〜ひろプリ×勇者であるシリーズ〜世界の壁を超えた出会い   作:やままん

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前回のあらすじ。

DMの上位種によって追い詰められた烈火達を救ったのは千景。

その圧倒的な力で窮地を脱し、勝利を収めた。

その一方で夏凛と芽吹、あげはは謎の古代遺跡の前にまで来ていた……。


第109話 プリンセスと謎の古代遺跡。

アデル「はははは、諦めなさい…その遺跡には我々の求めるものがある…それを貴女方に渡すわけにはいかないのですよッ!。」

 

 

夏凛「…ここは絶対に…通さない……ッッ!!。」

 

 

芽吹「ダメよ三好さん…これ以上はあなたが…死んでしまうッ!!。」

 

 

バタフライ「夏凛…ッッ!!。」

 

…………………………。

 

ソラシド市からスカイランドへの転移の途中、アデルの妨害により引き離された一同。

 

それぞれが別々の浮島に転移され、そしてそれぞれが思いのままに動いていた。

 

数日前に空から来襲してきたDM。

当然、そういった現象が度々起きていた事はシャララから聞いてはいたが今度ばかりは偶然とは思えなかった。

 

その事実を知るのは、烈火達のみ。しかし、他のメンバーは何も知らない。鷹夜達のグループは「マジェスティクルニクルン」について調べようと動いていた。

 

そして…夏凛と芽吹、あげはの3人もまた一同と合流するために遅いくるDMと戦いながらも王都に向けて歩を進めていた。

その先に辿り着いたのは……湖の中心に浮上した謎の古代遺跡だった…。

 

〜古代遺跡・対岸の浜辺〜

 

芽吹「これ…何の遺跡?。」

 

対岸部に立ち尽くす3人は神秘的なその遺跡を見つめていた。

あげはももちろん、何も知らない。

 

あげは「う〜ん…気にはなるけど、今の私たちには必要ない事かも。」

 

踵を返して、歩を進めようとするあげは。

しかし、夏凛はそこを動かなかった。

 

あげは「何してるの夏凛?もしかして、遺跡に興味でもあるの?。」

 

 

夏凛「まさか。別世界の遺跡なんて調べても何もわからないわよ。でも何故かな…この遺跡…不思議な感覚があるの。」

 

 

芽吹「不思議な感覚?。」

 

 

あげは「勇者の不思議パワーってやつ?でもここ、スカイランドだよ?。まさか、スカイランドにも勇者の伝承が?。」

 

 

夏凛「いや、それはないでしょ。初代勇者だって私達の世界が起源だもの…そこから300年、他の勇者がいたとしても世界を超えた事実なんて何もないし…ただ、私の直感がそう言ってる気がするのよね。」

 

 

芽吹「悪いけど、その直感とやらで時間を潰したくないのだけれど?。」

 

ぶっきらぼうにそう言う芽吹を宥めようとあげはが取り繕うとする。

しかし、そんな小言にも耳を貸さないほど夏凛はその遺跡を気にしていた。それを見かねたあげはが一言…。

 

あげは「う〜ん…なら、少し寄り道していく?。っていっても文字が刻まれても私は何もわからないけどね?。」

 

 

芽吹「ちょっと聖さん…貴女まで…。」

 

 

夏凛「ごめん、そうして欲しいかな。すぐに済ませるから…。」

 

そう言って、湖を泳いで渡るわけにはいかないので変身して飛び越える夏凛。あげはもまた変身し、芽吹も不本意ながら2人に付き合うことにした。

そして、遺跡の前までやってきた3人…入り口らしい入り口は特に無かった。

建造物にしては、中に入れないのもおかしい…そして何故か、中心部には扉らしきものが。

 

芽吹「…やはり、特に意味は無いんじゃない?中に入れるわけでも無さそうだし…。」

 

 

夏凛「…やっぱり、私の取り越し苦労だったのかもしれないわね…ごめん、時間を取らせちゃった。旅を続けよ……。」

 

 

「お手柄ですよ、皆さん。ようやくこの遺跡を見つけることが出来ました。」

 

