私は銀魂が好きです。特に将軍の出てくる回は全部好きです。
いや、ここで言うのは、特に深い意味...ないけどね?
拝啓、父上、母上。
「さて、詳しく聞かせてもらおうか。」
わたしは現在、弱い電灯が照らす陰気な部屋でポで始まってスで終わる三文字の方とお話してます。
「(久しぶりに龍門に来たらこれだよー!)」
「聞こえなかったか?」
「いやっ...えーと...誤解で...」
「ほう?いたいけな少女の後ろを不審な笑みを浮かべてつけ回っていたのは誤解だと?」
「あの子は...妹で、職場の人からのお誘いで龍門に来たの。もう私、それが心配で心配で...!」
「...ストーキングするやつは皆見守ってただけだ、なんて言うもんなの。妹って言い訳は初めて聞いたがな。」
「いやいや!ホントなんだって!」
「はいはい、お話はまた後で聞きますからねー」
「くっそ完全に可哀想な人を見る目!お巡りさんがしていい目じゃ無いでしょう!」
「はい〜まだ待ってる人がいるからね〜ちょっと別の部屋で待っててね〜」
「はぁ!?オッメェ*侮辱的な極東のスラング*かよ!」
「「立て。」」
「アッ、屈強なお兄さん方...優しく...してね...?」
「あふん!」
「ここで待っていろ。」ギィ...
「ちょっと!投げることは無いんじゃないかしら!?ってもう扉閉めてやがるあの*差別的な極東のスラング*!!」
「(はぁ...まず周り確認してみるか。)」
そう思い。部屋全体を確認する。
仕切りも何も無い便器、コケが生えている床、水漏れしている天井、今にも消えそうな電灯、折り紙程度の厚さの布数枚...
「(...独房かしら。もしかして、私って実はもう捕まってる?懲役何年かしら。)」
「時計がないと微妙に落ち着かないわね...皆は分かってくれるのかしら。リサは...共感してくれそうね。あの子、キッチリしてるから。」
「...はぁ。独り言で孤独感を誤魔化すのってなかなか無理があるわね。」
「(多分あの布って、ベッド...のつもりなんでしょうね。)」
「(そういえば、最近忙しくて...)ふわぁ〜...ゆっくり出来るいい機会かしら...」
「...こうなりゃもうふて寝よふて寝。おやすみなさい!」
布は広げてあったため、これ幸いと倒れるように布の上に勢いよく寝転んだ。
「ぐうっ!?」
「...あら?」
「痛いですわ!どいてくださいまし!」
誰かの悲鳴と共にもぞもぞと動き始める布。
「(前もこんなことあったな、前のはソファだったけど。)」
「お、重い...ですわ...!」
「あぁ!?何じゃおめぇ!重いだのなんだの失礼なやっちゃな!」
「わらわは重いしか言っておりませんわよ!?」
「うるせぇ!ツラ見せろぉい!」
「もう、なにをするんですの...?」
布を剥がすと、中からはピンクの髪をしたループスの女性が出てきた。
「(...どっかで見た気がする...!誰だっけ...)」
「(...なにやら既視感が...顔はどこかで見た覚えがあるのですが...)」
「...せっかくですし、軽い自己紹介でもいたしませんか?」
「いいや、この場じゃあ名前なんてものは意味をなさない...」
「(何言ってるのかしらこの方。)」
「せっかく、って言うならお互い何やってこんな所にぶち込まれたか晒し合おうぜ!」
「せっかくの使い方間違っておりませんの!?」
「まず私はね〜親愛なる...てか溺愛してる妹が心配でこっそり見守ってたら通報されちゃった!」
「...!」
「いやこれ通報したやつもこれで私を拘留する龍門ポリス、どっちも酷くない!?ただ見守ってただけなのにーッ!」
「ご安心ください。」
「んあ?どうしてよ。」
「わらわも似たようなものだからですわ。」
「えっ...」
「わらわ、今日は有給をいただいてここ龍門にやってきたのですが途中、なんとも健気なドゥリンの子を見つけましたの。」
「その子も龍門は慣れていないのか、右へ左へ...かと思えばさっき来た道へ戻ってきたり、目が離せませんでしたの。」
「...なるほど?オチが読めたぞ。」
「はい、あなたと同様にわらわが見守っているのを見て、誤解した龍門の方に通報されてしまいましたの。」
「あっちゃあ〜w」
「そう考えると、わらわたち、似たもの同士なのかもしれませんわね?」
「わかるわかる!だって可愛いんだもん!」
「えぇ、理解していただけますか!?愛らしいですわよね!」
「リサ!」「ドゥリン族!」
「「...あ゙!?」」
ブオンッ!
