〜ひろプリ×勇者であるシリーズ〜世界の壁を超えた出会い 作:やままん
行方不明となっていた東郷と蒼葉はスカイランドへと辿り着いていたおかげでソラの窮地は回避。鷹夜もまた、負った傷を癒していた。
傷を癒し、スカイランドでの旅を始める4人。
そして、蒼葉の口から語られる"マジェスティクルニクルン“と呼ばれる単語。
これが何を意味するのか…スカイランドでの旅は始まりを迎えた。
鷹夜「…よしッ!。」
旅支度を終えた鷹夜は立ち上がり、部屋を後にする。
続いて隣の部屋からソラが出てきては2人は顔を合わせた。
ソラ「用意はできましたか、鷹夜さん?。」
鷹夜「おう、そっちも問題無ェみてぇだな?。」
小屋の外には既に蒼葉と東郷がいて、2人は続けて外に出る。
何かを話していたのか、2人は一冊の本と睨めっこしていた。
ソラ「お待たせしました、何を見ているのですか?。」
蒼葉「ああ…ちょうどよかった。ハレワタール、お前なら分かるだろう?。」
蒼葉はその本をソラに渡す。書かれていたのはスカイランドの古代文字で「伝説の姫君」というタイトル本だった。多少なりとも読めるソラはそのタイトルのみしか解読できなかった。
ソラ「…これ、多分複製本ですね。だってほら…。」
表紙のみが古文書仕様だったそれは、中身は近代的であり決して新しくは無いが現代のスカイランド語で物語が描かれていた。
東郷「中身は多少だけど、私も確認したわ。でも、読めないところが多くて…。」
蒼葉「この本は別の本になる、最も重要なのがこれだ。」
取り出した本は東郷が読んでいた本。
鷹夜「これのどこが重要なんだよ?。」
蒼葉「…“マジェスティクルニクルン“。お前達はこの言葉に聞き覚えはないか?。」
ソラ「マジェスティクルニクルン?。」
初めて聞くその単語に、ソラは小首をかしげる。当然、鷹夜も知らない事だ。しかしそれは、スカイランドに関連する事…そして何より「マジェスティ」と言う名称。自分たちにとって関係がないものには感じなかった。
東郷「私達はこの“マジェスティクルニクルン“と呼ばれるものが何なのか皆目検討も付かないけど、貴方達がこの世界に来た状況と「劇団」がここにいる理由を照らし合わせると、無関係ではないと思うの。それに、このページを見て?。」
とあるページを2人に見せる東郷。
そこにはエルにも似た少女が描かれたイラストがあり、どこからどう見てもキュアマジェスティそのものだった。
当然、そんなものを見せられた2人は驚かないはずがない。
エルに関しては謎の多い部分もある…しかし、蒼葉が見せた一冊目の本にも同じようなイラストが載っていた。
一冊目の本のタイトルは「伝説の姫君」。
そして、東郷が持つ二冊目の本のタイトルは……。
「天に輝く一番星」というタイトルであった。
ソラ「これ…エルちゃんの別名だったはず…。」
蒼葉「やはりか。そこで俺は、一つの仮説を立てる。「劇団」がここに現れた理由はおそらく…“マジェスティクルニクルン“と呼ばれる何かを探しに来た事…そして、そこに辿り着くための鍵がプリンセス・エルというのなら、狙いは彼女にある。」
ソラ「………え……?。」
蒼葉「犬吠埼の事もあるが…それを巡る戦いが起こる予感がする。そして何より、奴らよりも先にプリンセス・エルを見つけなければならない。ここからは…時間との勝負だ。」
鷹夜「こうしちゃいられねェ、早くみんなと合流しようッ!。」
東郷「待って、ここの地理は詳しいの?。ソラさん、ここから王都までの距離は分かる?。」
辺りを見渡すソラ。少し険しい表情をして首を横に振った。
ソラ「ごめんなさい、ここが何処かは分かりません。恐らくですけど、辺境の浮島になるかと…そうなれば、王都まで向かうのにかなりの日にちが経ちます。」
蒼葉「仕方あるまい、「劇団」の妨害が入ったのなら、この場所に飛ばされたのは意図的なのかもしれんな。焦っても仕方ない、一つ一つ確実に距離を縮めていこう。逸れた者も恐らくだが、同じ気持ちなはずだ。」
鷹夜「ああ、わかった。」
こうして4人は王都に向かうべく、行動を開始した。
