この素晴らしい世界に法則を! 作:ベビーカステラ食べたい焼き
この素晴らしい世界に商談を!
カズマside
とうとう春が来た。というより冬に色々あったから久しぶりに感じるのか?。まあ、本来ならカエルは冬眠している時期なので、前みたいなのは別だが。春はモンスターが動き出し、繁殖期に入る季節である。当然、クエストが増えるわけで。
アクア「いやーっ!。嫌よ!。だって、外はまだ寒いんだもの!。ねえ、どうしちゃったの?。3人ともバカなの?。まだあちこちに雪が残ってるのにどうしてそんなに急いで外に出たがるの?。子供なの?。3人共、外で遊びたがる子供と同レベルなの?。そんなにお外に出たいって言うのなら、3人だけで行ってきて!。」
アクアは現在暖炉のソファーの背にしがみつき、それをダクネスとめぐみんとゆんゆんが、懸命に引き剥がそうとしていた。モンスターが湧き出してきたのでクエストに行こうと言う3人に、アクアは、まだ寒いから嫌だと駄々をこねているのだ。
めぐみん「誰が子供ですか、今のアクアの方が子供みたいですよ!。ほら行きますよ!?。冬の間はあれだけゴロゴロしていたのですから、そろそろ働くべきです!。でないと···!。」
ダクネス「街の外では、カエルを始め様々なモンスターが活発化し、農家に被害が持たされていると聞く。住民を守るのは冒険者の義務だ!。こ、こらっアクア!。手を離さないか!。でないとこのままでは···!。」
ゆんゆん「クエストに行きましょうアクアさん。みんなが困ってるんです。お願いします、一緒に来てください!。」
めぐみんとダクネスは俺の方をチラリと見て。
めぐみん·ダクネス「あんな風にな(りますよ)るぞ?。」
アクア「···流石に、私だってああはなりたくないけれど。でも、私を説得する前に、あっちのダメな方を何とかしてよ!。」
アクアがそんな失礼な事を言ってきた。
カズマ「おいお前ら。温厚な俺でも怒る時は怒るぞ。さっきからなんだ、人の事をあんな風だとかダメな方だとか。失礼だろうが。」
アクア「文句があるならそこから出てきなさいよ。」
抗議する俺に、ソファーにしがみついたままのアクアが即答する。このクソ寒いのにそんなバカな意見に耳を貸せないので、俺は首を引っ込めた。日本の最終兵器、こたつの中へと。
カズマ「第一、俺達のパーティーの最高戦力であるリュウセイがいないんだぞ?。なら帰って来るまでまってやらないと。」
めぐみん「いたとしても、行かないでしょうに。」
そう、今はあの死神になりかけてるリュウセイがいないのだ。
ゆんゆん『リュウセイさん、その手紙は?。』
龍星『···しばらくの間、いなくなるが大丈夫か?。』
カズマ『何でだよ!?。はっ!、まさかダクネスの奇行に嫌気が刺したのか!?。』
龍星『いや、違うけど。』
ダクネス『カズマ、後で話がある。それでリュウセイ、それは私達にも言えないことなのか?。』
アクア『そうよ、リュウセイだけ独り占めなんてズルよ!。』
俺達の怒涛の質問攻めに参ったのか。
龍星『あー、分かった分かった。言うから落ち着け。』
するとリュウセイは話始めた。
龍星『俺が店を出してるのは知ってるだろ。』
めぐみん『果物を中心に売ってる店ですよね。』
龍星『そうなんだが、どうも王都の方にも噂が広まったみたいでな。売ってくれないか?って来たんだわ。』
ダクネス『なるほどな。』
龍星『そう言う訳で商談に行ってくる。ご丁寧に王都へのテレポート代も入ってるし。』
と、いう訳でリュウセイはいないのである。
めぐみん「カズマ。いい加減、そこから出てくれませんか?。でないとアクアに悪影響があるのです。カズマが器用なのは分かりましたし、あなたの国の暖房器具が優秀なのも理解しました。でも、外は雪解けの季節です。そろそろ活動を再開しましょう?。」
こたつむりと化している俺に対し、めぐみんが上体を屈めて、上から優しく微笑み掛けながら、ワガママな子供をあやす様に言ってくる。
