どきなさい!私は「お姉ちゃん」よッ!!   作:とろねぎ

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...さむっ

メリークリスマスですわ!なんやかんやでこのシリーズも半年続いてるんやなって...(しじみ)

 

出オチみたいなネタなのにかなり評価いただいていてウレシイ...ウレシイ...ただこれはアークナイツというブランドの力なのでは?ねぎは訝しんだ。

 

あと、最後のはやってみたかっただけですすいません。タグに『キャラ崩壊』付いてるから良いよね!?(言い訳)

 

 


 

 

ロドスに数多くある部屋の内、特別に広い部屋からたくさんの声が聞こえる。

 

人々の談笑に混ざって子供たちの楽しそうな声も聞こえる。

 

ドクターはそれらをBGMに部屋を眺めていた。

 

部屋に鎮座し存在感を放つ巨大で煌びやかなツリー、赤と緑のリボンで飾り付けられた壁、扉の上に掛けられたクリスマスリース...

 

一年の終わりが訪れたのだと、感傷に浸っていたところだった。

 

ロドスのトップ三人が取り仕切ってのクリスマスパーティー。

 

クロージャが飾り付けを出し、アーミヤが飾り付け、ドクターが指揮を執る。

 

ケルシーはこのような行事ごとに関心が薄く、パーティーに参加する時間があるなら用事を済ませる、そのようなことを言われたのを未だにドクターは覚えている。

 

「なんか最後の方に罵られた気がするなぁ...断るだけでよかったのに一言多いんだよなあの年増フェリーン...」

 

「...今のケルシーに言っとくな!ドクター!」

 

ドクターの前をちょうど通りがかったガヴィルは、ジュースの入った紙コップを片手に笑っていた。

 

それはもういい笑顔で。

 

「それだけは勘弁してください。お願いですので...」

 

「考えとく!じゃーなー!」

 

「(終わった...)」

 

考えうる最悪な事態を瞬時に複数予測したドクターの頭脳。

 

それによってかかるとてつもないストレス。

 

それを回避し、自身の心を守るためにドクターの頭脳が弾き出した結論とは...

 

「...酒!飲まずにはいられないッ!」

 

現実逃避(ヤケ酒)であった。

 

酒に酔って気分を紛らわせるのは至って手頃で、健全な方法だろうから。

 

酔いが回ってきたドクターを近くで見守っていたオペレーターたちからすれば、格好の的だった。

 

...主に要介護者として。

 

「ドクター、己の配役、そして役柄をよく考えるべきだ。」

 

ドクターの影から現れたようなファントムが少し説教をして水を置いたり

 

「ふふっ、ドクター?体調には気をつけてね。」

 

天井から降りてきたグラベルがブランケットをかけていったり...

 

一瞬睡魔に負けて意識を飛ばしていたドクターだったが、目を覚まして状況を理解すると少しだけ誰かから労わられているような気持ちになった。

 

「...あっドクター!」

 

「んあ?あんれりぃな...?」

 

「えっなんでそんなにべろんべろんなの...!?水!水飲んで!」

 

一瞬よぎったよくない考えを振り払ってドクターを介抱するアンジェリーナ。

 

フードに隠れて見えないが、ドクターの目がはっきりとこちらを捉えた。

 

「...アンジェリーナ?どうしたの、そんなに急いで。」

 

「ギョクソウさん見てない!?」

 

「ギョクソウ?ギョクソウなら...」

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「...はー...」

 

ヘリポートのそばに備え付けられたベンチに座りながら、ギョクソウは自分の息が白く夜空に上っていくのを見つめていた。

 

艦内から届く暖かな光とは正反対の、暗く冷たい夜のなかにいた。

 

ジッと足を組んで身じろぎもせずに座っているギョクソウは、その容姿も相まって精巧な芸術品か何かのように思う人もいるだろう。

 

寒いのは嫌だけど、あの団欒の中にいたくもなかった。

 

友人などの親しい人々がいないわけではなかった。むしろ、軽く雑談をする程度の間柄の者なら両手足の指をすべて用いても足りないぐらいだ。

 

それでも嫌だったのはどうしてだったのだろうか。

 

流れゆく雲のように浮かんでは消えるとめどない考えを捕まえようと思案しているギョクソウは、終ぞ近くまで来ていた人物に気付かなかった。

 

温かいものが髪を掻き分け、首に触れた。

 

「おひゃあ!?」

 

「何を驚いておりますの...そんなに熱かったのですか?」

 

「...なんだ、アヴドーチャか。」

 

いつもの水着同然の恰好ではなく、露出の少ない暖かそうな服装をしていたパゼオンカは少し顔をしかめた。

 

