の差がおかしいし、600年前のことをつい最近のような顔して言うのもどうなのだろうか。

 

「めっちゃ前じゃない...」

 

残念ながら、あまり参考には出来なそうだ。

 

「うん、ありがとうね。」

 

「なに構わんよ。礼と思うなら、またこうして他愛の無い話でもしてくれればよい。」

 

人当たりの良い笑顔を浮かべて、ギョクソウを見送った。

 

 

 


 

 

とある宿舎内...

 

「ということで来たわよ。」

 

「...」

 

「さて...全て吐いてもらおうかしら。」

 

「...」

 

ギョクソウはクランタの男性にウザ絡みをしていた。

 

「あの?」

 

「...はぁ...」

 

「あ!やっとムリナールさん反応した!」

 

ムリナールの返事とは取れないような反応にギョクソウが喜んだのも束の間...

 

「...」

 

「...ちょっと?」

 

再び両手で広げた新聞紙に目を落とした。

 

「ふぅん...まあいいわ。勝手に話すから。」

 

「...」

 

「マーガレットちゃんとマリアちゃんに何を渡すの?」

 

ギョクソウがそう言った途端にピクリとムリナールの肩が僅かに跳ねた。

 

「なぜ私にそのようなことを聞く。」

 

「あ、やっと喋った。」

 

「茶化すんじゃない。」

 

新聞紙を適当に畳み、ギョクソウを睨みつける。

 

ニアール、ブレミシャインと同じクリーム色の目が威圧感を放つ。

 

「おー、怖い怖い。いやね?参考にしたいなーなんて思っただけよ。別に他意は無いわ。」

 

「...私があの子たちへクリスマスに贈り物をしたことなど一度もない。これで満足か?」

 

「それ本気で言ってる?」

 

「嘘を語ったところでどうもなるまい。」

 

「なんか怪しいわねぇ...ということで!」

 

「ッ!?」

 

突然ワントーン上がったギョクソウの声にムリナールが目を見開く。

 

それを得意げな顔をして一瞥したギョクソウは軽く手を叩いた。

 

「呼んだかしら私。」

 

「呼んだわよ私。」

 

もう一人のギョクソウが二人の目の前にやってきた。

 

「さあさっき仕入れた情報をそこの元社畜リーマンに叩きつけてやりなさい!」

 

「なんだと...」

 

いつも険しい表情のムリナールの眉間により一層シワがよる。

 

今にも「馬鹿馬鹿しい」と一蹴して歩き出しそうなムリナールを静止して二人目のギョクソウが話す。

 

「マーガレットちゃんとマリアちゃんに聞いてきたわ。あの子たち二人とも、ちっちゃい頃にクリスマスプレゼント来たって言ってたわよ。」

 

「...おやおやぁ?」

 

「これはどういうことかしらぁ...?」

 

「あなたはプレゼントをしてないのに...」

 

「あの二人はプレゼントを貰ったって言ってるわよ?」

 

「...はぁ。馬鹿馬鹿しい、ゾフィアが贈ったものだろう。」

 

学生のレポートの間違いを指摘する教授のように、落ち着き払って言う。

 

まだ湯気の出ている、コーヒー入りのマグカップを手に取り、一口啜る。

 

「あ、ゾフィアちゃんのとは別で貰ったことあるって。」

 

「くっ...!」

 

ムリナールの顔が僅かに歪んだ。

 

どうやら相当コーヒーが苦かったようだ。

 

「「...勝ったな。」」

 

「風呂食ってくる。」

 

「アンタはもうおやすみよ。」

 

「え!?ちょ、うそで

 

焦るギョクソウは直ぐに炎となって消えた。

 

「さて...全て正直に話してもらおうかしらぁ?」

 

「...人形だ。」

 

ポツリと零した言葉を拾い損ねたギョクソウが聞き返す。

 

「え?」

 

「あの二人には、人形をやった。」

 

「ほー...人形ねぇ...」

 

「悪いか。」

 

「いいえ。ただ、意外だなって。」

 

「そうか。そうだろうな。」

 

「あなたって、子供のため〜とか言って教育系の本とか渡すタイプだと思ってた。」

 

「(...あ、これサリアちゃんだ。)」

 

 


 

「...っくしゅん!」

 

「サリア...風邪か?オレがあっためてやろうか?」

 

