〜ひろプリ×勇者であるシリーズ〜世界の壁を超えた出会い 作:やままん
突如として、スカイランド全体に現れ始めたDM。
彼らの真実を知った今ならわかる…"無の力"が本格的に世界を滅ぼそうとしていることを。
迎撃に入る烈火と友奈、そしてましろ。
奮闘の末、残り後3体……。
この戦いを制するのは人間か、それとも…消滅の意思なのか…。
"一目連"を発動させた烈火は、後方に控えていた残り3体のDMを睨み付ける。
その3体はとても異質なオーラを放っていた。肌でも感じるほどにまでその「違い」を体感してしまう。
一目でわかる…あれらはヤバい個体だと。
しかし、烈火は退こうとしない。傷の痛みに苦しむ友奈とそれを支えるプリズムが後方にいる…そして、眠りについているエルがそこにいるから。
メイスを担ぎ、巨大なその3体の前に立つ。烈火もまた、ボロボロだ。しかしそれでも退けない理由があった。
ここで退けば、コイツらに負けを認める事になる。
そう思って。
烈火(一目連)「へへ、強敵と当たる不運はやっぱ拭えねェな。でも、何故だろうな…不思議と笑っちまうのさ。」
見るからに窮地だ、しかし烈火は笑ってみせた。
まるでその状況を楽しむかのように、烈火の心は踊っていた。
烈火(一目連)(…「切り札」の代償ってのは身体の機能だけじゃなくて、精神的なもんにも影響するって姉ちゃんが言ってたな…これがそうか、でも今はその方がいい…絶望するより遥かにマシだ。仲間を守るためなら喜んで戦闘狂になってやるよ。)
ニカっと笑みを浮かべたと同時に突っ込む烈火。
狙いは悪魔型のDM…TYPE−DEVIL(デビル)だ。
烈火(一目連)「百連…雷撃烈破ッ!!。」
目にも止まらぬ速さの突きを放つ烈火。しかし、DM−DEVILはまるで歴戦の猛者のように軽やかに避けていく。
烈火(一目連)(コイツ…避けてやがるッ!?。)
そして攻撃の最中、烈火は見逃さなかった。
DM−DEVILが…"笑った"のだ。
その刹那、烈火は腹に強烈な一撃を貰った。
烈火(一目連)「ぐぁ…ッ!!?。」
たった一撃の蹴りで烈火の"一目連"は解かれた。
あまりの衝撃に思わず蹲る烈火。そして、驚愕の事実が。
DM−DEVIL「あ…アあアア…ゴホン……理解シタ。これガ「人語」カ。」
プリズム「え…し…喋った…!?。」
ノイズが掛かったような声で、人の言葉を話し始めたDM−DEVIL。
友奈ももちろん、空いた口が塞がらない。
DM−DEVIL「何ヲ驚ク必要がアル?。知性ヲ持ち合わせテいるのダ。言語なんテ当たり前だろウ?。」
友奈「…待って…知性って…貴方達は本能で…ッ!!。」
DM−DEVIL「そうダ。我々ハ「本能」のミで行動スル種族。しかし、人間ガ進化するようニ、我々もまた進化スル。我々「上等種」は進化ヲハタした種…お前タチ人間ヲ見て「言語」を取得シタのだ。」
烈火「…化け物の分際で言葉を得ただと…がはッ…クソが…笑えねェ冗談を…ッ!。」
プリズム「言語を得たのなら教えてッ!。何故、貴方達は全てを滅ぼそうとするのッ!?。」
プリズムの訴えにDM−DEVILが返したのは…「攻撃」だった。
先端の尖った尾を槍のようにしてプリズムの身体目掛けて放つ。
虚をついた攻撃だったが間一髪、プリズムは避けてみせた。
DM−DEVIL「滅びユクサダメを持つ者タチよ…全テは"無"の意思なのダ。」
烈火「滅びゆく定めだって!?。勝手に決めんじゃねェよッ!!。」
軋む身体を押して突撃する烈火。だが、巨腕が烈火を殴り飛ばした。
DM−DEVIL「ヤレやれ、野蛮ナ種族ダナ。人間ト言うのハ。」
その巨腕の主… TYPE−TITAN(タイタン)は静かに腕を引かせる。
巨人を模したその姿…そう、残り3体のDMは全て神話上の生物を模していたのだ。そしてそのDM−TITANもまた、人語を話す種であった。
DM−TITAN「受入レロ。それガ、安寧ニモなる。」
プリズム「安寧…貴方達はそれを望んでるっていうのッ!?。」
烈火「うぐ…ましろ、それ以上はもういいッ!どのみち、コイツらは答えやしねェ…"無"なんだろ…何も考えちゃいねェさ…ッ!。」