「なんだとはなんですの?失礼ですわね。...もう少し、詰めていただいてもよろしいでしょうか?」

 

「ん。」

 

足を解いてスペースを開けると、パゼオンカはすかさずそこに座ってどこからか取り出した盃にへと徳利を傾けた。

 

注がれた盃から湯気が立っているのをギョクソウは横目に眺めていた。

 

「んぐ...ぷあーっ。いいですわねぇ...」

 

「...それ、熱燗?」

 

「ご存じでしたの?」

 

「そりゃあね。気持ち酔いにくいから割と飲むわよ。」

 

「でしたら、あなたも飲まれます?」

 

「いんや遠慮しとく。少ないでしょ?それ。」

 

「それならご心配なく。あと、四瓶ほどございますの!」

 

傍らから複数の酒瓶を取り出してドヤ顔をするパゼオンカを見て、呆れながら口を動かした。

 

「...じゃあ、私も一杯ちょうだい。冷めたらあっためてあげる。」

 

自分の力で作り出した盃をパゼオンカの方に寄せた。

 

トクトクと注がれ、早速飲もうとしたところをパゼオンカに肩をつつかれた。

 

何事かと見るとパゼオンカも既にもう一杯入れて盃を寄せていた。

 

突き出された盃と何故か自慢げなパゼオンカの顔を交互に見た後、わざとらしくため息をついて

 

「「乾杯」」

 

器のぶつかり合う、薄く儚い音を響かせた。

 

一気にあおるパゼオンカと対照的に、舐めるように飲むギョクソウだったが、すぐ二人同時に息をついた。

 

一人でいた時よりも多い白色が空に上った。

 

「...はぁ...アヴドーチャ、無理して私に付き合わなくてもいいのよ?寒いでしょう。」

 

とぷとぷとぷ...

 

「んぐ...ぷはー!美味!美味ですわ!」

 

また飲んでるこいつ...

 

「これを教えていただいたホシグマさんには感謝を...なんと申しました?」

 

「...いや、なんでもない。」

 

ただ適当な話題を振られるよりもこうして隣で楽しそうに酒を飲んでいる距離感が心地良かった。

 

いやそれでも飲み過ぎだと思うんだけど。

 

何杯目よちょっと。

 

ただそんな私の心配は無用みたい。

 

ウルサス人ってすごい。

 

ここまで見事な飲みっぷりを見せられると、ますますどうしてこの寒い中私の隣に来て飲んでるのか余計に分からなくなる。

 

「なんでわざわざここで飲んでるわけ?」

 

「はい?」

 

「この真冬の夜に、わざわざ外で飲んでる意味がわからないって言ってるのよ。」

 

「...?...友人と共にいる方が楽しいものでしょう。何をおっしゃいますのよ。」

 

疑問符を少し浮かべての即答。

 

すとんと軽やかな音を立てて着地した疑問。

 

どうしてその結論に至らなかったのかしら。

 

「なるほど...それは思いつかなかったわ。」

 

「あなた時々コミュ障みたいになりますわよね。」

 

「バカにしてる?」

 

「えぇ。」

 

「は?その酒全て蒸発させてやろうか?」

 

「勘弁しくださいまし。わらわのせっかくの楽しみですのよ?それを奪おうだなんて...!...あら...?」

 

守るように中に入っている酒を飲み干そうとして、少し口をつけただけですぐに離した。

 

「なに?」

 

「あたため...お願いいたします。」

 

「わたしゃレンジか......はい。」

 

言い方が少し気になったけど、まあ私が温め直してあげるなんて言ったんだから文句は言わない。

 

私も残っていた分を一気に飲み干す。

 

すっかりぬるくなっていたけど、外の寒さを考えれば十分温まる。

 

またしばらく無言で、アヴドーチャが飲んで、たまに私が注ぐように要求して、酒を温めるように要求されて...

 

三杯目を舐めていた頃、もう一人やってきた。先日声を掛けた子が。

 

「ううっさむっ...!あっ、ギョクソウさんんんんん...!」

 

「アンジェリーナちゃん凄い震えてるわね。こっちおいで。」

 

震えるアンジェリーナちゃんを招いて炎で温めてあげるととても気持ち良さそうな顔で感謝を述べられた。

 

ただ、かなり急いでいるような顔だったし聞いた方がいい...よね?

