〜ひろプリ×勇者であるシリーズ〜世界の壁を超えた出会い   作:やままん

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前回のあらすじ。

世界中で起きている異変。
それをアリスから聞き、そして狙われるのはプリンセス・エル。

"世界を救う究極の力"を巡る戦いは激化を辿る。

そして今、全ての世界で猛威を奮い出したDMの上位種がここ、スカイランド王都へとその牙を向けているのを今は誰も知らない。


第114話 復活の勇者、もう1人の結城友奈。

……かつて、私はこの身を顧みずに限界を超えて戦った。

もう誰も死んでほしくない…私の目の前でたくさんの人が犠牲になっていった。これも、神様の逆鱗に触れた人類への粛清だった。

 

私達と同じく、"プリキュア"と呼ばれる戦士達が手を貸してくれた。そう、私達"勇者"は神樹様のご加護によって生み出された戦士。けど、あの子達は悪と戦う正義のヒーローみたいだった。その真っ直ぐな意思はとても強くて、そして…憧れた。

 

終末戦争末期、世界の存亡を賭けた一大作戦…「再世決戦」。

それは、この戦いを仕掛けた張本人である"天の神"との最後の戦い。

神と言っても、私達と同じような人を模した姿じゃない……とても大きくて、そして…萎縮してしまうような大きな「意志」。

 

ソラちゃん達を始めとした、プリキュア達との共同作戦…あの戦いでは誰かが犠牲になるのは覚悟を決めていた。倒れていく仲間達を顧みず、ただひたすら、誰かが"天の神"を倒せばいい。そんながむしゃらで、決死の戦い。

 

……結果、私達は"天の神"を打ち倒し、人類に勝利をもたらした。あの場に辿り着けたのは私とソラちゃんのみ。他のみんなは、道を作る為に倒れていった。

 

その勝利により、地球に平和が訪れる…かと思った。でも人類は…「誤解」した。神に打ち勝ったことにより、自分達が神にも勝る生命体なんだと思い込んでしまって…最後の戦いで力を使い果たした神樹様が枯れてしまい、私は限界を超えたせいで身体の大部分が神樹様により"造り替えられて"しまった。ソラちゃんは人の身でありながら神に逆らった罰として「祟り」を受けてしまい、私は…枯れた神樹様に変わる新たな「神」として、あの世界の守護神になった。

 

でも、一度神様になったことでわかったことがあった。"天の神"は終末戦争を仕掛けた張本人ではない…あれもまた、先兵だったんだ。

…本当の黒幕は地球…「大いなる意志」と呼ばれる星そのもの。私達が勝利した事により、その「大いなる意志」は静観を決め込んだんだ。私が新たな神として、地球を守っていくのを試したかったんだろう。

 

……でも、私は助けられた。別の世界からやってきたもう1人の自分と……自由を愛する"偽物"の勇者の男の子に。

 

そして私は……彼を想ってしまった。あの自由な性格に惹かれ、終末戦争の時に喉から手が出るほどにまで欲しかったあの自由。

 

私を人として見てくれた…何の関係も無いのに、本来なら会う事なんてなかったのに…私の「自由」を取り戻してくれた。

 

その代償もあり、私の身体の中にあった神様としての力はもう殆ど失われてしまった。その結果、勇者への適性も無くなり文字通り"ただの人"へと戻れた。でも、今だけは……あの頃の力が欲しいと思ってしまう。全ての世界で起きている私たちの本当の敵…"無の勢力"と戦う為に…そして…叶うかは分からないけど、彼とその道を歩いていきたい為に。

 

……………………………、

 

〜スカイランド・王都〜

 

友奈(if)「うっ…ここは……。」

 

ゆっくりと眉を開けて目を覚ましたもう1人の友奈。その傍には園子達が居て、目覚めた自分の顔を覗き込む。

 

園子「あ、おっはよ〜。身体、どう?。」

 

 

友奈(if)「うん…少し、怠いだけで問題ないよ。ごめんね、貴女達が助けてくれなかったら…。」

 

 

ツバサ「気にしないでください。僕達こそ、助けることができて良かったって思ってます。」

 

 

洸「あいつらに頭の中を弄られたんだろ?。」

 

 

友奈(if)「…うん。エルちゃんの所在を知る為にね?。でも…私は感じ取る事が出来てもどこにいるかまでは把握出来ない。」

 

 

ツバサ「そうだ…何で貴女はプリンセスを感じ取ることが出来るんですか?。」

 

 

園子「そりゃ、もう1人のゆーゆは元とはいえ、神様だよ?。不思議パワーなんて当たり前じゃん、チート能力盛り盛りなんだから〜?。」

 

 

洸「お前が絡むと話がややこしくなるから少しは黙ってろ。」

 

肩を持ち、座っていた椅子を回転させて背を向けさせる洸。園子はアハハ…っと、笑みを浮かべながら振り返った。

 

