〜ひろプリ×勇者であるシリーズ〜世界の壁を超えた出会い   作:やままん

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リオンの死。
スカイランドで最強と謳われた騎士の死は国全体を哀しみに包む。
だが、トーヤと風は前を向く。

"人として生きろ“。

この言葉を胸に2人は明日に向けて歩いていく。

その一方、園子と洸、ツバサは王都の近くまでやってきていた。


第113話 猛攻のキュアスレイヤー。

〜スカイランド・王都近郊〜

 

園子「すごいね〜、ここ。お空の上にある世界だなんて〜。」

 

のほほんとした園子は歩きながら、周囲を見渡す。

ツバサと合流出来た2人は、彼のおかげで旅はスムーズに進んでいた。

 

道中、彼女らの元にもDMが現れていた。なんとか、撃退はしたものの発生原因までは掴めていない。彼らは"無の勢力"を把握していないのだ、無理もない。

 

だが、園子と洸のコンビネーションは流石と言うべきか、ツバサは関心していた。自分の役割は理解している、力を求めるのではなく自分は縁の下の力持ち…裏方に徹すると言うこと。

ツバサは2人が戦いやすいように周囲の状況をいち早く把握し、DMの攻撃を妨害。アタッカーである2人が敵を倒す…そのおかげで傷は大した事が無い。そして、ようやくこの王都付近までやってきたのだ。ツバサはここにいれば誰かに会えると踏んで、2人をここまで案内した。

 

ツバサ「本当はきちんと案内したいところですけど…すみません、今は離れ離れになった皆さんを探す事が先決です。」

 

 

洸「おう、わかってるさ。俺たちは遊びに来たわけじゃねェ、風達を連れ戻すために来たんだ。ま…気になることはたくさんあるけどよ。」

 

 

園子「……DMの出現…だね…?。」

 

 

洸「ああ、あいつらが並行世界の壁を破ってやってくるのは不思議じゃねぇけど…その数だ。まるで、侵攻してきたかのような大多数で来やがった。」

 

 

フレア「それについては我も理解出来ていない。ただの現象では無い…ここに来るべくして、現れている。」

 

 

洸(…「可能性世界」にある"大いなる意志"とやらを潰すために「劇団」は壮大な計画を立てやがった…そして、それを指揮していたのはアデル…だが、ここに来てDMだ。俺たちは…とんでもねぇ敵と戦うことになるのかもしれねぇ…それこそまさに………。)

 

 

園子「なぁに洸?。珍しく、考え事?。」

 

フニャッとした顔で覗き込む園子。当然、驚いた洸は思わず後ずさる。

 

洸「な…なんだいきなりッ!?びっくりすんじゃねェかッ!!。」

 

 

園子「酷いなぁ、私…洸の彼女さんなのにぃ〜…。」

 

わざと悲しそうな目をする園子。洸もからかわれている事に気付いているが、どうも取り乱してしまう。

 

ツバサ「洸さんも、タジタジですね?そんなに園子さんを悲しませたくありませんか。」

 

 

洸「お、お前までなんだよッ!!。」

 

 

ツバサ「はは、お二人が幸せそうだなって思いまして。」

 

ツバサはここ数日で2人のやり取りを見て、勇気をもらっていた。

互いに想い合い、そして助け合う…どんな窮地に落ちても。

 

確かに、不可解な事と仲間が離れ離れという事で不安じゃないと言えば嘘になる。寧ろ、不安が募るばかりだ。でも、この小さな幸せをツバサは守りたいと思った。

 

自分は強くない。けど、それでもプリキュアとして選ばれた戦士だ。そしてその力は人々を救うためにある。

ソラのようなヒーローにはなれない。けど、夢に向かって羽ばたく思いは誰にも負けないと言える。

 

きっと、園子と洸はその先の「夢」に向かって一緒に歩いていくのだろう。なら、それを応援したい。その一心で、全力で裏方に徹していた。

 

自分の役割を知った今なら、強くなれる。そう思って、この2人を守りたいと感じていた。

 

ツバサ(お守りしますよ。僕は…誰かを助けられるような強さなんてない…けど、誰かの夢を守れるような男になりたい…。)

 

グッと、力を込めるツバサ。そして、この不安な旅を明るくする2人を見る。

 

だがその時、ツバサは自分たちの前に歩いてくる女性に気付いた。

 

そして、1番早くに気付いたのは…洸だった。

 

洸「テメェ……「劇団」のアリスッ!!。」

 

 

園子(…直接、向かってきた。目的は私達のようだね…。)

 

 

アリス「ハロー、お三方?。貴方達を探していたのよ、聞きたい事があってね?。」

 

そう言いながらも、得物の鞭を取り出した。仕掛けてくる気が満々なアリスに、3人は迷わずに変身した。

 

スレイヤー「……何の用だ?。こっちもテメェに聞きてェ事がある。」

 

