〜ひろプリ×勇者であるシリーズ〜世界の壁を超えた出会い 作:やままん
"マジェスティクルニクルン"を探して旅を始めた鷹夜、ソラ、東郷、蒼葉は「心の光の力」を発現させたソラによって襲来した「DM-COW」を撃破した。
その一方、烈火と友奈、そしてましろもまた旅を始めていた。
仲間と合流する為に…そう、彼らはこのスカイランドを取り巻こうとしている"世界を救う究極の力"の存在を知らなかったのだ……。
…みんなと離れ離れになってから、数日が経ったのかもしれない。
幸い、私は烈火君と友奈ちゃんと一緒にいたお陰で同じ場所に辿り着いていた。もちろん、そうなった原因はちゃんと理解している…アデルが妨害したからだ。
スカイランドへは何度か訪れてはいるけど、ここがどこなのか全く分からない。でもきっと、離れ離れになってしまったみんなも同じ思いだと思う。だから、目指そうと思った。王様と王妃様がいる王都へと。
……これまで、みんなにたくさん迷惑をかけて来たんだ。あのトーヤという人が言っていた通りならきっと私はスカイランドの村もいくつか焼いているはずだ。当然、怖い気持ちはある…訪れた先で私に恨みを持っている人もたくさんいるだろう。そして何より、私よりも烈火君達に迷惑を掛けてしまうかもしれない。
この旅の道中で、そんなことを口走った。
でも、2人は違った。
「そんときゃそん時だろ?。」
烈火君はそう言ってくれた。そして、友奈ちゃんもまた。
「やっちゃったことはみんなで一つずつ解決していけばいい。」
そう言ってくれて、少し救われた気がした。
前を向かなきゃいけない、私に後悔をしている暇なんてないんだ。そんな暇があるなら罪と向き合っていかなきゃいけない。
そして何よりこの世界にやって来たのはただ一つ。
友奈ちゃん達の前から姿を消した風先輩と樹ちゃんを連れ戻す為。
このスカイランドで私は…少しでもみんなの役に立とう。
そう思っている。
……………………………。
烈火「どこに行くにも、全部が浮島なんだな。不思議なもんだぜ、スカイランドってのは。」
歩きながら、周辺の浮島を見ては呑気に言う烈火。
この状況をあまり気にしていないのだろう…そう言った自由さが不安をかき消してくれる。
王都を目指す旅を始めてから烈火は仲間の安否などあまり気にしてはいなかった。いや…信じているのだろう。目的地が同じと言うことに。
そこに進めば必ず合流出来る。そう信じて、烈火はましろの提案に即答の意を示したのだ。そんな友奈も同じく、烈火に同調する。
友奈「まさに天空の国って感じだね?。」
ましろ「そうだね、私も最初に来た時は同じ反応だったかな?。でも、おばあちゃんがスカイランド人だから私にも多少の血は流れてるんだけどね?。だから、私にとっては遠い故郷のようなものなのかもしれない。」
烈火「へぇ〜、あのばあさんはスカイランドの人だったのか。」
友奈「だから、見たことのない本がたくさんあったんだね?ましろちゃんのお家に。」
ましろ「といっても、ほとんどはわからないんだけどね?。」
烈火「そりゃそうだろうさ、あんなの見ただけで寝ちまうよ。」
友奈「えぇ〜……。」
ましろ「烈火君はもっと教養をつけた方がいいと思うんだけど…。」
烈火「はは、やーなこった。あでっ!。」
石に躓き、派手に転けた烈火。
見えていない左目のせいで、日常生活においては若干の支障が出ていた。戦闘においては勢いで何とかしているせいかそこまで影響は出てはいない…が。
友奈「ちょっと大丈夫、烈火君!?。」
烈火「はは、恥ずかしいとこを見られちまったな?。大丈夫さ、気にすんな!。」
友奈(方向感覚がまだ掴めてないんだ…戦闘の時は気を張っているおかげで何とか見られてるって感じかもしれないけど…。)
烈火は立ち上がり、汚れを払う。心配そうに見る友奈に笑みを向け、頰をポリポリと掻く。
