ただでさえ生きるのが厳しい呪術世界なのにクズ一族に生まれて死相しか見えないんですが 作:楓/雪那
学生時代と大人時代で2枚ずつ挙げます。
あらすじの方にも挙げるので意見があったらお聞かせください。
これを元にファンアートをくれたら作者は喜びます(強欲で貪欲な壺)
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高専時代、袴その1
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高専時代、袴その2
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大人時代、袴その1
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大人時代、袴その2
◇追記
完全に忘れてたんですけど、前話自分で見直してさしす組が高1で袴が中1は年齢合わなくない?ってことに気づきました。
なので「2年次に編入した」ってことにさせてください。
お嬢様学校に編入ってあるのか知らんけど
「や、悟。お疲れ様」
「…おう」
2005年 6月某日夜
任務を終えて高専に戻ってきた五条悟を談話室で出迎えたのは同級生の夏油傑であった。
「…もしかして戻ってから夕飯を食べたのかい?」
「はぁ?なんで分かんだよ」
「…マジか、意外だね。私も硝子も袴の手料理をいただいたけれども」
それにしても本当に君は彼女が嫌いだね。
いつにも増して不機嫌そうな顔の親友を揶揄うように夏油は笑う。
禪院袴。
呪術界の名門中の名門、御三家の一角である禪院家の生まれ。
夏油達と同時期に呪術高専東京校の寮で生活し始めた2つ年下の術師の少女。
高専には飛び級制度もあるのか、と初めは思ったが入学はしっかり2年後とのこと。
だが入学前から任務は斡旋されるので不自然に思ったが、五条曰く「御三家は10を超える前から任務に駆り出される」らしい。
まあ自分も夜蛾先生にスカウトされるまで、フリーで呪霊討伐をしてたからそんなものか、と納得した。
そんな後輩(呪術界との関りでいったら自分の方が後輩ではあるが)と親友・五条悟の仲は頗る悪い。
元々五条家と禪院家(ついでに残りの御三家の加茂家も)は非常に険悪だ。
その風潮からか、五条は袴に初対面で「禪院の人間がいるとか最悪」、「雑魚術式」などと罵ったのだ。
当初は五条と禪院の関係性を知らない一般家庭出身の夏油も、もう一人の同期の家入硝子も、五条の唐突なクズ発言にドン引きし「コイツとは仲良くなれなさそうだ」と思っていた。
なお現在では思ったより馬が合ったのか、お互いに親友と認め合う仲になったのだが。
閑話休題
ともかく五条が売ってきた喧嘩を袴が買い、オリエンテーションが急遽五条家と禪院家の御前試合に変わった。
担任の夜蛾は頭を抱えた。
というのも五条が暴れるということは校舎が半壊し、対戦相手が重傷を負うことが目に見えているからだ。
校舎の方はまだいい(よくない)、これは金は掛かるが業者が何とかしてくれるし、幸いにも今日は教室を使って授業を行う予定はない。
問題は後者の方であり、京都から禪院本家が飛んできて五条家と戦争し始めかねないからだ。
今まではお互い牽制や嫌がらせ程度で済んでいたが、五条家の当主が直々に禪院の次期当主候補に重傷を負わせるなどとなったら些細な喧嘩が未曽有の呪術合戦に進化する。
しかしそのような事態に発展しても一人で禪院の術師を蹴散らせる強さを持ってしまったのが五条悟という男であった。
数百年ぶりの『無下限呪術』と『六眼』の抱き合わせ。
原子レベルの緻密な呪力操作を必要とする代わりに「無限」という概念に干渉する最強クラスの術式。
そしてその呪力操作を可能にするための五条家に発現する特異体質『六眼』。
この術式を発動することで五条は自分に向かってくるあらゆる攻撃を当てさせないようにできる。