「ふー...いや、大丈夫だ。」

 

「?そっか。」

 

 


 

 

「今なんかすっごい睦まじいところに水差した気がする...」

 

「私の話を聞いているのか?」

 

「え、えぇ聞いてますもの!マーガレットちゃんの大ファンがロドスに来るって話しよね?」

 

「全く違う。」

 

「...あはは...」

 

「私は流行りものを適当に選んで渡しただけに過ぎん。お前は、お前が渡したいものを、あの少女が好みそうなものを渡せばいい。」

 

「...」

 

再び新聞紙に目を落としたムリナール。

 

元々ギョクソウが目に入っていないような顔がムリナールの心の言葉を代弁していた。

 

しばらくしても視界の隅に居座る巨大な尻尾が気になったのか新聞紙の上から僅かに覗き込んだ。

 

「...どうした。何故まだいる。」

 

「いや...そうよね。あの子が好きそうなものを渡すんだから、他の子のプレゼント聞いても意味ないわよね...」

 

「遅いな。」

 

「まさに目からウロコね。ありがとう、たまにはいい事を言うムリナールさん!」

 

「失礼極まりないな。」

 

 

 

 

 

 

「あの子の好きなものか...お菓子か...可愛いお人形さん?作れるかな...」

 

うんうん唸りながら歩くギョクソウの前に、見慣れたいつもの奴が飛び出してきた。

 

「わらわも可愛いと思いますわ!さあスズランさんにどうで...いたたたた!!?」

 

「んー...裁縫嫌いなんだけど...あら?何してんのよアヴドーチャ。」

 

「そうっ思うのならっ!この手を離してくださいまアタタタッ!?」

 

「え、あ、ごめん。」

 

パゼオンカの顔面を掴み、血管が浮き出るほど力を加えて握りしめていた手を離す。

 

ギョクソウの手の形に薄らと青くなっていたが、すぐにいつもの血色の良い顔に戻った。

 

「いったい、ですわ...」

 

「いやごめんて。こう、つい反射的にね?」

 

「ひい、ひい...反射で顔面掴まれたらたまったものじゃありませんわ...」

 

「ごめんって。それでどうしたの?今忙しいからあなたの日課であるドゥリン観察には付き合えないのよ。」

 

「いつからわらわにそのような習慣が出来ておりますの?」

 

「え?してないの?」

 

「...少しだけ。」

 

「ほらやっぱり。」

 

「...はっ!い、いえ!その話ではありませんわ。プレゼント!あなたがぬいぐるみを手作りすればいいのですわ!」

 

「良いとは思うけど...何作ろうかって話なのよね。あの子が好きな可愛いものとか知らない?...もうネコとかでいいかしら...」

「えぇ...」

 

「何その顔。」

 

口元を抑えて軽く体を引くパゼオンカ。

 

そして、ゆっくりと手を持ち上げてギョクソウを指差した。

 

「...なに?その指。」

 

「スズランさんが好きなのって...あなたじゃありませんこと...?」

 

「私が私の人形渡すの?嫌よ。それで違ったら恥ずかしいじゃない。それだったらリサの人形作るわよ。...そうね、リサの人形作りましょう。」

 

呆気なく却下したが、何を作るかが決まって既に材料やサイズを考え始めたところでパゼオンカがさらに口を出した。

 

「セットで。」

 

「は?」

 

「あなたとスズランさんセットで...いきましょう...!」

 

謎に力強く言った。

 

 


 

 

「という訳で、来ちゃった☆」

 

「お邪魔しますわ☆」

 

「は、はい...?」

 

ガタガタとミシンを忙しなく動かしているバイビークに、二人はなんとも軽いノリで説明を終わらせた。

 

針を動かすミシンを見ながら、時たま横目でこちらを見てくるバイビーク。

 

「す、少し待ってください...はいっ!お待たせしました!」

 

ある程度仕上がったのか、ミシンから布を取り外し、糸を切り、畳んで傍らに置くと改めて二人の方に向き直した。

 

「それでは...ぬいぐるみでしたね?でしたらやはり、素材は羊毛フェルトかフェイクファーで...」

 

「あっちょっと待ってバイビークちゃん。...はい。」

 