DM−DEVIL「その通り。我々ニ対話ナド不要。生きとし生けるモノ全テを滅スのが、"無"の本懐…ソシテ、宇宙ニ安寧ヲもたらす。」
友奈「ッ…その宇宙も…星も…全部食べようとしてるんだよ…貴方達は…ッ…!。」
弱々しく立ち上がった友奈は、使える右拳に力を込めて訴えた。
DM−TITAN「"星"は我々ノ「餌場」。宇宙ハ「家」。騒がシイ小虫ヲ潰スのに、理由ナンテものが必要ナノか?。」
プリズム「ッ…アデルもそうだって言うの…!?。」
DM−DEVIL「アあ…「アレ」は、我々ト違っタ概念を持ツ"無"の種ダナ。同じク、滅んデもらウだケ…。」
その時、最後の一体が動き出した。
竜型のDM…TYPE−DRAGON(ドラゴン)。
その種は人語を話さないが、その代わりに他の2体よりも圧倒的な戦闘力を身につけていた。
口から放たれたエネルギーのブレスが3人に襲い掛かり、直撃を受けては吹き飛ばされる。
だが、友奈とプリズムのダメージは最小限に抑えられた。何故なら、そこには…自分達を庇った烈火が代わりに受けていたから。
烈火「ごふ…ッ……!。」
ブレスの威力に、烈火の身体は限界を迎える。
<完全勇者外装>の圧倒的な防御力を持ってしてもこれだ…烈火の命の炎に危機が迫る。
友奈「イヤ…烈火君…いやぁああああッッ!!。」
叫びながら、烈火の前に立つ友奈。涙を溜めながらも、動く右拳を固めて3体のDMに向かっていく。
DM−DEVIL「愚かナ。なラ、先ニ消えるガいい。」
DM−DRAGONが再びブレスを放とうとエネルギーを溜め込む。
友奈「…ッッうう…貴方達の好きにはさせないッ!!。」
烈火を守るために果敢に立ち向かう友奈。それに沿うように、プリズムも続く。
プリズム「私たちは…滅びを受け入れないッッ!!。」
DM−TITAN「抵抗シテも無駄ダ。小サキ者達よ。」
巨腕が地面に突き刺さると、その衝撃が2人を簡単に吹き飛ばしてしまう。その威力に、気を失いそうになる…そして、地面に激しく叩きつけられてしまう。
プリズム「あう…ッ…!!。」
友奈「うぅ……まだ…まだ……ッ!!。」
DM−DEVIL「サァ、滅びノ時ダ。」
DM−DRAGONのエネルギーチャージが完了してしまい、先ほどとは違うブレスを放とうとする。
意識のみで烈火は2人を守ろうとその射線上に立った。
烈火にやめてと泣き叫ぶ友奈、そしてプリズムも死を悟ったのか目を閉じる。
だがその時……。
「弟を痛めつけてくれたお礼はさせてもらうわ。そして…私を救ってくれたこの子達を…傷付けさせはしない…!!。」
一閃。
何が起きたかわからないまま、DM−DRAGONの首が地面に落ちる。
DM−TITAN「なんダと!?この個体ハ我々ヨリも戦闘能力ガ上ノ個体…!!それヲ…!?。」
「ワンキルというのはご存知ないみたいね?対戦型のゲームでは戦局をひっくり返すための手段…私にとっては造作もない事。」
舞い散る「彼岸花」の花びら。3人の前に降り立ったのは…千景だった。
絶望の中に見えた希望…思いがけない救援に友奈はその場にへたり込んだ。
友奈「ち…千景さん…!!。」
千景「ごめんなさい、遅くなったわ。エルさんが私の元から離れちゃってずっと追いかけてきたの。不幸中の幸いだったわ、おかげで貴女達と合流できた。」
プリズム「まさか…エルちゃんは千景さんと…!?。」
千景「ええ、でもすぐに消えてしまったの。光を帯びていたからその方角を頼りに来たらここに辿り着いたというわけ。エルさんはここにいるのよね?。」
プリズム「は…はい…ッッ!。」
千景「わかったわ、後は任せて頂戴。コイツらを殲滅するわ。」
ボロボロの烈火を見る千景。そんな姿を見て、千景は目を伏せる。
千景(烈火…またこんなにボロボロになって…でもありがとう、私が来るまで持ち堪えてくれた…貴方は死なせはしないわ。大切な家族だもの…そして…守り抜く。)
同じく、<完全勇者外装>の力を放出した千景はこれまで以上の強さを身につけている。一撃で上位個体を倒したその力に、残り2体のDMは狼狽えてしまう。