友奈(if)「エルちゃんの正体が何なのかは分からない。けど、あの子と私はどこか近しいところがあると思う。そして…アリスが言っていたその力を得るための「鍵」の役目を持ってる。ソラシド市で感じた空の上にある力の気配はそれなのかもしれない。」

 

 

ツバサ「プリンセスが…「鍵」…。」

 

 

友奈(if)「うん。「劇団」はそれを知っていて、そして部分的にその力を感じ取れる私をアデルは捕らえたんだ。私をその力が内包されてる遺跡とエルちゃんを探すためのレーダーとして使いたかったんだろうね…。」

 

それを聞いた洸が険しい顔をする。怒りというより…疑問に満ちた感じがして。

 

洸「…その力のせいで、俺達は振り回されて…そして今度は、DMを始めとした化け物達が全ての世界で現れ始めてること……一見、ただの偶然かもしれねェが全部が繋がりやがったら、それこそとんでもねぇ事が待ち受けてるって事だよな。」

 

 

友奈(if)「うん。でもそれが、"無の勢力"への対抗策になるなら私は手に入れた方がいいと思う。どのみち、エルちゃんへの安全を考えるなら…ね?。」

 

 

ツバサ「でも…スカイランドでの被害は甚大なのでしょうか?王都も焼かれた跡がありますし……。」

 

先日、襲撃してきたナイアルによる傷跡は未だに残っていた。勿論、ツバサ達はそれが彼の仕業と言うことは知らない。そして…それにより、リオンが死んだ事も…。

 

園子「閃いたッ!ねェ、それを確かめに行こうよ?。」

 

 

洸「どうやって?。」

 

 

園子「んふふ〜、それはね〜…この国の1番偉い人に聞くんだよ。」

 

窓の外に見える、スカイランド城に目を向ける園子。

 

………………………………。

 

国王「…まさか、君達がここにきてくれるとは…ツバサ君。そして…ようこそ、はじめまして。勇者の諸君。」

 

ツバサの存在もあってからか、謁見は割とスムーズに実現できた。園子の思いつきとはいえ、突然の訪問にツバサは頭を深々と下げる。

 

ツバサ「突然の訪問、申し訳ございません。王都が大変な時に…。」

 

 

国王「いやいや、頭を上げて欲しいツバサ君。私達は君たちのおかげでこうして元気でやっている。感謝してもしきれないくらいだ…プリンセスの事もある。」

 

 

ツバサ「ありがとうございます。その…王様。王都で一体何が?それに…スカイランドで今、起きていることは…。」

 

それを聞いた国王は少し苦い顔をする。まず、話したのは先日のこと…「劇団」のナイアルが襲撃し、街を焼き払ったこと。そして…リオンが死んだこと。それを聞いた4人は勿論、驚く。リオンには恩があった…勇者世界における防人達を保護していたのは彼だ。ソラシド市に向かわせたのも彼…それが、ナイアルの凶刃によって命を奪われた。葬儀は先日行われ、ソラシド市に残るシャララと防人達も参加したと言う。だが、国王は風達のことは知らない。その事だけは語られなかった。

 

そして、次はスカイランドで起きた異変。

突然空が割れ、見た事もない怪物達が各浮島に出現。時間と共に自然消滅したらしいが、5つの浮島が壊滅的な被害にあったと言う。初めはアンダーグ帝国の仕業と思っていたが、国王はその違和感に気付いていた。以前にも辺境の地で現れていたらしいが、それでも今回のようなケースは初めてだと言う。

 

…やはり、DMが世界中に現れている話は本当らしい。そして最後に、洸が尋ねようとした。それは……"世界を救う究極の力"の事。そして…それを手に入れるための「鍵」であるエルが狙われている事。

 

しかしその時、空がいきなり暗くなった。

 

国王「なっ…これは一体…!?。」

 

 

友奈(if)「…来るッ!。ツバサさん、王様達を安全な場所にッ!!。この感覚は…DMがやってくるッ!!。」

 

もう1人の友奈が声を上げた途端、城の天井が崩れて一体のDMが降り立った。

 

DMは基本的に自然界に住まう昆虫や動物の姿を模している。だが、やって来たその個体は見たことがない…背中に翼を生やした天使型…TYPE-ANGEL(エンジェル)。

 

そしてその個体は…"喋った"。

 

DM-ANGEL「空の国の主よ、「運命の子」を差し出せ。」

 

 

洸「なっ…言葉を話した…ッ!?。」

 

 

国王「運命の子…プリンセスの事かッ!?。」

 

 

DM-ANGEL「二度は言わない、早急に差し出せ。さもなくば…この世界を滅ぼす。」

 

DM-ANGELが指を鳴らすと、さらにヒビが入り、その内部には無数のDMが巣食っていた。

 

ツバサ「なっ……!?。」

 

 

国王「…ここにプリンセスはいない。例え居たとしても…我が娘をお前達のような得体の知れない者に差し出すはずがないッッ!!。

 

