〜ひろプリ×勇者であるシリーズ〜世界の壁を超えた出会い   作:やままん

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前回のあらすじ。

シン・バーテックスの王としてその魂を"無"によって復活させられた銀。

烈火と友奈は彼女の名誉、そして東郷と園子の心を守るために戦う。

…そしてこれが…"無"との本格的な戦いの始まりであった……。


第121話 −Fateful day−

 

烈火「うおおおおおおッ!!。」

 

群がる怨嗟の星屑達を倒しながら銀に接近する烈火。

だが、銀は二振りの斧で烈火のメイスとぶつかり合う。

 

銀?「勢いだけならアタシと似てるねあんた。その心意気は嫌いじゃないよ。」

 

競り合いに打ち勝ち、烈火は勢いよく吹き飛ばされる。

吹き飛ばされたその方向は硬い壁。そのまま激突しては建物が崩れ去る。

 

友奈「ッ…はぁああああッッ!。」

 

徒手空拳で攻撃を繰り出す友奈は銀の振るう斧を避けながら距離を詰めていく。

 

銀?「あんたの事はよく知ってるよ?だってあの時、あんたの解放のために力を貸したからね!。」

 

 

友奈「その姿で話さないでッ!!。絶対に許さない、シン・バーテックスッッ!!。」

 

攻撃の合間に蹴りを織り交ぜ、それが直撃。銀は思わず仰け反った。

 

銀?「流石だよッ!!。かつてほどの力は無いにしても、その強さは本物だッ!!。」

 

 

友奈「どうして"無の軍勢"は世界を滅ぼそうとするのッ!?。何故、あなた達は…光も闇も否定するのッ!?。」

 

 

銀?「いい質問だね。いいよ、特別に答えてあげる。」

 

斧で友奈を弾き、両腕をクロスさせて防御を高めたが精霊バリアを貫通して友奈は切り傷を負う。

 

銀?「光も闇も存在するだけ無駄なんだよ。だって、その二つのせいで世界はいつも混乱に陥れられる。"無"は全てを終わらせる力。無駄なものをこの世界…いや、宇宙から抹消させる。それで静かになるでしょ、それが目的。」

 

 

烈火「ッ…要するに、何も無しの世界にしようってのか…!?。」

 

 

銀?「まぁね。行き過ぎた力と文明を消すのが"無"の役目なんだよ。君たちにも分かるでしょ、どちらかが行き過ぎたら調和が乱れるって。それが、可能性世界…そう、あの世界は君達の世界の「もし」と言った出来事を実現させた世界のようなもの…あの世界は調和が乱れてしまった。だから、"無の軍勢"が動き出したんだよ。まぁ…天の神と利害が一致していたからほんの少しだけ力添えしたに過ぎないんだけどね。」

 

それを聞いた烈火は、腕に力を込める。

 

烈火「何が行き過ぎた…だ。それを裁く権利がテメェらにあるってのかッ!?。テメェらの都合で振り回しやがってッッ!!。」

 

 

銀?「振り回すも何も、それが"ルール"だよ。人類だって世界に属している…なら、そのルールは守って貰わないといけない。だから、天の神があの世界に粛清を行ったんでしょ?。かつての人類が神の領域に踏み込もうとしたから。」

 

その瞬間。

銀の右腕がありえない方向に曲がった。しかし…痛みはまるで感じていない。

 

驚いた表情をした後、すぐに笑みを浮かべる。

 

その視線の先にはメイスを振り抜いた烈火。

今まで見たことのない表情で睨みを利かせていて。

 

烈火「だったらそんな"ルール"をぶち壊してやるッ!!。俺達ゃただ生きてェだけだッ!!。」

 

 

銀?「なんとでも言えばいいよ。いくらお前達が叫んだって、アタシらには届かない。お前達…いや、光と闇が均衡を保ってさえいればアタシらが出張る事はなかったんだ。お前達はガンだ、この宇宙にとってのね。そしてアタシらはそれを駆除するワクチン…全てを"無"にして一から作り直す。だからDMの上位種が言ってたでしょ?お前達は…滅びゆく定めを持つ者達だと。」

 

無数の斧が放たれ、烈火と友奈に向かって降り注ぐ。

烈火は友奈の前に立ち、その防御力で防ぐが傷はどんどん負っていく。

 

友奈「ッ…私はいいから避けて烈火君ッ!!。」

 

 

烈火「ダメだッ!この攻撃だとお前の精霊ゲージが一気に0になっちまうッ!俺なら…こんくらい全然…ッ!!。」

 

 

銀?「アハハハハハッッ!カッコいいね、たった1人の女の子を守る為に命を張るんだッ!?。」

 

 

烈火「うっせェ…ぐっ…テメェもそうだったんだろ……ッッ!?。」

 

 

銀?「何が…っう…!?。」

 

頭の中で電気が走ったかのように強烈な頭痛を感じた銀。

その瞬間、斧の勢いが弱まって地面に落ちる。

 

