〜ひろプリ×勇者であるシリーズ〜世界の壁を超えた出会い   作:やままん

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前回のあらすじ。


ソラシド市に現れた「劇団」メンバーと対峙する一同。


その戦闘力に各々が苦戦を強いられ、激闘を繰り広げていた。


そして、アデルと対峙するキュアスカイ。

アデルの目的とは…そして、キュアスカイに「仕掛けたあるもの」とは…?。


第9話 激闘、小さな光達VS「劇団」・後編。

 

〜スカイside〜

 

 

スカイ「はぁあああッッ!!。」

 

 

ただ1人、得体の知れないアデルに挑むスカイ。

肉弾戦の連打を繰り出していくが、アデルは笑いながら避けていくのみ。

 

たまに、投げナイフによる攻撃を仕掛ける程度で、まるで手の内を見せない。

 

わざと避けやすくしているのか、スカイはアデルの動作に不信感を抱きながらも、攻撃の手を緩めない。

 

 

スカイ「一体、何のつもりなんですかッ!?。」

 

 

アデル「すみませんねェ?。私、痛いのが嫌いなものでして。ほら、貴女のパワーで殴られたらタダでは済みませんので!。」

 

 

まるで、小馬鹿にしたかのような言動。

 

挑発に乗ってはいけない、相手のペースに飲み込まれるな。狙いは何だ?。

 

 

スカイは、そんな自問自答を脳内で繰り返しながらアデルの真意を探る。

 

 

しかし、考えすぎたのか投げナイフの一本が、スカイの左肩を掠めていく。

 

 

スカイ「くっ…!!?。」

 

 

アデル「ククク、戦闘において無用な考えは無駄な傷を増やすだけですよ?。にしても、やはり貴女はいい。」

 

 

スカイ「何の…話ですか…!?。」

 

 

アデル「その正義感ですよ。心は、正義感に満ちている。我々のような得体の知れない集団が、何を企んでいるのか…それを知りたいのと同時に、良くないことと捉えて止めたいとも思っている。」

 

 

スカイ「当たり前ですッ!。園子さんを巻き込んでこっちの世界に連れてきてッ!。そして、いつも私達を見ているかのように仕掛けてくるッ!。洸さんから全てを聞きました!。貴方達は、自分たちの「シナリオ」を進めるためには犠牲も平気で生み出すとッ!。そんなの、許せるはずがありませんッ!。」

 

 

スカイは渾身の一撃を繰り出すも、アデルはまるで風に靡く布のように簡単に避けていく。

 

 

しかし、反撃はしてこない。

自分で思うのもなんだが、隙はかなりあったはず。

それなのに、アデルは避けるだけで何も仕掛けてこない。

 

 

その薄気味悪さに、スカイは一種の恐怖を抱く。

しかし、己の心に漲る正義感がその不安を上塗りにしてくれる。

 

 

そんな思いを抱きながら、スカイはアデルに挑む。

 

それが、アデルの思惑通りに動かされてるとも知らずに。

 

 

アデル「我々は世界にとっての「エンターテイナー」です。より多くの皆様に、演目を楽しんでいただく…それの何が悪いのです?。」

 

 

スカイ「何が悪いって!?。そんなのッッ!!。」

 

 

左の拳を突きつけるスカイ。

アデルは右手を差し出してはそれを受け止める。

 

 

アデル「貴女…正義感とは何なのかわかっていますか?。ククク…一見すれば、大義名分と筋の通った行動と心意気なのでしょう。しかし、片方から見ればそれがただの「エゴ」にもなりうる。そう、正義感とは己の信念を正当化させるための「エゴ」にしか過ぎない。」

 

 

スカイはその言葉を聞いて、心が揺らぐ。

しかし、それがアデルの手の内だと思い効かせて聞かないフリをする。

 

 

次第に、スカイの精神にダメージが蓄積されていく。

 

そう、それこそアデルの狙いだった。

 

正義感で動くスカイの心は強く見えても実は、ガラスのように脆い。

 

 

その一面を見抜かれ、利用されているのだ。

 

 

アデル「そして、何です?。その拳で、認められない我々の行動を止めるとでも?。正義感は、暴力で物を言わすのが一般的なのですかな?。」

 

 

スカイ「そんなこと…ないッッ!。」

 

 

キックで弾き飛ばそうとするが、アデルは簡単に避ける。

 

 

アデル「貴女は素晴らしい女性ですよ?。とても、綺麗な心をお持ちで。でもねェ…その、綺麗な心の裏面はとても暗い…貴女はその裏面を見ようともしていない。本当の貴女は、臆病で…憧れだけで動いている。」

 

 

スカイ「や…やめて…私の心を…覗かないで…ッッ!!。」

 

 

アデル「自分の心の弱さにも向き合わず、ただ憧れの人の背中を追っている。その人の信じる正義が、自分の正義だと錯覚して本質を見据えていない。そんなので、誰が守れますか?。ほら…。」

