ただでさえ生きるのが厳しい呪術世界なのにクズ一族に生まれて死相しか見えないんですが   作:楓/雪那

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お久しぶりです。

スマホのアカウントが乗っ取られかけたり、期末レポートに追われたりでなかなか時間もテンションも作れず時間が空きました。申し訳ない。


#10 新入生しごき隊

 

 

「今日からお前たちの後輩として呪術高専に入学した七海建人と灰原雄だ。仲良くするように。いいな、お前たち?」

「よろしくお願いします、先輩方!」

「…よろしくお願いします」

 

 

五条たちが入学してから早くも一年が経ち、新入生も2人来た。

呪術師としては珍しい太陽のように明るい灰原と、中学卒業したてにしては疲れ切った眼つきをしている七海。

今日は入学初日で、校庭で先輩にあたる3人と顔合わせをしている。

しかし夜蛾の釘を刺すような言い方に反して五条は早速後輩二人を品定めするように見つめる。

 

 

(どっちも近接タイプの術式…七海は拡張次第で化けるかもしんねーけど、そのまま使い続けんならビミョーだな。灰原の方は素で応用が効きやすいけど出力は七海より下…地力鍛えねーとじゃね?)

 

 

禪院袴との交流で五条の性格は本人の自覚なしに少し丸くなっていた。

しかし六眼で初対面の術式情報を見る癖は抜けることはなかった。

袴の知る正史の五条悟のように何でもかんでも「雑魚」と侮る悪癖こそ治まったものの、勝手に格付けするためそのことを知ったほかの術師からはやはり反感を買ってしまっている。

むしろ反感を買ったうえで煽り続けるのが五条がクズと称される所以なのだが。

 

 

「よし、せっかく1,2年が全員揃ってるんだ。悟、傑、組手をしてやれ」

「え~、センセーそれ本気で言ってんの?俺と傑相手じゃ全然勝負にならないっしょ」

「こら、悟。何でも事実をストレートに言うのはよくないよ。オブラートに包むということを君は覚えた方がいい」

「庇ってるように見えて何も庇えてねー夏油も同族だからな?」

 

 

いきなり雑魚認定することこそしなくなったとはいえ、言外に自分たちの方が遥かに格上だと言い放つ五条と、フォローがフォローになっていない夏油にジトーっとした目を向けて突っ込む家入。

そんな先輩のやり取りを見て灰原は、五条は性格が悪いが他2名は良い人だと判断する。

しかし七海は三者三様の性格の悪さを理解してより表情を険しくする。

 

だが五条の言うように新入生2人にこの問題児2人をぶつけるのは流石に酷かと夜蛾は思い直し、5人に待機を指示して校舎に戻る。

数分後、一人の少女を連れて夜蛾が戻ってきた。

 

 

「急に呼び出してすまない、袴。新入生の組手の相手を任せるぞ」

「ほんとに急ですね…」

「えっと、先生…その子は3年生とかですか?」

「いや、彼女、禪院袴は君たちの一つ年下だ。訳あって高専入学前にこちらの寮で生活している。来年には正式にお前たちの後輩として入学するから、今から仲良くしておくように」

「よろしくお願いします、七海さん、灰原さん。それでは始めましょう」

 

 

軽く挨拶を済ませるやいなや、着物の裾をまくって構える袴。

一方の一年生二人は、1つだけとはいえ自分より年下の少女といきなり戦うよう指示されて困惑する。

 

 

「どうした、二人とも。始めて構わないぞ」

「いや…そう言われましても…」

「年下の女の子にいきなり殴りかかるのは…ちょっとね…」

「ははっ、袴のやつ舐められてやんの」

「仕方ないだろう、外見だけなら強そうには見えないのだからね」

「聞こえてますけど??」

「一年坊主ども~、そいつぜぇーったい!にお前ら二人より強いから本気でやった方がいいぞ~」

 

 

自分たちが戦うわけではないことをいいことに煽り続ける外野に袴は青筋を立てる。

同じようにちょっとムカついてるのは七海も同じである、灰原は根明なので純粋なアドバイスとして受け取っていたが。

最強コンビへの七海の最初の印象は「当てにならなそう」ということであり、さっきのガヤも自分たちを躍起にさせたいためだけに適当を言っているのだと思っていた。

とはいえ舐めた動きをするのは年下といえど相手に失礼だと思うし、自分の性にも合わない。

 

