この素晴らしい世界に法則を! 作:ベビーカステラ食べたい焼き
龍星「この屋敷か。」
アクア「悪くないわね!。ええ、悪くないわ!。この私が住むのに相応しいんじゃないかしら!。」
俺達は今、荷物を持って屋敷の前にいる。クリスが帰った後、入れ替わるように不動産屋がやって来た。話をするとどうもこの屋敷に悪霊が大量におり、祓っても祓ってもすぐに来るといういたちごっこをしているそうだ。なので、ここは幽霊屋敷と認知されるようになった。そこで、今回の除霊が済んだ暁にはその報酬として悪評が消えるまで無料で住んでも良いとのこと。
ダクネス「しかし、本当に除霊できるのか?。聞けば今この街では祓っても祓ってもすぐにまた霊が来るといっていたのだが。」
まあ、大丈夫だろ。うちには対アンデッドのアクアがいるし。
カズマ「しかし、幽霊屋敷かぁ。そう言うのには付き物だよな。」
ゆんゆん「何がですか。」
龍星「殺人とか自殺とかな。」
めぐみん「そ、それってつまり···。」ブルブル
めぐみんが俺の服を摘まんでくる。ここは少し驚かすか。スイッチオン!。
〈世にも奇妙な物語の音楽〉
カズマ「!?。」
めぐみん·ゆんゆん「ひゃあああっ!?。」
カズマはビクッとし、めぐみんとゆんゆんは抱きついてきた。なんか馴れてきたな。
龍星「ハッハッハッ、驚きすぎだ。お前ら。」
カズマ「止めろよ、リュウセイ!。」
龍星「お望みならお前が夜トイレに行くときに流してやろうか?。」
カズマ「絶対に止めろ!。って、それは?。」
そう言ってカズマは俺が持ってる箱を指差す。
龍星「これは新商品のオルゴールだ。」
とは言っても、短い曲だけだけどな。
めぐみん「ううー。凄いですけどさっきのは止めてください。」
ゆんゆん「ほんとですよ!。」
龍星「スマンスマン、少しからかっただけだよ。さて、アクア、除霊はいけそうか?。」
アクア「任せなさいな!。···ほうほう。見える、見えるわ!。この私の霊視によると、この屋敷には貴族が遊び半分で手を出したメイドとの間にできた子供、その貴族の隠し子が幽閉されてたようね!。やがて元々身体の弱かった男は病死、隠し子の母親のメイドも行方知らず。この屋敷に1人残された少女は、やがて若くして父親と同じ病に伏して、両親の顔も知らずに1人寂しく死んでいったのよ!。名前はアンナ=フィランテ=エステロイド。好きな物はぬいぐるみや人形、そして冒険者達の冒険話!。でも安心して、この霊は悪い子じゃないわ。私達に危害は加えないはずよ!。おっと、でも子供ながらにちょっぴり大人ぶった事が好きな様ね。甘いお酒を飲んだりしてみたいよ。という訳で、お供えはお酒を用意しておいてねカズマ!。」
どうしよう、インチキ霊能力者みたいな事言い出したぞ。
カズマ「···リュウセイ、お前はどうだ?。」
龍星「いや、なんで俺?。アクアのあれは信じにくいのはわかる。だけど思ったことをすぐに言って、嘘や隠し事が苦手なアクアがただで屋敷に住めるのに真面目にやらないと思うか?。」
めぐみん「それもそうですね。」
ダクネス「だな。なんで名前まで分かるのかは分からないが、ここで嘘をつく必要もないしな。」
龍星「一応俺もやってはみるよ。」
ゆんゆん「お願いします。」
さて、まずは掃除から。
俺達は掃除を終わらせた後、各自部屋割りを決め、荷物を部屋に運んだ。ちなみに1番大きな部屋をもらえた。まあ、新商品作るのにもスペースは必要だし、筋トレの道具も置けるし、窓の外は森だから技の確認もできなくはないな。さて、あれを作るとするか。そう意気込んだ時だ。
アクア「ああああああっ!?。わああああーっ!!。」
!?。今のはアクアの声?。何かあったのか!。俺は慌ててアクアの部屋に駆けつけるとカズマと合流し、共に勢いよくドアを開けた。そこには、
