〜ひろプリ×勇者であるシリーズ〜世界の壁を超えた出会い   作:やままん

120 / 146
前回のあらすじ。

樹の想いは"無"に侵食され、DMと同じく「本能行動」に書き換えられていた。

蒼葉は必死に止めるも、彼女はそれを聞き入れずに去ってしまう。そして、東郷を敵視し彼女もまた、複雑な思いを抱く。

そして翌日…強大な"無"の侵攻に対抗すべくエルは一大決心する。


第117話 古代遺跡へ、エルの決意。

翌朝……。

 

昨晩に起こった出来事を一同に話す東郷。まず、樹が自分達の目の前に現れた事、そして"無"の力によって自我がおかしくなってきている事。

 

誰にも心配かけたくないのか、東郷は樹に命を狙われていることは言わなかった。そして、樹が抱く蒼葉への想いも。

 

鷹夜「……時間はあまりかけてらんねェな。樹が完全にアデルのようになっちまう前にあいつを連れ戻さねェと。」

 

話の場に蒼葉がいない事に彼への心配が募ったのか、何名かは彼の元に向かいながら話し込む。

 

そして、蒼葉のいる部屋の前に来たメンバーは部屋をノックする。

 

烈火「おーい蒼葉、生きてっか?。」

 

 

友奈「ちょっと烈火君ッ!?。」

 

 

蒼葉「お前達か、どうした?。」

 

椅子に座り、コーヒーを飲みながら蒼葉は本を読んでいた。

いつもと変わらないその感じなのに、思わず無言となってしまう。

 

蒼葉「ああ、この本か?。面白いんだ、もうずっと読んでいる。」

 

「スカイランド式世渡り術」。

 

そう書かれた題名の本を見せる蒼葉。昨日のこともあり、少しばかり気を使ってしまう。…ただ1人、烈火を除いては。

 

烈火「なーんだお前、またしょうもねェ本を読んでんのか?。」

 

 

蒼葉「む…それは聞き捨てならないな?お前には理解は出来んだろう、アホにはな。」

 

 

烈火「んだとッ!?またアホって言ったなッ!?。」

 

 

ましろ「えっと…蒼葉君だっけ?。その…大丈夫なの…?。」

 

 

蒼葉「何がだ?。」

 

 

東郷「昨日の話よ。悪いけど、話させて貰ったわ。流石にあの状態の樹ちゃんを見てみんなに知らせない訳にはいかないと思って。」

 

東郷からそれを聞くと、蒼葉はパタンと本を閉じた。

 

蒼葉「それに関しては問題無い。俺の心の整理はとうについている。」

 

 

鷹夜「本当かよお前、無理してねェだろうな?。」

 

 

蒼葉「本当だ。確かに、犬吠埼を連れ戻せなかったのは悔しかったさ。だが…悲観ばかりしていても何も始まらない。前に進む為には割り切らないといけないんだ。」

 

 

ソラ「割り切るって……。」

 

 

蒼葉「俺は…自分を偽り続けていた。誰に対しても、心の内を誰にも明かさなかった。そこに敏感だったのが東郷だったけどな、余程俺のことが嫌いらしい。」

 

 

東郷「貴方またそんなことを…ッ!!。」

 

 

蒼葉「冗談だ、だが俺はあいつを連れ戻す事は本心だ。世界を救うよりも、まずはそこ…俺は…心のままに生きる事にした。」

 

まっすぐな目で蒼葉は全員を見る。それは紛れもなく、本物の意思だった。

 

烈火「よし、ならそれでいいッ!お前は樹を連れて帰る事に専念しろ、そこを邪魔するものは全部ぶっ飛ばしてやるッ!。」

 

 

友奈「うん…そうすればきっと、風先輩も戻ってくれるよね…?。」

 

 

烈火「おう、絶対にな。」

 

 

蒼葉「…ああ、気持ちに左右されるな。そこに発生する懸念は全て排除すればいい。俺はそう割り切る事にした、お前達の…お陰だ。」

 

………………………………。

 