そしてこの旅は…苛烈を極めることに。
……………………………。
アデル「ククク、行動しはじめましたか。」
上空高くで4人を見下ろすアデルは不敵な笑みを浮かべる。
その傍には、結界に閉じ込められたもう1人の友奈がいて。
友奈(if)「今度は何を企んでいるの…?。」
アデル「先ほども申した通り、“世界を救う究極の力“を求めて…ですよ。我々がその答えに辿り着いたとしても、鍵が居なければ何の意味もない…彼らも薄々勘付いてるようですねェ…?。」
友奈(if)「…あの妨害は、みんなにその手がかりを探してもらうため…?。」
アデル「それも一理ありますが、問題は貴女…ですよ。」
友奈(if)「私?私は…何も無いよ。見ての通り、勇者の力も無いし神様の力だって……。」
アデル「それでも、神がかったその勘の鋭さは我々にとっては目障りでしかありませんのでね。」
声色を落とし、アデルはもう1人の友奈を睨み付ける。
アデル「流石に、当時ほどの超常的な力は無いにしても貴女は何かと恵まれている。神に愛された少女…貴女がその気で無くとも、各世界の神々は貴女を気に掛ける。計画も根底から覆されてまた一からの出直しとなりましたし…これ以上、調子に乗られても困るのでね。」
友奈(if)「……貴方達こそ、いつまでもみんなを踊らせる事なんて不可能だと思った方がいいよ?。」
動じる事なく、アデルに鋭い視線を向ける。
力を失ったとしても、もう一つの世界線では神として世界を見守っていたもう1人の友奈。
この世界に来てからも、アデル達が探している「世界を救う究極の力」についても少しばかりか感じ取ってはいた。それが何を指すのかは流石の彼女ですら分からない。だがわかることがある。
「劇団」に先取られる訳にはいかない。
これは、確かなことである。
友奈(if)(分断されたみんなの取る行動は一つしかない…けど、その道中で「世界を救う究極の力」について知ることになればきっと…彼らが動く。そしてエルちゃん…どういうわけか、あの子だけは感じ取れない…どこにいるの…?。)
……………………………。
目立つ行動を避け、周辺の浮島を転々とする4人。
時折、そこにいる住人から王都までの道のりの情報を得ながらも確実に歩を進めていた。
その道中で見つけた図書館に寄りながらも「マジェスティクルニクルン」についての情報も探す。
しかし、その成果は何も得られない…そもそも、写本ではあるがその伝記が記されたこの書物すらも見つからない。
もちろん、著者も分からない様では調べようがない。こんなことを言うのだ、当然著者も謎のままだ。
この少なすぎる情報量では正解にたどり着くのも至難の業だろう。
蒼葉「…成果なし…か…。」
図書館から出てきた蒼葉も収穫を得られなかった。
この伝記ですら、知らないという。
東郷「参ったわね…これじゃあ、「劇団」が先に見つけてしまう可能性だってあるかもしれないわ。」
ソラ「そんな…!。」
蒼葉「慌てる必要はない。焦ればそれこそ、情報を見逃してしまう。」
ソラ「そうですね…分かりました。」
鷹夜「しっかし…他のみんなの手掛かりもまるで掴めねェな。」
東郷「ええ、スカイランドに来ているのは確かなのよね?。」
ソラ「ええ、そのはず…。」
4人が考え込んでいたその時、突如として曇り空が広がる。
周囲の住人は驚きの声を隠せない。
そして、4人はその違和感に警戒心を最大限にまで引き上げた。
その直後、曇り空から現れたのは…DMだった。
蒼葉「なっ…あれは可能性世界の化け物だぞ!?。」
鷹夜「そっか、お前らは知らなかったな。コイツらはソラシド市にも現れやがった、どうやら次元なんとかってやつが不安定になってコイツらが色んな世界に流れ込んできてるらしい!。」
ソラ「フレアさんが言ってたことですね、皆さんッ!。早く屋外に逃げてください!ここは私達が…ッ!。」
ソラの一声で外にいた住人たちは屋外に避難。そして、現れたDMは牛型の「TYPE-COW(カウ)」。
形成された蹄で地面を抉ると同時に急加速し、4人に向けて突進する。
