〜ひろプリ×勇者であるシリーズ〜世界の壁を超えた出会い   作:やままん

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前回のあらすじ。

スカイランドへと向かった一同。

そして、もう1人の友奈が感じ取った"力"。

「劇団」が探している謎の古代遺跡。

そして、風と樹。

スカイランドにて散りばめられた謎を解く旅が今、始まりを迎えるのであった。


<第3部:マジェスティ編>
第102話 動乱のスカイランド。


〜スカイランド・辺境島〜

 

次元転移の航行中、トラブルが生じた。

それは、何者かによる妨害行動。次元空間でそんな所業が出来るのは1つしか無い。

 

それは、「劇団」。

 

航行中にアデルの笑い声が聞こえたと同時に次元嵐が吹き荒れた。

ずっと、監視されていたのだろうその嵐により一同はバラバラとなってしまった。だが、辿り着く先は全員分かっていた。そして今、この辺境島に辿り着いていたのは…。

 

鷹夜「…っ…てて…どこだここ…。」

 

頭を抑えながら、ゆっくりと立ち上がる鷹夜。

そう、この辺境島に辿り着いていたのは鷹夜と…。

 

ソラ「………………。」

 

ソラの2人だった。ソラは気を失っており、未だに目を覚ます気配が無い。あの時、鷹夜が咄嗟に手を取ったのがソラだった。別れ際に他のメンバーを見ると、近くにいた者同士で手を掴み合っていた。きっと、全員がスカイランドの各浮島に飛ばされたのだろう…そう思って。

 

身体を揺さぶるも、気を失ったままソラは眠り続ける。鷹夜は仕方ないと言わんばかりの表情でソラを抱える。

 

軽い…あの身体能力の高さからは想像が出来ないほどにまで軽い彼女の身体。戦い続きで少し痩せてしまったのだろう、その腕は細くて今にも潰されそうなほどか弱い腕だった。

 

起こさないよう、慎重にソラを運びながら鷹夜は辺りを散策する。

 

鷹夜(どうやら、この島にいるのは俺達だけみてぇだな…他のみんなも近くにいるといいんだが…。)

 

ゆっくりと歩きながら、辺りを見渡す鷹夜。

見たことのない小鳥がたくさん飛んでいる…そして、島の外は空間が広がっていて落ちたら何処に向かうのかもわからないほどにまで果てのない光景が広がっていた。

 

鷹夜「…ここがスカイランドか…ソラとツバサの故郷の世界…なんつーか、すげぇ不思議な場所だな…。」

 

そう呟き、ソラを抱えながら歩き回る鷹夜。その時、ソラが意識を取り戻そうと小さな声を漏らした。

 

ソラ「ぅ……っ…?。」

 

 

鷹夜「おう、ソラ。やっと起きたか?。」

 

目を覚ましたソラに視線を向けた鷹夜。ゆっくりと眉を開け、自分が置かれている状況を確認する。すると……。

 

ソラ「あ…ああああああッ!?。」

 

突然、大声を出して焦り出すソラ。驚いた鷹夜は後ろに転けるもソラを落とさまいと自分が下敷きになる。

 

鷹夜「ぐえええッ!?。なんだよいきなり…ッ。」

 

 

ソラ「え…ぁ…ご…ごめんなさいッ!。その…抱えられたのなんて初めてでしたから…その…大丈夫ですかッ!?。」

 

赤面しながら取り乱すソラ。こんな自分は見た事が無い…彼女は高鳴る鼓動を抑え込みながら大きく息を吸い込む。

 

ソラ(どうして私はこんなにも動揺してるのでしょうか…そうだ…雀さんが鷹夜さんにキスをしてから心が締め付けられてしまって…なんですかこの感情は…。)

 

鷹夜「…目を覚ましたならもういいけどよ…ソラ、ここがスカイランドで間違いねェな?。」

 

 

ソラ「え…あ、はい…浮島の特徴から間違いはありません。無事にスカイランドに辿り着いていますが…どうやら、辺境の場所に飛ばされてしまったようです。」

 

 

鷹夜「やっぱりそうか…「劇団」は俺らの動きを把握してやがった。アデルの声が響いたと同時にこれだ…あいつらはこのスカイランドで何かを企んでやがるな。」

 

 

ソラ「ええ…彼らの好きにはさせませんよ。ここは…私の故郷ですから。」

 

グッと、握り拳を作るソラ。いつも以上に気合が入り込んでいた。

 

鷹夜「俺もそれに一枚噛むぞ。お前の故郷をソラシド市の二の舞にはさせねぇ。まずは、みんなを探そう。そこから進めればいい、きっとこの世界には樹と風先輩も来ているはずだ。」

 

 

ソラ「ええ、わかりましたッ!。」

 

その時、空間が裂けて7体のキョーボーグが現れる。

それらを繰り出すスキアヘッドはそこには居なかった。

 

ソラ「スキアヘッドが居ない!?キョーボーグはアンダーグ帝国の怪物なはず…!。」

 

 

鷹夜「…妙だな…コイツら…ッ!。」

 

