〜ひろプリ×勇者であるシリーズ〜世界の壁を超えた出会い   作:やままん

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前回のあらすじ。

エルから語られた「真の敵」。

そして、ましろが見出したその敵の正体。

これまで現れ続けて来た異形達がまさにそうだった。

本当の敵は星と宇宙を喰らう存在そのものである"無"。

勇者とプリキュアの戦いは壮絶を極めることとなる…。



第107話 迫り来る消滅の意思。

エルの口から語られた事実。

 

消滅しようとする力…その名は"無".。

 

最早、光と闇の戦いなど行っている場合では無かった。

当然、アンダーグ帝国の事もある。彼らもまた、その"無"にとっては共通の敵だ。

 

理念も何も無い、寧ろ本能に近い形で襲いくる災厄。

それはまさにシン・バーテックスとDMそのものであった。

 

神の兵である本来のバーテックスとはかけ離れた存在…世界を取り戻した事でそこに根付いていた怨念が作り出したと思われていた"シン・バーテックス"。

 

しかし、エルから聞いた事を噛み砕くとそれは違っていたのかもしれない…"怨嗟の星屑"と呼ばれる黒い個体もまた、"無の意思"そのもの。そうなると、それらを形成する進化体であるシン・バーテックスもそうだ。

 

神の制御が効かない特性からまさにそれしかない…そしてそれは、可能性世界で暴虐の限りを尽くしていたDMもそうだ。

 

彼らは本能で生きとし生けるもの達に襲いかかってくる。

それこそまさに"消滅"を体現しているのではないか?。全ての世界が生き残るためには彼らの存在を否定しなければならない。

そしてそれは…規格外の敵。理念も何も通用しないただの破壊の権化。

 

想いも通じない敵…今まで以上に厄介かつ凶悪な敵が待ち構えている。

そう考えると、自分たちの行動を見直さなければならない。

 

そう…彼らはもう既に全ての世界でその姿が確認されている。

それはつまり、"無"の侵攻が始まっている事を示す。

 

その夜、シャワーを浴びた友奈は夜風に吹かれながらスカイランドの星空を見つめていた。

 

友奈(……ましろちゃんが言っていたことが本当なら…私達の本当の敵はすぐそこにまで迫ってることになる…シン・バーテックス側にはあの大きなシン・バーテックスがいる…ソラシド市でみんなで協力して撃退したあの巨大なシン・バーテックス…倒すことが出来なかった敵…一歩間違えれば、ソラちゃん達の世界が滅んでしまっていたかもしれない…。)

 

あの後、ましろの口から仮説を告げられていた。

その内容にもちろん、納得がいく。これまでは天災として撃退し続けていたあの異形達の存在…しかし、エルが見たその答えと"無"と呼ばれる消滅しようとするその力の存在を知った今、彼らがその"無"そのものでは無いのかと考えてしまう。

 

しかも、DMに関してはその全貌が明らかになっていない。可能性世界でもその氷山の一角のみで人類を滅亡寸前にまで追い詰めていたと聞く。

 

なら、その先に居るDMの全貌は何なのか…そして、あのシン・レオ・スタークラスターが待ち構えている事を考えると友奈は…珍しく「恐怖」に襲われてしまう。

 

テラスの手すりを力強く握り締め、身体を震わせる友奈。

 

怖い…今度こそ、誰かが死ぬかもしれない…守り抜けないかもしれない…そんな状況下で樹と風の事もある。

 

感情がごちゃごちゃになり、友奈は精神的に追い詰められ始めていた。

 

だが…烈火は違っていた。そんな友奈を見かねて隣にやってきていた。

 

 

烈火「どうした、ビビっちまってるのか?。」

 

いつもの様子で、何気なく言う烈火。そんな言葉に、友奈は初めて彼に対して怒りたくなってくる。でもその感情はすぐに消えた。

同じく、空を見つめる彼の瞳はすごく真っ直ぐだったからだ。

 

友奈「烈火君は…怖くないの?。私達の本当の敵があんな規格外な集団って知っちゃったら…今度こそダメなのかもしれないって弱気になっちゃう…。」

 

 

烈火「怖ェよ?そんなん、勿論怖いに決まってる。けどな…どのみち、そうでなくとしてもあの化け物共はぶっ倒さなきゃならねェ。」

 

 

友奈「それはわかってるけど…でも…私達だけでやれるの…私が死ぬのは構わない、けど…他の誰かが目の前で死ぬ事だってありえるかもしれない。あの強大な敵を前にして…みんなが生き残れる気がしないの…。」

 

 

烈火「生き残るさ、死んでたまるかよ。死ぬなら天寿を全うしてからだ。あんな化け物共に喰い殺されるな未来なんて俺は望まねェ。」

 

 

友奈「けど…ソラシド市で戦ったあのシン・バーテックスを見たでしょ!?。あれでもきっと、まだ本来の力を発揮してないはず…それに、DMだって…!。」

 

 