お互いの言葉を聞いた瞬間、先程までの和気あいあいとした空気が消し飛び、少しの間もなくお互いに拳を振るう。
ゴシャアッ!
鈍い音と共にその拳を交わしあう。
「がっ...!痛ってぇ〜ッ!」
「いきなり...何をしますの!?」
「こっちのセリフだわドゥリコン女!」「ドゥリ...ッ!?」
「こ、これだから地上の者は野蛮ですわ!あぁ、ゼルウェルツァが恋しい...!」
「うるせぇ!テメーが先に手ぇ出してきたんだろうが!私ゃそれを迎撃しただけ!」
「ふんっ!人の心の拠り所を愚弄するような方が何を!」
「え?私...別にバカになんかしてないぞ?」
「えっ...?」
「まず、好きな物も嫌いな物も一致してないのが人間だろう?みんな違ってみんないいって奴だ。私の職場の同僚にさ、感電するのが好きって奴が居るんだけど...どう思う?」
「(わらわの職場にも居ますわね...)いえ...感電は...」
「でも、ソイツは感電が大好きなのよ。...ね?好きな物なんて人それぞれ、一々否定してたらキリがないわよ。」
「そう...なのですね。」
「別に、『無理にでも受け入れろ』とは言わないわ。ただ、『否定はするな』ってだけで。」
「受け入れなくとも...」
「あぁ、そうさ。」
「...地上の方が...」
「ん?」
「地上の方が...みな、あなたのようだったらもっと争いはなくなるのでは無いかしら。」
「あー、確かに。『好き』の押しつけ合いは戦争に発展するわね。リサ...妹の子も言ってたよ『どうしてみんな、助け合えないのでしょうか...』だってさ。」
「ふふっ...案外、長らく続いている問題を解決する方法は子供の方が分かっているのですわね。」
「えぇ、全くだわ。」
「...ねぇ、さっき『自己紹介に意味なんてないわ(キリッ』みたいなこと言ったけど、あなたとは仲良くなれそう。名前は?ケータイ持ってる?メアド交換しようよ。」
「い、いきなりグイグイ来ないでくださいます!?一つずつお答えいたしますから!」
「な、名前は...アヴドーチャ、お仕事ではパゼオンカ、と名乗っておりますわ。あ、種族はループスですわ。」
「(えっ、偽名使う仕事してるの?源氏名?『ご指名いただいた、パゼオンカですわ...』ってか!?)」
「ちょ、ちょっといい?」
「...?どうされましたの。」
「なんで名前が二つあるの?まさか、ちょっとここでは言い難い仕事をしているんじゃ...」
「...ちっ違いますわよ!!」
「あっ良かった〜ちなみに何してるとこなのよ。」
「製薬会社で商品や企画、会社のキャッチコピーを作っておりますわ。これでも書き物が趣味ですの。」
「へぇ、好きな事を活かせる仕事って素敵だと思うわ。(偽名使う製薬会社ってウチ以外にもあったんだァー!)」
「...あなたは?」
「あっごめんね。私の名前はギョクソウ。見てわかる通りヴァルポよ。私も製薬会社で働いてるんだよね!まぁ...ベビーシッター...みたいな事してるわ。」
「(製薬会社でベビーシッター...?)えっと...会社内に子供が...?」
「あ...うん。製薬会社兼病院、みたいな?他にもいろいろやってるけど。そこで...ね?あ、あとは普通に事務仕事とかね。」
「聞けば聞くほど、わらわの職場にそっくりですわね。」
「え、まじ!?もしかしたら、同じ職場だったりしてねぇ!」
「うふふ、ありえないとは思いつつ、そうであって欲しいとも思うようなことですわね。」
「あはは!じゃ、メアド交換しよー!」
「しょ、少々お待ちいただけるかしら?どうもケータイには不慣れで...」
「(でかい子が必死にケータイ使おうとしてるの微笑ましいなぁ...)」
「はい、準備いたしましたわ。」
「おっけー!こうして...できた!よーし、私たちもうこれで友達!」
「(...初めて地上で友人と呼べる方が出来ましたわ!ふふっ、ズディチに自慢しようかしら。)」
「適当になんか送ってみるわね。(『妹マジ天使』っと...)」
「ちょ、ちょっと待っていただける!?わらわが...!」
『やっぱりドゥリンは最高ですわッ!』
「...」
「あ...あの...」
「...ごめん。」
「謝らないでいただけるかしら!?」
「えーと...実は私、自分で言うのもあれだけど、中々に器用なの。だから困ったら連絡してちょうだい!」
「...えぇ、その時はお願いしますわ。」ギィ...
