私が案内されてた宿舎は丘の一部分にあったようで、盛り上がってるそれを登り終えると、その下の平地になってる場所にたくさんの住宅が建っている上に、そこにまだ人がいる様子が見えていた。最初はその中に目を凝らすことでギリギリ見えているくらいのわずかな場所でしかいなかった彼らであったが、それも丘を下り、街の中へと入っていくことで大きくなり、私よりも背の高い人までいるような状態になった。
ただ、街の中の薄汚れている上に壁が一部えぐれて建物の中身が見えてしまっている家がいくつも立ち並んでいる中で、家の先で洗濯ものがかけてある様子であったり、バラック同士が隣接している物や重なっている様子。そこからトタンが大きな音を立てている様子がある。
私の道筋の前をエクソシスターの女の子が歩いて行っているせいもあってこっちからはその髪の毛と背中の様子しか見えてない。でも、それでも両方の手を強く握りしめながら交互に前へと出しながら強くぬかるんだ地面を踏み占めているのは私にもわかる。
一方で、こっちは両方の手を自分の体の前に出しながらおなかよりも少し下のところで拳同士が重なりそうなくらいの場所に置いたままに。そこでいろんな荷物が入ったカバンを持ってる。その状態で小刻みに足を動かしながらゆっくりと向こうがつけた足跡とは違う場所に足を置いてた。
辺りは人がまばらで家の前で顔を下に向けながらなんかの細い棒を振り回してる子供や昼間からひび割れた舗装された地面の上で寝転がっている男の人とかがいて。私はそっちの方へ視線を左右に動かすような動きと一緒に見つめてる。ただ一瞬だけ瞬きをしながら交互に左右の様子を眺めてるけど、そっちにいる人たちがこっちを見ているかどうかは割とまちまち。今までしてたことに夢中になってる人もいればじっと目線を見つめながら顔をこっちの動きに合わせるような感じで動かしている人までいた。
空のほうを一度眺めると、この島に来た昨日と同じように雨は降ってないけど天気は悪い。雲は薄暗い色をしていて白というよりは黒に近い色をしている上に、今日はほとんど太陽の光が見えない。それのせいで、ほんの数十分前まで私たちがいた丘の上はもうすでに霧の中に包まれているようで様子がほとんど見えなくなってる。
歩きながら体を後ろに向けてたら、他の人とぶつかっちゃったみたいで。目を開けながら反射的に「ごめんなさい」と言葉の先端を持ち上げるような形で出して。それから顔を正面に向けようとしたけど、誰もいないような気がした。しかし、視線を少しだけ下に向けたら、そっちで私をただ見上げてるススみたいな汚れが付いたワンピースを着てる女の子がただ小さく口を開けながらいた。
周囲で視線をきょろきょろさせるけど、そっちの方にいるのは自分のことに夢中になってる子供たちだけで。家の軒下で昼寝してたり石ころをぬかるんだ地面に向けて投げているような姿しかない。それで、一度息を吐きながら膝を折り曲げて背中に荷物を背負うと、両方の膝の上に向かったのの更に上に両前腕を重ねた状態で乗っけた。
「こんにちは」
私がゆっくりと文字の1つ1つを強調するような話し方をしてるのに対してそっちの子は体をひねりながら笑うような声を出してて。その状態で腕をぶらぶらされながらこっちの挨拶に返事してた。それから、こっちが近くにあった誰もいない床のほうに移動するのにその子がついてきてるのに気づいたら、軽く足で砂を払ってからその中に入ってたシャボン玉を手に取る。
一度立ったまま両手に道具を持った状態で見上げてるその子の様子を見て、数秒間見下ろしながら頬を持ち上げると、顔を正面に戻して一気にそれを吹く。音もなく飛び出したシャボン玉たちは空へと向かって右往左往するかのような軌道で飛んでいくけど、その向こうにいる雲の様子は全然隠してない。ほんの少しだけ七色に輝いている表面の様子だけが見えて。それを夢中で割るみたいに飛び跳ねながら高い声を出してる女の子の様子を視界の隅にぼやかしながら入れてる。
ただ、目尻を落っことしながら両方の手に力を全くと言っていいほど入れないで、私は少しずつ割れていくシャボン玉の様子を見つめてて。そしたらこっちのエクソシスターの制服が引っ張られてるのに気づいてから、視界を開くみたいにぼやけてたそれを戻す。
一緒にそっちの方を見てから少しだけ慌てるみたいな声を出して。またシャボン玉を空に向かって吹くけど、そっちの方でずっと円を描きながら飛んでるカモメの方には全然届かないし、そもそも下の方にいるのは女の子の手で割れてわずかな水になってた。
元々は図書館だった場所。建物に入る前に朽ちた看板に着いた汚れを払うことでギリギリ確認できるそれの中に入っていく。二階層になってるみたいだが、上の階の一部はクレーターが出来上がるようにえぐれてて。その天井すらも壊れているようであった。
