目を開けるよりも早いほどの勢いで体を起こすも、それで付いて来た物は自身のまだ全く結んでない髪の毛だけで。息もせずにただ上半身だけを起こしても、前のお姉さまが使ってた部屋の様子をただ見渡すことしか出来ない。木で出来た灰色をした壁や床や天井。それだけでなく、異なる色をしているはずの家具やマットですらも全て同じ色に染まっているかのようであった。
今日は曇っているようで、日向と日陰の区別がほとんど出来ない状態のままになってしまっている辺りの様子をただ眺めている。しかし、意識がそれで止まってしまっていたのを、一度だけした瞬きと一緒にはっとさせると、またイレーヌさんのことを探して視線をゆっくりと動かし続けるけど、結局ゆっくりと鼻から息を出しながら顔をわずかに下へと向けるような角度に変えるだけ。
続けて、両方とも体に沿わせるような形で落っことした手を自分の胸元で両方とも重ねるみたいにしてて。気づいたらそこで勢いよく鼻をすするくらいの勢いで空気を奥側へと押し付けてた。でも、その音だったりすらも外の何の種類かもわかんない鳥が羽ばたいてる音だったり鳴いてるのの間から確かに聞こえてる。
それ以外で周囲から聞こえているのは遠くの方からほんのわずかにしてるかしてないかのギリギリくらいでする波の音くらい。いつの間にか自分の膝の所にまで落っこちゃってた両方の手。それの左親指をもう片方のと人差し指の間くらいでつまんだり戻したりを何度か繰り返してる。でも、それで何かが起こるなんてことは全然ない。
一度ため息を吐きながら脇を持ち上げたのを落っことす動きをして。ゆっくりと息を吐きだしているだけにしていた物の、ふと気づいた所で視線をさっき一瞬だけ見えたドレッサーの方に向けてみて。そっちの方にずっと置きっぱなしになってた前のお姉さまとの写真立ての前に置いてあるロザリオを数秒間見つめてる。
でも、当然だけど向こうのそれが動くわけでもないし、ただチェーンが渦を巻くみたいに重なってて。私は体をわずかに前のめりにしながら勢いよくベッドから降りると周囲へと足音を何度も低く響かせるようにしながら、下の方で伸ばした手を振るってそっちに近づく。だけど、それの正面に来るところでは全部の体をまっすぐに伸ばすみたいな感じになってた。
私がただそこで立ってると、そこに置いてあるロザリオはそれそのものもそうだし、一緒にくっついてるチェーンもそうだしで、何か所もサビて赤と茶色が交じり合うみたいな色をこっちへと見せている。そして、それ以外の場所でも黒くなって塗装が剥げている場所だったりを今も残してるのがわかった。
私の指を下から救い上げるみたいな感じで本体の先端とそれを振れ合わせる。ほんのわずかに持ち上がったのもあって、すぐそばで前のお姉さまと一緒に撮った写真の前にあるアクリルに自分の指とそれが一緒に映りこむ。わずかに瞼を下へと下げているままずっとわずかな呼吸で胸が膨らんだりしぼんだりしているのを感じているだけにしていた。
食堂の入り口が廊下を歩いている私にも見えてきたタイミングで体の向きを変えていく。弧を描くようなその軌道の間も、それが終わって自分の席へと向かうような間も、新聞を読んでいるおばさんがページをめくっている間も、滑らせることで椅子の向きを変えている間も、進んでいる足のペースを一切変えていなかった。
「おはようございます」
相手が新聞を机の上に落っことして私の方に視線をまっすぐ向けているのを一瞬だけ見ると、椅子をまた低い音をさせながらその位置を机に対してまっすぐになるようにしていた。続けてまたもう一度顔の位置をまっすぐに戻すと、瞬き。相手の様子をわずかに唇に力を入れながら見つめていると、そっちがほんの少しだけ声を出しているのが聞こえていた。
一方で、こっちは顔の表情も角度も変えないでまっすぐに見つめているまま、両方の手をパンやスープの横を通してそっちに伸ばして。しばらく空中に放っているままにしている。ただ、相手は視線をわずかに横へとほんのわずかな瞬間だけ動かしていた後、わずかな声を出していた。でも、その間も私は首から下げてる2つのロザリオも含めて一切動かずにただ相手の様子を見つめるだけ。
「お祈りをするのがエクソシスターの決まり」
しばらく新聞を机の縁に乗っけるような形にしたままになっているおばさんは、少し早口で言った私の声に対して何も言わずに、ただ視線を斜め下に堕としながらそこで左右に動かしているみたい。
その間も、ずっと聞こえているのは遠くからしている気がする波の音。ずっと行ったり来たりを何度もしているような気がするけど、そっちへと視線を向けたりはしないで、ずっとおばさんの方をまっすぐ見ているだけにしてた。