ダクネス「そうだぞカズマ。確かに冬の間はそのこたつとやらには世話になった。だが、もういいだろう。ほら、また以前のダンジョンの時の活躍を見せてくれ。さあ、一緒に『フリーズ!。』うにゅぅぅーっ!?。」バタッ
めぐみん「こ、この男反撃してきました!。カズマ、いい加減にしてください!。リュウセイにお金を返し終えた上に大金を得られたとはいえ、だらけ過ぎですよ!。ほら行きますよ!。あっ、何ですかこの手は、これ以上抵抗しないで大人しくああああああー!。ゴンッ あったまいったい。」
俺は見事我が聖域に侵略してきた者共を撃退した。未だに震えている2人に俺は。
カズマ「この俺を甘く見るなよ。リュウセイが目立ってはいるが、これでも一応、魔王の幹部や賞金首など、数多の大物と渡り合ったカズマさんだぞ?。へっぽこクルセイダーとなんちゃってアークウィザード程度でどうにかできると思ってるのか?。もっとレベルを上げてから出直してこい。」
こたつから首だけをひょっこりと出し言ってのけた。
アクア「···カズマさんがどんどん小技を使いこなして厄介になっていってるんですけど。まあ、私としてはカズマがこたつの中にずっと引き籠っていてくれると、暖炉前の特等席の取り合いにならないからいいんだけどね。」
ゆんゆん「カズマさん、流石にもうそろそろクエストに行きませんか?。」
残念だったなゆんゆん。俺は1度決めた事は絶対に曲げない男。いくらアンポンタントリオよりもとても役立ち、性格も良く、ストッパーであるゆんゆんの頼みでもだ。今の俺は絶好調だ。誰が相手でも負ける気がしない。第一、こんな寒いのに外など···。緊急事態発生、緊急事態発生。
カズマ「おい、マズイ事になった。緊急事態だ、トイレに行きたくなってきた。虫が良いとは思うが、ちょっとだけ休戦しよう。悪いんだが、2人でこたつの下のマットを持って、このままトイレの前まで運んでくれないか?。」
2人に頼みながら、俺はこたつの中の熱源に魔力を送る。魔力の供給がなければこたつの中が冷えてしまう。それは嫌だ。幸いにして先程めぐみんから魔力を奪ったので、これでまたヌクヌクできる。すると2人は顔を見合わせてこたつの下のマットの端を持ちながら。
めぐみん「そっち持ってください。この男は、このままこたつごと外に捨ててしまいましょう。」
ダクネス「そうしよう。アクア、ゆんゆん、ちょっとだけ手を貸してくれ。玄関のドアを開けてくれるだけでいい。」
カズマ「や、やめろお!。お前らには人の心がないのかよ!。おい、やめっ、やめおわあああーっ!?。」ピューン
そうして俺は外に投げ出された。
セナ「···何をなさっているのかお聞きしても?。」
急いでいるセナの前に。
ダクネス「どうしたのだ?。慌ててやって来たのをみるに何かあるのではないのか?。」
セナ「実は、リザードランナーと呼ばれるモンスターが大量発生しておりまして、現在街の冒険者達が討伐にあたっています、しかし、このリザードランナーは、通常はそこまで危険な生物ではないのですが。どうも、繁殖期に入り、リザードランナー達の女王が生まれた様でして。それでリュウセイさん達のもとにやって来たのですが、リュウセイさんは?。」
ゆんゆん「リュウセイさんは今王都で商談に行ってます。」
リュウセイがいない時にクエストかよ。て言うか。
カズマ「ギルドに討伐クエストは発注されてるんでしょう?。なぜ俺達の所に来たんですか?。そんなん、誰かがやってくれますよ。」
セナ「何を言っているんですか。サトウさんは以前、ダンジョンに魔王の幹部が住み着いていた時に言ってたじゃないですか。『モンスターに怯える街の人を守る。これは、冒険者の義務ですから。』と。」
そんな事言ってたっけ?。···言ってたわ。
アクア「ねえ、そんなこたつニートに何言ったって無駄よ?。お金持ちになったカズマは、多分お金がなくなるまで働こうとしないと思うわ。それに、この中で1番低レベルなカズマだもの。怖じ気づくのは無理もないと思うの。」