かつては受付カウンターや閲覧席があったと思われる場所も同じで、その家具が朽ちたり破壊されているのを一切隠していない。そして、大理石で出来た場所の中にはコケが生えている様子であったり木がどこからか生えている様子があって。そこに打ち捨てられている梯子や脚立の残骸、垂れている本が巻き込まれているようである。上を眺めながら小さく口を開けて視線をゆっくりと動かしながらいた。
視界の中で動いているものがあったと思ったところでは、何の虫かわからないような群れが這っている様子やネズミが早い勢いで走って行ってるのが見えて。それらに気づくたびに視線と体の動きをそっちで止めるけど、数秒後には早歩きで荷物を肩にかけながら移動していた。
「ごめんなさい、あの子たちが中々離してくれなくて」
エクソシスターの女の子がしゃがんだ状態で懐中電灯を照らして本を確認している様子を本棚同士の間にできた通路の外から声をかける。その子は私が気づいた後もずっとそのままの様子でいるものあって、割と建物の形が残っているこの場所では黒い制服が周囲の暗闇と交じり合って、手にしたそれが届いてない場所ではほとんど薄い影しか見えていない。
私が少しだけ早口目に切れる息の隙間から出すようにした声に対して、向こうは一瞬だけ視線をこっちへと向けるようにしているだけで。また上瞼を皿のような形にした状態で自身の目よりも少し上の高さになる顔の横で明かりをただ向けるだけにしてた。
そんな光景を私はただ自分の肩のベルトの所に両方の手を当てた状態で脇を締めたままいるだけにしてて。視線を左右に向けながらいると、目元と眉を上に上げながらわずかな声を出す。
「さっきの子のお母さんがこれを……」
最初の声を少しだけ大きく高く出した後、小走りで相手のすぐそばまで寄って。カバンから取り出した古い新聞紙で包まれたパンをしゃがみながら二つに割る。それからしゃがんで「どうぞ」って声を出した。
一方向こうの視線は今も懐中電灯で照らされてる本棚の方に向いたままであった。でも、しゃがんだまま体の動きを止めてるのはこっちにもわかる。でも、いつの間にか顔の向きを下にしてるようで、顎を自身の体に近づけてた。そして、そこで歯を強くかみしめて歯ぎしりを繰り返してこちらにもその音が聞こえてくる。
でも、その間も私は手を伸ばしてパンの欠片を相手の方に渡したままにしてた。そのまま視界に入るのもあって薄暗くて視界を保つのも難しいくらいの所から切り取られた、丸いわずかな範囲だけで照らされてる場所は、虫に食われたせいで表紙すらも掛けてしまっている物であったり、埃まみれになっている様子や、本棚の何も置かれてない場所にクモの巣が張っているせいでそこに捕まった蛾が動けなくなってしまっている様子がった。
「……1人で食べれば」
「私たち、一応姉妹だから、こういうのは一緒に……」
「お前はあっちで遊んでろよ!」
顔を勢いよく上げながら、周囲に響き渡るような大きな声を出したその子は勢いよく立ち上がりながら腕を大きく振るう。それのせいでパンが飛ばされて、私の斜め後ろの方の闇の中に転がっていくようだった。
ただ、立ち上がったままこっちの方を見下ろしてる相手は、両方の手を握りしめたまま顔を下に向けてて。その前に髪の毛と帽子をまた持ってきてた。しかし、その状態でも声と一緒に呼吸を何度も繰り返してる。それと連動するように肩が何度も上下に動く。
「どっか行ってろよ!」
私が声を何の意味もなくただかけようとした瞬間、さっきと同じくらい鋭い声がして。こっちはただそっちに向けて指をわずかにだけ出すみたいな姿勢をするまま小さくそこの先端を上下に動かす。それは同じまま目線だけを相手がいない方に向けて落っことすと一緒に音もなく息を吐いた。
ただ、その間もエクソシスターの女の子は何度も私の方を大きく開いた目からまっすぐに見つめて来てて、鼻から出す息の音を何度もこっちに聞かせて来てる。その様子を見ずに落っこちたパンをネズミが食べているのを見ながら上の唇を下ので潰しながらまだ新聞にくるまってるそれを自分の側に押し付けて。上瞼を落としながら体を翻す。そのまま口でため息を吐きながら首だけを使って顔を下に向けながら歩いた。
そしたら、向こうはまた体をしゃがませながら一度鼻をすする音と一緒に本を見ながらいるみたいで、足を止めながら上半身だけ振り返らせてそっちの方を見つめた。自分の両腕で体を強く引き締めながら背中を丸めているその姿は、上半身のほんの一部と膝の上の辺りだけが懐中電灯で照らされているよう。
しばらくその様子を見てたかったけど、自分の顔の力でそれから視線を逸らすと、顔を下に向けて小走りくらいのペースで図書館の中を歩いて行って。それから特に見定めたわけでもない棚の側面に片方の肩を勢いよく押し付ける。そのままそこに体重を押し付けた。
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