 

「暖かくなってるところ悪いわね。急いでたみたいだけど...どうしたの?」

 

「はっ!そ、そうでした!こ、これっ!これどうぞ!」

 

何かの賞状でも授与するかのごとく仰々しく私に両手を出てきた。

 

その手には、一通の手紙が乗っていた。

 

どうぞと言っていたのだから、私宛のものだと判断してそれを受け取り、宛名や差出人を見る。

 

「なんですの、なんですの?一体どなたからっ?」

 

酒が入った野次馬とか厄介極まりないわよね...なんてくだらないことを考えていたが、書いてあったものを見てすぐに気にならなくなった。

 

「その...ごめんなさい!」

 

手紙には、稚拙そして柔らかい字で『サンタさんへ』と書かれていた。

 

そして、差出人は...

 

「リサの手紙...あったの?」

 

「中を、見て欲しいんです...」

 

困っているような、後悔しているような顔で言うアンジェリーナちゃんを見て、わずかにあった怒りもゆっくりと落ちていった。

 

「んーと?『サンタさん わたしはプレゼントいりません。そのかわりに お姉ちゃんのほしいものを プレゼントしてください』...?」

 

予想外の情報に放心しかける。危ない危ない

 

「良い子ですわね〜?」

 

ニヨニヨしながら言うんじゃないよ酔っ払い。

 

それにしても何か引っかかる...なんだろう...

 

「...あ。」

 

「?」

 

「これ、もう前から持ってたんだ。私があなたに尋ねる時にはもう既に。」

 

「...はい。」

 

「だから私に欲しいものないか聞いてきたんだ。それで、特に無かったからどうすればいいのか困ってた...と。」

 

「はい...」

 

「あ、言っておくけど怒ってないからね?」

 

「はい...えっ?怒ってない、んですか...?」

 

「ビックリしたけど、それだけ。むしろ、少し嬉しいかも。」

 

「嬉しいんですか...?」

 

「えぇ、あの子がこんな気遣い見せてくれるのが、とっても。」

 

「姉バカ!久しぶりに姉バカ出ましたわね!」

 

やっぱりうるさいわねコイツ。

 

「まあ...子供は子供らしくしてくれればいいのにね。あっという間に大人になっちゃうんだから。」

 

「...」

 

「まあとりあえず、私が何とかしとくわ。だから、そんなに気にしないで。」

 

「...ありがとうございます。」

 

「また敬語!」

 

「へ?」

 

「楽に話してって言ったのに...私、悲しいっ!」

 

「うわキツ...」

 

後で『おはなし』なお前。

 

「...えっと、あ、ありがとうギョクソウさん!ま、またね!」

 

「うんまたね〜」

 

まださん付けなの少し気になるけど、そのうち慣れてくれるかしら。

 

...無理させてたらどうしよう。

 

「く、くくっ...!」

 

「...アンタの酒全部燃やすわよ。」

 

「やめてくださいまし。このやり取り先程も「アンタにぶっ掛けてから」ぶっ掛けてから!?」

 

「えぇ。」

 

「わらわ燃える!燃えてしまいますわ!」

 

「私はいつもあの子に萌えてるわよ。」

 

「やかましいですわ。」

 

 

 

 

 

あー、のみすぎた...

 

次から次へと、注ぎおってからにあのドゥリコン...

 

「...ふー」

 

「あら、おかわりですの?」

 

「...私は月で、あなたとあの子は...星の研究者かしら...」

 

「...いきなり何を小難しいことを?水お持ち致しましょうか?」

 

「失礼な。や...月ってさ、遠くで見る分には綺麗じゃん?光って、丸くて、すべすべしてる。」

 

感傷に浸った顔持ちで続ける。

 

「でも近くで見ると、思ったより濁った色してるし、ゴツゴツしてるし、あんまり綺麗じゃないのよね。だから私は月。あなたたちは、私のことをよく知ってるけど変わらず近くにいてくれるでしょ。」

 

「ギョクソウさん...」

 

なんだかアヴドーチャもいつになく真面目な顔をして...

 

 

 

 

 

「酔いすぎですわよ...」

 

「...もうあなたの事なんて知らないわ。精々ぬるくなったその酒をチビチビすすることね。」

 

「あー!謝ります!謝りますから!」

 

酔いに任せてくだらないじゃれあいを始めようとした時、待ちに待った瞬間が訪れた。

 

けたたましい音を立てて、ロドスの輸送機がやってくる。

 

ゆっくり、ゆっくりと慎重に少しづつ、ヘリポートに降りてくる。

 

顔を赤くして酒をあおるアヴドーチャを置いて、私も歩き出す。

 

着陸する直前の輸送機のガラスに、何か大きな影がぴょんぴょんと飛び跳ねていた。

 

吹き付ける風を浴びながらその影をずっと見ていた。

 

「あら、ふふっ...ごくっごくっ...ぷは!」

 

「可愛いでしょう?あとあなた行儀悪いわよ。」

 

もはや注がずに瓶に直接口をつけて酒を飲みながらアヴドーチャもやってきた。

 

輸送機の扉が開くと共に、見慣れた、しかし最近見ることの出来なかったあの子が飛び出してくる。

 

アーツユニットを抱えて、子犬が飼い主を見つけたように小さな歩幅で駆け寄ってくる。

 

笑って、手を振って...