カズマ「おいこら、いつの間に俺がこの中で1番低レベルにされてるんだよ。リュウセイとゆんゆんはともかくアクアは···。確か、アンデッドを倒しまくってそこそこ高レベルだったな。めぐみんは···。」
めぐみん「26です。」
めぐみんが、自分の冒険者カードを見せびらかしながらドヤ顔で言ってくる。
カズマ「···なんでそんなに高いんだ?。」
めぐみん「デストロイヤー退治に幹部バニル退治。他にも、雑魚モンスターに関しては大概私が一掃してますからね。レベルだって上がりますとも。」
マジかよ。どうせスキルポイントは全部爆裂魔法の威力を上げるスキルにつぎ込んだのだろう。だが、俺よりレベルが下の人間はまだいるぞ。
カズマ「俺よりもレベルが低い、ダクネスがいるだろ?。攻撃を当てられないダクネスは、1番レベルが上がり難いだろう。リザードランナーだか何だか知らないが、俺が出るまでもない。ダクネス、ちょっとレベル上げがてらに行ってきて···。」
ダクネス「フッ。」
ダクネスが鼻で笑った。そして自慢げに、自分の冒険者カードを俺の鼻先に突きつけて。
ダクネス「以前、魔王軍の幹部バニルと戦った際、アイツの作った魔道人形をほとんど私が倒しただろう。あれは普通の人間には厄介なだけあって、それなりの経験値が詰まっていた様だな!。」
そう、勝ち誇ったように言ってきた。レベル20。そんなダクネスにイラッとし。
カズマ「ペッ。」
ダクネス「ああっ!?。」
腹いせにカードに唾を飛ばしてやった。涙目でカードを拭うダクネスを尻目に、俺はこたつから這い出すと、自分のカードを、取り出して見てみる。表示されているレベルは13。···どうしよう、いつの間にか俺が1番低いレベルだ。しかもアクア達に聞いた話だと、冒険者の様な弱い職業の者は、上級職の人間よりもレベルが上がりやすいそうなのだが···。カードを見ている俺に、セナが小首を傾げ。何の疑いもなく真っ直ぐな瞳で、俺の顔をジッと見ると。
セナ「サトウさんのレベルはいくつなんですか?。魔王軍の幹部と渡り合うサトウさんですから、さぞや高レベルなのでしょうが···。」
カズマ「お、おいお前ら、装備を調えたらクエスト行くぞっ!。」
俺はセナの言葉を遮って、ヤケクソ気味に宣言した。
めぐみん「カズマは、何だかあの人が苦手そうですね。以前牢に入れられた時、よほど酷い取り調べを受けたのですか?。」
街の鍛冶屋へと向かう道すがらめぐみんが尋ねてきた。
カズマ「別に酷い事をされた訳じゃないし、苦手って程でもないんだが···。どうも俺の事を正義の味方みたいに見てくる節があってさ。俺、できればあまり働かず、温く生きていきたいタイプの人間だから、ああいった期待に満ちた目で見るのは止めて欲しいんだよ。」
ミツバチのような連中みたいに、特殊な力をもらった訳じゃないからステータスなんて、運を除けばそこらの冒険者以下だ。ぶっちゃけ、魔王軍の幹部と渡り合えたのも賞金首を退治したのも、リュウセイがいたのと運が良かっただけなのだ。そんな俺に揉め事を持ってこないで欲しい。
めぐみん「私はあの検察官と同じく、カズマの事は結構評価してますがね。大概の強敵を相手にしても、こすっからい搦め手を使って勝ち逃げするって。まあ、カズマよりもリュウセイを頼るのは当たり前ですが。」
カズマ「お前それ、褒めてんの?。バカにしてんの?。喧嘩売ってんの?。」
そんな事を言っている間に目的地の鍛冶屋に到着した。俺も冬の間ただ単にゴロゴロしていた訳ではない。バニルの話に乗り、手軽に作れる商品開発に着手した際、開発のためにリュウセイも取った鍛冶スキルを習得した。そしてこの鍛冶屋の店主には、スキルを教えてもらった代わりに、テレビで見たうろ覚え程度のものだが、日本刀の製作技術を教えてあげた。この際装備を一新する事にしたのだ。そろそろ完成してもおかしくないはず。
カズマ「ちーす。おっちゃん、できた?。俺の刀、そろそろできた?。」
店主「らっしゃい···、なんだお前か。教えてもらったKATANAとかいった剣。一応はできてるぞ。言われた通りの形状にしてはみたが···。」