鷹夜は走りながら変身。先手を打って炎の蹴りを放つ。一体のキョーボーグを吹き飛ばした時、その違和感がすぐにわかった。

 

アグニ「…コイツら…偽物かッ…!。」

 

攻撃を当てた場所に、ピエロの刻印が刻まれている。それを見た瞬間にアグニはアデルの差金だと気が付いて。

 

アグニ「やっぱり、何処かで俺たちの行動を見てやがるッ!。」

 

 

ソラ「「劇団」がスカイランドに何の用でッ!?。」

 

ハンマーを持ったキョーボーグがソラの頭上に鎚を振り下ろす。

気が付いたソラはすかさずキュアスカイに変身。両腕を交差させてその攻撃を防ぐ。

 

スカイ「今度はスカイランドをメチャクチャにする気ですかッ!?。」

 

 

アグニ「さぁなッ!ただ、いつもなら芝居がかった口調と一緒に現れるはずだが…どういう事だ、刺客を送って来やがるだけでまるで姿を見せてこねェ、それに……。」

 

アグニ(空間を移動してる時に明らかに邪魔をして来やがった。そして、スカイランドの各地に俺たちをバラバラに分散させる様に転移先を変えてやがる…考えろ…コイツらの魂胆を考えねェと「舞台」に踊らされるだけだ…ッ!。)

 

思考をフル回転させ、アグニはキョーボーグを撃退しながらアデルの魂胆を考え抜く。次から次へと現れるキョーボーグはオリジナルよりも圧倒的に戦闘能力が低い。だからと言って、弱いわけではないが。

 

思考を巡らせながらと手数の多さから2人は徐々に傷を負っていく。

息を切らせながらも背中合わせに2人は取り囲むキョーボーグから目を離さない。

 

スカイ「はぁ…はぁ…流石に疲れて来ましたね…ッ…。」

 

 

アグニ「こういった気味の悪ぃやり方が一番めんどくせェんだよな…ッ…スカイ、まだ行けるか…?。」

 

 

スカイ「はい…私はまだ……。」

 

そう言って、動こうとしたスカイの視界が突然揺らいでしまう。

目の焦点が合わずにそのまま前のめりに倒れてしまい、立ち上がる事すら出来ない。

 

突然の出来事に、アグニは困惑する。

 

アグニ「おいスカイッ!?どうしたッ!?。」

 

慌ててスカイの身体を支えるアグニ。明らかに体調の悪そうな顔をするスカイ。気になり、頬に手を当てると熱を帯びていた。

 

アグニ「お前、スゲェ高熱だぞッ!?。何が……。」

 

迫り来るキョーボーグの一体が手に持っていた武器に目を向けたアグニ。髑髏マークが刻まれた銃を手にしており、その一発がスカイの身体を掠ったのを思い出した。

 

アグニ(まさか…毒かッ!?。)

 

変身が強制解除されたソラはアグニの腕の中で息を切らしながら高熱と戦う。迫り来るキョーボーグに目を向けながらも、アグニはソラを抱えながら蹴りを主体とした戦法で道を切り開く。

 

アグニ「コイツらに構ってられねェッ!!ソラ、しっかりと掴まってろよッ!?。」

 

勢いよく飛び上がり、ソラをしっかりと抱えて空中に飛び出すアグニ。

迫るキョーボーグを気にする事なく、アグニは退却の選択肢を取った。

 

アグニ(クソ…奴らが絡んでるとすれば、ソラも危ねぇ…もうましろの時のような事にはさせねぇ…俺が必ず…。)

 

ーコイツを守り抜いて見せる…!ー

 

追手を振り切り、何とかキョーボーグの群れから逃げ延びたアグニ。

だが、それも時間の問題なのかもしれない…今はたまたま見つけた洞窟の中に身を潜めている。

 

ソラの容態も気になるが、あの毒が命を脅かすものなのかすらわからない。ただ、ひたすらに逃げ延びただけ。この孤島に人の気配はない、もし予想が最悪な展開となるのなら…っと、変身を解いた鷹夜はこれからどうするかを考え込む。その時、ソラの手が伸びてきて鷹夜の手を取る。その力はとても弱々しくて、そして苦悶の表情を浮かべながらも鷹夜を見つめる。

 

ソラ「ごめん…なさい…私……鷹夜さんの…足を引っ張ってしまって……。」

 

ガタガタと震えるソラ。こんなに弱々しい姿は見た事が無い…鷹夜はそう思うと同時に謝るソラの手を握り返す。

 

鷹夜「バカ言ってんじゃねェッ!俺がちゃんと守れなかったのがそもそもの原因だッ!。アデルの魂胆を突き止めようと気を配れなかった…安心しろ、俺が必ずその苦しみから助けてやるからッ!。」

 

近くで足音がする…鷹夜は息を潜め、その場をやり過ごそうとする。

それが功を奏したのか、足音は徐々に遠かった。

どれほどのキョーボーグが探しているかはわからないが、とりあえず今は胸をそっと撫で下ろした。

 

ソラ「…わた…し……どうなるん…ですか…ね……。」

 