早速素材のカタログを取り出して決めていこうとするバイビークを止めて、ギョクソウは手に持っていた袋から白と黄色、二つの両手に収まるサイズの毛玉を取りだした。

 

「これで、二つ作れないかしら?」

 

「...触っても?」

 

「どうぞ。」

 

二つ受け取り、一つは手に持ちもう一つは机に置く。

 

そして手に持った毛玉を、神妙な面持ちで触り一通り満足したのかもう片方も同じように触る。

 

しばらくしてからそちらも机に置き、二人に笑いかけた。

 

「これなら大丈夫だと思います。それにしても...どうしてこの二つなんですか?なにか思い出のものだったり...?」

 

「...あー、あはは...思い出っちゃ思い出ね...」

 

「正直に仰ってください。バイビークさんに失礼だと思いませんこと?あ、少しだけ服を拝見させていただきますわ。」

 

一言断ってからバイビークの部屋に所狭しと置かれた服を見に行くパゼオンカ。

 

「どうぞ〜...えっと、それで、これはなんの毛なんですか?」

 

「...はあ、それもそっか...それね。私とリサの毛。」

 

「そうなんですか...?」

 

「尻尾!尻尾の毛だから!」

 

「なんのフォローですの?」

 

「色合いとか、私とあの子を作るのに必要かなって思っただけよ。」

 

苦笑いを浮かべながら、ちらりとバイビークの方を見る。

 

どうやら、あまり悪印象では無かったようで、納得のいった顔をしていた。

 

「たまに、自分の尻尾の毛で何ができないかと訪ねにやってくる方もいますのであまりおかしなことじゃありませんよ。」

 

「そうなのね。」

 

「では、今日からもう作り始めましょう!」

 

「え゙」

 

「...?私が作り方をお教えしますので...一緒に作りませんか。」

 

「や、元々私がやる予定だったけど...いいの?忙しそうだけど。」

 

「これくらいなら空いた時間ですぐできますので。」

 

「「わお...」」

 

いつの間にか戻ってきたパゼオンカと共に、感嘆の声を上げる。

 

「そんなに言ってもらって、断ったら悪いわよね...お願いするわ。」

 

「わらわ見ていたいですわ。」

 

「アンタは私の裁縫技術を見て笑うだけでしょうが。その口縫ってやりましょうか?」

 

「そんなに苦手なんですか?お裁縫...」

 

落ち込んだ様子で聞くバイビークにギョクソウが慌てて訂正する。

 

「...好きじゃないのよ。ごめんなさい」

 

「あらぁ!あなたにも嫌いなもイタタタ!?」

 

「うっさいわねぇ...!仕方ないでしょうが嫌々学ばされたものなんだからいい思い出なんか無いに決まってるでしょうが!」

 

「ひぃ、ひい...前が見えねぇですわ...」

 

微妙にした空気をなんとか仕切り直してギョクソウはバイビークに、『嫌いなのは...大目に見てくれると嬉しいわ。』『嫌いだけど頑張るわ。』など精一杯にやる気を伝えていた。

 

「...少しでも好きになるように、お手伝いしますね。」

 

優しく笑って意思表明するバイビークだったが、後にこう語る

 

 

 

 

 

 

 

 

「嫌いと苦手って、イコールじゃないんですね...」

 

 


 

 

ギョクソウ...裁縫は嫌い(苦手とは言っていない)なタイプのヴァルポ。色や触り心地から尻尾の毛を使うことを決めたが、どことなく呪術味を感じてちょっと怖い。

 

パゼオンカ...少しからかっただけなのに頭握りつぶされそうになった。気分はさながら手で絞られるリンゴ。飲んだらもれなくドゥリコンになること間違いなし。

 

チョンユエ...形なりを成さず千招百式貴様らの問題解決は勁発すれば千招百式千招百式責様らの問題解決は千招百式勁発すれば千招百式形なりを成さず千招百式貴様らの問題解決は勁発すれば形なりを成さず

 

ムリナール...『あれでも答えなかったら電話応対中のあなたのモノマネするつもりだったわ。』とギョクソウに言われて、あの段階で諦めて素直に話して良かったと心の底から思った。姪っ子たちは大事だが、如何せん距離感に困っているおじさん。

 

バイビーク...一通りの作り方を二、三回教えただけで自分で出来るようになるぐらい上手なのに嫌いになるって何があったんだろうか、と思っている。

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