 

 

アデルの指差す方向。

そこには、「劇団」メンバーによって仲間が血に沈む光景。

 

もちろん、これは幻覚だ。

 

実際には、一進一退の攻防を繰り広げている。

 

しかし、今のスカイの精神状態からでは、十分に効果がある。

 

 

何せ、その心は……「仕込まれた種」によって蝕まれ始めているのだから。

 

 

スカイ「ああ…あああああ…ッッ…!?。」

 

 

へたり込むスカイの身体から、黒いモヤが溢れ出す。

 

 

それを見たアデルは、ニヤリと仮面の下で笑みを浮かべる。

 

 

アデル「受け入れなさい、心の闇を。そうすれば楽になれる、もう無駄な正義感に縛られる事なく本当の自分として振る舞うことが出来ます。」

 

 

絶望に打ちひしがれるスカイの瞳から光が無くなり、闇に溶け込んでいく。

 

 

アデル(もう少しです…さぁ、このまま闇に…。)

 

 

「させるかよォオオオオッッ!!。」

 

 

アデル「!!?。」

 

 

一直線に伸びてきた炎が、アデルの眼前に迫る。

 

 

予想だにしていなかった攻撃に、思わず避けるアデル。

 

 

そこに現れたのは、キュアアグニ。

ボロボロの身体のまま、拳に炎を宿して急接近する。

 

 

アデル「なっ…貴方はシャロが足止めを…ッッ!。」

 

 

アグニ「…プリズムの計らいで、あいつを振り撒いたさ。だけど、時間はかけられねェ、いくらあいつでもあの人形使いを相手するには骨が折れるだろうからな。おい、しっかりしやがれソラッッ!。」

 

 

力無く、座り込むスカイの両肩を強く握って呼びかける。

 

 

アグニ「あの野郎に何を吹き込まれたか知らねェけどなッッ!。一回の絶望くらいで、折れるほどお前の正義感は脆かったかッ!?。」

 

 

スカイ「…鷹夜…さん…。」

 

 

アグニ「しっかり立ちやがれッ!。惑わされんなッ!お前の正義は自分の正義だ!!。前に話してくれたその隊長の人の正義じゃねぇ!。紛れもなく、お前の信じる正義なんだよッ!!。」

 

 

必死に呼びかけるアグニ。

 

彼は知っていた。ソラの語る正義が。

 

正直、そういったことに興味なんてまるでなかった。

でもなぜだろうか、それを話している時のソラは…とても、楽しそうだった。

 

そして、嬉しそうでもあった。

本当に、ヒーローに憧れてんだな。

 

そう感じていた鷹夜は、いつしかソラの夢を応援していた。

 

だからだろう、それを利用されて絶望に打ちひしがれるスカイを見て励ましたくなったのは。

そして、それと同時にそんなスカイの心を汚すような言動を投げかけるアデルに激しい怒りを覚える。

 

 

その怒りが炎へと変わり、火力がさらに増す。

 

 

アグニ「覚悟しやがれよテメェ!!。スカイの心を踏み躙りやがってッッ!。」

 

 

アデル「やはり。貴方は「イレギュラー」だ。「演目」には染まりませんか…。」

 

 

アグニ「そんなにやりたきゃ自分たちでやってろ!!。他人を巻き込んでんじゃねェよッ!。」

 

 

地面を蹴って、飛び出すアグニ。

 

 

赤い炎から、オレンジ色の炎に変わり、拳を限界まで固めてアデルに殴りかかる。

 

軌道を読まれてるのか、その攻撃を簡単に避けるアデル。

しかし、振るわれた拳から飛び散る炎がアデルの服に着火する。

 

 

そして、その炎がアグニの拳に纏った炎を導くかのように繋がり、一撃が入る。

 

 

仰け反るアデル。しかし、寸前で後ろに飛んだため大きなダメージは入っていなかった。

 

 

アデル(なるほど…怒りが力に変わり、そして火力の向上にも繋がる能力ですか…闘志が増せば増すほど、力が湧いてくる…ふむ、私のようなタイプとは相性が最悪ですね…。)

 

 

アグニ「クソ、ちょこまかと!!。」

 

 

スカイ「ごめんなさい、アグニ。私…。」

 

 

アグニ「その正義が否定されても、突き進めよ。立ち止まるな、ヒーローガール。俺はお前の信じる正義を一緒に信じるぜ!!。」

 

 

その言葉に、スカイの瞳に光が戻る。

すると、身体を覆っていた黒いモヤが消散していく。

 

 

その光景を見て、アデルは珍しく仮面の下で感情が露わとなった。

 

 

アデル「やってくれましたね…「闇の種」が芽吹く前に消えてしまうとは…!。」

 

 

