上に羽織ってた上着を脱いでからわずかに下げていた上瞼を状態から持ち上げて、片方の手で取っ手を持ったままクローゼットの中を開けると、まだ小さかった頃から長い間来てた方のエクソシスターの制服がわずかに揺れているのが見えた。それは他のかかっている冬用の服とかと一緒に動いている物の、一番奥で側面の壁と他の衣装とで重なっているせいで動きは最も小さい。
ただ、私はそれのズボンとコルセットとセットになっている大きく斜め下へと広がる上の衣装の様子を見つめる。唇を閉じたまま視線を上下へと動かしているが、それが紺色をしているせいもありそれは暗い周囲の光景の中に交じり合っているかのよう。
一度だけ瞬きをしてからまたもう一度目線を下へと向けて、両方の唇を口の内側へと仕舞いこむ。それをわずかな音と一緒に解き放つと一瞬だけ口が大きく開くも、その範囲をすぐに小さく。ただ、完全に閉じるまでには数秒間の誤差があった。そして、目線を斜め横へと逸らしながら口を閉じる。
自分の羽織ってた上着の中に着てたシャツの胸元のボタンをはずし、下着以外は裸になると、脱いだそれを前腕で自分の体へと押し付ける。さらに、背中をわずかに丸めて自分の体を縮めるようにしていた。そのままゆっくり深呼吸。その音だけが部屋の中で聞こえる。
外からはほんのわずかに穏やかな形だけど波の音が聞こえていて。目に力を入れずに閉じたままにしている私の元へもそれが届けられていた。わずかに口を開けたり閉じたりをしながらそこで呼吸を繰り返すことでだんだんとその音と私の音を一致させていくのを意識する。
一方で、私の後ろの方で腰のあたりまで伸びている髪の毛は、こっちの体の上下の動き以外で動くことはない。ずっと背中に張り付くような形のまま何もせずにそこにいるようであった。数十秒間経ったのか、時間も数えないままにわずかに視線を開けながら顔を起こすと、もう一度昔の制服を見て。それを手にしてみる。
わずかな足取りでドレッサーの方へと向かって、ゆっくりとハンガーの先端の方だけを持ったまま足を動かしていた。それから自身の斜め前の辺りで制服を並べてみる。わずかに両方の目尻を落っことしながら鏡越しに自分とそれの様子を見つめていると、だんだんと鼻から息が漏れるようになると共に、体へと肘が戻っていくようになっていた。続けて、上の唇を下のに軽く力を入れながらくっつける。わずかに顔を下へと向けてから、またそれをクローゼットの中へと戻して、帽子をかぶるのと2つのロザリオだけを首へと通した。
砂浜の上に何度も足跡を作りながらわずかに体を前のめりにしつつ進んで行くと、周囲からしている波の音とカモメの鳴き声に私の足音が混ざるかの様、顔をわずかに下へと向けながら進む。その途中で肩に背負った荷物をもう一度背負い直すようにそれを持ち上げていたが、それ以外の時にはほとんど足のペースを変えないまま。
今も空の上から降り注いでいる太陽は海の斜め上の方からずっと日の光を私の方へと下ろしている。ただ、それがこっちの体に届いているのは自分の顔のほんのわずかな範囲だけ。それ以外の箇所は昔からずっと使っている帽子であったり最近新調したブラウスの上から羽織っている制服に守られているがために、ほんのわずかな隙間から感じていた。
ふと、一度足を止めて顔を斜め上へと向けると、帽子のつばを持ち上げながら口をわずかに開けて目尻を両方とも垂らしながら空を見上げる。折り曲がった肘のせいで片方の前腕と二の腕が視界をふさいでいる物の、それでも雲が丸みを帯びていきながらのだんだんと上へと向かって伸びて行っているのはわかる。
しかし、それでも太陽の光が隠れるようなことはなく、唯一それが私の元へと届きにくくなるのは、上空の私の方からはとても手が届きそうにない所で回り続けているカモメが影を作っている時だけ。それがずっと円を描くかのように動いている様子へと目を細めながら見つめていると、口をゆっくりと紡ぎながら顔をわずかに下へと向けていた。
それから瞼を落っことしながら、下から上へと向けて島の中央の方へと近づけるような形で顔を海とは反対側へと向けようとする。しかし、その瞬間急に風の勢いが強くなり、髪の毛を上へとまとめ上げるように吹き上げた。とっさの動きで肘を折り曲げた状態のまま片方の手を上へと持ち上げ、もう片方の手で帽子を押さえこむ。