恐れず、啖呵を切った国王。DM-ANGELはその答えがわかっていたのか、空の上にいる無数のDMを呼び出そうとする。だが……。

 

洸「よく言ったぜ王様ッ!そうさ、こんな野郎どもにエルは渡さねェッ!!。行くぞッ!園子、ツバサッ!。王様を守り、王都をコイツらの好きにさせねぇッ!!。」

 

洸の号令にコクリと頷いた2人。それぞれが変身し、DM-ANGELと対峙する。

 

DM-ANGEL「他の同胞から情報は共有されている。我々は上位種…滅ぶべき定めを持つ者達よ、"無"に身を委ねるがいい。」

 

手のひらから消滅のエネルギーを放つDM-ANGEL。国王を抱えながら3人は横に飛んで回避。直撃を受けた玉座が文字通り"消滅"した。

 

スレイヤー「なんだこの力!?。触れたら終わりかよ…ッ!!。」

 

 

DM-ANGEL「諦めよ。貴様達、小さき者は我々には敵わない。生物として、序列が決められているように…人類が我々"無の勢力"に太刀打ちなど出来るはずもない。」

 

 

園子「それはちょっと…決めつけすぎじゃないかな……ッ!!。」

 

手にした槍の猛攻を放つ園子。だが、DM-ANGELはダメージを受けながらも受けた箇所が再生していく。

 

園子「え…嘘ッ…!?。」

 

 

DM-ANGEL「愚かな…言ったであろう。生物として敵うことが出来ない…と。」

 

手を開き、消滅のエネルギーを溜め込む。その矛先は園子。

 

スレイヤー「園子ォオオオオッッ!!。」

 

地面を踏み込んで園子を抱えるスレイヤー。間一髪、すんでで回避したが園子がいた床が抉り取られた。

 

園子「あ…ありがとう洸…。」

 

 

スレイヤー「気にすんな!。クソ、全員で囲んで突撃だッ!再生出来ね

ェくらいに叩き潰せば…ッ!!。」

 

一気に飛びかかる3人。しかし、それを嘲り笑うようにDM-ANGELが身体全体からエネルギーを放出。それは消滅のエネルギーではないが直撃を受けた為、勢いよく吹き飛ばされては壁に叩きつけられた。

 

国王「な…なんたることか…プリキュアと勇者がこうも…!。」

 

 

ウイング「うぅ…ッ…なんだこの力は…敵わない……。」

 

 

DM-ANGEL「抵抗するだけ無駄だ、安らかに死を受け入れろ。さすれば、苦しまずに済む。さぁ、空の国の主。運命の子を差し出せ、次は無い。」

 

ゆっくりと、国王に歩み寄るDM-ANGEL。だが、その前にもう1人の友奈が立ち塞がった。

 

園子「ゆー…ゆッ…ダメだよ…待ってて…今そっちに……ッ!!。」

 

 

友奈(if)「それでも…私は退かない。」

 

両腕を広げて強い意志を示すもう1人の友奈。神の力を失い、そして勇者の力さえもない今の彼女では無謀だ。そして何より…他の誰よりも辛い経験をした彼女がもう戦う必要はない。3人はその思いが1番強かった。でも…それでも、彼女は退かない。そしてそこには…「結城友奈」としての芯の強さがわかる気迫を放っていた。

 

友奈(if)「どの世界でも「結城友奈」と言う存在はみんなおんなじなんだと思う……誰かが傷付くのが1番辛くて、そして…世界が大好きだってこと。例え、力がなくったって…私は…"勇者"なんだから。」

 

手にしていたのは烈火達と同じ<擬似勇者外装>がインストールされた端末。そう…最後の4つ目の<擬似勇者外装>を秘密裏に千景から受け取っていたのだ。

 

迷わずに紋章をタップ。吹き荒れる桜の花びら…その姿を変えていく。

 

かつての勇者装束に近いが、どこか近代的な装備をあしらっていた。そして、左肩にはかつて共に死地を乗り越えた友達…もう1人のソラが変身したキュアスカイのマントをつけていて。その瞳もまた、片目がもう1人のソラと同じ蒼い瞳に変わっていた。

 

スレイヤー「…もう1人の友奈が…擬似勇者に…!?。」

 

 

ウイング「それだけじゃない…まるで、もう1人のソラさんがついているような……。」

 

 

友奈(if)「…やっぱり、そっか…うん、みんなを守り、世界を守る為にもう一度一緒に戦ってくれるよね…"ソラちゃん"。」

 

拳を握り締めると、一気に力を放出。

かつて、可能性世界を救った伝説の勇者が今がここに……。

 

"復活"した。

 

…………………end。




みんなを守りたい。

そう願うもう1人の友奈は再び戦うことを決意。
一度、神となりそして人に戻った彼女。

かつて、世界を救うために肩を並べた戦友の思いと共に"今"を作ってくれた仲間達のためにその拳を振るう…。

次回
第115話 百花繚乱。
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