聞き覚えのあるその声に、背筋が凍りそうになる夏凛とバタフライ。芽吹もまた、咄嗟に銃剣を構えた。

 

バタフライ「……とんでもないものが紛れ込んでたね……アデルッ!!。」

 

空中に浮いていたのはアデル。仮面をつけてはその場に降り立った。

 

夏凛「あんた…この遺跡を知ってるの?。」

 

 

アデル「知ってるも何も…今回の妨害の一つですよ。貴女方を別々の場所に転移させて監視し、ここに辿り着かせる為の駒として利用させて頂きました。」

 

それを聞いて、容赦無く引き金を引いた芽吹。銃弾はアデルの頬を掠っていく。

 

芽吹「やはり、お前の仕業だったか!。あの時、その声が聞こえた気がしたのよ…!!。」

 

 

アデル「おやおや…蓮さんに斬られた腕がちゃんと再生している。医療の進歩というものですかな?。」

 

 

芽吹「話を逸らすなッ!それに、アイツは私の手で必ず倒すッ!!。」

 

 

アデル「それはよろしい。では、お引き取り願いましょうか。私の目的の一つは達成できました。後は…プリンセス・エルをここに連れてくるだけ。貴女方はお役御免です、ありがとうございました。」

 

プリンセス・エル。

 

それを聞いたバタフライが表情を変えた。

 

バタフライ「あんた…エルちゃんに何をしようって言うのッ!?。」

 

 

アデル「…この遺跡は彼女無しでは作動しませんよ。彼女こそ「鍵」。そしてそこに眠るのは…"世界を救う究極の力“。」

 

 

夏凛「世界を救う…究極の力…!?。」

 

 

アデル「そうですよ。私達にとっては目障りな力そのものでしてね…それを消しさえすれば問題ない。そしてプリンセスにも……消えてもらいましょう。」

 

その時、夏凛の剣がアデルの胸に突き付けられた。

薄ら笑いを浮かべながら避けるアデル。そこには、怒りに満ちた3人が戦闘体制をとっていた。

 

夏凛「この下衆がッ!あんな子を手にかけようってのッ!?。そんなの私達が許すはずがないッッ!。」

 

凄まじい連撃を軽やかに避けながら、仕込みナイフで応戦するアデル。

芽吹が放った銃弾をトランプで受け止め、バタフライの打撃すらも簡単に受け止めた。

 

バタフライ「…なるほどね…この一連の騒ぎ、やっぱりあんた達が絡んでた…ッ!このスカイランドで何をしようっていうのッ!?。」

 

 

アデル「その力は"我々“にとっては厄介だ…盲点でしたよ…あの赤ん坊にとんでもない力が備わっていたなんてね…ッ!!。」

 

 

バタフライ「質問に答えろッ!!エルちゃんが…何だって言うのよッ!?。」

 

バタフライの攻撃を悉く受け止めては、投げたトランプで頬を切り裂いていく。

 

アデル「プリンセス・エルは「運命の子」。そしてそれは…我々"無の勢力"にとって、害をなす存在でもある。"世界を救う究極の力"を扱う器であるプリンセスがその力を手にすれば、私の企てる「舞台」を進めることが困難となる…いいですか、私の「舞台」が完成しなければ貴女方はもっと過酷な戦いを強いられる事になる…。」

 

 

芽吹「何を血迷った事をッ!。」

 

 

アデル「先日から現れ始めた可能性世界の怪物…DM。あれらは今、全ての世界に対して牙を剥き始めました。」

 

 

夏凛「な…何ですってッ…!?。」

 

驚愕の事実に、思わず攻撃の手を止めた3人。アデルまた、トランプを浮遊させては手を止める。

 

アデル「スカイランドだけじゃない…可能性世界に勇者世界…そして、ソラシド市。彼らは天災の如く、全ての世界に対して侵攻を始めました。勇者世界の歴史と同じですよ…300年前のバーテックス襲来。それよりも巨大規模かつ強大な勢力が遂に動き出した。同情しますよ…彼らは私と同じく"無“であるのに、話の通じない相手だ。ただ、本能の如く全てを滅びへと変えていく…美学も何もない下賎の種。そして、変異種のバーテックスであるシン・バーテックス。これもまた、"無"の一部でしてね…DMと共生しているのでしょうか、彼らも便乗してくるはずですよ。」