しばらくずっと両方の手を持ち上げた状態で、上着が一気に中のブラウスを露わにさせるような勢いで風が吹き飛ばそうとしてくるのを感じる。ただ、髪の毛も帽子で押さえていない場所はひっくり返るような形で上へと向かったままになっていて。長い間冷たい海風を感じてた。
何とか周囲の様子が見えるくらいまで風が落ち着いてきたころ、私は両方の足を肩幅よりも大きく開きながら何度も息を吸ったり吐いたりを繰り返していた。一度だけ強く息を吐き出すと一緒に顔をゆっくりと起こそうとするけど、気づいたら一気にハッと顔を持ち上げるようにしていて。口から何度も呼吸を吸ったり吐いたりを繰り返していたら、一筋だけだけど涙が頬を伝ってる。その間は呼吸も止まってた。
しばらくそのままずっと何もせずにいたけど、一度だけ鼻をすすりながら顔を下へと向けると、ゆっくりと鼻から息を出す。さらに、眉を自分の目へと近づけつつ唇の両端を持ち上げて頬も押し出す。その表情を変えないまま、私の胸元に付いている2つのロザリオの先端辺りをまっすぐ上に伸ばした親指ととぐろを巻くようにさせている人差し指の関節同士の間で挟んだ。
船頭とは最後の「着きましたよ」という言葉とそれに対する少し早口目の一瞬で終わるような感謝の言葉だけの挨拶以外には言葉を話さずにいて。私は荷物を片方の肩で背負ってから割と大股気味の足の動きで船から港へと移動すると、私の正面にあった大きな何人もの人と荷物を乗せていた船に隠れていた街の様子が見えた。
そっちでは何台もの馬車が走っている音が聞こえていて、車輪が何度も舗装された長方形のデコボコで出来てる道路の上を進んでいる音が一か所だけでなく何か所もの場所で、全く等間隔でない形で聞こえて来てる。
さらに、斜め前にあるさっきまで私の視界を遮ってた船では合図を何度も同じ音と大きさで出してる大柄の男の人であったりおじさんがいたり、その人のすぐそばでは私の背の何倍も大きい木箱がゆっくりと地上へと下ろされて行くよう。一度瞬きをしながらそっちの様子をもう一度見るけど、船に付いてる柱のてっぺんは宿舎の天井なんかよりも全然高くて。そのさらに向こうには船ほどじゃないけど高い建物が何個も順番に並んでた。
その間、私はただ立ってるの以外に出来ることなんかほとんどなくて、強いていうのであれば、たまに目線と共に顔の向きを左右へと揺らすように動かしているだけであった。ただ、それに対してそっちの方を歩いたりしてる人たちは全くこっちの様子なんか見ずに足を進めているだけ。人どころか馬ですらもそのままであった。
一度上瞼を勢いよく上へと持ち上げてからそれに続けるように舩頭の人の方へと振り返るも、そっちの人は瓶に入ってるお酒を思い切り首を折り曲げた状態で飲んでるだけじゃなくて、そこから口を離すと一緒に低い声を上げてる。そのまま、まるでその上で大の字で寝転がるような体勢になっていた。
顔の向きと肩のあたりでだけ振り返りながらそっちの方を見ているだけにしている私が、ただまっすぐに立っているだけにしながら口を紡ぐ。数秒間そのままでいようとしたけれど、口に入れている力を限界まで強くしてから顔を下へと向ける。続けて、眉にも力を入れてしわをたくさん作る。続けて両方の手にも力を入れてから歩き出す。
気づけばほんの数秒で港から街の方へと足を踏み入れていて、私よりも背の高い大人の人が道を左右に歩いている様子へと顔を上に向けて見つめるようになる。そっちにいる人たちは1人で歩いている人もいれば数人で話ながらいる人もいるし、手前の人が右向きに歩いてると思いきやその奥の人は反対側に向けて歩いているのまで私の視界にはしっかりと見えていて。それだけで羽織っている上着を自分の体へと近づけるように体を前のめりにしながら掴む。
一緒に息を吸いながら、帽子をかぶり直す。つばの所を軽く握り直してその位置を整えながら、人の間を縫っていくように細かい足取り体を進めていくと、それと一緒に肩の向きを何度も斜めに変えることになっていた。
読了ありがとうございます
反応、コメント等お待ちしています