 

鷹夜「弱気になるな、俺が付いてる。今考えてるからちょっと待ってろ…コイツらさえどうにか出来れば違う浮島に向かって人のいる所を目指せば…ッ!。」

 

 

ソラ「強いん…ですね…鷹夜さん…スカイランドなんて……知らない土地に来てるの…に………わた…しが…案内しないと…いけない…のに…。」

 

 

鷹夜「だから気にすんなって。今度は「劇団」自らが俺らに仕掛けて来てやがる…だとすれば、このスカイランドで俺達を使って何かしようと企んでやがるんだ。敵が明確にわかってる以上、不安なんてねェよ。ただ…考えて行動しねェとまたコイツらのペースに乗せられちまう。ましろを取り戻してソラシド市と友奈達の世界の時間を取り戻したんだ。コイツらだって躍起になってやがる…ただ今は、お前を助けるためだけに考える。俺に任せとけ。」

 

力強いその言葉に安心したのか、ソラは目を細めて微笑みを見せる。明らかに苦しいのに無理をした微笑み…鷹夜はそれを理解しているが精一杯のその気遣いを否定する事なく受け入れ、ソラの頭に手を置く。

 

鷹夜(守れなかったあの時はあれで最後でいい……それにコイツ…ソラシド市で相当な無茶をしてやがった。今までの旅のこともある、それが遂に祟りやがった、限界に近い体力を気力だけでどうにかしてやがったんだ。ヒーローになる為に、毎日鍛錬をかかしてなかったもんな。)

 

時折、周囲の状況を確認しながら鷹夜は呼吸が乱れていくソラに目を向ける。

 

鷹夜(きっと、コイツも悔しかったんだろうな…ましろが目の前で攫われたあの時が。今は戻って来て安心はしているが思いは俺と同じだ。もう二度と…仲間をあんな目に遭わせたくない。その思いからコイツは…可能性世界からここに来るまでに無茶を重ねてやがったんだ。それに、自分の故郷で「劇団」が活発化してやがる…尚更、何とかしねぇとって思ってたのかもしれねェ。早く仲間と合流しねェと…今度はコイツの故郷を…守るんだ。)

 

苦しみながらも、ソラは鷹夜の手を強く握ってくる。鷹夜もまた握り返し、安心感を与える。その時、足音が洞窟の前で止まった。

 

鷹夜(クソ…嗅ぎ付けやがった……。)

 

歯を食いしばりながら、状況を冷静に見据える鷹夜。その時、キョーボーグの巨椀が2人の目の前に現れた。

 

鷹夜「…ここだ…ッ!。」

 

一瞬の内に変身して炎で巨椀を消し飛ばしたアグニ。その腕にはソラを抱え、勢い良く飛び出す。

その異変に気付いた島中のキョーボーグがアグニに狙いを定める。

 

アグニ「テメェらにやられる俺じゃねェッ!!。そこをどけ…ッ!。」

 

並ならぬ覇気を放ちながら突き進むアグニ。きっと、アデルはその様子を遠目で見ているだろう…自分達を餌にして何かを探しているのかもしれない。これがそうだとしたら、飛び出した事がまず間違いかもしれない。だがそれでもアグニの頭の中はソラを救うことでいっぱいだった。

 

アグニ「聞こえてんだろアデルッ!!今日のところはテメェの誘いに乗ってやるッ!だが…ソラを助けたら次はテメェの面をぶちのめしてやるからなッ!!。首を洗って待ってろ…ッ!!。ソラとツバサの故郷をテメェらの好きにはさせねぇからな…ッ!。」

 

声を上げながらも空中を飛び回り、追いかけてくるキョーボーグから距離を離していくアグニ。目指す先は人気のある浮島。

ソラは託す様に身を寄せ、朦朧とする意識の中でアグニを見る。

 

ソラ(…ぁ…わかりました…毒とは違うこの苦しい胸の正体……これきっと…園子さんが洸さんに抱いていた想いと同じものなのかもしれない…私…もしかして、鷹夜さんを…"好き"になってしまったのかもしれない…だったら今だけでいいから……目指している“ヒーロー"じゃなくて…。)

 

…雀さんもきっと、同じ気持ちなのだろう。だからあの時、雀さんが鷹夜さんにした事に胸が苦しかったんだ…ちょっとだけ、悲しい気持ちにもなったかな…毒のせいでまともな考えが出来ていないのかもしれない、でも今だけは……。

 

 

ー「ヒロイン」になりたいな…ー

 

…………………end。




「劇団」が複製したキョーボーグの攻撃によって毒に侵されたソラ。

自分のことを守り、またこれまでの戦いで共に駆け抜けた仲間がいつしか大切な存在へと変わっていった。

それが淡い“恋心“だと知ったソラは、弱っていく自分のメンタルから鷹夜に抱く想いに素直になった。

追手を振り切り、命からがら何とか人気のある孤島に辿り着いた鷹夜。
そしてそこにいたのは…行方不明となっていた東郷と蒼葉だった。

次回
第103話 再会と抱く"想い”。
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