 

 

夏凛「な…シン・バーテックスまで……ッ!?。」

 

 

アデル「彼らに喰い殺されるのは苦しみと哀れでしかない…だから、私が「舞台」を用意したのですよ。全てを無に返し、そして…静寂という名の安寧を得る為に。」

 

その事実に、情報の整理が追いつかない夏凛とバタフライ。だが…芽吹は違った。

 

芽吹「お前の言う「舞台」なんてものも聞こえの良い滅びと同じでしょうがッ!!。どのみち、お前とあの化け物達の両方を潰さなければ、私達の未来は閉ざされてしまうッ!。」

 

銃剣を巧みに操り、近接戦闘を仕掛ける芽吹。激しい金属音がその場にこだまする。

 

アデル「痛み、苦しんで滅ぶか眠るように滅ぶかの違いですよ。安らかな滅びの方が苦しみがないでしょう?。まさか貴女は死する時は苦しみたいのですか?。」

 

 

芽吹「決めつけるなッ!私達は滅びを受け入れない、お前達を叩き潰して未来を勝ち取るッ!!。どの世界でも人智を超えた奴らはいつだって滅びを突き付けてくるッ!!そんなに私達人間が…疎ましいッ!?。」

 

トリガーを引き続け、銃撃と剣撃の双方で攻める芽吹。その手数にアデルも驚いていく。

 

アデル「何も感じませんよ。ただ…貴女方人間が戦火を呼んでいる事にそろそろ気付いた方がいい。そして、光と闇…決して相容れない理が存在するから宇宙と星は常に騒がしくなる…"無"はうるさいのが嫌いでしてね…その双方を滅ぼす為に動いているのですよ。言っておきましょう、光と闇が結託しても"無"には敵わない…我々は理から外れているのです。ルールに縛られないのが我々の特性、いくら足掻いた所で無駄だと言う事ですよ…ッ!。」

 

弾かれた芽吹の足に、一本のナイフが深々と突き刺さる。

痛みで倒れ込む芽吹。その奮闘を無駄にしない為にも今度は夏凛とバタフライが仕掛ける。

 

夏凛「それでも私達は生きる事を諦めないわッ!。そんな事実を突きつけられたのなら尚更この遺跡を破壊させるわけにはいかないッ!!。」

 

精霊バリアを作動させながらも、アデルとの距離を詰めていく夏凛。そしてそれをサポートするようにバタフライもアシストする。

 

バタフライ「私達の本当の敵が見えてきたねッ!。あんた達"無"を倒さなければこの戦いに終わりがないッ!!。それに…それを打開する力がここにあるのなら、私達はそれを手にしなければならないッ!!。」

 

バタフライプレスの連射でアデルを潰そうとするが、その軌道を全て避けて見せ、そして…クローバーのトランプから衝撃波を放つ。

咄嗟にバタフライシールドを形成するもその衝撃波の威力が凄まじく、簡単に割れてはバタフライに直撃した。

 

バタフライ「ぐうううッッ!!?。」

 

 

夏凛「あげはッッ!?。ちぃ…ッ…!。」

 

アデルのナイフと競り合う夏凛。ジリジリと刃がぶつかり合いながら睨み合う。

 

アデル「ククク…敵の全貌が明らかになったとはいえ、その先に待ち受けるのは無限にも近い勢力である"無“。それでも、貴女方は未来を欲する為に戦えますか…?。」

 

 

夏凛「バカに…しないでよ…!こちとら、その無限だったバーテックスとの戦いも乗り越えてるのよ!…例え、ここであんた達と決着がつかなかったとしても…何十年…何百年先の同じ志を持つ未来のプリキュアや勇者がきっと、終わらせてくれるッ!!。その為のバトンならいつだって渡せる用意は出来てるのよッ!それが人間の粘り強さ…人間の強さよ…ッ!!。」

 