 

「きゃっ!」

 

...転んだ。

 

「え、ちょっと!大丈夫!?」

 

急いで駆け寄るけど、他の降りてきたオペレーターの子達が先に倒れているあの子を助けてくれた。

 

手の触れる位置まで来た時には、もうリサは目を閉じて寝息を立てていた。

 

「ありがとうね...電池切れ?」

 

「そうみたい、ですね。はは...」

 

困ったように笑うオペレーターの子からリサを受け渡されてそのまま抱き抱える。お姫様抱っこってやつ。

 

これ持ちやすいのよね。

 

「眠っておりますの?」

 

「電池切れちゃったみたい。お話、したかったんだけど仕方無いわね。リサを部屋に寝かせてくる。せっかくだし、アヴドーチャは私の部屋にあるアレもってきて。」

 

「あ、わかりましたわ。」

 

アヴドーチャと別れてリサの部屋に入り、ベッドに寝かせるとリサがもぞもぞと動き始めた。

 

寝返りを打って動く腕が、私を探してるみたい。

 

「んふ...」

 

「...?」

 

「ただ...い、まぁ...」

 

「...ふふ。」

この寝顔を見ていると、やっぱりまだ子供なんだなって、安心する。

 

大人になって欲しくない訳じゃない。

 

ただ、今の純粋なリサのまま成長して欲しいと思う。

 

まあどれだけ言ったところで、これは私の願望だから叶おうが叶わまいが、この子が幸せで、最後の最後まで笑ってくれればそれで良いから。

 

「おかえり。それと、おやすみ。」

 

頭を撫でたあと、改めて毛布をかけてアヴドーチャを待つ。

 

「おまたせいたしました...?」

 

気を使って静かに入ってきてくれたアヴドーチャから二つの膨らみがある小さな小袋を受け取って、リサの枕元に置いた。

 

もう一度頭を撫でて部屋を出た。

 

「...ふうー...なんとかなったわね。」

 

「わらわは?わらわにはございませんの?」

 

「調子乗るんじゃないわよ酔っ払い。」

 

すぐ調子に乗るんだからもう...

 

「...アヴドーチャはまだ飲むつもり?」

 

「...?そのつもりですが。」

 

「一時までなら付き合ったげる。でもあんまり飲ませないでよ?」

 

「なんなんですのそれ。我儘なんですから。」

 

今はとにかく、潰されてもいいから誰かと...親友とこのむず痒い感情を共有したい。

 

 

 


 

 

 

ギョクソウ...しっかり次の日二日酔いになった。頭ガンガンしてるしたまに足元がふらつく。でも本人曰く『まだ軽傷』との事。ウルサス人ってすごい。

 

パゼオンカ...酒!酒!!酒!!!このような記念すべき日こそアルコールと自分に酔いしれるべきですわ!と言ってさっきまでホシグマ、パラス、アルケット、マウンテン、リィンなど酒豪の面々と共に飲みまくっていた。意外にもリィンが一番最初に離脱した。なにせチョンユエとニェンに連行されて行ったから...

 

安心院・アンジェリーナ...スズランの手紙をどうすればいいのか困りに困ってたけど、ドクターが『ギョクソウにそのまま言えば大丈夫だよ』と言ったため言われた通りにしてみた。

 

ケルシー...*深いフェリーンのため息*ドクター、君が日頃からどれだけの責務に苛まれているのかは把握しているつもりだ。最も、それと同じくらいに君に醜態・痴態も知っている。確かにこのような催しの場では広く羽を伸ばすのも良いだろう。我々だけのプライベートな空間なのだから外部から狙われることもない。しかしだからといって無闇矢鱈と酒類を煽るのは感心しないな。組織を統率するものが自堕落に酒に酔っている光景を見て組織員はどう思う?それは態々熟考しなくてもわかる事だな?ドクター。...まあ、一年に一度の催しではあるのだからこの時くらいは大目に見よう。ただそれでも、もし君が向上心の極めて強い人間だとすれば私が今一度『講義』をしてやろう。君だけの特別講義だ。それがわかったのなら、今夜私の部屋

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