 

「…では、私から行かせていただきます」

 

 

ならばいつも通りの動きで行くべきだろう、そう考えて七海が構えた瞬間。

 

 

 

ぞわり、と。

 

 

 

今まで体感したことのない恐怖が七海、そして灰原を襲った。

その恐怖の発生源は相対している袴から。

彼女の全身を覆うように先までとは比べ物にならない量の呪力がうねっていた。

 

 

「二人とも、組手だからといっていい感じに手を抜かないでください。殺す気でかかってきてくださいね」

 

 

その呪力量と隙の無い佇まいから、漸く目の前の少女が格上であると理解した二人は意識を切り替える。

 

 

「私の術式は対象に強制的に弱点を作り出します。7:3、その位置に私が攻撃をあてることでクリティカルとなります」

「そうなんだね!それじゃあ俺の術式は…」

「ストップです、灰原。貴方の術式の情報は今は隠しておきましょう」

「OK!でも俺も近接タイプだよ!」

 

 

己の術式を開示したのは七海である。

『自分の術式を晒す』ことで『術式効果を引き上げる』縛り。

それと同時に七海は味方である灰原に、自分の戦闘スタイルが近接特化であることを暗に伝えていた。

尤も一般家庭出身の二人に呪術戦における重要な要素である『縛り』の知識があるわけもなく、ただ片方の戦法を伝えることで少しでも連携しやすくなるようにしようという考えだけであった。

だが結果的に無意識での『縛り』が七海の呪力量を通常時より引き上げることになる。

 

お互いのファイトスタイルを伝えあい、そして同時に駆ける。

七海は拳を、灰原は蹴りを袴に向かって放つ。

始めにあった手を緩めるという意識は既になく、勢いをつけた攻撃。

しかし袴は灰原の蹴りを掌で、七海の拳を肘で完全に受け止める。

 

 

「まだ緩い」

 

 

そして片手で灰原を放り投げ、回し蹴りで七海を蹴り飛ばす。

体格で勝る二人を軽くあしらうフィジカル、それを目の当たりにして七海と灰原は再び瞠目する。

しかし袴は追撃することなく、その場で構え直す。

 

立ち上がった二人は挟撃をしかける

今度は同時ではなく、互いの攻撃の隙を埋めるような立ち振る舞い。

即興にしては非常に出来の言いコンビネーション。

性格は真反対だが、むしろそれが嚙み合うのだろうか。

しかし袴は二人の攻撃を時に受け止め、時に躱し、時に反撃する。

マストカウンターで返してくる袴にはダメージのようなものはまるでない。

 

 

(未来でも見えているのか、彼女は…!)

 

 

袴の行動に七海は段々違和感を感じ始めていた。

自分が術式を発動しようと思ったタイミングでは袴は絶対に回避行動を取るのだ。

七海の生得術式『十劃呪法』は彼が最初に開示したように、『対象の長さを線分したときに7:3の比率を強制的に弱点にする』術式である。

この術式の特徴は『呪力のうねりが極めて少ない』というところだ。

 

出力の大きな術式ほど発動前の呪力のうねりは大きくなる。

それは六眼による効率的な呪力パフォーマンスを可能とする五条悟ですら無くしようがない。

しかし七海の十劃呪法は『対象へ弱点を付与する』という性質上、結果として高火力になるのであって発動前の呪力操作を最小限に抑えられる。

そんな予備動作の少ない七海の攻撃を、早い段階で致命傷になり得るかどうかを判断する袴の行動は七海からしたら奇妙なものだ。

 

 

(だが、今の彼女の注意が主に私に向けられているのなら…灰原次第でチャンスを作れる)

 

 

体格差を物ともせず七海の攻撃を捌き続ける袴。

パワーでは七海の方が勝るものの、無駄を省いた動きで袴は受け流しながら唐突に話しかける。

 

 

「七海さん、それだけしかないんですか?」

「…それだけ、とは?」

「倒したい相手にしか術式を付与できないんですか?あなたの術式、シンプルでかつ応用の幅が広くできる術式だと思うんですけど、敵対している相手しか目に入らないのは宝の持ち腐れでしょ」