スカイランド城の一室。

エルはキュアマジェスティに変身し、千景とあげは、そしてもう1人の友奈とツバサ達の前であることを言い出した。

 

それは、夏凛達が発見したあの古代遺跡に行きたいと。

 

エルを取り巻く、これまでの出来事を合わせるとその遺跡で全ての線が繋がる事になる。無論、そこに伴うリスクも多大なものだろう。しかし、それでも彼女はそこに行きたいと言う。

 

マジェスティ「我儘言ってごめんなさい、でも私は…そこに行かなくちゃいけないの。」

 

 

千景「…気持ちはわかるけど、貴女は自分の立場を理解しているの?。「劇団」のみならず、その"無の勢力"とやらまで貴女の身を狙ってるのよ?。」

 

 

ツバサ「いつもなら、プリンセスの意見を尊重したいですけど…流石に今回ばかりは簡単には頷けませんよ。だってそこには…何かもわからない力である"世界を救う究極の力"というものがあるのでしょう?。それを解けるのがプリンセスだとしても、そのあとがどうなるかわからない以上、わかりましただなんて言えませんよ。」

 

 

あげは「でも聞かせてくれないかな、何故そんなに急ぐのかを。」

 

反対する中、あげはは急ぐ理由を聞きたかった。変身してまでそう訴えかけてくるのだ、我儘ではなくそれは使命感を感じていたから。

 

全ての鍵は揃っている状態…後はその宝箱を開けるだけだ。しかし、それがパンドラの箱の可能性だってある。得体の知れないその力にエルを危険な目に遭わせる訳にはいかない。

 

そう思って。

 

マジェスティ「…世界はもう…彼らの毒牙に侵されている。急がないといけない。このままだと、一つずつ世界が壊されていく……。」

 

その時、どこからかミラーパッドが飛んできては一つの映像が浮かび上がる。

 

それは、可能性世界と勇者世界、そしてプリキュア世界…その3つの世界が星の形となった映像…その周りに広がるのは地獄とも言える業火と闇に包まれた空間。それが、3つの世界を取り囲むように徐々に侵攻していく様子。

 

それこそが"無の勢力“。無限とも言えるその映像がやがて進むと、全ての世界を包み込んでは同化させてしまう。

 

そしてそれは今も進んでいると言う…しかも、驚異的な速度で。

 

エルはスカイランドにやってきてからその警笛を聞いたのだ。そしてそれを教えたのが…エルを「運命の子」として教えたあの一番星…それが何なのかは分からないが、エルは今全ての世界で起きようとしている事を知ってしまったのだ。

 

そしてその対抗策が“世界を救う究極の力“…それこそが、蒼葉が文献で見た「マジェスティクルニクルン」と呼ばれる本。

 

そして、マジェスティクルニクルンが納められているあの古代遺跡の扉を開けられるのがエルのみ。全ての世界でこれから起ころうとしている事を知るエルはそれを手に入れる為に向かいたいと言う。

 

それを聞いたもう1人の友奈は、言葉を口にする。

 

友奈(if)「…私も…その力は早急に手に入れたほうがいいと思う。」

 

 

ツバサ「友奈さんまで……。」

 

 

友奈(if)「前にも言ったと思うけど、私とエルちゃんは似たような存在同士。エルちゃんのように感じ取る事は出来ないけど、言葉を話すDMが現れ始めてると言う事はこれまでに無い事例…だとすれば、それは私達にとって危機への警告なんだよ。」

 

 

千景「言葉を話すDM…確か、上位種と言っていたわ。」

 

 

友奈(if)「うん…初めてDMが姿を現したのが私達の世界…そしてそれは当初、フレアさんが統べていた「次元世界」の怪物とばかり考えられていた。でも、その世界も彼らによって侵攻されてこっち側に来たんだと思う。あの時は上位種なんて存在はいなかった…沈静化したんじゃなくて、一部のDMは進化を選んだんだと思う。だから何年もの間、姿を現さなかった。きっと…私達の存在を知ったからだと思う。」

 

 

あげは「じゃあ、その上位種が現れて侵攻速度が上がってると言う事は…。」

 

