〜ひろプリ×勇者であるシリーズ〜世界の壁を超えた出会い   作:やままん

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前回のあらすじ。

夏凛達が見つけた謎の古代遺跡はエルを鍵とした"世界を救う究極の力"が内包された遺跡だった。

その遺跡と彼女を消滅させようと仕掛けるアデルに、夏凛は奮闘の末致命傷を負ってしまう。

しかし、その窮地に現れたのは別の浮島に居たはずの鷹夜とソラ、そして東郷と蒼葉だった。

因縁の敵を前に、鷹夜はその拳の業火を爆発させる…。


第110話 "無"を焼き尽くす剛拳。

アデル「…なるほど…私を追ってここに来たと…そういうことですか…。」

 

アグニに殴り飛ばされたアデルはゆっくりと身体を起こして埃を払う。

 

アグニは致命傷を負った夏凛に手に宿した炎を放つ。不思議とその炎は熱くなく、傷を塞いで見せた。

 

夏凛「あ…傷が…その力は一体…?。」

 

 

アグニ「応急処置だ、あくまでな。あまり身体を動かすんじゃねぇぞ、傷が開いたら今度こそ死ぬ。東郷、蒼葉ッ!!。夏凛を連れて離れろッッ!!。」

 

2人はコクリと頷き、夏凛を連れて退避。仲間の前にはアグニが立ち塞がる。

 

夏凛「東郷…蒼葉…あんた達…無事だったのね……。」

 

 

東郷「ごめんなさい、夏凛ちゃん。肝心な時に行方不明になってしまって…。」

 

 

蒼葉「ここは鷹夜に任せよう。ハレワタール、遺跡に被害が出ないように。」

 

 

スカイ「はいッッ!!。」

 

 

アデル「…舐められたものですねェ…キュアアグニ。まさかあなた一人で私の相手を?。」

 

 

アグニ「テメェなんざ、俺一人で十分だ。御託は良いからさっさと掛かって来な!!。こっちはテメェを追いかけてきてんだ!!。」

 

拳を構えるアグニ。その場には静寂がこだまして。

 

芽吹「大丈夫なの…あの仮面の男、かなりの手練れよ!?。「劇団」のトップなのでしょうッ!?。」

 

 

蒼葉「大丈夫だ。今の鷹夜なら…アデルに勝てる…ッ!。」

 

地面を蹴って、先手を取ったのはアデル。その首元にナイフを突き付けてくる。

 

アデル「よろしいッ!。ならば貴方をここで倒しましょうッ!!。良い加減、目障りになって来ましたよッ!?。」

 

寸前まで引き寄せて、アグニは回避行動に移る。それと同時に腕を掴んでは顔面に膝蹴りを当てた。

 

アデル「ぬぅうう…ッ!?。」

 

 

アグニ「まずは1発…貰っとけよッ!!。」

 

仰け反ったアデルに炎の拳を突きつけるアグニ。だが、アデルはそれを受けない。夏凛に使ったトランプの身代わりを突き付けた。

 

夏凛「!!!。あれはダメッ!攻撃すれば返って…ッ!!。」

 

 

アグニ「わかってる…コイツの事だ、卑劣な手ェってのは理解してるさッ!!。」

 

拳を引いては左腕の裏拳でアデルを攻撃。そのまま振り抜いて殴り飛ばした。

 

バタフライ「す…すごい…アグニ、何があったの…!?。」

 

 

スカイ「…あの烏に会ってから強くなったんです。数多のDMと戦い続けて。」

 

遺跡に止まる「蒼い烏」に目を向けるスカイ。他の者もその烏を見る。

夏凛はその烏に見覚えがあった。

 

夏凛「あの烏…友奈を助けに行った時に現れた……!。」

 

 

東郷「ええ…あの烏が私達をここに連れて来てくれたの。DMが作り出した門を使って。」

 

 

芽吹「一体…なんなの…?。」

 

 

アグニ「うおおおおッッ!!。」

 

両足の炎を噴射させて突撃。拳を固めてアデルに殴り掛かる。

 

アデル(戦闘能力が以前とは比べ物にならない…なるほど、進化したというわけですか…ッ!。)

 

アグニの攻撃をいなしながら、アデルは距離を取る。

そして、トランプを数枚投擲するとそれはアグニの眼前で爆発した。

歯を食いしばってその黒煙から現れたアグニは傷を負っていたが、その直後に来たアデルの追撃を完全に読み切っていたのだ。

 

虚をついたはずの攻撃が通じず、アデルは仮面の下で舌打ちする。

 

そこはすかさずアグニが右拳を振り上げ、アッパーカットでアデルを打ち上げた。

 

アデル「ぐうううッ!?。」

 

 

アグニ「ヴォルケーノストライクッッ!!。」

 

右腕の筋肉を隆起させ、全力の一撃をアデルにぶち当てた。

 

アデル「おおおお!?。」

 

 