「じゃあなんですか、護衛対象の一般人や味方に使えとでも?」

「他にもあるでしょう。地形、空間、時間、見えない概念。あなたの術式はあなたの認識次第で何にでも形を持たせられる。もっと解釈を広げてこその呪術戦ですよ」

 

 

アンタの考えはだいぶ特殊だと思うけど。

そんな野次を外野の家入が飛ばし、五条と夏油も同感と言わんばかりに頷く。

いや、五条に関して言えば「収束する『無限』を現実に持ってくる」なんて初見だと理解に苦しむ効果がデフォルトなのだからどっこいどっこいな気がしなくはないが。

 

 

「考えを止めるな、視野を広げろ、過去も未来も、後付けだろうが前借りだろうが全部を使え。じゃないと生き残れませんよ」

 

 

赤く輝く眼を細めて二人を射抜くように見つめる。

その視線を受けて、七海と灰原は今一度、己の術式と向き合う。

 

 

(いや、意味が分からない…何なんだ、時間を線分して攻撃に応用するって…認識次第で何にでも形を持たせられるって…無茶苦茶すぎる)

 

 

十劃呪法が苦手とする相手は不定形の相手だ。

例えば自分の全長を自在に変えられる敵、最小状態に弱点を付与しても、攻撃を当てる直前に最大状態に変化されたらそのウィークポイントは無効化される。

同様に物理攻撃が効かない相手とも相性が悪い。

拳で炎をかき消せるか、雫を散らせることなく消失できるか、帯電する電力を0にできるか。

袴は言外に『できるようにしろ』と言っているのだ。

 

 

(だが、今の使い方だけでは彼女に勝てないのは間違いない……今、できることを増やすならば…)

「ふんっっっ!!!」

 

 

瞬間、地面が揺れる。

震源は七海の真下。

呪力を拳の一か所に集中させ、足で雑に引いたラインの7:3の位置を砕く。

呪力強化を含めているとはいえ、ただの拳で地震を発生させる怪力。

その狙いは震動による攻撃などではない。

七海が導き出した選択肢は『攻撃手段の拡張』、すなわち『破壊した対象に呪力を込める広範囲攻撃』。

 

 

(『瓦落瓦落』か!)

 

 

袴の知る原作にも登場した七海のオリジナル技。

原作では端がある空間の壁を対象に発動したことで震度2クラスの威力を叩き出していたが、今回は初使用かつ無理やり弱点を設定したため威力は劣っている。

石礫程度のサイズであれば一発当たった程度では致命傷にならない。

しかし無数の礫に混じった大きな瓦礫であるなら話は別だ。

小さいのは砕き、大きいのは避けると決めて、眼を光らせる。

 

そして見た未来に舌打ちをして大きく後退する。

無数の礫の隙間を縫うように彼女に襲い掛かるのは5本の白い鞭。

未来視の通りにその場から動かず礫を防いでいたら、この鞭にカラダを貫かれていた。

組手開始から20分、なるべく動きを抑えていた袴が初めて大きく移動した。

 

 

「なんだ、どっちとも良い術式じゃないですか」

「そうかな!?ありがとう!」

 

 

明るい声で返事をしたのは灰原。

彼の右腕はさっきとは比べ物にならない密度の骨が覆っていた。

その巨大な手から伸びる鞭、否、5本の指を蛇腹剣のように振るわせる。

一度大きく手を振りかぶるだけで突風を発生させ、叩きつけられた地面にはひびが入り、掠るだけで一筋の傷が付く。

 

 

(家の文献で読んだだけだけど…確か『骸脈装術』だったっけ?自分の骨の成長を促進させて武器にする術式…いや、ほんとにこっちも拡張しやすそうな術式だけどな~。ぶっちゃけあれ全然遠距離でも戦えるでしょ)

 

 

袴の考えている通り、灰原の生得術式『骸脈装術』は体内の骨を急成長させ武器として扱う術式であり、『呪霊操術』などと同様に相伝ではないものの、呪術界ではそれなりに知名度の高い術式である。

そしてその応用性の広さは加茂家相伝の『赤血操術』と並ぶものがあるが、かなりリスクの多い術式でもある。

 