 

アリス「お先にどうぞ?。」

 

 

園子「この前、お空から大量のDMが現れたの。貴女達に関係してないかなって。」

 

 

アリス「関係ない……といえば、嘘になるかな。私達だって報されていなかった事実だもの。でもまぁ…この子に聞くのが早いんじゃない?。」

 

指を鳴らすと、空間の穴が開いて1人の少女が現れる。

両手を魔力で拘束されたもう1人の友奈。衰弱はしていないが、何処かやつれた表情をしていた。

 

園子「も…もう1人のゆーゆッ!?。」

 

 

友奈(if)「ごめんなさい…私…足引っ張ってばかりだね…?。」

 

 

スレイヤー「テメェ、何しやがった…ッ!?。」

 

 

アリス「少しばかり、頭の中を弄らせてもらったの。ま…流石は元神様、思うようにはいかなかったわ。」

 

 

ウイング「何のためにッ!?。」

 

 

アリス「“世界を救う究極の力"とプリンセス・エルの所在…この子はそう言ったものを感じ取れる力がある。だから、手っ取り早く教えてもらう事にしたの。」

 

それを言われた瞬間、真っ先に飛び出したのはウイングだった。

 

ウイング「ふざけるなッ!その力が何なのかわかりませんが、プリンセスに手出しはさせませんッ!そして、もう1人の友奈さんを返してもらいますッ!!。」

 

 

アリス「あはっ!。別に返してもいいわ、彼女を1番警戒していたアデルは居ないし…貴方達から聞いた方が早いと思うからねッ!!。」

 

まるで蛇のように、軌道を描きながら放たれた鞭は機動力で掻き回すウイングを執拗に追う。

 

園子「えい…ッ!!。」

 

槍を傘のように変形させて盾とし、ウイングの後ろに現れる園子。その鞭を防ぎ、元の形に戻しては地面を抉るほどの強烈な突きを放った。

それを難なく避けるアリス。その傍には、拳を固めたスレイヤーが接近していた。

 

スレイヤー「その様子だと、色々知ってそうだな…今、世界で何が起きてやがるッ!!。」

 

攻撃を繰り出しながら、スレイヤーはアリスに問いを投げかける。しかし、アリスはその問いに答えようとしない。

 

アリス「質問ばかりで不平等じゃない?こっちも、貴方達に聞きたい事があるのに。」

 

 

スレイヤー「どうせロクでもねェ事だろッ!!。」

 

左足で蹴り上げ、アリスと距離を取る。アリスは鞭をしならせながら、3人を見る。

 

アリス「単刀直入に言うわ、プリンセス・エルはどこ?。この子、頭の中をシャットダウンしちゃってるみたいだから。」

 

もう1人の友奈を拘束する錠から、電撃が流れる。

 

友奈(if)「うぅ……ッ!?。」

 

 

園子「ゆーゆッ!!。」

 

 

アリス「私の任務はプリンセス・エルの身柄を確保する事。あの子は鍵よ、それも今、全ての世界で起きている事柄にも影響するほどのね。」

 

 

ウイング「だから何が起きているんですかッ!?。」

 

その質問に答えるのは、痛みに耐えるもう1人の友奈。

 

友奈(if)「…全ての世界で、DMが異常発生してる…それに便乗するようにシン・バーテックスも…。」

 

 

園子「なッ…本当なの…!?。」

 

 

友奈(if)「うん…この感覚は知ってる…世界だけじゃない、星も宇宙も全部壊そうとする意志が私達の世界に手を出してきている…今ならわかるかも…可能性世界にある「大いなる意志」はその意志に対抗しようとしてる…その為に人類を一度滅ぼして…神の眷属として生み出した存在で対抗しようと…それが…向こうの世界の勇者とプリキュア…でも、私たちはそれを…拒絶した…っう…!。」

 

 

スレイヤー「…何が「大いなる意志」だ…俺にとっちゃどっちも迷惑だ。」

 

握り拳を作り、スレイヤーは下を俯いて過去を思い出す。

 

「劇団」によって、焼かれた故郷。そして、空から襲い来る異形の数々。今思えば、あの時にDMが現れてバーテックス達と結託していたのは邪魔である人類を滅ぼす為…なら、彼にとってDM達から世界を守ろうとした「大いなる意志」もDM達も同じ存在じゃないか。仮にあの時、人類が敗北したとしても今度は彼らが争い出していた。

 

なら、踏み潰されていく自分たちは何なのか…そしてそれは、高次元生命体達にとっては眼中にない事なのか…争いたいなら勝手に争え、そこに住まう人類を巻き込むな。

 

スレイヤーの怒りは神々とその異形達に向けられる。そして、何の目的かは知らないが、エルを利用しようとしているこの「劇団」にもだ。

 