アグニ「テメェを倒して、この先に待ち受ける敵も倒すッ!!。俺達は…絶対に負けねェッ!!。」

 

 

アデル「…ぐうう…クク…なるほど、真相を知ったというわけですね…がはッ…!。」

 

 

アグニ「そうだ…DMもシン・バーテックスも全部ぶっ飛ばす…ッ!。」

 

拳に力を込めて、胸を叩くアグニ。

その炎の煌めきは辺りを明るく照らす。そして、蒼い烏がアグニの元へと飛んできた。

 

アグニ「……どの世界でも、未来を紡ぐための戦いは誰だってやって来た…勇者もプリキュアも…その長い歴史の中でずっとそうして来たッ!それを繋いでいける自信なんてもんはねェけど…それでも、ダチが肩を並べて戦ってくれるなら…やれる気がするッッ!!。そうだろ…?。」

 

"若葉"。

 

蒼い烏はアグニの肩に止まる。

 

アデル「…諦めが悪いですね…人間風情が"無"に勝てるはずがない!。理解しなさい、貴方達は淘汰されるべき種族…神にも我々にも、高次元の域に達せない種族はそうなるのが当たり前なのですよッ!!。」

 

 

アグニ「見下してんじゃねぇぞ、なら…掛かって来やがれッ!。神でも何でも、俺は…"仁義"に反する事を許すつもりなんてねェッ!!。」

 

拳の炎がさらに煌めく。そして、「バーニングフォーム」を使用。

 

背中の炎の翼をはためかせると、アデルに向かっていく。

 

アデル「…滅ぼした世界にいた太陽の名を持つプリキュア…キュアアグニッ!!。なるほど…ようやく分かりましたよ…何故、その少年に力を宿したのか…その変身端末といい、全てがつながりました。」

 

ナイフを構えながら、アデルはアグニと対峙する。

 

アデル「キュアアグニ…"勇者"と"プリキュア"両方の特性を併せ持つ…戦士…世界を超えて、混ざり合ったその力を授かった藍葉鷹夜という少年…ずっと、探していたのですね…我々"無"に絶望しない心を持つ人間を…ッ!!。」

 

ぶつかり合う二人。しかし、その剛拳がアデルのナイフをへし折って腕を砕く。

 

アグニBF「俺のこの力が何なのかなんてどうでもいい、ただ…人間でありたいと願った奴らの思いが籠ってんなら背負ってやるよッ!!。それが今のキュアアグニ…藍葉鷹夜が受け継いだ…"太陽の名を持つ戦士"だッ!!。」

 

炎を噴射させて威力を上げた蹴りがアデルの頭部を蹴り抜く。

たまらず吹き飛ぶアデルは、周囲の木々を薙ぎ倒しながら吹き飛ばされた。

 

夏凛「キュアアグニが…勇者とプリキュアの力を併せ持った…。」

 

 

スカイ「…はい。元々、別世界の戦士であったキュアアグニ…でも、二つの世界が交差した今の時代に対応するべく、進化したんです。それは…貴女たちと出会い、そして共に戦って来た戦友達の思いを受け止めて…きっかけは、西暦時代に行ったことです。そこで初代勇者達と出会い、そして…若葉さんに影響されてキュアアグニが進化の兆候を見せたらしいんです。」

 

 

蒼葉「あの蒼い烏が現れてから、鷹夜の様子が変わった。そして知ったんだ…"無の勢力“と呼ばれる奴らが全ての黒幕だと。そして、それはこれまで戦って来た異形達がそうだった…そう、すでに"無の勢力"によって全ての世界が喰われ始めている…俺達は奴らによって踊らされていたんだ。」

 

 

東郷「鷹夜君はそれを受け止め、今の強さを手にした…キュアアグニと呼ばれる戦士は元々、無限に近い"無"と戦う使命を背負った戦士…でも、それでも彼は…使命をというよりは"心"に従って戦っている。」

 

激しくぶつかり合うアグニとアデルを見ながらそう語る3人。

お互いにボロボロになりながらも、状況はアグニが優勢だった。

 

バタフライ「…そっか…タカ坊の信念はそんな使命なんて関係ないんだね。」

 

 

蒼葉「ああ、良くも悪くも、あいつはどこまで行っても……。」

 

 

ーただの人間だー

 

 

アグニBF「ウオオオオオオオオオッッ!!。」

 

ナイフによる裂傷を受けながらも、アグニは拳の連打を緩めない。

対するアデルも負けてはいないが、それでもその剛拳を幾つも受けては追い詰められている。

 

…こんな事は初めてだ。

 

そう思いながらも、キュアアグニではなく「藍葉鷹夜」として立ち向かってくる彼の人間性に嫌気が差してきた。

 

アデル(まずい…これほどの力を放置してしまった事は誤算…ここは一度、退却して……。)

 

 

アグニBF「逃すかッ!!。」

 

