〜ひろプリ×勇者であるシリーズ〜世界の壁を超えた出会い 作:やままん
試練を突破し、“世界を救う究極の力"こと「マジェスティクルニクルン」を手にに入れたソラ達。
だが、そのタイミングを見計らっていたかのように“無の軍勢"であるシン・バーテックスが王都に押し寄せていた。
対抗できるのは勇者達のみ…その事実を知ったソラ達は急いで王都へと向かう。
〜スカイランド王都〜
真っ赤に染まった空に浮かぶ無数の黒点。
それらは全て「怨嗟の星屑」であって、今までに見たことのない大攻勢となっていた。
その中にはこれまで倒してきたシン・バーテックスの復活個体が幾多か確認される。
王都は国民達の阿鼻叫喚がこだまし、青の護衛隊は国民の避難を最優先とする。
そして、それらに立ち向かうのはマジェスティクルニクルンの獲得に向かったメンバーと別行動を取る勇者達。
烈火と友奈、千景、園子と洸の5人のみだった。
もう1人の友奈は先日の戦いの後、その身体に相当な負荷が掛かってしまいしばらく変身出来ないという。
一度は神の身となり、そして人に戻った彼女は普通の人とは違って身体の作りが特殊だ。
故に、偽物とはいえその力を行使すればその分の反動が来てしまう。ただ、彼女は逃げずに有事に備えて城の中で待機していた。
変身した一同。その無数の黒点が徐々に迫ってくる。
でも、その中で烈火は迫り来る敵の大群に緊張などしていなかった。
烈火「おうおう、敵さん…こりゃ本格的に侵攻してきやがったな?。」
千景「ええ、そのようね。この少人数で行ける?。」
烈火「さぁな、やってみなきゃわからねェ。死ねば骨だけだ、だったら死力尽くして生き延びるしかねェじゃん?。ソラ達がデカい力を手に入れて戻って来るのを期待するしかねェ、それまでは俺らが粘らなきゃな。」
園子は不思議と黙り込み、槍を握り締める手に力が篭っていた。
スレイヤー「おい、大丈夫か?。」
園子「大丈夫…だけど…何かな、すごく嫌な予感がするんよね…。」
友奈「嫌な…予感…?。」
園子「うん…杞憂だと良いんだけど…どうもね、胸騒ぎが止まらないんだよ。」
烈火「そりゃ、これだけの大攻勢だからな。無事じゃすまねェのが当たり前だ。どうせなら、この世界のどこかにいる樹と先輩も手ェ貸してくれたら助かるんだけどな…なんて、冗談言ってる場合でもねェ。お先に行くぜ…!?。」
真っ先に飛び出していった烈火。まるでこの状況を楽しむかのように突っ込んでいく。
千景「…<完全勇者外装>へと進化してから好戦的になったわね、あの子。これも「切り札」の影響…さらに無鉄砲に拍車が掛かってしまった事を除けば問題ないわ。あの子は絶対に…「飲まれない」。」
友奈「はい…信じます。」
先に向かった烈火に続き、友奈も走っていく。
烈火「お前ら、どこにでも現れるようになったなッ!?初陣を思い出すぞッッ!!。」
初めて<擬似勇者外装>を身に纏った事を思い返した烈火。
あの時は千景に強引に渡され、無我夢中でやった事だったが今や世界を股に掛けてこの無限とも言える敵と戦うことに。
そして、勇者の詳細を知ってしまったこと。大赦が絡んだこの外装のこと。そこから始まった非日常の生活。
烈火は世界のためには戦わない。だが、世界に響き渡る“自由"のために戦う。それは初めから変わらない。そして、仲間の自由を守るためにそのメイスを奮ってきた。
だから今もまた…"自由"のために戦う。
烈火「そんな大層な数で攻めてきやがって、絶望させるつもりかッ!?。残念だったな、俺は…絶望なんてしたことがねぇんだよッッ!!。」
先手は成功。烈火の放った一撃が先頭の敵を一気に打ち砕いた。
友奈「烈火君ッ!!。」