 

千景「その時が来た…と言うわけね。」

 

 

マジェスティ「うん…だから、あの遺跡に行ってその力を手に入れてくる。そうすれば、「劇団」がスカイランドに手を出すことも無くなるし…"無の勢力"に対しての希望を得ることが出来る。だからお願い、あの遺跡に向かわせて欲しいの。」

 

エルの並ならぬその眼差し。反対していたツバサは折れて。

 

ツバサ「わかりました。なら、僕たちも行きます。きっとはそれは、プリキュアの力を必要としているかも知れません。ソラさん達にも協力を仰ぎます!!。」

 

 

マジェスティ「うん…ありがとう…!。」

 

……………………………。

 

エルの決意を全員に告げたツバサ。もちろん、満場一致。そもそも、今回のこの事件も全てはあの遺跡から始まっていた事…そこに終止符をつける意味でも向かうべきだと、納得したのだ。

 

だが、流石に全員で行く訳には行かない。そこで、選出メンバーを決めた。

 

鷹夜、ソラ、ましろ、ツバサ、あげは、エル。そしてその遺跡の入り口を守る為に夏凛、芽吹、東郷、蒼葉が向かう事にした。 

 

残りは王都の防衛。恐らく、DMや「劇団」がその動きを察知してくる事だろう…そして何より、リオンが死んだ原因であるナイアルの一件もある。襲撃を予測して残りのメンバーがそれを担う事にした。

 

鷹夜「珍しく付いてくるって言わねェんだな烈火?。」

 

 

烈火「まぁな。お宝探しはお前らに任せるよ。どのみち、片目が見えてねェんじゃ、その遺跡の探索でも役に立たねェだろ。俺は寄ってくる敵を片っ端からぶっ潰す役目に回るさ。」

 

 

ましろ「…わかった、王都を頼むよ?。」

 

 

友奈「うん、任せて?。」

 

 

園子「わっしーにアオ、もしかしたらイッつんがそっちに来るかもしれない…気をつけてね?。」

 

 

東郷「そっちもね?。」

 

 

蒼葉「よし、では向かうとしよう!。」

 

遺跡に向かった一同を見送る友奈達。

…世界の存続を賭けた力がそこにある…そしてそれは、今敵対している者達がこぞって気にかけている力。

 

それを手にした時、流れが変わってくる。そしてそれは自分たちにとって更なる戦いの始まりを意味するのかもしれない。だけど……。

 

烈火「いやぁ、どのみち俺は強敵に当たっちまうからな…ここにもやべェのが来そうだな。」

 

 

洸「おい、不謹慎な事を言うなよなお前ッ?。」

 

 

烈火「だけどそっちの方がいい。考えるよりも出来る事があるとすりゃそれしかねェからな。」

 

自ら戦いに身を投じて行こうとする烈火。

そして友奈は最近、こう思う。

 

…烈火は……戦うことが楽しくなってるのかも知れない…っと。

 

そしてそれは、自分の命を擦り減らす事に繋がる。

きっと、たった1人でも戦う気だ…友奈はそんな烈火をずっと気にしていた。

 

友奈(守るよ烈火君…私を守ってくれたように、今度は私が烈火君を…守るんだ。)

 

…………。

 

〜古代遺跡〜

 

湖の中心に浮上したあの古代遺跡。そこにもう一度戻ってきた。

 

そして鷹夜はここで宿敵・アデルを倒した。

運命が変わっていくこの場所に今度は世界に関わる力を手に入れに来た。

 

他の誰かが来る前に…そう思ってはいたが既に「先客」がそこにいた。

 

その人物を見た芽吹は血相を変えて銃剣を握り締める手がより一層、強くなった。

 

それは……。

 

蓮「遅かったじゃないか。へぇ…どうやら、全てのピースを揃えてここに来てくれたんだな?。」

 

入り口前に座り込んでいた蓮。今は「劇団」の<殺陣>の異名を持つ団員だ。

 

アグニ「テメェ…「海祇機関」の…ッ!!。」

 

 

芽吹「違うッ!!。コイツは「劇団」に寝返った団員よッ!!。」

 