故にほとんどの術師、呪霊は彼を倒すことは不可能とされており、彼を最強たらしめる所以であった。
しかし実際はどうだったであろうか。
なんと禪院袴は五条の無下限による防御を突破して、「こんな雑魚じゃ手抜いてもどうにでもなるだろ」と余裕をこいていた五条の顔面を殴り飛ばしたではないか。
殴り飛ばされた五条は仰向けで倒れ数秒呆然としていたが、何をされたかを理解して起き上がりやり返そうとした。
しかし袴は「一発殴れて満足しました」と夜蛾に言い捨てて逃亡し、五条は反撃する機会を失ってしまったのだった。
その一件以降、五条は「一発やり返さないと気が済まない」と躍起になっていたが、袴は未来視を使用して五条と鉢合わせないように動いていたためその機会は中々訪れなかった。
それでも高専内で生活を共にしている以上食堂などで会うことはあったが、そういう時に限って夜蛾に見つかったり家入に「うるさいからやめろ」と怒られ仕返しは叶わず、2か月が過ぎた。
そんな二人の険悪な関係だが、五条が特に嫌なのは時折袴が厨房に立っていることだ。
実家で箱入りとして甘やかされて育った五条には高専の一般的な食事がとにかく新鮮で毎日楽しみにしていた。
しかし何故か偶にあの禪院の娘が料理をして学生や教員に振舞っているのだ。
夏油や家入は「美味しいから悟も食べればいいのに」と誘うが、あの禪院の人間が作った食事なんて食えたものじゃない、と五条は拒否し続けてきた。
だからこそあの五条が袴の料理を食したことが夏油には意外であった。
「それで、一体どういう風の吹き回しだい?」
「どうもこうもねーよ。腹も減ったし今からコンビニ行っても足りねーから」
「それこそどうしたって聞いてるんだよ。あれだけ彼女を毛嫌いしてただろう?」
「……俺もさぁ、アイツの飯なんて食う気はなかったけどさぁ、禪院のヤツ、俺の顔見るなり『五条さんの分は残してありますから、食べるならさっさと食べてください』って言ってきたんだぜ?しかも『今からコンビニなんて余計お腹すくでしょう?』とか『コンビニの売れ残りなんてたかが知れてますよ』とかやたら食わせようとしてくんの」
ぶつくさ話し始める五条の様子を見て「まるで反抗期の息子と母親だな」と夏油は思ったが、聞いたら間違いなく五条はキレるので口には出さなかった。
でも面白いから硝子には言おう。
「それで出されたものを食べたのかい?悟にしては素直じゃないか」
「おいどういう意味だ傑コラ。…まああの麻婆豆腐、見た目は美味そうだったけどよ、それでもすぐには食おうとは思わなかったんだよ、禪院の手先なら毒殺とかやりかねねーからな。毒は硝子の反転術式でもどうにもならねーし。そしたらアイツさ、盛り付けた麻婆豆腐を一掬いして自分で食べて『毒見はしてあげましたから早く食べてください、片づけたいんです』って」
「へぇ…」
袴の対応も夏油には少し意外だった。
彼女が五条を毛嫌いしてたのは知っているしその原因も五条が悪いと思っていた。
そんな袴が五条のために飯を残して、さらに警戒を解くため自ら毒見をする優しさを見せることが珍しいと感じる。
(そういえば明日は彼女との合同任務だったな…袴ちゃんには色々聞きたいことがあるし、この機会に聞いてみるか)
翌日
夏油と袴の合同任務は午後からであり、午前中はそれぞれの学校で授業を受けていた。
先に夏油が補助監督の運転する車に乗って出発し、任務のため早退した袴をピックアップし目的地へと向かう。
「こうして君と一緒に任務に行くのは初めてだね」
「確かにそうですね。本日はよろしくお願いします」
「いや、こちらこそよろしく頼むよ。あ、あと昨日の麻婆豆腐も改めてありがとう。美味しかったよ」
「いえ、喜んでもらったならよかったです」
「そういえば悟も食べたそうじゃないか、君たちは仲が悪いからてっきり悟だけ飯抜きとかやるんじゃないかと思ってたよ」