烈火「心配すんな友奈。俺は“俺"だ。ここ最近、戦うことが楽しくなって来てるがそこは変わらねェさ。だからこの状況をぶっ潰すッ!コイツらに一泡吹かせてやるッ!。」
友奈「うんッ!!。」
2人は互いに連携し合い、街に被害を出さないために最前線で戦う。
烈火「剛…雷霆ッッ!!。」
メイスを空振りし、そこから発生した衝撃波が敵を悉く消し去る。
園子「れっかん、今じゃエースになったね。流石の私ももう敵わないかな?。」
スレイヤー「バカ言え、あの野郎は後先なんて考えてねェよ。だからこそ、後ろを見てやらねェといけねェんだ。ま…そのあたりは友奈が気に掛けてるから問題ねェけどな。」
千景「ソラさん達が戻るまでの間でいい、数を減らすわよッッ!!。」
千景の言葉に頷いた2人もまた突撃。眼前に現れた不完全な再生状態となっている「シン・ジェミニ」を捕捉。あの機動力を出される前に挟み込んで地面に叩き落とした。
園子(この胸騒ぎが何なのかはわからない…でも、今は……ッ!!。)
周囲を見ながら、園子は確実に敵を倒していく。
だがそれは突然…………「現実」なものとなる。
烈火「……誰かいる…?。」
先に気付いたのは烈火。その瞬間、大型の斧のような武器が飛来し、烈火のメイスとぶつかり合う。
烈火「チッ…誰だ…ッ!!。」
園子「どうしたのれっかん!?。誰か…来て………。」
目の前に突き刺さった斧。
それを見た園子は言葉を失うと共に、槍をその場に落としてしまった。
友奈「どうしたのそのちゃんッ!?。」
「へぇ…今のを防ぐんだ?。音、消したつもりなんだけどね。」
響く少女の声。忘れもしない、忘れちゃいけない。懐かしい友の声。
園子は……叫んだ。
園子「…ミノ…さん…!?。」
スレイヤー「何言ってんだ園子!?。ソイツは確か…ッ!。」
コツコツと、歩く音がする。そして、立ち込めた砂埃の中から園子が言った通りの人物…三ノ輪銀が現れて。
銀?「久しぶり?元気してた?。」
…叶うならもう一度会いたかった友達。園子は身体を振るわせながら、無意識に涙を落とす。
だが烈火は気付いていた…それが、「悪意」だと。
烈火「離れろ園子ッ!!。ソイツは…お前の知ってる奴じゃねェッッ!!。」
園子「え………。」
直後、銀?の背中から尖った蔦が現れては園子に向かって放たれた。
そして……。
園子「…洸…?。」
自分の顔に付いた鮮血。目の前には両手を広げたスレイヤー。
そう…攻撃から園子を庇い、その蔦が身体を貫いていた。
スレイヤー「がふッ……怪我…ねェ…な?。よかっ…た………。」
変身が解けて倒れた洸。夥しい出血量と共に急所を打ち抜かれ、明らかに致命傷を負っていた。
園子「え…嘘…だよね…洸…?。返事して…洸!?。いや…いやぁあああああッッ!!。」
目の前に現れた銀、そして最愛の人の重体。
頭の中の整理が追いつかない園子は感情がぐちゃぐちゃになる。
烈火「クソッ!姉ちゃんッ!洸と園子連れて離れろッ!!。洸もヤベェけど園子もヤベェッ!!。心が「死んじまう」ッッ!。」
千景「ッ…わかったわ…ッ!!。」
洸と園子を連れて離れる千景。
烈火は不敵な笑みを浮かべる銀?を睨みつける。
烈火「…笑えねェ冗談だぞ、お前は"誰"だッ!?。」
銀?「三ノ輪銀そのものだよ?。まぁ…言うなれば、魂を"無"に汚染されて現世に戻ってきたわけで…そうだね……このシン・バーテックスと同じ存在…アタシも「シン・バーテックス」だよ?。」
友奈「なんでそんな酷い事をッッ!!。」
銀?「あんた達が呼ぶ"無の軍勢"…その一部であるシン・バーテックスを束ねる王…とでも言おうかな?。」
烈火「シン・バーテックスの王だとッ!?あのバカデカい奴じゃねェのかよッ!?。」