飛び上がったアデルの足を掴み、そのまま急降下して地面に叩きつける。遺跡の床を破壊しながらも、アデルの退路を立つ。

 

アデル「ぐはっ!?…いい加減に…しつこいですよ…ッ!!。」

 

 

アグニBF「これまで散々、テメェらのいいようにされて来たんだ。ましろの事といい、今度はエルにまで手を掛けようとしてやがる…俺達はもう負けるわけにはいかねぇんだ。自分達の未来を勝ち取る為に、立ち塞がる奴らは全部倒すッ!!。」

 

ゆっくりと歩み寄り、拳の炎がより輝き始めた。

 

アグニBF「お前らに教えてやる。人間ってのはな、お前らにとっては小さい蟻のようなもんだ。取るに足らねェ、ちょっと力を行使すりゃ簡単に潰れるゴミみてェなもんなんだろうな。でも、俺達人間はどれほど踏みつけられても立ち上がるたびに強くなる…踏みつけられて来た数なら負けねェ、そして…その度に立ち上がって来た粘り強さをお前らは今、目にしてんだ。仲間に教えとけよ…面倒な奴らを敵に回したって事をなッ!!。」

 

ギュッと、拳に力を込めると炎の翼が消えてそこに上乗せする形で巨大な炎の拳を形成した。

 

それはまるで太陽のようで…そして、見るもの全てが魅了される。

 

アデル「アハハハハハッッ!!。生き残れますかぁああッ!?貴方達、人間如きが無限に近い高次元生命体の来襲からッ!!。」

 

 

アグニBF「生き残ってみせるさ、俺はお前を超えて…仲間と共に未来を勝ち取るッッ!!。」

 

地面を強く踏み込み、左手は照準を定めるように…そして、右手の拳をさらに固める。

 

アグニBF「プリキュア!ゴライアスキャノン(巨人の大腕)ッッ!!。」

 

形成された巨大な炎の拳がアデルに直撃。燃やし尽くしながら空高くに打ち上げる。

 

アデル「アーッハハハハハッッ!!。なら、特等席で見させてもらいますよぉおおおッッ!?あなた方の…絶望に満ちた顔をぉおおおおッッ!!。」

 

爆散。

まるで、断末魔のような雄叫びを上げながらアデルはその業火にやきつくされた。

そこに落ちたのは黒焦げのアデルの仮面。

 

長きに渡る因縁…「劇団」No.1<道化師>アデルを"撃破“。

 

勝者はキュアアグニ。疲労感からか、その場に前のめりに倒れ込んだ。

 

スカイ「アグニッッ!!。」

 

アグニに駆け寄り、その身体を抱き上げたスカイ。

息を切らし、傷だらけの身体でそれでもなお、笑っていた。

 

夏凛「……やった…あのアデルを……倒したッ!!。すごい、すごいよ鷹夜ッ!!ッ…ゥゥ!?。」

 

 

芽吹「あまり声をあげないで、貴女の怪我はまだ治ってないのよ。」

 

 

スカイ「やりました…やりましたよ鷹夜さんッ!!貴方が倒したんです…ましろさんを闇に落として私達をずっと振り回してきたあの…アデルをッ!!。」

 

感極まり、大粒の涙を流すスカイ。バタフライもまた、目尻に涙を溜めて勝利を祝福する。

 

アグニBF「…はは…そっか…でも流石に……。」

 

アグニは蒼い烏を見る。その戦いを見届け、空高くに飛び去っていった。

 

アグニBF(…お前のおかげだ。あの旅を通じて、お前と分かり合えた事が俺を強くした。いつかまた会える…そう言ってたな。ありがとな……若葉。)

 

舞い落ちた蒼い羽を手に取り、アグニは目を閉じて静かに感謝した。

 

……プリキュア達の運命、そして勇者達の運命を変えた元凶である「劇団」。そのトップであるアデルを撃破した。

 

しかし、強大な敵はまだ待ち受けている…それに、アデル以外のメンバーだって健在だ。

でも、それでも今は勝利の余韻に浸っても悪くはないだろう…何故なら…。

 

 

ー命を燃やして全力で立ち向かい続けたのだから…ー

 

 

……………………………end。




これまでの旅を通じ、仲間との絆と初代勇者・乃木若葉との邂逅によって心身共に成長し、覚醒したキュアアグニによって遂にアデルを撃破した。

しかし、「劇団」は完全に崩壊はしていない…この世界に来ているナイアル、アリスと蓮がいまだに健在だ。

アデルの訃報を知ったナイアルはその仇を取るどころか、逆に「劇団」を自身の理想とする為にその全ての権限を得た。

暴走するナイアルは、スカイランドの王都に単身で襲撃をかける。
そこに鉢合わせた風とトーヤが迎え撃つも、狂人と化した彼の前ではなす術もない。それを見かねたリオンが弟であるナイアルを止めるべく立ち向かうが……。

次回
第111話 剣聖、地に墜つ。
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