「……私、そんな性格悪く見えます?」
先輩殴ったのは事実だけどあれは10対0で向こうが悪いから、そう思われるのは心外なんですけど、と言わんばかりの顔を袴は向ける。
さらに内心ではむしろ五条さんの親友の夏油さんのほうがよっぽど性格悪いでしょ、とも思っているが秘密だ。
「まあ、食材に罪はないですから。それに家柄で見られるのムカつくんですよ」
「ああ…呪術師の家系、特に女性はそういうのが多いんだっけ?」
「えぇ、
曰く術式を持っても宝の持ち腐れだから子に引き継げだの。
曰く女として産まれたなら家のために優秀な種を孕めだの。
曰く男ならば多くの女を娶り家を残すための子種を残せだの。
曰く女の自己なんぞ良家の男に差し出すべきだの。
いくら例を挙げても尽きない男尊女卑のオンパレード。
聞いてるだけで吐き気がするような話は一般家庭出身の夏油からしたら創作物のようなものである。
運転中の若い補助監督も気持ち悪そうに顔を顰めている。
「御三家…それも次期当主で現代最強の五条さんクラスになったら寄ってくる女なんて百単位いくんじゃないんですか?そう考えると私もその女の一人って見られるのはまぁ分かりますけども、感情面ではやっぱムカつきます。レッテル貼りなんてクソですよクソ。禪院だからって理由でこっちの人となりを知らないで罵倒されるなんてたまったもんじゃないです」
「じゃあ袴ちゃんは悟のことが個人的に嫌いってことかな?」
「もちろんですよ。あの人主語もデカけりゃ態度もデカいじゃないですか。それにほら、GLG自称してますけど魚を捕まえただけで満足して餌を与えるの忘れてそうな顔じゃないですか」
「多分それ、私の生涯で聞いた罵倒ランキング不動の1位のままで終わるよ」
はっきり五条悟が嫌いだと言い切った袴に夏油は思わず吹き出す。
一見すると紳士のような振る舞いのこの男が五条とセットでクズと呼ばれるのは、面白そうと感じたならば親友すら平然と売って笑いの種にする性格の悪さゆえである。
「まあここまでお家が女がって話はクソって言っといてなんですけど、夏油さんも媚びてくる女には気を付けておいた方がいいですよ。名家の人だったら猶更にです。呪霊操術って呪術界でも有名な術式ですけど保有者は極めて少ないですから、ある意味五条さんより狙われやすいと思いますよ」
「ふふっ、肝に銘じておくよ。そうだ、君が私と婚約してくれればその悩みは解決されるんだがどうかな?」
「性病持ってそうなくらい顔がいい人を選ぶのはちょっと」
「すごいね、数分で私の中の罵倒ランキング1位を更新したよ」
―――今回の討伐対象はこちらの●●総合病院、19XX年に廃業して以来、他県からも多くの人が肝試しに訪れています。
ええ、廃病院となってから5年後に一度高専の術師が対処に向かい、任務を完了させました。
しかしその後、廃病院に侵入した一般人の多くが院内で行方不明となっています。
その為高専は凡そ5年周期で当病院で発生した呪霊を祓っていました。
5年周期、というのは院内の呪霊がそこまで強力ではなく精々準2級レベルだったためです。
自治体も病院を取り壊す費用が勿体ないとのことで放置しており、高専側も若い術師の実践の場として当病院を利用していました。
事態が変わったのは先月、前回の定期処理から5年経ったため、東京校の3年生である宮川2級術師と高専と提携関係にある馬淵家の術師――ちなみに等級は3級相当だったらしいです――が任務に向かったのですが、そのまま両名行方不明となりました。
はい、任務に向かった術師の等級や術式と院内の呪霊のレベルから補助監督は帳は不要と判断し、電波はこのように問題ありません。
このことから上は院内に1級クラスの呪霊が生得領域を張っていると推測し、任務の危険度を上げました。
夏油準1級術師と禪院特別1級術師―――え、苗字で呼ばないで欲しい?は、はぁ…それでは袴特別1級術師には領域の主である呪霊の撃破及び生存者の保護をお願いします。