一瞬の判断で4人は変身。アグニがその突進を真っ向から受け止めた。
アグニ「ぐうおおおおッ…!!。」
全身の筋肉を隆起させ、角を掴んでは後退りながらその突進を受け止める。そこはすかさず、東郷が狙撃銃で足を狙う。
東郷「…弾かれたッ…!?。」
蒼葉「皮膚が硬質化している…なるほどな、鎧を纏った獣というわけか…!。」
スカイ「飛び道具さえなければ…ッ!。」
地面を蹴り、スカイが突撃。首を振るってアグニを引き剥がし、狙いを定めるDM-COW。
スカイ(ここに来て、私は迷惑しか掛けてない…自分が生まれ育ったこの世界を守るために私は…もっと強くなる…!。)
意思を強く持ったスカイの拳に黄金色の光が灯る。
「心の光の力」。
バタフライが発現させたその力と同質の力がスカイに宿った。
スカイ「はああああッ…!。」
強烈なアッパーカットが強固な皮膚に突き刺さって打ち上げる。
あまりの威力に、DM-COWは首の角度が90度くらいにまで曲げられた。
アグニ「スカイ…。」
スカイ「…これが…私の「心の光の力」…。」
自身に宿ったその力に驚くスカイ。しかし、DM-COWもただではやられない。ひん曲がった首の角度が元に戻ると、角にエネルギーが籠った。
蒼葉「…なんだ…?。」
咆哮を上げたと同時に、角が怪しく輝く。
次の瞬間、空気を振動させては目に見えない衝撃波が4人を襲った。
アグニ「がは…ッ…!?。」
東郷「な…何が…ッ!?。」
蒼葉「…超音波による空気を振動させての衝撃波か…ッ!。」
まともに受けた4人は傷付きながらも立ち上がる。
真っ先に動いたのはスカイ。先ほどの感覚を忘れない為に、拳に籠ったエネルギーを維持したまま肉弾戦に入り込む。
スカイ「それが…どうしたというのですッ!?。」
強烈な乱打がDM-COWの身体に喰い込んでは後退させて行く。
息が続く限り、連打を止めないスカイ。その一撃一撃が途轍もなく重く、鈍い音が響き渡る。
東郷「押し切っている!?。」
蒼葉「この好機を逃すなッ!。」
2人は左右に展開し、それぞれの銃を構えては一斉掃射する。
飛び交う弾丸が喰い込み、ダメージを受けるDM-COW。
その時、アグニが飛び出しては頭上から火柱をあげて逃げ場を無くした。
アグニ「今だスカイッ!。」
スカイ「はいッッ!!。」
拳に籠ったエネルギーがより一層、激しく輝く。
空気を揺るがすほどの振動が伝わり、スカイは腰を落として力を込めた。
スカイ「テンペスト…ナックルッッ…!!。」
剛撃。
ただその一言に尽きるその一撃はまるで暴風雨のように力強く、そして全てを破壊するほどの一撃。
当然、受けたDM-COWは粉々に砕け散ってはその破片は砂のように消えて行く。
スカイ「はぁ…はぁ……ッ…!。」
片膝をつくスカイ。アグニが駆け寄る。
アグニ「おい、大丈夫か!?。」
スカイ「はい…消耗が激しいですねこの力…でも…。」
拳に力を込めて確かめるスカイ。
スカイ(これで…守れる…私が失いたくないものを…。)
そんな様子を見ていた蒼葉は、スカイに備わったその力に興味を示す。
察した東郷は隣に立って尋ねた。
東郷「…咲良君、あの力がもしかして…?。」
蒼葉「いや…違うだろう。あれは彼女達が持つ「心の力」だ…だが、わかったことがある。「マジェスティクルニクルン」はきっと、ハレワタール達の新たな力になりうるものだと。そしてそれはまさしく、伝承にあった通り…"世界を救う究極の力"。」
蒼葉(…可能性世界の彼女達には無かった力…キュアマジェスティという存在は知らなかった。この旅はきっと…プリキュアに関わる重大な旅になることだろう。そしてそれは…世界の命運を分けることになる。)
…………………end。
「心の光の力」を発現させたスカイ。
"世界を救う究極の力"はマジェスティクルニクルンそのものでもあり、そしてそれを操るプリキュア達の力でもある。
蒼葉はそう確信した。
その一方で、違う場所に飛ばされた烈火と友奈、そしてましろ。
そんな3人の目の前に、一同の元から去った樹が現れて…。
次回
第105話 狂乱、歪みの中の樹。