店主は鞘に収められた一振の剣を持ってきた。その剣は、見た目は日本刀の様な反りがある。それを手に取り、抜いてみると。
カズマ「おお。一応それっぽいな!。本物ほど綺麗じゃないし切れ味鋭そうでもないけど、これはこれでまあいいか。」
ゆんゆん「これって、リュウセイさんの剣に似てますね。」
···今なんて?。
カズマ「ゆんゆん、リュウセイが持ってる剣がなんだって。」
ゆんゆん「カズマさん達と合う前にリュウセイさんも刀を探していたんです。それで見つからなかったからどんなものかその店の店主さんに説明して作ってもらったんですよ。」
···そういえばアイツの剣て、刀だったな。違和感なくて気付かなかった。
店主「まあ、お前さんの言う、焼き入れだのなんだのって技術の事は、調べてみたがサッパリわからなかったが、それなりに面白い仕事だった。後は、この魔法が掛かった札に銘を書いて剣の柄に貼れば完成だ。これからはそれがお前さんの愛剣になるんだ。せいぜい立派な名前をつけてやんな。」
言いながら、店主はニカッと笑いながら、俺が頼んでいた鎧を出してきた。刀の銘かあ。
カズマ「そういえばリュウセイの刀はなんて名前だっけ?。」
めぐみん「そういえばなんでしたっけ···。それはともかく名前なんてとっとと決めて、早く討伐に行きますよ。冬の間ずっと籠っていたから、色々と溜まっているのです!。」
カズマ「···お前、毎日爆裂魔法撃ちに出掛けてたじゃないか。まあ、待てよ。武器の銘ってのは大事なもんだ。ここはじっくり···いや待てよ。リュウセイに付けてもらうのも手か。」
村正、正宗、虎徹···。何かしっくりこない。
店主「おらよ、注文のフルプレートメイルだ。ところどころにアダマンタイトをあしらった、この街の冒険者にしてはかなりの上等な部類の装備になる。大事に着ろよ。」
と、俺が武器の名前を考えていると、店主が鎧を持ってきた。青く輝く全身鎧は、見ているだけで威圧感を覚えさせ、これさえ着ればダメージなど負うことはないと思わせた。俺は嬉々として鎧を身に着け···!。
店主「どうだい。サイズとしてはピッタリだろ?。」
確かにピッタリだけど。
アクア「カズマカズマ、何かポーズをとってみなさいよ。」
カズマ「ふっ、そう簡単に見せるもんじゃないのさ。」
ダクネス「もしかして、動けないのか?。」
···。
カズマ「···はい。そうです。」
幸いにも俺の体のサイズは標準だったのか、返品を許してくれた。
カズマ「まあ、武器が新調できただけでも良しとするか。後は刀の名前だけか。···菊一文字···小烏丸···。」
めぐみん「ちゅんちゅん丸。」
カズマ「···今なんて?。」
めぐみん「ちゅんちゅん丸と言いました。この剣の名前はちゅんちゅん丸です。」
いやいやいや、流石にそんな名前をつけられ···。
店主「···嬢ちゃん、銘を刻んじまったのか。」
めぐみん「刻んでしまいました。今日よりこの剣はちゅんちゅん丸です。さあカズマ、これで用事は済みましたね!。ほら、早く討伐に行きますよ!。」
カズマ「おお、お前、何してくれてんだ!。ああ、俺の刀が!。」
そうして意気消沈とする俺はクエストに向かった。
クエスト後の屋敷
カズマ「めぐみん、めぐみんはどこだ!。まだ帰ってないのかよ!。あのロリっ子、子供だからって俺が手加減すると思うなよ!。スティールでひんむいて同じ目に遭わせてやる!。」
ダクネス「めぐみんなら、ギルドで用事を済ませたら何日かゆんゆんと2人で宿に泊まってくると言っていたあああああ!?。」
俺は腰にタオルを巻き飛び出した。今日はちゃんと作戦を考えた。それなのにこの駄女神がリザードランナーを呼び寄せた事からめちゃくちゃになりゆんゆんがなんとかしようとするもめぐみんが魔力が足りなくて爆裂魔法が撃てず、なんやかんやあって俺は死んだ。そしてメインヒロインであるエリス様と話をし、赤子からやり直そうとするもめぐみんが何かをやったので戻ることになった。のだが、血走った目でギリギリと歯を食い縛る俺を見てアクアが言った。