アクア「うっ、ううっ、カ、カズマああああっ!、リュウセイいいいいっ!。」
部屋の中央で大事そうに空の酒瓶を抱え、泣いているアクアの姿が。よし、戻るか。···カズマ、その手を離すんだ。おい、カズマ!、HA·NA·SE!。
カズマ「えっと、何があった?。てか、お前は酒瓶なんて抱いて何してんだ。酔っぱらって奇声を上げたとか言ったら、クリエイト·ウォーターで水ぶっかけて酔いを醒ましてやるからな。」
アクア「ち、違うの!。この空になった酒瓶は、私が飲んだ訳じゃないわ!。これは、大事に取っておいた凄く高いお酒なのよ。お風呂から上がったらゆっくりちびちび大事に飲もうと楽しみにしてたの!。それが、私が部屋に帰ってきたら、見ての通り空だったのよおおおおっ!。」
へー、ソウナンダ。
カズマ「そうか、じゃあお休み。また明日な。」
龍星「犯人はお前が言ってたアンナって子じゃないか?。と、言うわけでお休みー。」
アクア「なるほど。よし、憂さ晴らしにちょっと屋敷の中を探索して目につく霊をしばき回してくるわ!。」
ま、丁度良いか。
ダクネス「なんだ、一体何の騒ぎだ?。」
めぐみん「もう遅い時間何ですから、勘弁してください。何事なんですか?。」
ゆんゆん「アクアさんどっか行っちゃったけどどうしたんですか?。」
先程のアクアの叫びを聞いて来たダクネス、めぐみん、ゆんゆんの3人がやってきた。
カズマ「こいつが、取ってといた酒をこの屋敷の幽霊に飲まれたらしくて憂さ晴らしに除霊するとかいってるんだよ。そもそもなんで幽霊が酒を飲めるんだよとかいろいろツッコミたいんだが、めんどくさいから俺はもう寝る。後はお前らに任せたよ。」
俺も戻るか。
カチャカチャカチャ
ふむ、良い感じに出来てきたな。後は試すだけか。コンコン
めぐみん「リュウセイ。起きていますか?。」
龍星「ああ、どうかしたか?。」
そう聞くとめぐみんは部屋に入ってきた。
龍星「どうかしたのか?。」
とりあえず、これは吸収して。
めぐみん「あ、あのですね。その、ちょっとその···。」
?。
めぐみん「ト、トイレに一緒に行ってくれませんか?。」モジモジ
あー、はいはい。
龍星「了解。さっさと行くぞ。」
めぐみん「わっ。」
手を掴んで先行するか。
めぐみん「リュウセイ、いますか?。離れないでくださいよ?。」
龍星「わかったわかった。」
めぐみん「ほんとにいますか?。」
龍星「いるよ。」
めぐみん「ほんとのほんとにですか。」
龍星「いや、だからいるって。」
さすがに、世にも奇妙な物語はやりすぎたか。
めぐみん「あの、恥ずかしいので、大きめの声で歌でも歌ってくれませんか?。」
···オルゴールででかめの音楽流すか。♪~
めぐみん「ありがとうございます。」
龍星「んじゃ、戻って寝るとするか。」
次のクエストであれを試すか。アアアアアー ヒャアアアアー
めぐみん「何か聞こえませんか?。」
龍星「聞こえるな。」
カズマ「あああああーっ!。リュ、リュウセイ!。助けてくれぇっ!!。」
ゆんゆん「リュウセイさん!、めぐみん!。逃げてー!。」
カズマとゆんゆんか、何かに追われてるのか?。
めぐみん「なんだ。カズマとゆんゆんですか。一体なに···が···。」
ん?。カズマ達の後ろに何か···。
カタカタカタカタカタカタ
めぐみん「あああああーっ!?。」
龍星「のわああああーっ!?。」
めぐみんが俺に抱きつき、俺はそのまま走った。
めぐみん「カズマ!、ゆんゆん!。こっちに来ないでください!。」
カズマ「うるせー!。俺達は仲間だろ!。なら苦難を共にするのは当たり前だろ!。」
ゆんゆん「そんなこと言わないでー!。」
何でこんな事にー!。
ひとまず押し入れに入ってやり過ごしたのはいいけど。