錆びた扉が開く音がした。
「...」
「あら、やっと出所かしら。」
「本当に...長かったですわ...」
「なんだ、起きていたのか。ほら、新入りだ。仲良くしろよ。」ギィ...
しかし、その淡い希望を打ち砕くように新しい一人を投げ入れると扉を閉めてしまった。
「「...あれ?」」
「...なんで?」
「いやそれよりも...あの方は大丈夫なのでしょうか。」
「...おーい、お嬢さん?大丈夫?」
「あ...あぁ。」
「(...あれ!?嘘でしょ!?)」
起き上がったのは美しい金髪を持ったクランタの女性であり、少し発光しているような錯覚を覚えた。
「...どうして...こんなことに...」
「...よ!よよよ...!」
「...?」
「耀騎士かよォォォォ!!」
「...私を知っているのか?」
「騎士...?」
「あ、いやえーと...見た事が、あったからさ。」
「...そうなのか。」
「うん!そうそう!」
「ギョクソウさん...?」
「なに!?」
「あの方と...お知り合いなのですか?」
「職場の人だよーっ!」
「えっ!?」
「バレたくないから、出来る限りアヴドーチャが相手してくれない!?」
「え、えぇ、分かりましたわ。」
「...?」
「(あ...アヴドーチャは耀騎士のこと知らないなら同じ職場説は消えたなヨシ!いやなんも良くねぇよ!)」
「えっと、初めましてこんにちわ、あなたは...な、何をやってここに来たのですか?」
「(オイィィィ!いきなりぶっこみすぎだろお前ェェェ!)」
「...知り合いのヴァルポの少女が一人龍門の街を歩いていたから、それを見守っていたのだが...近隣住民の方に通報されてしまってな...」
「(お前もバカ正直に答えてんじゃねぇよ!てかなにやってんのォォォ!?)」
「...わらわたちと似たようなものでしたのね。」
「そうなのか...短い間だが、よろしく頼む。」
「えぇ、もちろんですわ。」
「...そして、それにより、わらわは心身ともにドゥリンの方々に救われたのですわ。」
「そうだったのか...大変だったな。」
「もう辛いことはドゥリンの方々が忘れさせてくれましたわ。」
ギィ...
「お前たち、出ろ。」
「(やっ...やっと出れる...)」
「(ふなぁー...昨日は大変だった...)」
「ま、新しい友達出来たしいっか。」
「あ!ギョクお姉ちゃんっ!」
「(あ、天使。お迎えか?)」
「リサ、昨日はどうだった?えーと...誰のお家にお呼ばれしたんだっけ?」
「スワイヤーお姉さんですよ!もう!」
「あはは、ごめんごめん。どうだった?」
「もうすっごいおっきくて!きれいな噴水やおっきな扉!もういろんなものがおっきくて!おっきくて!」
「ふふ、大きいのはわかったから。良かったわね。」
「はい!しかも!『またおいで』って!」
「あら〜、それなら今度いく時はお土産持っていかないとね。」
「あっ...忘れて...ました。」
「...リサが来ただけでもうお土産よね。(今度こそ忘れないようにしないとね。)」
「アッ...(またやらかしたァァ!)」
「...?そうなん、ですか...?」
「え、えぇそうよ!リサの元気な姿を見てるとこっちも元気になってきちゃうもの!」
「そ、そうなんですか?えへへ...」
「うんうん!」
「ギョクお姉ちゃん、ありがとう!」
「(はい天使。)」カシャシャシャシャシャシャ
「...あっ!そろそろワルファリン先生の講義の時間になっちゃう!ギョクお姉ちゃん、また後で!」
「うん、行ってらっしゃい。リサ。」
「...アヴドーチャにさっきの写真送り付けたろ。」
「(『天使が迎えに来たわ。』っと...)」
文章に写真を添付し、送信した直後...
『やっぱりドゥリンは最高ですわッ!』
昨日も聞いた着信音がすぐそこの部屋から聞こえてきた。
耀騎士...耀騎士かよォォォ!がやりたかっただけです。大満足。
さらっとリサを守護り隊に入ってそうな人。光のアーツと我らが光でシナジーがある。知らんけど。
パゼオンカ...身長177cmのデカデカドゥリコンループスお姉さん。人見知りが過ぎるせいで耀騎士を知らなかった。感電フェチは見覚えあったくせに。
あと、いくらテラでもあのきわどすぎる格好はさすがにダメだと思うんですけど。(困惑)