「そうなんでしょ」
さっきと同じようにすぐに言葉を終わらせるような声を出すと、向こうはわずかに息を出しながら返事をして、こっちに向けて慌てるような動きと共に手を繋いでくる。
一瞬だけ小さな声を出しそうになってしまうのを強く唇を紡いで止めてから、顔を下へと向けながら目を瞑った。ただ、さっきよりも早口で口の元の辺りでだけ細かく動かしながら、お祈りの言葉をつづる。その間、自分の呼吸で動いているのを胸元で感じてるみたいで、2つのロザリオがわずかな音を立てているようだった。
ただ、鼻から出ている自然な呼吸に合わせるだけで肩や上半身を上下に動かしているつもりだったのに、波がずっと前後に動いている様子と、ほとんど雲がなくて地平線の方まで綺麗に見えている様子を見つめているだけで、顔を自分の体の方にまで寄せちゃう。そのまま、呼吸の出入りを鼻から口へと変えて。そこを開く瞬間、溜まっていた物を一気に吐き出すような声を出しちゃう。続けて、まっすぐに下げてただけの手にも強く力を入れる。
だんだんと顔の向きを斜め下へと変えていくような動きを始めて。口だけでなく吸う側だけだけど、鼻でもその筋肉を意識しながら空気を吸い込んで行く。わずかな震えを止められているのかいないのか、脇を強く締めて。軽く折り曲げた肘が自分の背中の後ろの方に軽く持っていくくらいの動きをして行く。
それよりもずっと強い力を目に作って、そこでたくさんのしわを作る。けど、それで出来たデコボコを上下に通り過ぎていくようになっちゃってる冷たいのを感じられずにはいられなかった。何度もそれで呼吸を繰り返したせいかもしれないけれど、体が火照っているせいもあって、よりその冷たさを強く感じる。
繰り返しただ強い呼吸と一緒に何度も体を上下に動かし続ける私に対して、向こうから聞こえて来るのはずっと同じ音で砂浜を撫で続ける波の音だけ。それの冷たい水がこっちに来るわけでもなければ、私が靴の上から砂を踏みしめているのから熱さを感じることもない。その中で、音のわずかな隙間から自分の歯をわずかに擦れる音を感じて。無理やりの力で息を整えるように強い息で吸ったり吐いたりを繰り返した。
それから勢いよく顔を前にあげてまっすぐよりも少し斜め上に向けると、ゆっくりと呼吸をすると一緒に、胸元が大きく膨れたり縮めたりを繰り返す。太陽が空で燦々と輝いているけれど、それで帽子もしていなければ髪の毛も伸ばしっぱなしになっているままに、エクソシスターの制服を着ている私の所にその温かさが届くこともない。さらに今日は波がそんなに荒れている訳でもないから波風もない。髪の毛も制服もずっと私の体と伴ってるみたいなまま。
ずっと滲んでた視界を整えるために繰り返し瞬きを繰り返してから、もう一度だけ片方の目から涙があふれるのを感じて。その間呼吸すらもしないで、そっと目を閉じてた。
変身した私が身に纏ってる魔力と同じ薄い水色の弓矢を一閃に解き放つと、体にそれが突き刺さった悪魔は周囲にそれとはまったくことなく真逆の赤と黒が交じり合っているような血をまっすぐな勢いで噴き出す。
まるで私の攻撃をかき消してしまうほどのそれがまっすぐに噴き出している物の、それを確認しているのはほんの一瞬。すぐに両腕を持ち上げると右手に持った弓へと左手を添える。それで現れた魔力の光が私の体はもちろんのこと、周囲の暗がりも照らしている。さらに、それで出ている音と共に起きる風で、私の髪の毛も2つのロザリオも揺れる。しかし、そっちへと意識を向けるよりも先に、うずくまっている魔物へと向けてさっきとは違う場所へとそれを放った。また、周囲の空気を切り裂く音を聞いている間、私は背中をまっすぐに伸ばしながら相手に対して片方の肩を見せるような角度で立っているだけ。
一方で、悪魔は今も細い息を繰り返しているだけ。そして、それを私はわずかに落っことした目線で見つめ続ける。そこでは地面の上でぐったりと倒したまま息を絶え絶えにしているのを体現するかのようにわずかに上下に体を動かし続けていて。私が放った青白い光をしている矢が今も刺さったままになっているのも一緒に動いている。それへと私は視線をほとんど動かさずにただただじっと見つめているだけになってた。
相手がずっと繰り返していた息が止まった後も、等間隔とは言えないような感覚で噴水の様に溢れている血の動きは一切止まることはない。ただ、私はそれを数秒間だけしか見つめずにすぐに体を翻し、建物の中へと音をほとんど響かせない、本当に自身の足元でしか聞こえないくらいの大きさの足音で建物の外へと歩いて行った。
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