カズマ「せ、狭い。」
めぐみん「しょうがないじゃないですか。4人もいるんですから。」
龍星「アクアが退治しつくすまでの辛抱だ。」
ゆんゆん「めぐみん、あんまりこっちにつめないで!。潰れる、私潰れちゃう!。」
右からカズマ、俺、めぐみん、ゆんゆんの順に入っている。
龍星「おい、カズマ。さっきから小刻みに動いてどうしたんだ?。て言うか、こっちにつめてくるな。」
カズマ「トイレ。」
···。
龍星「絶対に止めろ。我慢だ。大丈夫、お前ならできる。」
めぐみん「カズマ、そんなに逝きたいのなら、逝ってきてください!。そしてそのまま、人形達をつれていってくだ···。そうです!。カズマカズマ。もっとつめても良いですよ。」
なに言ってんだこの子は?。あと、いくの字が違う気がする。
めぐみん「スンスンスン」
龍星「俺の匂いを嗅いでるんじゃねえ!。」
ゆんゆん「ジー」ゴゴゴ
ゆんゆんがなんかヤバい。なんか進化しそうな雰囲気まである。
龍星「仕方ねぇ。俺が囮になる。そのうちにカズマはトイレに行ってこい。めぐみんとゆんゆんはアクア、またはダクネスと合流。ダクネスなら人形に突っ込んでる気もするが、ないよりましだろ。」
めぐみん「ムー。」
そんな顔してもだめだ。カズマのあれを喰らいたくない。
龍星「おら、人形ども!。俺が相手じゃー!!。」ゴチン
しめた。人形を吹き飛ばせたか。このまま、
アクア「···。」
龍星「えっ、アクア!?。ご、ごめん。大丈夫か?。」
相手をしようとした俺は、ドアの前で頭を打って気絶しているアクアと傍に力を失い転がる人形の前に立っていた。
流石に異常だったのでギルドに報告しに来た俺達だったが、
ルナ「お手数をかけてしまい申し訳ありません。悪霊が急に増えた原因なんですが、街の共同墓場に、何者かがイタズラか何かで、神聖属性の巨大な結界を張ったんですよ。それで、墓場に発生した霊が行く所をうしなって、街の中の、人のいない空き家に住み着いたみたいで···。」
すっごく心当たりがあるんだが。
龍星「おい、アクア?。」
カズマ「お前、心当たりがあるな?。言え。」
アクア「···はい。以前ウィズに、墓場の迷える霊を定期的に成仏させて欲しいって頼まれてたじゃないですか。でも、しょっちゅう墓場まで行くのってめんどくさいじゃないですか。それで、いっそ墓場に霊の住み場所をなくしてやれば、その内適当に散っていなくなるかなって思いました。」
このバカ。これじゃマッチポンプじゃないか。
カズマ「臨時報酬は受け取らない。いいな。」
アクア「···はい。」
龍星「不動産屋にも謝罪しに行くぞ。」
アクア「はい。本当にごめんなさい。」
俺達はギルドを出て、ゆんゆん達に報告しようと屋敷に帰ると、昨日の不動産屋の男がいた。
不動産屋「これはこれは。どうなったか心配で、様子を見に来たのですが。無事、除霊は済んだ様ですね。」
ぐおお、にこやかな笑顔が心にくる。俺達は事情を話し、謝罪した。
不動産屋「なるほど。でも、できれば今後もこの屋敷に住んで頂けると有りがたいのですが。なにせこの屋敷は広い分、他の物件よりも大量の悪霊が住み着いておりましてね。おかげで随分と悪評が···。」
3人「すみませんでしたっ!。」
俺達が土下座をすると、男が慌てて言ってきた。
不動産屋「ああ、いいですいいです!。頭を上げてください!。ええっと、こうしましょうか。あなた達はこのまましばらく、この屋敷に住んでください。この屋敷にいた悪霊を除霊出来たということは、あなた達はよほど実力のある冒険者なのでしょう。冒険者に貢献するのは、この街の住民の義務ですよ。そして、あなた達に長く住んで頂ければ、悪霊屋敷の評判もいずれは消えますので、ああ、止めてください頭を上げてください!。」