一つは呪力消費の激しさ。

術式の性質は身体強化に近いものだが、現実の物体を生成する特性から他の術式より多くの呪力を要する。

さすがに無から有を生み出す『構築術式』ほどではないが、多くの術式と比較すると燃費が悪いのは事実である。

 

より問題なのが成長させた骨が術者の体に多くの負担をかけるという点である。

例えば先の灰原のように手を巨大な骨で覆った場合、術者は自重で動きが落ちてしまう。

また骨を成長させるということは、元は自分の骨であり痛みも共有されることから、安易に巨大化させると被弾のリスクも大きくなる。

 

すなわち『骸脈装術』の術者は成長させた骨に振り回されない基礎身体能力、被弾や自切によるダメージを耐えるための忍耐力、いかに効率的に発生・解除を行うかの呪力コントロール技術を要求される。

そのため術式に造詣が深い者ほど、「扱いの難しい術式」と評価する。

 

最初に近接主体と言っていたことから、灰原もこの術式を遠距離戦で使うより近接格闘戦で打点を底上げするために使っていたのだろう。

しかし先の袴のアドバイスを受けて被弾のリスクを覚悟したうえで苦手な遠距離攻撃に踏み切った。

 

「七海!壊していいよ!」

「分かりました!」

 

灰原から出た許可が何のことかを理解した七海が飛び出す。

それに合わせて灰原は指の付け根から先を自切し、七海は術式対象を「指の全長」に指定し5本連続で粉砕する。

 

砕け散った白い礫が袴の視界を遮り、その後ろから白い剛腕が迫りくる。

骨の拳を袴が粉砕、さらに奥から右手を骨格で覆って殴りかかってくる灰原の腕を掴んで、膝蹴りを叩き込む。

同時に袴は右の掌に呪力を込め、フィルムを一枚現像、それを右後方へ投げ捨てる。

 

『術式順転・宵』

 

フィルムが飛んだ先にいるのは灰原と骨の破片を囮にして死角に潜り込もうとしていた七海。

術式対象を「袴の全長」に指定していた彼の目の前に、フィルムの中から変わったデザインのぬいぐるみが出現する。

 

 

「――――は?」

 

 

傀儡呪術学の第一人者・夜蛾正道が製作した呪骸の一体・ワニのジムは七海の呪力を感知し、起動と同時に殴りかかる。

とても綿が詰められた腕から繰り出されたパンチとは思えない威力のボディーブローが七海の腹にクリーンヒットするが、逆にその痛みが唐突なかわいいぬいぐるみの出現に気を取られてしまった七海の集中を取り戻させる。

すかさず突撃してきた呪骸の頭をむんずと掴んで斜め上へと投擲するが、直後にくの字で飛んできた灰原を受け止める。

 

 

「大丈夫ですか、灰原」

「大丈夫って言いたいところだけど結構きつい!!」

 

 

すでに息が上がってきている二人に対して、袴は無傷であり余力があるのは一目で分かる。

その格の違いを実感しながらも絶望した様子を見せない二人の眼を見て、袴は脳内で評価を改める。

 

 

(七海の方は原作から知ってたけど、灰原も耐久力はすごいね。出力の方も鍛えればグンと跳ね上がるし、メンタルも強いね?…どうせなら一回くらい食らわせておこっか)

 

 

「…七海さんは頭が固い。咄嗟のアレンジは悪くなかったですけど、それでも手札が少ないです。性格は術式に反映される、単に術式の拡張だけじゃなく、身体技術や呪具なども取り込んでみたらいいんじゃないですか?」

「……助言は素直に受け取っておきます」

「灰原さんもアレンジはよかったですけど、素直すぎです。やりたいことが分かりやすすぎます。サポートとアタッカーを切り替えるんじゃなくて同時並行でやってみたらどうですか?」

「ありがとう!!でも難しいこと言うね!!」

 

 

さっきのアドバイスもどうしてなかなか役に立ったためか、二人は袴からの評価を真摯に受け止めながら次の作戦を練る。

しかしその努力は、袴が取り出したカチンコの前では水泡に帰す。

 

 

「それじゃあ言うべきことは言ったので、ここからは特別講義と行きましょう。

 

 

 

 

 

頑張って耐えてくださいね?