押し切り、夏凛はアデルの懐に潜り込んだ。

 

夏凛「もらったぁああああッッ!!。」

 

逆袈裟でアデルを切り裂いた…かのように思えたが、夏凛は自分の身体に激痛が走ったのを覚える。そしてその刹那、大量の血が地面に滴り落ちた。

 

夏凛「がふッ…な…何が…起こって……?。」

 

 

アデル「おやおや…自分で自分を切り裂くなんて…驚きましたよ?。」

 

切り裂かれたトランプに描かれていたのは自分の姿…そう、アデルはそのトランプを斬らせてダメージを彼女に返したのだ。

 

高らかに笑うアデル。あまりにも深いその一撃は夏凛を血の海に沈めた。

 

芽吹「み…三好さぁあああんッッ!!。」

 

 

アデル「お見事でしたよ、勇者・三好夏凛。でもその傷はもう助からないでしょう?さて…貴女方も動けないのなら、私は仕事を済ませましょう。その次はプリンセス・エルです。彼女もまた、誰かの近くにいる事でしょう…ここさえ潰せばあとは簡単です。」

 

そう言って、遺跡へと歩を進めるアデル。その手には、破壊する為に溜め込んだエネルギーがこもっていて。

 

だが、血塗れの夏凛が立ち上がって両手を広げてアデルの前に立つ。

 

夏凛「………さ…ない…ッ!!。」

 

 

アデル「はははは、諦めなさい…その遺跡には我々の求めるものがある…それを貴女方に渡すわけにはいかないのですよッ!。」

 

 

夏凛「…ここは絶対に…通さない……ッッ!!。」

 

意識を保つのにやっとなはずなのに、それでも夏凛は諦めない。

夥しい量の血を流しながらも、アデルに鋭い眼光を向ける。

 

芽吹「ダメよ三好さん…これ以上はあなたが…死んでしまうッ!!。」

 

 

バタフライ「夏凛…ッッ!!。」

 

 

アデル「……面倒ですね、死に損ないなのに…よろしい、ならば遺跡ごと心中すれば良い。さようなら…三好夏凛?。」

 

遺跡ごと夏凛を消し去る為に衝撃波を放とうとするアデル。

 

誰もが、諦めかけたその時…。

 

アデル「ごああああッッ!!?。」

 

豪炎に満ちた拳がアデルの頬を打ち抜いた。あまりの威力と焼き尽くされる程の炎に焼かれながらアデルは地面を転がっていく。

 

そしてそこに現れたのは…振り抜いた拳を突きつけたまま飛んできたキュアアグニ。

 

夏凛「た…鷹…夜…?。」

 

 

アグニ「やっと見つけたぞ…アデルゥウウウウウウッ!!。」

 

 

アデル「キュ…キュアアグニ!?。何故、ここに…貴方達はまだ後方の浮島に…ッ!!。」

 

 

アグニ「はッ…DMが開いたゲートを潜ってきたんだよ馬鹿野郎がッ!!。随分と滅茶苦茶してくれたな…テメェの手のひらの上で踊るのはましろの時で終いにしたんだよッ!!。」

 

拳を鳴らし、炎を纏いながら歩くアグニ。

続いて、キュアスカイと東郷、蒼葉もその場に降り立つ。

そして…千景の近くに居たあの蒼い烏がアグニの上を飛んでいた。

 

アグニ「何が“無"だ…んなもん、ぶっ飛ばして本当の“無"にしてやる…ッッ!!。」

 

…………………………end。




エルと古代遺跡…そして、その中には"世界を救う究極の力"が内包されていた。

遂にアデルに見つかったその遺跡を死守しようと奮闘する3人。
突きつけられた現実に負けず、未来を諦めない3人はアデルの凶行を食い止める為に戦うも、窮地を迎えた。

だが、突如として現れたアグニによって状況は一変…そして、彼らをここに導いたのは千景の近くに居た謎の蒼い烏。

その烏に懐かしささえ覚えるアグニはその剛拳と業火を以って因縁の相手に向かっていく…。

次回
第110話 "無"を焼き尽くす剛拳。
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