烈火「それでも俺は…自由を勝ち取るために最期まで足掻くさ。足掻く事を辞めちまったらもう終わりなんだよ。俺達は人間だ、何処まで行ってもあいつらのような化け物には敵わねェだろう。取るに足らねェちっぽけな存在だ。けど…それが特権だろ?。」

 

 

友奈「烈火君……。」

 

 

烈火「諦めねェ限り、道は続く。道が無けりゃ、勝手に作ればいい。化け物達には無ェのがそこさ。だから、あいつらがその道を潰しにかかってくるならまた作るだけの話。人間様の粘り強さを舐めんなよって思い知らせてやるのさ。そうすりゃきっと勝てる。お前が天の神をぶっ飛ばした時と同じみてぇに俺は自由を奪いにくる"無"をぶっ飛ばす!。」

 

 

拳を夜空に掲げ、烈火は笑みを浮かべる。

 

 

烈火「だから絶望すんなよ?。俺達は…そいつらに勝ちに来てんだ。「劇団」だろうが化け物だろうが、立ち塞がる奴らは全部ぶっ飛ばすッ!!。俺たちの自由のために…そうだろ、友奈?。」

 

そんな烈火の思いを聞き、友奈は大粒の涙を流す。

 

安心した。

ただその一言に尽きて。

 

恐怖に駆られて全てを諦めそうになった自分の心を烈火が繋ぎ止めてくれた。頼りになる風も樹もいない…それに、東郷と蒼葉だって。

だから、不安になっていた。

自分たちの知らないところでその場にいない彼女らが消えてしまっている可能性を感じてしまって。

 

友奈「…大丈夫…だよね、私達…みんなで帰れるよね…誰一人欠けることなく、全員で…。」

 

 

烈火「当たり前だろ?最初っからそのつもりで俺は戦ってきてる。誰が相手だろうが、立ち塞がるのならそれを全てぶち壊すまてだぜ?。」

 

そんな二人の会話を偶然聞いていたましろは安堵の表情を浮かべる。

 

ましろ(良かった…友奈ちゃん達の心はまだ繋がれてる…そうだよね、ここから先は…私達の未来のためでもある。)

 

…………翌朝、事態は急変する。

 

スカイランドの各地でDMが出現。浮島が一つ、丸々消滅したと言う。

号外で配られたその内容に、3人は歯を食いしばる。

エルはいまだに眠り続けている…ずっと、変身した状態だったのかもしれない。その負荷は赤ん坊である彼女にとってはとてつもない疲労だったのだろう。

今、動けるのは自分たちしかいない…そして、3人がいるこの浮島にも奴らは現れる。

 

烈火「おいでなすったな。」

 

既に変身を済ませていた烈火は、メイスを肩に担いで敵を見据える。

その数はざっと、20はある。

 

柄に力を込めると、赤黒い電撃がメイス全体に走っていく。

 

友奈「烈火君ッ!!。」

 

駆けつけた友奈も既に勇者装束を身にまとっていて、ましろもまたキュアプリズムに変身。後方で聞こえるのは人々の阿鼻叫喚だ。

 

烈火「ここが踏ん張りどころってやつだな。おい、エル坊はちゃんと安全な場所にいるんだろうな?。」

 

 

プリズム「うん、大丈夫。」

 

 

烈火「うっしゃァッ!。なら俺が先陣を切る、化け物相手なら考えることなんて何もねェッ!!。」

 

戦意を高揚させた烈火は先行していき、構えたメイスで迫り来るDMの群れを容赦無く叩く。

 

友奈「…これが、私達の本当の戦い…うん、やれる…私は…やれるッ!!。」

 

自らを鼓舞し、友奈も続く。

プリズムもまた走り出し、近接戦闘メインの二人の援護に入った。

 

プリズム「二人とも、後ろは私に任せてッ!。この先に行かせるわけには行かないッ!。」

 

 

烈火「おうよッ!。雷電ッ!。」

 

腰を落としてメイスを大振りに、赤黒い稲妻が轟音を上げながらその打撃力を強化していく。

 

烈火「激震ッッ!!。」

 

横薙ぎに振ったメイスはその群れを容赦無く叩き潰し、雷撃と共に爆散する。

 

烈火「うおおおおおおッッ!。俺ら人間様を舐めんなよォオオッッ!?。」

 

左右から現れたDMの攻撃を避け、地面に叩き落としたメイスからの余波で吹き飛ばしていく。その様はまさに鬼。

 

烈火「…これくらいなら、代償もねェだろッ!!。"一目連"ッッ!。」

 

<完全勇者外装>の元となった高嶋友奈「切り札」の一つである「一目連」を憑依。左目にバイザーのようなものを装着。メイスを両手で構える。

 

友奈「それ…高嶋さんの力!?。烈火君、また身体が…!。」

 

 

烈火(一目連)「心配すんなッ!。これくらい、俺の根性でどうとでもなるッッ!!。生き残るために、そして仲間を守るために俺は…強くなるッッ!!。代償なんてもんに恐れてたら、この先は生き残れねェッ!!。