銀?「ああ…“獅子座"の事か。あれは決戦兵器のようなもの…これまでのシン・バーテックスの頂点に位置するけど、感情無き兵器…死を恐れない概念そのものだよ。あれも、アタシが手引きした。まさか、追い返すなんて思いもしなかったけど?。もう少しでプリキュアの世界を焦土に変えられたと思ったんだけどな…上手くいかないものだ。」
友奈「本当に…本当に貴女は銀ちゃん…なの…?。」
銀?「だから本当だって。まぁ、信じられないよね?でもこれが事実…アタシの魂はもう“無"のものとなってる…今見ている現実は「真実」だ。紛れもない、三ノ輪銀本人…と言わせてもらうよ?。」
烈火「そうか、なら園子と東郷はキツイかもしれねェな?。」
そう言って、メイスを構える烈火。
銀?「へぇ、アタシと戦う気?。」
烈火「当たり前だ、お前をぶっ飛ばしてこの胸糞悪ぃ感じを終わらせてやる。ソラ達が帰って来るまでにケリをつけてやるよッ!!。」
友奈「ちょッ…烈火君ッ!?。」
飛び出した烈火は容赦なく銀?と打ち合う。
その速度は視認出来ないほど、王都を舞台に自由の勇者とシン・バーテックスの王がぶつかり合う。
銀?「すごいなお前ッ!。アタシ達の代で居てくれたらきっとバーテックスを殲滅出来たのにッ!。」
烈火「そういうのはゴメンだなッ!俺は世界のためには戦わねェ主義なんだッ!!。」
重い金属音が戦場にこだまする。
烈火は猛攻撃で攻め立てるが、それでもなかなか届かない。それどころか、攻撃の合間に飛んでくるシン・バーテックスと化した銀の攻撃が傷を付けていく。
銀?「なら何で戦うの?偽物とはいえ、勇者のその力はお役目の為にあると思うけど?。」
烈火「んなもんどうでも良いんだよッ!!。神様だろうが何だろうが、自由を取り上げる奴らをぶっ飛ばすのが俺の理由だッ!!。そして…ずっと辛い戦いを強いられて来た友奈達がしっかり自由を満喫出来るように俺が代わりに汚れてやるよッ!!。理由なんてそんなもんでいいだろッ!。」
黒い稲妻を纏い、連撃を繰り出す烈火。
叫びながら攻撃の手を緩めない。
烈火「自分がいいと思えばそれが“自由’"だッ!。大人の事情とか神の事情なんざ知ったこっちゃねェッッ!!。お前らがその自由を潰そうってんなら俺が戦う理由になるッ!!。人間、舐めんなよッッ!!。」
飛んでくる攻撃を蹴り弾き、メイスを握り締める。
烈火(コイツを東郷に会わすわけにはいかねェッ!。園子のように、心が潰されちまう…クソ…ここに来て最悪の奴が現れたもんだぜッ!!。)
烈火の意図を汲んだ友奈が加勢に入った。左側の攻撃に反応が遅れる烈火のフォローに入る。
友奈「ありがとうね、烈火君ッッ!!。なんだかんだ言って、私達の為に戦ってくれてるんだッ!。」
烈火「良いよ、んなもんッ!。友奈、コイツの魂を自由にする意味でもここで何とかするぞッ!。もうすぐソラ達が帰って来ちまうッ!。」
友奈「うんッ!!。」
並び立つ2人に、銀?は不敵な笑みを浮かべる。
だが、湧き上がるのは高揚感…それに呼応するように周囲の怨嗟の星屑達が2人を見つめるかのようにその場に停滞する。
銀?「フフフ、いいね…須美が帰ってくるまでにアタシを退けられる?。」
友奈「違うッ!貴女は偽物だ、東郷さんの親友である銀ちゃんなはずがないッ!!。そのちゃんと東郷さんの気持ちを踏み躙って…絶対に許さないんだからッ!!。」
烈火「そうだッ!!人の心を抉るような酷ェ事をしやがってッ!!。まとめてぶっ飛ばしてやるッ!!。」
………………………end。
無の軍勢"の一部であるシン・バーテックス。
三ノ輪銀の魂は"無"によって穢され、そして"シン・バーテックスの王"としてその姿を利用された。
それに怒る烈火と友奈は園子と東郷の為にたった2人で戦う。
そしてその戦いは………。
次回
第121話 −Fateful day−