その時、ましろが何かに反応したかのように頭を押さえ始めた。
友奈「こ…今度はましろちゃん!?。」
ましろ「…何この感覚…これ…知ってる気がする…。」
烈火「何がッ!?。」
ましろ「…あそこッ!!。」
ましろが指差す方向、そこには暗雲が立ち込めていた。
何かがそこにいる…そんな気がしてならない。
烈火は直感で危機を感じ取ったのか、端末を既に手にしていて。
友奈「行こう、私も嫌な予感しかしない…!。」
その言葉に、コクリと頷くましろ。
3人は、暗雲が広がる場所へと走り出す。
…………………。
辿り着いた3人。そこにいた人物に思わず驚愕した。
友奈「…樹…ちゃん…!?。」
呼ばれて振り向く樹。瞳の色が変わり果て、まるで「虚無」を感じさせる。
その視線こそまさに…アデルと同じで。
友奈の姿を見た樹は、ニッコリと笑みを浮かべた。
樹「あれ、なんでここにいるんですか?友奈さん?。」
友奈「なんでって…樹ちゃんを探しにここに来た風先輩を追いかけて…ッ!。」
樹「あれ、お姉ちゃんもここに来てるの?はぁ…追いかけてこないでって言ったのに…蒼葉さんと東郷先輩を見つけたらちゃんと戻ってくるってそう言ったのに…。」
ましろ「ちょっと待って…あなた…"誰"?。」
樹を取り巻く"何か"を察したましろが警戒の色を示す。
そんなましろを見て、烈火と友奈は驚く。
樹「貴女が虹ヶ丘ましろさん?。そっか…私と入れ替わりになったんだね?。よかったです、みんなの所に戻ってこれて。」
ましろ「私の質問に答えて、貴女は…"誰"なの!?。」
烈火「お…おい、どうしたんだよましろ!?。」
ましろ「…樹ちゃんの周りに"何か"が取り巻いてる…私にはわかる…この感覚…アデルと同じだ…!。」
友奈「え…アデルと…!?。」
樹が不敵な笑みを浮かべる。その瞬間、勇者装束を纏っては纏う"何か"がより一層、強くなった。
樹「私は強くなりました、大切なものを守るために…悪魔に魂を売って、力を手にしたんですよ!。」
容赦無く放たれるワイヤーの一撃。友奈が変身しては拳で受け止めた。
掴んだその手から血が滴り落ちるも、友奈は離さまいと力を込める。
友奈「強くなったって何ッ!?樹ちゃん、悪魔に魂を売ったって…!。」
ましろ「…なるほど、わかった。」
ましろはキュアプリズムに変身。樹の眼前に迫る。
樹「!!?。」
プリズム「アデルと同じ感じがしたのはそうだったんだね…樹ちゃん、「無の力」に支配されてるんだよ…!。」
眼前に迫るプリズムに警戒心を向けた樹はワイヤーを消してはすぐに形成。無数のワイヤーを束ねた壁を作り上げた。その壁はプリズムの放った蹴りを難なく防いだ。
樹「それでもいいんですよ、弱い自分よりも余程いい…!。」
左手を上げ、ワイヤーの軌道はプリズムの身体に傷を入れた。
切り裂かれた場所が紅に染まる。
樹「弱ければ何も守れない…私はいつも助けられてばかりでした。けど…この力を手にしてからは景色が変わったんです。1人でも戦える…そう、私はあのDMも単独で撃破できるほどの力を手にした…この力があればきっと、蒼葉さんと東郷先輩を助けることが出来る…そう、みんなのことだって…!。」
プリズム「ッう……ダメだよ、その力はダメ…樹ちゃん、「無の力」は光でも闇でもない…全ての世界において害しかないんだよ!。それはアデルと同じ…無は…樹ちゃんの守りたいものでさえ無くしてしまうものなんだ!!。」
樹「闇に囚われていた人が言える事ですか!?。貴女に…私の事をとやかく言われたくありません…!!。」
ワイヤーの軌道がまるで蛇のように動き、その首を狙う。
しかし、烈火が割って入ってはメイスを空で切った衝撃波でワイヤーを吹き飛ばした。
烈火「らしくねぇな、樹ッ!。」
樹「烈火さん…!。」