 

 

 

『領域展開・輪廻泡影殿』

 

 

 

カチンと音が鳴り響き、袴・七海・灰原の三人が領域に取り込まれる。

 

 

(これはいったい―――――なんだ、急に頭の中に情報が!?)

 

「領域展開、呪術戦の極致と言われる技術です。等級の高い呪霊、それこそ特級だったり、領域展開の劣化版になりますけど簡易領域を使えたりする個体もいます。覚えておくに越したことはないのでこの機会に知っておいてください」

「領域とは簡単に言うと自分にとって有利な空間に相手を閉じ込める結界術、結界に自身の術式を流すことで空間内にルールを設けます」

「基本にして最大のメリットは術式が必中になるという点です。術式が流れている結界にいる、ということは既に術式が命中している状態ということになるからです。そのため領域内での攻撃はすべて呪力で受けないといけません。…私の場合は違いますけど、大体は必中かつ必殺なので入った時点でほぼ詰みです」

 

 

「ほぼ、ということは当然対策も可能なんですよね?」

 

 

袴の説明を聞いて七海は疑問に感じた部分を質問する。

 

 

「その通りです。呪力で受けるのも対策の一つですが領域からの脱出や、こちらも領域を展開する等の方法で対抗できます。さらに言うと領域展開の使用には莫大な呪力消費が要求され、領域展開が解除されると術式の使用が一時的に不可能になる、というリスクも存在します。」

 

 

「じゃあ領域が壊れたら狙い目ってことだね!!」

 

 

灰原の問いかけを肯定する袴だが、内心では「まあ領域対策がこれまた難易度高いせいであんま現実的じゃないんですけどね」とぼやいているが二人が知ることはない。

 

 

「それで、さっき私とおそらく灰原の頭の中にも流された謎の情報は何なんですか。あれが今言った必中効果ですか?」

「ええ、一部ですけどね。領域効果を開示することによる領域の機能の向上です……そういえば縛りについては説明してなかったですね、それは後日にでも」

「じゃあ俺たちは今から4分半耐えきれば脱出できるってことだね!?」

「そうですよ、だから耐えてくださいね?」

 

 

説明を終えるや否や、二人の視界から袴が消失する。

どこに消えた、と探ろうとするよりも先に襲い掛かる背中への衝撃。

領域内で発動制限が取り払われた『小夜』による一撃だ。

吹き飛ばされながらなんとか背後に振り返ろうとする七海だが、今度は右側から蹴り飛ばされる。

思わず灰原は声を上げかけるが、叫ぶより先に真上から腹部に来た衝撃で何も言えなくなる。

 

二人が叩き落されたところから土煙が巻き起こる。

その様子を袴はじっと眺める。

彼女が見たのはその土煙の中から骨の剣山が出現する未来。

 

 

「『崩壊世』」

 

 

しかしその剣山は彼女に届く前にボロボロと崩れ落ちてゆく。

元より灰原は袴に突き刺すつもりで骨を伸ばしたわけではない。

それは当たればいいな程度のものであり、本来の狙いは骨格のドームで自分と七海を覆い、袴がそれを砕いて突撃してくるのに対してカウンターを打ち込むためのものであった。

しかしあまりにも分かりやすい狙いに袴は乗ることもせず、術式を消滅させることで突破する。

 

結果、灰原が防御、七海が反撃に徹するという二人の作戦は初っ端から破綻し、領域展開から1分経過するより前に二人とも意識を失った。

そして袴は夜蛾にしこたま怒られた。




禪院袴

誰よりも鬼教官している最年少。
五条よりかは理論立てて話はできるが、「百聞は一見に如かずだよね」の精神だから組手のガチ具合がやばい子。
シン・陰流が門外不出なのにも疑問を抱いており、「『落花の情』流出できないかな」と本気で考えている。


灰原雄

オリジナル術式を盛られた。
「食べるのが好き」だから最初は料理関係にしようかと思ったけど、ワンチャン呪いの王と被る恐れがあったので食育→骨にシフト。
ヤベー後輩のことはシンプルに尊敬してるし、腐ることもなく燃えている。


七海建人

先輩は尊敬できないし、同期は性格が真反対だし、後輩は悪魔。
呪術師はクソ。
でも後々の評価は「信用も信頼も尊敬もできる」

植物トリオ以外で救済が欲しいのは?

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