アクア「ねえカズマ。自分に自信があるのは良い事だけど、その、そういった自己主張はどうかと思うの。」
カズマ「バ、バカっ!。お前、めぐみんが俺の体にこれ書いてる時一緒にいたんだろうが!。ち、ちっきしょおおおお!。何が聖剣エクスカリバーじゃあああ!。」ハラリ
アクア「ふっ。」
龍星side
商談に行って3日後、俺は屋敷に戻る最中である。すると俺の前に。
バニル「む、これはこれは副業のつもりで始めた商売が思ってたよりも上手くいき、最近自分は冒険者なのか商人なのか分からなくなってきている男よ。久しぶりであるな。最近あってないから貧乏店主が寂しがっていたぞ。」
龍星「帰ってきてそうそう濃い奴に会ったな。俺とカズマの商品を見に来たのか?。」
バニル「その通りである。ただ、あのプリーストが結界を張ってある様でな。これはあやつを煽るのに丁度良いと思ってな。」
龍星「まあ、アクアの魔法を受けても浄化されてないから心配はいらないと思うが···。」
はあ、これはまた騒がしくなるな。
カズマ「あ···ガキ···!。···かえ···はい···!。」
もう既に騒がしくないか?。するとアクアの結界で体が崩れかけているバニルがノックをした。するとドタドタと誰かが走ってきて。カズマが凄い形相でドアを開けた。
バニル「フハハハハハハハ!。頭のおかしい紅魔の娘だと思ったか?。残念、我輩でした!。ガラクタを掴まされる事に関して、天才的な才能を発揮するポンコツ店主ではロクな目利きができないために、目利きにおいては定評のある見通す悪魔、我輩が商談に来た。我輩の登場に喜びひれ伏し、よく来なさったと言うが吉。さあ、当店に卸す予定の商品を見せてもらおうか!。」
龍星「一応、俺もいるぞ。ただいま。」
ダクネス「ああ、お帰りリュウセイ。」
龍星「ところで何かあったか?。」
ダクネス「ああ、実は『ねえちょっと。』。」
するとアクアが暖炉の前のソファーからユラリと立ち上がり。
アクア「どうやってこの屋敷に入ったの?。この屋敷の外には、あんたみたいな害虫が侵入してこれない様に、神々しくも神聖な結界が張ってあるんですけど。」
バニル「ああ、あの屋敷を覆っていた半端なヤツか。なんと、あれは結界であったのか。あまりにも弱々しい物であったので、どこかの駆け出しプリーストが張った失敗作かと思っておった。いや失敬。超強い我輩が通っただけで、崩壊してしまった様だな。」
ソファーから降りたアクアは、バニルの目の前に立ち塞がり。
アクア「あらあら、そんな事言いながら、体のあちこちが崩れかかってますわよ超強い悪魔さん。まあどうしましょう、確か地獄の公爵だとか聞いていましたのに、あんな程度の結界でそんなになるなんて思いませんでしたわ。」
ニコニコと笑みを浮かべながら、バニルの体を指でつつく。
バニル「フハハハハッ!。どうせこの体はただの土くれであるからな!。体の代わりなどいくらでもある。屋敷の外を覆っていた、あの薄っぺらいのがどれ程の物なのかと興味が湧いてな。いやあ、駆け出しの街のプリーストが張ったにしては、まあそこそこの物ではないか?。うむ、人間の、それも駆け出しのプリーストが張ったにしてはな!。フハハハハハハハ!。」
お前らはチンピラか何かか。女神と最上位の悪魔だってのになんだこの言い合いは。
龍星「おいお前ら。やるならせめてここじゃなくて暴れても大丈夫な場所に行け。屋敷の中で暴れるな。」
とりあえず俺が仲裁に入ると2人はお互いに距離を取った。
アクア「ねえカズマ。私は詳しく知らないんだけど、こたつだの何だの作ってたのって、ひょっとしてコレと商談する為なの?。ねえ、この害虫と商談するの?。もしかしてリュウセイもじゃないでしょうね?。人間の魂掠め取ったり嫌がらせする事しか考えてない、人々の悪い感情すすってかろうじて存在してる、この人類の寄生虫と契約するの?。やだーもう、笑えない冗談なんですけど!。プークスクス!。」