 

腰を落とし、力を溜め込んだ烈火は一際大きなDMに向かっていく。

 

烈火(一目連)「粉々にしてやらぁああッッ!!。紅迅雷・千本ノックだぁあああッッ!!。」

 

強烈な打撃を猛スピードで打ち付け、巨大なDMが肉片残さずにチリと化していく。

 

烈火(一目連)「だぁありゃりゃりゃりゃりゃああああッッ!!。」

 

咆哮と共に打ち抜き、周辺の地面が抉れていく。

 

プリズム「な…なんてパワー!?。」

 

背後に迫るDM。プリズムは目視せずに気配のみで避ける。

 

プリズム「私だって…やられるわけにはいかないッッ!。」

 

避けた反動で身体を逸らし、反転したままプリズムショットを連発。

着弾したDMは仰け反り、その背後に回り込んだプリズムが右手を当てる。

 

プリズム「そこ…ッッ!。」

 

ゼロ距離でプリズムショットを放ち、撃破。その脇で友奈が拳を構えて殴り抜く。

 

友奈「私だって…強くなるんだッッ!。みんなの未来を守るためにッッ!!。」

 

黄金色の輝きが友奈の拳に宿る。

 

友奈「勇者パンチ・黄金乱打ッッ!!。」

 

強烈な連続パンチが瓦解させていく。20あったその数が、5体にまで減少。

だが、DMだってやられっぱなしではない。蜘蛛型のDMが粘着質の糸で烈火の腕を拘束させては地面に叩きつけた。

 

烈火(一目連)「がっは…!?。」

 

 

友奈「烈火君ッッ!!。きゃっ!?。」

 

蟻型のDM…「DM-TYPE「ANT(アント)」」がその大顎で友奈の左腕に喰らいつく。そして、そのまま喰い千切らんと顎に力を込めると友奈は激痛で悲鳴をあげた。

 

友奈「ああああああッッ!?。」

 

 

プリズム「友奈ちゃんッ!ッ…プリズムショット…ガンッッ!!。」

 

放たれたプリズムショットが拡散し、DM-ANTに直撃。力が弱まり、大顎から解放される友奈をプリズムが受け止めた。

 

 

友奈「あ…ありがと…ましろちゃん…ッ!。」

 

 

プリズム「ううん、酷い怪我だよ友奈ちゃんッ!!。」

 

 

友奈「ほ…骨までは砕かれてないから…大丈夫…でも…左腕、使い物にならないな…ッゥ…!?。」

 

 

烈火(一目連)「ましろ、友奈を連れて後ろに下がってろ…ッ!。」

 

DM-SPYDERに繋がれた糸に解放されていないまま、烈火は片腕でメイスを担ぐ。叩きつけられた衝撃で頭からは夥しい出血が。

 

プリズム「烈火君!?。その糸を…!!。」

 

 

烈火(一目連)「いや…このままでいい…ッ!!。じゃねぇとちょこまかされるッ!!。」

 

烈火は拘束された腕に力を込めて腰を落とす。

DM-SPYDERは引っ張り上げようとするが、あまりのパワーに全く動かせない。

 

烈火「おら、どうした蜘蛛野郎ッ!!。引き上げられねェってかッ!?。」

 

メイスの柄に力を目一杯込めると、電撃が迸った。

 

烈火(一目連)「2体まとめてぶちのめしてやるッ!!。残りの3体はその後だ…ッ!!。剛装…ッ!!。」

 

「天ノ逆手」の影響で力を増し、空間が振動する。そしてそのまま力よく腕を引き、DM-SPYDERを引き寄せて。

 

烈火(一目連)「…雷霆…ッッ!!。」

 

「天ノ逆手」のパワーにより、これまでの「雷霆」よりも威力が上がった「剛装・雷霆」による一撃がDM-SPYDERに炸裂。近くにいたDM-ANTにもその衝撃が直撃。地形を変えるほどの威力が2体を粉々に打ち砕いた。

 

残るDMは後3体…まともに戦えるのは烈火とプリズム。友奈は左腕が使えない。

 

烈火(一目連)「…はは、これぞまさに勇者の戦いじゃねぇか!!。来いよ、まとめてぶっ飛ばしてやるからよッッ!!。」

 

 

満身創痍の中、戦意を高める烈火。

迫りよる3体はこれまでとは違う個体だった、そしてその個体は…あまりにも強かった……。

 

………………………end。




"無の勢力“とも言えるDMがスカイランドに襲いかかる。

"無の勢力"との戦いは始まりを迎え、全ての世界に対して本格的に出現し始めた。

残り後3体…烈火はその全てを担うつもりだった。
だが、無情にもその3体はこれまでの個体以上の戦闘能力を有しており、烈火は死の寸前まで追い詰められる。

烈火を守ろうと片腕で戦おうとする友奈…その時勝ち目のないその戦いに希望の光が降り注ぐ…。

次回
第108話 希望の勇者・郡千景。
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