銀?(ッ…生前の魂が暴れている?。今更出て来て……ッ…!。)

 

 

烈火「東郷と園子を守る為に死んだんだろお前ッ!!。話は聞いてんだよ、かけがけの無ェダチだってッッ!!。その身体を返しやがれ、テメェらのようなクソ野郎が好き勝手していいもんじゃねェッ!!。」

 

 

銀?「だから何を言って……ッ!!。」

 

 

「ヒーローガールッッ!!。スカイパンチッッ!!。」

 

少女の声が響き渡り、銀の頬を拳が打ち抜いた。

その威力は凄まじく、時計台を崩しながら吹き飛ばされていく。

 

友奈「ソラちゃんッ!?。」

 

 

烈火(クソ…間に合わなかった…ッッ!。)

 

戻って来たスカイ達を見て、歯を食いしばる烈火。

心配していたのは東郷だ。

 

そして、瓦礫の中から飛び出して来た銀は背中から無数の蔦を羽のように伸ばす。

 

そしてその姿を見た東郷は。

 

東郷「…銀…?。」

 

 

友奈「違うの東郷さんッ!コイツは銀ちゃんじゃ…ッ!。」

 

かつての親友の姿。必死に訴える友奈の声すら届いていない。

 

銀?「久しぶり、須美?。でも残念だ、本当に残念。アタシ達、ずっと友達だったよな?。」

 

 

蒼葉「…耳を貸すな東郷ッ!。コイツはお前の知っている三ノ輪銀じゃないッッ!!。」

 

 

東郷「…どうして…どうしてそんなことを言うの?。友達よ、私達はずっと友達だって…ッ!。」

 

周囲の声が全く耳に入っていない東郷。

それもそのはずだ、叶うならもう一度会いたいとずっとそう思っていた

友。

 

アグニ「クソ、何がどうなってやがるッ!?それに洸と園子はどうしたッ!?。」

 

 

烈火「あの野郎に洸がやられちまったんだよッ!。錯乱状態になっちまった園子は姉ちゃんが連れて行ってるッ!!。」

 

 

プリズム「私達がいない間に…!。」

 

 

バタフライ「そもそもコイツはなんなのッ!?。」

 

 

友奈「…シン・バーテックスの王……銀ちゃんの魂を"無"が支配したんだよッ!。だからあれは銀ちゃんじゃないッ!!。」

 

 

銀?「…酷い言い草だ。でも須美、友達なら分かるよね?。こっち側に来なよ?。また一緒にいられる、園子も連れてさ?また3人で…やっていこうよ。」

 

手を伸ばす銀、思わず手を取りそうになる。

だが……踏みとどまって見せた。

 

東郷が差し出したのは…鋭い銃口。

 

東郷「…これが…あの声が言ってたこと…過去を抉るほどの最悪な出来事……お前は銀じゃないッ!!。その魂を返しなさい、シン・バーテックスッッ!!。」

 

声が震えている。

きっと、その精神状態はまともじゃない。でもなんとか、踏みとどまっている。

 

彼女の代わりにトリガーを引いたのは…蒼葉だ。

 

その銃弾は銀の眉間を正確に撃ち抜いた。

 

東郷「……咲良…君…?。」

 

 

蒼葉「偽物とは言え、辛いだろう。俺なら撃てる、お前が心と手を穢す必要などない。」

 

倒れた銀はもちろん、死ぬことなくそのまま立ち上がる。

眉間に撃ち込まれた弾丸が地面に落ち、やれやれと言わんばかりに服についた埃を振り払う。

 

銀?「…酷いな…せっかく、このアタシの手で殺してあげようと思ったのに…ねぇ、須美?。」

 

背後に忍ばせていた蔦をゆっくりと展開。

それは東郷の身体を貫く為に用意したものだった。

 

わかっていた…隙を突いて自分を殺すつもりだったのだと。

でもそれでも、辛い。そのショックは流石に耐えきれなかった。

その場にへたり込んで銃を落とし、泣き崩れてしまう。

 

友奈「東郷さんッ!!。」

 

あやすように優しく抱きしめる友奈。声を上げて泣く彼女に、銀は笑う。

 

銀?「もう仲良しこよしは終わりだね、ならここからは目的を果たさせてもらうよ。そして、お前達は知ることになる…これが、"運命の日"だと。」

 

その瞬間、ゲートを開いてはスカイランドの空を覆うほどの怨嗟の星屑を呼び込んだ。

 

夏凛「な…何て数なのよこれッッ!!。」

 

 

ウイング「…無限…これが"無"ッ!?。」

 

その悪夢のような光景を見たマジェスティは拳を握り締める。

 

そしてそこへ「劇団」のナイアルまでもがやってくる。

 

ナイアル「…やれやれ、とてつもない数…こんなの、駆除しきれないな。」

 

 

スカイ「あなたは…ッ!?。」

 

 

プリズム「ッ…!!。」

 