「これが生得領域か…」
「内部構造に変化はない、ですか。となるとターゲットは何十年も息を潜めてたわけですね」
夏油と袴は院内に入ってすぐ違和感に気づいた。
やけに綺麗すぎる。
照明は恐らくすべて落ちているが、ところどころ血痕がこびりついてはいるがそれ以外の汚れが一切ない清潔な病院だ。
待合の椅子はずれることなく綺麗に並んでおり受付や窓ガラスはヒビ一つない。
数十年前に潰れた病院がこんなに綺麗な状態を維持していたのは異常だ。
そもそも数年前の現場写真は如何にも廃病院といった具合に散らかっていたのだから。
補助監督から現場内容を聞いた時点で袴は3つのパターンを想定していた。
①5年以内に発生した呪霊が生得領域を身につけている場合
②最初の対処の時点で払い残しがいて、ひっそりと成長し続けていた場合
③そもそも生得領域がなく、前任は応援を求める前に殺された場合
「受付に置いてあった日誌や資料の日付は病院が潰れるより前のものだ。袴ちゃんが想定していた2つ目のケースで間違いないだろうね」
「となると結構厄介めな案件ですね。夏油さんは生得領域は初体験ですから慎重に行きましょう」
「ああ、こればかりは君の方が先輩だからね。頼りにさせてもらうよ。その代わり雑魚狩りは私がやっておこう」
そう言いながら夏油は手早く3体の呪霊を呼び出し指示を出す。
召喚した呪霊はいずれも準2級クラス、病院の親玉には劣るものの入り口付近で屯っている低級呪霊程度ならばどうということもなく、野良呪霊たちの頭や胴体を食いちぎっていく。
「さて、とりあえず領域の主を探すのが優先かな」
「ですね、補助監督さんはああ言ってはいましたけど、ぶっちゃけ生存者なんていないでしょうし。仮にいたとしても主の近くで生け捕りでしょうね」
「…対象は術師に見つからずに力を蓄え続けてきた。高専は過去に何度も術師を送っているのに気づかれなかった、となると…」
「隠し部屋、それも地下にだと思います」
「……だろうね、いかにもな階段がすぐ見えるよ」
補助監督から渡された院内のマップには目の前にある地下につながる階段は存在しなかった。
恐らく呪霊が領域を生み出す際に意図的に1階と地下を繋げたのだろう。
夏油の呪霊2体に先頭を進ませ、その後ろに袴、夏油の順で並んで下へと降りていく
「そう言えば袴ちゃんに聞きたいことがあったんだけれども、聞いてもいいかな」
「今ですか?まぁいいですけど」
「いや悪いね、悟の無下限を突破した方法がずっと気になってたんだよ」
「あぁ、あれですか」
地下の部屋を警戒しながら一つずつ回りながら、袴は少し悩んだのち話し出す。
「うーん…言うだけなら簡単なんですけどね、『領域展延』っていう技術です」
「領域……というとあの『領域展開』の派生形かい?」
「ええ、結界を張らないで自分の身体に纏うって感じの技です。知ってると思いますけど領域展開には敵の術式を中和する効果があるんです。これを自分の身体にのみ張ることで相手の防御系の術式、それこそ無下限呪術すら突破することができるってことです」
領域展開の習得を前提とする技術を平然と使える袴ははっきり言って異常なのだが、夏油は今回の任務に行くにあたって夜蛾から「高専関係者で特に領域に精通している術師の1人が禪院袴」と聞かされていたので驚くのは事前に済ませていた。
いや、それでもその発展系まで使えてるのはおかしいのだが。
「ふむ…だがそれは領域展開で済む話じゃないのか?生得領域内は術者に有利な環境になると聞いたけど」
「それは相性がいい場合ですよ。領域使い同士のバトルなら領域の練度や術式の相性で捲られかねませんし、領域使いじゃなくても簡易領域などでいなされて呪力切れになったら負けです。領域展開の欠点は発動に必要な呪力消費が多いことと、解除後に術式が一時的に焼き切れることですからね。その分展延はコスパもいいしデメリットも発動中に生得術式が使えない程度です。領域展開ほど知られた技術じゃないなら防御型には初見殺しとして機能しますしね」