バニル「フハハハハ、我々悪魔は契約にはうるさいので信頼してもらって結構である。信じるだけで幸せになれるだの、純粋な者の足下を見る胡散臭い甘言で人を集め、寄付と称する金集めをしている詐欺集団とは違うのだ。連中の殺し文句はなんであったか。そうそう、『神はいつでもあなたを見守っていますよ。』だったか。おお、何という事だ!。我輩、それに該当する神とやらを目撃した記憶があるぞ!。先日覗きで捕まった、風呂やトイレを生暖かな目で見守っていたあの男は神であったのか!。フハハハハハハハ!。」
そのまま2人はお互いに、感情の籠っていない笑いを上げると。
2人「···。」
やがて突然無言になった。
アクア「セイクリッド·エクソシズム!。」
バニル「華麗に脱皮!。」
脱皮に華麗もくそもあるか。仮面を投げ、そのままニョキニョキと絨毯の上にも拘わらず体を生やす。アクアは本体の仮面に飛び付き、それを体から引き剥がそうとしだした。
アクア「あはははは、コレね!。コレがあんたの本体ね!。さあ、どうしてくれようかしら!。コレ、どうしてくれようかしらっ!。」
バニル「フハハハハ、この仮面を破壊したとしても、いずれ第2第3の我輩が!。こ、こらっ、喋ってる途中で剥がそうとするな、体が崩れる!。せめてセリフを言い終わってからに···。」
カズマ「おい、落ち着け。そろそろ落ち着け。」
仮面争奪戦をしている2人をカズマが止めに入った。
バニル「うむ。小僧達に対する我輩の見立ては正しかった様だな。これは売れる。間違いなく売れる。このこたつとやらも上手い具合の暖房器具だな。そして、その冷蔵庫もいい。」
ちなみに冷蔵庫は俺が作ったものである。どうしてもアイスとかを作るのに必要だからな。持っていかれても良いように2台作っといた。
バニル「ふむ。では商談といこうか。取り決めでは毎月、商品が売れた利益の3割りを支払うとなっているが、どうだ?。これらの商品の、知的財産権自体を売る気はないか?。これらを全て引っくるめ、それぞれに3億エリスで勝手やろう。」
4人「3億!?。」
俺達が同時に驚きの声を上げる中、バニルは他の商品を見ている。
バニル「我輩は、月々の利益還元でも、どちらでも良いぞ?。まあ、これだけの物ならば、生産ルートが確立できればそれぞれに毎月3百万エリス以上の収入があると思っておけばいい。詳しい話は、実際に販売する段階になって決めても良いぞ。」
うーむ、どうしようか。3億、3億ねえ。
バニル「うむ。商品の販売までにはまだ時間が掛かる。どちらの支払い方法が良いか、決めるのはその時でもいいぞ。では、我輩は店が心配なので帰るとしようか。」
アクア「それが良いと思うわ。私の神聖な家に悪臭が染み付いちゃうもの。出ていって。ほら早く、出ていって!。」
龍星「アクア知ってるか。この屋敷の権利は俺が持ってるんだぞ?。あまり変な事をすると、分かるな。」
アクア「···はい、調子に乗りました。すみません。」
龍星「バニル、最後に1つ仕入れて欲しいものがあるんだがいいか?。」
そうして俺はバニルにある商品を仕入れてもらう事になった。
めぐみん「な、な、な、なにがどうなっているのですか!?。」
ゆんゆん「こ、これは一体!?。」
あの後ダクネスから何があったのか聞いた次の日、めぐみん達が帰って来たのだが。
アクア「最高級の紅茶が入りましたわよカズマさん。」
カズマ「···お湯何だけど。」
アクア「あらあら、私とした事がうっかりしていたわ。ごめんなさいねカズマさん。」
カズマ「いや、また入れ直せばいいだけさ。ありがとうアクア。これはこれで頂くよ。」
めぐみん「気持ち悪いです!。どうしたんですか!?。私達が数日間いなくなった間に何があったんですか!?。」
ゆんゆん「2人とも正気に戻ってください!。本当に何があったの!?。」
どうやら2人はこの状況を受け入れなれない様だ。まあ、俺も何やってんだって感じだけど。
すいません、前回の予告通りにいきませんでした。次回こそ新しいキャラが出てきます。そしてあの人物も。
アンケートをそろそろ締め切ろうかと思っています。もしよろしければ投票お願いします。