スカイ「…私の身体に何か、仕掛けてましたか…危うく、貴方の思惑通りになってしまうところでした。まだまだ、修行が足りませんね…私。」

 

 

立ち上がったスカイは、拳を握りしめる。

 

 

スカイ「情けないところをお見せしました、ここからです!。」

 

 

アグニ「へ…そうかい!!。」

 

 

2人は、肩を並べて互いに構えを取る。そして…。

 

 

「「ヒーローの出番ですッ!。(だぜッ!)。」」

 

 

アデル「もういいでしょう、失敗に終わった今、貴女は「落選」です!。一思いに殺して差し上げましょう!!。」

 

 

初戦とは打って変わって攻撃的になるアデル。

 

指を鳴らすと、無数のナイフが漂っていて、その全てが2人に向かって降り注ぐ。

 

 

しかし、戦意が高揚状態となっている2人の集中力は研ぎ澄まされており、その軌道を読んでいるかの如くギリギリで躱していく。

 

 

スカイ「形成逆転です、アデル!!。直線的すぎる!!。」

 

 

軽い身のこなしで懐を取ったスカイ。

肘鉄が炸裂し、アデルは吹き飛ばされる。

 

そこに、間髪入れずにアグニが飛び出してきて。

 

 

アグニ「この外道が!。反省しやがれッ!。」

 

 

顔面に向けて拳を打ち放つ。

 

 

だが、「劇団」の№Ⅰであるアデルはその肩書に負けないほどの超反応を見せ、打ち抜かれるはずの攻撃をいなして見せた。

 

 

アデル「危ないですねェ!?。当たれば事故ですよあんなもの!!。」

 

 

避けたついでにアグニの右腕をナイフで切り裂いていたアデル。

 

 

横一閃に切り裂かれ、アグニは痛みに顔を歪める。

しかし、闘志は衰えておらずすぐに反撃に入る。

 

 

アグニ「1発避けられてもなぁ!!。」

 

 

アデル(これは…!!。)

 

 

アグニ「2発目で当てればいいだけの話だろうがッ!。」

 

 

遂に捉えた懐。

直撃を受けたアデルはその威力からか、衝撃が炎となって背中から噴き出る。

 

 

アデル(これは…痛恨でしたかッ!。)

 

 

競技場の観客席に突っ込むアデル。

その余波で、席はバラバラに吹き飛んだ。

 

 

アグニ「どうだこの野郎!!。」

 

 

アデル「…………。」

 

 

無言で、身体を起こすアデル。

確かにダメージは入った。しかし、沈まなかったことに長期戦を覚悟する2人。

 

 

その時、アデルの雰囲気が変わる。

 

 

アデル「…仕方ありません、少し真面目になりますか…。」

 

 

明らかに変わった雰囲気に、息を飲む2人。

 

 

その時、ウイングの叫び声があたりに鳴り響く。

 

 

ウイング「プリズム!!!。」

 

 

声に反応し、その方向を見る2人。

 

 

そこに飛び込んできたのは…。

 

 

プリズム「ぁ……。」

 

 

ナイアル「フン、シャロ。言ったはずだぞ、敵はすぐに斬り伏せろと。」

 

 

手に持つ刀。

その白刃は真っ赤に染まり、プリズムは力無く倒れる。

 

斜め一閃に切り裂かれた所は赤く染まり、純白の衣装は瞬く間に血に染まっていく。

 

 

スカイ「そんな…ましろさん…!!。」

 

 

ナイアル「各位は撤退だ。アデル、失敗したようだな?。「本気」を出してもらっては困る。そんな展開、僕の「演出」には入っていないぞ。」

 

 

アデル「これは失礼…さぁ、帰りますよ皆さん。」

 

 

ギガス「ちっ…。」

 

ギガスは園子の策にハマったのか、槍の刃が数本身体に突き刺さっていた。

反撃を受けたのか、園子は気を失い、スレイヤーに抱えられている。

 

 

アリス「またね?。飛べない鳥と蝶のお二人?。」

 

 

シャロは、無言で沈んだプリズムを見る。そして…。

 

 

シャロ「……ごめんなさい。」

 

 

一言だけ、そう告げると「劇団」メンバーはその場から去っていく。

 

 

とめどなく、広がるプリズムの鮮血。

 

 

その場には、絶望の声が響いた……。

 

 

……………end。

 




「劇団」との戦い。

ソラに仕込まれた「闇の種」は芽吹くことなく、彼女はもう一度自分の信念を取り戻し、見事闇に打ち勝った。

しかし、その代償がとても大き過ぎた。

ナイアルによって、生死の狭間を彷徨うことになるましろ。
彼女の運命は……。

その一方で、園子の居た世界「四国」でもまた、新たな「光」がその芽を出そうとしていた。

次回
<勇者世界編>
第10話 常に前進、希望の「ガーベラ」。
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