事実五条は袴を格下だと侮り、無下限で防げるとタカをくくっていたからこそ展延によって無下限を中和され、見事に一撃をもらった。
生得術式とは関係のない、領域展開さえできれば誰にでも使える技なのだから守りに自信のある術師相手なら確かに防ぐのは困難だろう。
問題は習得のハードルが高すぎることなのだが。
「私からしたら夏油さんの方が不思議ですよ。あんな自尊心エベレスト級の五条さんが同格の親友認定するって、どんな方法で分からせたんですか」
「悟お坊ちゃまは強いくせに煽り耐性が皆無なようでね、少し挑発して呪術なしのステゴロに持ち込んで叩きのめしたんだよ」
「ゴリラじゃん…」
そんな話をしながら、やがて2人はある部屋の入口に辿り着く。
霊安室と解剖室。
横並びになっているこの部屋を敢えて後回しにして他の部屋に潜んでいないが探っていたが何もいなかったため、ここしかないだろうと2人は思っていた。
「…薄いね」
「前髪がですか?」
「呪力の濃さがだよ?なんでナチュラルに煽るの?」
「まぁ確かに気配は薄いですね、今までの術師が気づかなかったのも頷けます。相当賢いですね」
「そうだね、それはそれとして無かったことにしようとするのはやめないか?」
「すみません、夏油さんの前髪は1回は弄っとくべきかなと。でもよく似合ってますよ」
「会話の流れって知ってるかい?」
ここで問い詰めても埒が明かないなと溜息をつき、夏油は扉の奥に意識を戻し、呪霊を呼び出す準備をする。
初手は自分の呪霊で扉を破り突入、袴が室内を『観て』状況判断、親玉を素早く処理し夏油が取り込む、という作戦だ。
「準備はいいかい?」
「何時でもどうぞ」
お互いに位置取りを確認し、夏油が大型のワームのような呪霊を解剖室に突撃させる。
直後室内を見渡した夏油は驚愕する。
(12体だと!?)
解剖室及び隣接した霊安室には12体の呪霊がいた。
夏油とて中に一体だけしかいないと楽観視していた訳では無い。
しかし、あまりにも多い。
外部で感じた呪いの濃さに反して多すぎる。
刹那、袴の声が響き渡る。
「右から四体目!そいつが親玉です!それ以外は呪霊じゃない!」
プラン通り袴は『天理の瞳』で室内の未来を観た。
そしてその中で最も反応の早かった個体ーー首から上は皮が剥がれ脳がむき出しとなったホルマリン漬けの脳となっている6本腕の手術服の呪霊を主と判断した。
見た目から親玉がどいつかは明らかであるが、他の呪霊、そのうち一体は切り刻まれた高専の制服を纏っている。
全身の至る所に眼を埋め込まれた制服の呪霊を観て袴の脳内に前世で知ったツギハギ顔が浮かぶ。
しかしすぐに頭を振って自分自身で否定する。
これらは呪霊じゃない。
人体改造、実在した医者の怨霊。
袴は親玉をそう判断する。
では他のはなにか。
腕や足、腹に他の人間の顔の皮を貼り付けられた人間。
肩から上は2つの首があり、肩から下は体格は同じだが肌の色や毛の濃さが左右で異なる、人工的な結合双生児。
乳児サイズの何かに全身を覆われた、女性のような何か。
袴と夏油が呪力の濃さから内部の呪霊の数を推測したのも無理は無い。
確かに領域の主は知恵が働いており、自身の呪力を意図的に抑えていた。
そして他の呪霊、否、改造人間は既に死んでいた。
非術師は基本的に呪力量は微弱であり、そのために呪霊を視認できない。
しかしながら死の恐怖を目前とした時、一時的に呪力量が増大することがある。
そしてその呪力は非術師の死後に外部へと漏れだし新たな呪霊を生み出す。
そして霊安室の元人間は手術服の呪霊の術式によって擬似的に活かされているだけに過ぎない。
極めて微弱な呪力を供給されることで植物状態にされており、手術服の呪霊の人体実験に対する欲求を満たすためだけに存在している。