 

プリズム「……貴方…まだ……ッ!!。」

 

 

蓮「これはこれは<破滅の姫君>様…どうやら、自分を取り戻してあるべき場所に帰ったって感じだな?。すっかり、敵対面かい?。」

 

 

スカイ「アデルは鷹夜さんが倒しましたッ!!。残された貴方達も"無の勢力“に加担する意味はないでしょうッ!?。」

 

 

蓮「俺にとってはどうでもいいんだよな、そんな事。争いの世になるなら何でもいい。退屈しない世界だってことだろう?。俺が「劇団」に入ったのもそう…千景さんの敗北を悟ったから。あの組織に居ても結局は大赦の権力には勝てないと悟ってね…そんな時、アデルの旦那に声をかけられたのさ。そしてキュアアグニ…お前に負かされてから俺は思い出したよ…更なる高みに昇るあの情熱を。感謝するよ、おかげで今は…最強の一角を手にした気分だ。」

 

<量産型擬似勇者外装>を纏った蓮。手にする刀からは闘気が満ち溢れていた。

 

アグニ「野郎…邪魔する気か…ッ!!。」

 

臨戦体制を取るアグニを制したのは…芽吹だった。

 

芽吹「鷹夜。コイツは私に任せて欲しい。」

 

 

蓮「誰かと思えば俺に二度も敗北した楠芽吹じゃないか…刎ねた腕もちゃんとくっついてる…そこまでしてリベンジマッチしたいのか?。はぁ…俺は雑魚には興味はないんだけどな…。」

 

 

芽吹「…そうね、二度も負けたのは私の落ち度よ。けど…お前のような人間を野放しには出来ないッ!!。私はまだ、生きているッ!!。」

 

 

夏凛「私も加勢を……ッ!!。」

 

 

芽吹「いいえ、ここは私にやらせて欲しいの…お願い、我儘なのは承知だけど…貴女の力を借りて勝っても私は前に進めない。コイツのせいで防人達は窮地に立たされた…隊長である私が倒さなくちゃいけないのッ!!。「私の中の「海祇事変」」はまだ…終わってないッ!!。」

 

二挺の銃剣を手にする芽吹。その闘志は凄まじく、完全に私闘だった。

 

それでも、芽吹の時間はまだ止まったまま…針を進める為にもこの男に勝たなければいけない。

 

武人肌である彼女はこの戦いに全てを投じる気持ちでぶつかろうとしていた。そしてそれを1番良く知る夏凛は芽吹の決意を無駄にしない為に。

 

夏凛「わかったわ、ここは任せる。行くわよみんな、コイツがここにいるということは「劇団」に情報が出回ってるはずッ!!。」

 

夏凛の言葉と同時に銃声が響く。芽吹が先手を放って入り口から蓮を引き離す。そしてそれと同時にマジェスティが遺跡に手を触れた途端に重い岩の扉が開く音が響いては地下に続く階段が現れた。

 

蓮「そういう仕組みか…こりゃ、分からない訳だ。」

 

先を進む一同。蓮は降りていく一同に不適な笑みを浮かべたまま芽吹を見る。

 

蓮「往生際が悪いな…次は何処を潰されたい?。お前の叫び声もなかなかだったが…果たして俺の相手になるのかな?。」

 

 

芽吹「黙れッ!!。私はお前を倒して先に進むッ!車輪の下敷きにならないようにッ!!。」

 

地面を蹴って飛び出した芽吹。この後、宿敵との激闘を繰り広げる…。

 

 

…………………………end。




世界を守る為に古代遺跡に向かったエル達。

そこには「劇団」の団員となった蓮が立ち塞がる。

2度の敗北を突きつけられた芽吹はこの敵を超えるために折れずに立ち向かう。

だが、蓮の実力は以前とは比べ物にならないほどにまで強くなっており、実力差から芽吹は追い詰められていく。

だが、それでも折れない。

そう…彼女はこの戦いに対する意味…“超える事"への執念があったから。

次回
第118話 車輪の下敷きにならないように。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。