DM−DEVIL「あり得ナイ…上位種ガたった一撃デ!?。」
千景「首を晒してたおかげで不意打ちが通用しただけ…でも、所詮は怪物よ。そう言った相手には慣れてるの…言葉を話すようだけど、知性を持った事を後悔しなさい?。何故なら…。」
凄まじい速度で接近する千景。一種でDM−DEVILの懐に潜り込んだ。
DM−DEVIL「!!?。」
千景「絶望を知ってから死ぬことになるから。」
その華奢な体躯からは想像出来ない大鎌の振り上げに、DM−DEVILの両腕は斬り飛ばされた。
友奈「千景さん…すごい……あいつらをあんなにも簡単に……。」
千景「貰ったのよ、貴女達から。」
友奈「…え…?。」
千景「守るための強さを。今の私は昔の私じゃない…誰かに認められたくて、力を誇示していた時の私じゃない。今の私は…私を救ってくれた人達のために戦う勇者…神樹様の力はもう無い偽物の勇者だけど、それでも私は…絶望を振り返らずに未来を生きる希望の勇者…郡千景よ…ッ!!。」
持ち前の速度を利用して、DM−DEVILに迫る千景。
反撃として、尾を伸ばすがそれも看破されてしまう。
千景「どう?貴方達が見下す人間に良いようにされる気分は?。」
背後に迫られ、その首には大鎌の刃が向けられていた。引けばそのまま撥ね飛ばされる…勝敗の軍配は千景にあった。
DM−DEVIL「ふざケルナッ!我々ハ“無"ノ…ッ!!。」
千景「"無“だからこそ…存在しているのが間違いでしょう?。」
無情にも刃を引き、その首を撥ね飛ばした千景。返り血を浴びるように、チリを浴びた千景のその佇まいは敵にとっては絶望そのものだった。
DM−TITAN「人間風情がァアアアアッ!。」
千景を握りつぶそうと、両腕を突き出すDM−TITAN。
地面を蹴り跳躍して避け、DM−TITANの頭部を蹴り抜いた。
千景「そっくりそのままお返しするわ…私達勇者は怪物には容赦がないの。特に…私の世代はね。」
巨腕に乗って走り出し、両目を鎌で切り裂いて視界を奪う。
手探りで暴れ出すDM−TITANだが、千景は後方でその様子を見る。
千景「生き残る為に私たちはずっと戦って来た…終末戦争の時は最後まで生き残れなかったけど…過ちを犯してそうなってしまったけど…もう一度、生を受けたからには今度は…勇者のお役目を果たそうと思う。私を想っててくれた「みんな」のために…そして、今を生きて支えてくれる「みんな」のために…私はもう一度…"勇者"になる…!!。」
飛び上がって大鎌を振り下ろした千景の攻撃はDM−TITANを真っ二つに割ってみせた。
断末魔をあげて消滅したDM−TITAN。全てが終わったその戦場は生々しい戦いの後だけが残っていた。
絶対防衛線は守られた…後方の集落に被害は無い。
千景の活躍もあって、この戦いは勝利に終わったのだ。
満身創痍の3人に、優しい笑みを浮かべる千景。だが、烈火の元に駆け寄っては強く抱きしめた。
烈火「…姉…ちゃん……。」
千景「…また無茶をして………。」
烈火「……へへ…生き残れたんだ…儲け…だろ…?。」
千景「……ええ…そうね……よかった…貴方が無事で本当に……2人を守ってくれたんでしょ?。」
烈火「はは…まぁ……な……?。」
そんな4人を、一羽の蒼い烏が木に止まってずっと見ていた。
そして、見届けたことに満足したのか、羽根を散らしながらその場を飛び去っていった……それに気付いたのは友奈ただ1人、だけどそれが何なのかはすぐに分かった。
でも、敢えて何も言わない…そう、あの烏はきっと…前を向いて歩いている千景を見守っていたのだから……。
……………………………end。
言語を話す進化したDMの個体の出現。
知性と共に上位種の力に追い詰められた3人は千景によって救われ、この戦いに勝利を収めた。
その一方で、芽吹と夏凛、あげはは偶然にも突如として出現した謎の古代遺跡の前に辿り着いていた。
そう、その遺跡こそエルと"世界を救う究極の力"に関連する遺跡だった。
当然、そんな事実を知らない3人の前にアデルが現れて……。
次回
第109話 プリンセスと謎の古代遺跡。