かつて、ナイアルから受けた傷の場所に手を当てるプリズム。

自分が闇に堕ちた原因は彼にある…だからこそ、因縁の相手がそこにいることに息苦しくなって来た。

 

その異変に気付いたアグニはプリズムの前に立つ。

 

アグニ「…何しに来やがったテメェ…ッ!。」

 

 

ナイアル「随分な物言いだな、今は僕に構っている暇なんてないだろう?。」

 

 

スカイ「貴方のせいでましろさんは…ッ!。」

 

 

プリズム「いいのッ!!。」

 

 

スカイ「でも…ッ!!。」

 

 

プリズム「私の心が弱かったからそうなったの。だから…いいの。」

 

 

ナイアル「ほう、寛大だな?。さすが、優しさのかたま……。」

 

そう皮肉を言うナイアルの頬に、小さな光弾が横切っていく。

放ったのはプリズム。手のひらから煙が噴き出ていた。

 

プリズム「だからと言って、貴方を許さない。私のことはいいけど、貴方は…自分のお兄さんをその手に掛けたんだよね?。」

 

 

ナイアル「ほう…知っていたか。」

 

 

プリズム「…貴方は一体、何がしたいの?。アデルはもう居ない…「劇団」としての役目はもう何もないはず…。」

 

 

ナイアル「僕は僕の理想通りにシナリオを進めるだけさ。あの"無"の大群も僕にとっては邪魔にしか過ぎない…そして、君達も。アデルの目的はこの"無"と同じだ。しかし、彼は彼の静寂を求めていた。静寂?そんなのつまらないじゃないか。」

 

高らかに笑うナイアル。

しかし、プリズムはそんな彼を見て哀れみの目を向ける。

 

プリズム「貴方は可哀想だよ。ずっと、心を凍らせて来たんだね。」

 

 

ナイアル「なんだと…?。」

 

 

プリズム「誰も信じることができない…自分の理想にそぐわないものはつまらない…他人を見ようともしない。貴方はずっと…孤独だ。」

 

プリズムの頬に傷が入る。その横には白刃が。

 

だが、彼女は視線を逸らさない。ずっと、哀れみの目でないアルを見つめる。

 

ナイアル「…やはり君は目障りだ。この世界の誰よりも、君という存在が僕にとっての大きな壁になっている気がする。でもいい、今はまだ生かしといてあげるよ。君たちにはあの無限の軍勢を退けてもらわないといけないからね。」

 

ナイアルは鞘に刀を納め、鏡の中に消えていく。

 

銀?「へぇ、人間にも面白いものがいるもんだね?。さて、この無限の軍勢を相手にどうする?絶望してもいいぞ、どのみちお前達だけじゃこれを退けるのは無理だ。その先に待つのは…この世界の滅亡さ。」

 

挑発する銀。だが、その前に立ったのはマジェスティだった。

 

マジェスティ「それでも私達は負けない。」

 

 

銀?「へぇ、その根拠は?。どうやら、"無"に対する力を手に入れたみたいだけど…それだけで全てを守り切れるとでも言えるのか?。」

 

 

マジェスティ「思わないわ。マジェスティクルニクルンはただの力…闇と貴女達に対抗できる大きな力にしか過ぎない。それを使う私達が弱ければ何の意味も無い。」

 

 

銀?「…わかっていながら、何故そんなにまっすぐな目で希望を見ている?。」

 

 

マジェスティ「絆の力は無限だから。」

 

絆。

これまで旅して来た一同がずっと、蓄え続けて来た見えない力。

この場に立つ者全員がその無限の軍勢を見ても絶望しないと言えるだろう。世界を超えて築いたこの絆は決して折れないから。

 

マジェスティはスカイランドに戻って来てから直にその力の大きさに気付いた。どんな絶望にも抗える無限の力…それが、絆だ。

 

マジェスティのその答えを聞いた銀は高らかに笑う。

 

銀?「アッハハハハ!。いいね、面白いよッ!。なら見せてくれよ、その絆の力ってやつを!!。特別にここは退こう、だけど滅びからは免れない…"無"はアタシ達だけじゃ無い。この限りない無限がもう一つ存在するんだ。そのちっぽけな力を見せてくれるといい、そうすればこの魂を返してあげよう!。これはゲームだ、そう…お前達の意地か我々の摂理か…そのどちらにしか勝利はない。"運命の日"はもう始まっている…それじゃあ…またね?。」

 

何の気まぐれか、銀は全ての怨嗟の星屑達を撤退させてその場から消え去って行った。

 

 

-運命の日-

 

そう呼ばれた今日、この日から…世界は大きく動くことになる。

 

………………………end。




"無"の軍勢とナイアル率いる「劇団」。

そして、いまだに大きな動きを見せないアンダーグ帝国。

運命の日と呼ばれたこの日から、世界は大きく動き出す。

そして…一同にとっても最も過酷な戦いへと変化する。

次回
<第3部・マジェスティ編 最終話>
第122話 わたしたちの未来。
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