この屋敷に住む条件として、2つの事を頼まれた。その条件というのが、冒険が終わったら、夕食の時にでも、仲間と一緒にその冒険話に花を咲かせて欲しいこと。そして、
龍星「まあ、庭の手入れもしなきゃと思ってたし。この墓、あの子の墓みたいだしな。まさか一文字も間違ってないとは。」
この墓を綺麗にする事だった。この墓には「アンナ=フィランテ=エステロイド」と刻まれていた。
龍星「···まあ、これから騒がしくなるだろうがよろしくな。」
フフフ、コチラコソ。オニイサン。
龍星「えっ?。」
どこから聞こえて。まさか、天界眼!。
龍星「君がアンナ=フィランテ=エステロイドかな?。」
アンナ(!?。私の事分かるの?。)
龍星「まあな。」
木の枝にアンナは座って、こちらを見ていた。
アンナ(あの青いお姉さんだけだと思ってた。)
龍星「俺の場合は工夫がいるけどな。」
アクア「リュウセイー!。もうご飯出来てるから、はやくきてー!。せっかくのお昼が冷めちゃうんですけど!。」
見れば、屋敷の窓からアクアが顔を出し手招きしていた。
アンナ(昨夜は怖かった。)
だろうな。
龍星「分かった、今行く。お前も来るか?。」
アンナ(えっ、でも見えないよ?。)
龍星「それについては大丈夫だ。考えがある。」
アクア「遅いわよ、リュウセイ!。て、アンナじゃない。どうしたの?。何でリュウセイの手を握ってるの。」
めぐみん「何を言っているのですかアクア。誰もリュウセイの手を握っていませんよ。」
カズマ「老眼か。」
アクア「なんですって!。」
龍星「あー、とりあえず落ち着け。まず、始めにアクアの言ってたこの屋敷にいる女の子の幽霊の事なんだが。」
ダクネス「それがどうかしたのか?。」
龍星「それ、事実なんだよ。」
俺·アクア以外「リュウセイが壊れた!?。」
失礼な。天界力配給、目、耳。
ゆんゆん「って、いる!。リュウセイの隣に女の子がいる!。」
カズマ「え、どう言うことだ!?。」
話が進まないな。
カズマ「つまりその子がアクアが言ってたアンナっていう女の子と。」
龍星「そういうことだ。」
説明をしている間、アンナは昨日造った小屋にいるノアに会いにいった。グリフォンには見えるんだな。
アクア「ふふん。これで信じてもらえたかしら。」
ダクネス「ああ、まさかアクアの妄言とばかり思っていたが。」
めぐみん「ええ。」
アクア「なんでよー!。」
日頃の行いだ。さて、
ゆんゆん「?、何を作ってるんですか?。」
龍星「アンナの体になるものだな。アンナは人形を操る事が出来るレベルの霊だからな。この体に入って生活するぐらいは出来るだろ。あと、毎回毎回、みんなに天界力を渡すのきついし。」
めぐみん「なるほど。」
アクア「んー。良いとは思うけど、ここはもう少しこう···。」
龍星「ん?、こうか?。」
この後、アクアが改善点を言ったことから全員が次々に言ってきた。そして、
龍星「で、出来た。」ゼエゼエ
本物の人間と全く同じと言って良いほどの物ができた。あとは動かせるかどうか。
龍星「おーい、アンナ。」
アンナ(はーい。なに?、お兄さん?。)
龍星「みんなで君の体を創ったんだ。入ってみて動かせるかどうか見て欲しいんだ。一応物を食べたり飲んだりは出来るよ。それはエネルギーとして全て使われるから排泄も必要ないし。」
アンナ(ほんと!?。それじゃあ。)ヒュッ
さて、どうだ。
アンナ「あー、あー。話せる。話せる!。それにちゃんと動くよ!。」
大丈夫だな。しかし、
龍星「アクアにこんな才能があるなんてな。」
アクア「ふふん。もっと褒めても良いのよ。」
調子にのらなければなぁ。
アンナ「ありがとう!、お兄さん達!。」ニコッ
ま、いいか。
次回はあの店に···。