つまり室外で感じ取った呪力の薄さの詳細は、手術服の呪霊が11体の遺体に供給していた蠅頭程度の呪力量というわけである。
袴の未来視通り、1番最初に侵入者に気づいたのは入口に最も近かった遺体ではなく離れた位置にいた手術服の呪霊。
即座に抑えていた呪力を解放、その呪力を流された改造人間たちも一斉に起動し2人に襲いかかる。
真っ先に動いたのは入口近くの個体、筋繊維をひたすらに継ぎ足されたのか異様に膨れ上がった手足の遺体。
夏油の呪霊に上半身を食いちぎられた死体仲間を気にすることなく、ワーム呪霊を殴り飛ばす。
2級相当、強度も高く消滅こそしなかったものの頭を殴られ壁に打ち付けられたことでノックアウトする。
使役する呪霊の中でも特に便利な個体がのされたことで夏油に迷いが生じる。
(何を出すべきだ!?あれ以上の耐久力の呪霊は限られている!だがそれを出して凌げるか?他のやつの手の内も分からない!呪霊でない以上、術式は無いはずだが…親玉を仕留めれば恐らく止まる!だが周りが通すか?大型を出す?いや、この距離じゃ彼女も押しつぶされる!近接で一体ずつ処理すべきか!?)
頭を回し続ける夏油。
思考の沼に沈みかけていた彼に先の遺体の拳が迫る。
その未来を彼女は『観た』。
何処からか取り出した薙刀状の呪具で勢いが乗る前の腕を斬り落とし、威風堂々とした佇まいで夏油に指示を出す。
「夏油さんは親玉をお願いします。こっちは私が引き受けますので」
高専入学直後の夏油は完全に私の自己解釈なので肯定も否定も受け入れます。
いつから呪霊玉食ってたのかは謎だし、そもそも原作の術師がどのような形で自分の術式を知ることになるのか謎なんですよね。
多分唯一、その描写があるのが吉野順平ですけど、彼の術式は真人が答えを出していたため順平本人が「毒だ!」って断定できてたのかは不明、でも式神を自力で出し入れできてたのはマジでどうやってるんだろう。
死滅回遊も覚醒タイプはいるけどうち3人は身体変化系で分かりやすそうだし、高羽はそもそも理解できてないしで謎。
話が少し逸れましたけど、私の想像する「入学直後の夏油傑」は独学で術式について研究し、入学後暫くは文献を調べて自分の考えと擦り合わせて成長したけど、結界術や縛りなどについては初期虎杖レベルで無知だったってイメージです。生得術式以外の呪術の知識は優等生だろうから飲み込みは速いだろうし、五条の知識もあってすぐ身についたんじゃないでしょうか。
あとステゴロは五条より上設定はそうでもしないと五条は彼を親友扱いせず雑魚のままだと思ってそうと感じたからです。
多分デジモンや桃鉄などの娯楽を教えたのもオカン夏油なんじゃないでしょうか
学生時代の袴との絡みが見たい相手
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五条悟
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夏油傑
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家入硝子
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七海建人
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灰原雄
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夜蛾正道
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庵歌姫
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冥冥
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伊地知潔高