烈火「蒼葉と東郷を助けるにゃ、力なんてもんは必要ねェ!。あの2人なら大丈夫だ、自力で戻ってくるッ!!。あの2人がいつでも帰ってこれるように、帰る場所を守るのが一番いいんじゃねェのかッ!?。」
黒い稲妻を纏ったメイスを地面に叩きつけると、強烈な衝撃波が地面を走り抜ける。
樹はワイヤーを木に引っ掛けて緊急回避。そのまま一直線上に放っては烈火の右腕を切り裂く。
烈火「ちぃ…ッ…!。」
樹「大切な人を守るために力を手にするのは間違ってるんですか!?。烈火さんはいいですよ、その強いメンタルで強敵を打ち倒して来れたんですからッ!。友奈さんだってそう、どんな絶望だってひっくり返せる力があるッ!。でも私には何もない…いつもお姉ちゃんの影に隠れて、肝心な時に何も出来ない…そんな自分はもう嫌なんですッ!!。だから…!。」
樹を取り巻く"無の力"が増幅。
その凄まじい余波に、3人は吹き飛ばされてしまう。
友奈「うぅ…!?。」
プリズム「…無の力がさらに強くなった…!?。」
烈火「クソ、何なんだよ…"無の力"って!?。」
プリズム「…世界の理に反する力…光でも闇でもない第3の力…私が聞いたのは…"滅び"そのもの…!。」
友奈「滅びの力…そんな力が樹ちゃんに…!?。」
プリズム「うん…このままいけば、樹ちゃんは……。」
ー第二のアデルになる…ー
樹「…滅びの力…そっか…フフ、なら私は…すごく強くなれたって事だよね…!?。」
狂乱。
ただその一言に尽きる。
樹は自身に宿った"滅びの力"に歓喜の意を示す。
その瞬間、周辺の木々が枯れていく。
まるで、生気を失ったかのように朽ち果てていく。
ワイヤーをそのまま振り翳す樹。
プリズムは直感で2人を抱えてその軌道から避け切った。
地面を切り裂いたその傷跡はまるで「切り取られた」かのように消滅していて。
その力に絶句していると、その脇から樹が現れる。
樹「どうしたんですか?。私を…止めたいんでしょ?。」
友奈「!!!。」
指先を巧みに操り、ワイヤーをしならた樹。
何とか避けきるも、受けることが出来ないその攻撃に苦戦を強いられる。
その軌道が突如として変わる。狙ったその先は…反応速度が鈍っている烈火だった。
友奈「烈火君ッ!?やめて…樹ちゃんッ!!。」
樹「烈火さんを倒せれば私は…強くなったと思えるッ!すみません、私の踏み台にぃいいいッ!!。」
烈火(ヤベェ…避けきれねェ…ッ!。)
覚悟を決めた烈火。
だが、その時……。
「はぁああああッッ!!。」
紫色の閃光が走り、樹の腕を蹴り上げた。
ワイヤーの軌道は烈火から逸れ、近くの樹木を切り裂いては消滅させた。
樹「…誰…!?。」
「"無の力"に頼らないで、樹。貴女のその強さは…それじゃない…!。」
窮地を救ったのは行方が分からなくなっていたエル…キュアマジェスティ。
樹の纏う"無の力"が何故か、弱まっていく。
マジェスティ「樹…その力に頼ってはダメ。みんなが貴女の帰りを待っている…風だって…。」
樹「エルちゃんまでそんな事を…もう私のことは…ほっといて…ッ!!。」
樹は戦闘態勢を取る。マジェスティは少し、険しい表情をする。
マジェスティ「……貴女を止めないといけない。私はこのスカイランドで成すべきことがあるから…それは…貴女の纏うその"無の力“にも関係する。みんなは休んでて、ここは私が…受けるから…!。」
構えを取るマジェスティ。
地面を蹴り、2人がぶつかり合う。
キュアマジェスティVS犬吠埼樹。
その戦いは…壮絶を極める。
…………………end。
"無の力"に支配された樹。
だが、それを理解しつつも樹はその力に身を委ねた。
突如として現れたマジェスティは樹を止めるために自らが戦う。
この世界に来て、彼女が知った「役目」とは…そしてそれは…暗躍する"無の力"への対抗とは…。
次回
第106話 運命の子。