スレイヤー「…長らく忘れちまってたぜ…俺は…憎しみで戦ってたことを…ッ!。」

 

 

園子「!!!。ダメ、洸…それはダメだよッ!!。」

 

ゆっくりと歩くスレイヤーを抱き止める園子。だが、スレイヤーは園子の手に自分の手を重ねて。

 

スレイヤー「…大丈夫だ。お前の心配している通りにはならねェ。俺が怒ってるのは…何でもかんでも巻き込まねェと済まねェ…立ちはだかる敵全部だ…ッ!!。」

 

フォームチェンジ。

スレイヤーは「フォース」形態へと変わる。

 

スレイヤーF「…今、世界で起きてるとんでもねぇ事に直面してるのはわかった。だが、俺はお前らを許したつもりはねェ…それに、その為にエルを利用しようってんなら俺は絶対に許さねェ!。」

 

地面を深く踏み込むと、アリスの懐に接近。次元の力を集約した蹴りを放つ。

 

アリス「あの時、叫ぶことしかできなかった坊やがここまで強くなるなんてねッ!。」

 

 

スレイヤーF「人は成長すんのさ、そして俺は…守るべきものがそこにあるッ!!。」

 

蹴りを防がれたがすぐに反転。手刀で空(くう)を切ると空気が歪み、一気に爆発。それに巻き込まれたアリスは思わず吹き飛ばされた。

 

アリス「あらあら…!!。」

 

 

スレイヤーF「いけ、ウイングッ!!。」

 

目線の先にはウイングが、そしてアリスの背後を取っていた。

 

 

アリス「しま…ッ…!!。」

 

 

ウイング「ひろがるッ!!ウイングアタック…ッ!!。」

 

エネルギーを纏った体当たりでアリスを弾き飛ばし、地面に叩きつけた。その衝撃でアリスは吐血する。

 

アリス「がは…ッ…これは…油断したわねェ……。」

 

口の端から流れる血を拭い、鞭をしならせるアリス。その戦意は未だ衰えず。

 

その隙に園子はもう1人の友奈を救出。錠を槍で切り裂いた。

 

友奈(if)「あ…ありがとう…。」

 

 

園子「気にしないで?。ゆーゆが無事で良かった!。」

 

 

スレイヤーF「俺はもうテメェらだけに固執しねェッ!!。園子と約束したんだ、俺は……復讐に駆られたりしねェって!!。」

 

手刀を構え、エネルギーを溜め込む。アリスも負けじと、鞭を固めてレイピアのような形状に変化させそのまま突撃。この突進力は凄まじく、回避は難しいものだった。

 

アリス「毒蜂の一刺し(ポイズン・スピア)ッッ!。」

 

その一刺しはスレイヤーFの右肩に深く突き刺さる。

痛みで顔を歪めるが、その右手に籠ったエネルギーをそのまま振り下ろす。

 

スレイヤーF「ッゥゥ…次元烈断ッッ!!。」

 

振り下ろした手刀は刃物の如く、そしてレイピアを突きつけたアリスの右腕を…斬り飛ばした。

 

アリス「ぐっ…あああああああッッ!!。」

 

欠損したその痛みは凄まじく、アリスは思わず叫び声をあげた。

 

スレイヤーF「ぐっ……1発かましてやったぞ…ッ!!。」

 

右腕から血を流しながら、スレイヤーFは片膝をつく。

園子は駆け寄り、スレイヤーFの傷に手を添える。

 

園子「大丈夫、洸ッ!?。」

 

 

スレイヤーF「ああ…ッ……肩じゃなかったら危なかった……。」

 

息を切らしながら、弱々しく立ち上がるアリス。

その目にはいつもの余裕が無かった。

 

アリス「……はぁ…はぁ…やってくれたわねぇええ…いいわ……今日のところは退いてあげる……プリンセス・エルはそのうち……!。」

 

鏡を取り出すと、アリスは吸い込まれるように消えていく。その場には静寂、戦いの跡がくっきりと残っていた。

 

園子「………洸…きっとこれからが…もっと大変になるんだよね…。」

 

 

スレイヤーF「ああ…けど…それでも乗り越えなきゃいけねェ。俺達の…未来のために……。」

 

 

見上げる青い空。

何気ないその空の青が失われようとしている。

 

だが……それを守る為に戦っていこう。

 

………………………end。




エルを狙い、襲撃をかけてきたアリスを撃退した洸と園子、そしてツバサ。

3人は王都に辿り着き、今全ての世界で起きている事を調べようと王様を尋ねる。

王様から聞かされた異変の数々…その時、DMの上位種が現れる。
今まで対峙したことのない個体に、戸惑う3人。そして彼らの狙いも…エルであった。

その時、もう1人の友奈が手にしていたのは……千景から受け取った4つ目の<擬似勇者外装>だった…。

次回
第114話 復活の勇者、もう1人の結城友奈。
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