〜ひろプリ×勇者であるシリーズ〜世界の壁を超えた出会い   作:やままん

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前回のあらすじ。

トーヤの生い立ちを知った風。

トーヤは「悩み続ける」事で、自分の「色」を探していた。
そして、その色を一緒に探すと決意した風であった。

そして、場所はスカイランド王都。

迫り来る戦いに備え、鷹夜は自身の役割について考えていた……。


第125話 仁義と優しさと。

 

……ひょんな事から手にしたこの力。

 

もう随分と戦ってきた気がする…中には、死にかける事も多々あっただろう。俺は喧嘩慣れはしているが、こうした命のやり取りはまるで違う。

 

初めは、この力で日常を崩してくる奴らをぶちのめせればそれで良かった。でも、あの日から考え方そのものが変わってきて、今度は…アイツを取り戻す為に世界を回った。

 

虹ヶ丘ましろ。

 

始まりときっかけをくれた奴でもある。今思えば、俺の生い立ちはアイツがかなり関わってきてる。

 

ナイアルに斬られ、そして闇の種によってアイツは世界の敵になってしまった。

 

会うたびに上手くいかなくて、ソラ達の前では強がって見せてはいたが実際は悔しさでいっぱいだった。

 

でも、それでも諦めちゃいけねェといつも自分を鼓舞していて、そして仲間達を頼りにした。

 

きっと、そこがずっと保たれていたんだろうな…1人でなんとかしようと考えていたらきっと今もアイツは敵のままだった。自分1人では何も出来ない…人間ってのはそういう生き物だ。誰かの助け無しには生きてはいけねェ。だからこそ、諦めない代わりに周りを巻き込む事にした。志は同じ…ちゃんと全員の気持ちを理解していたから。

 

そして、友奈のおかげでましろは自分を取り戻した。この機を逃すまいと必死に呼びかけて…アイツは帰ってきた。

 

でも、帰ってきたアイツはいつもどこか元気がなさそうに見える。見るたびに考え込んでいて…きっと、罪の意識に苛まれてるんだろう。アイツは優しい奴だ、だから自分がやってきた事が許せないんだろう。

 

だからこそ、仲間である俺達がアイツを支えてやんなきゃいけねェ。一度、世界の敵になったアイツは色んな者達から恨みを買っている。

 

その恨みに押しつぶされないように、今度こそ守り切るんだ…俺達が。

 

…………………………。

 

鷹夜「……今日はこんなもんだな。」

 

青の護衛隊に訓練をつけてもらっていた鷹夜は修練場を後に、身体を伸ばしていた。

 

いつもならソラが同伴していたが、今日は1人だった。

 

そこへ、街に出ていた友奈と鉢合わせになる。

 

友奈「あ、鷹夜君。今日もまた特訓?。」

 

 

鷹夜「まぁな。一度やっちまうと休んでられねェって頭になっちまったよ。」

 

 

友奈「あはは、私も今から帰るんだ?。一緒に戻ろっか?。」

 

ならび歩きながら帰路に着く2人。辺りはすっかりと夕刻で。

 

友奈「最近、すごく頑張るね?。どうしたの、急に?。」

 

 

鷹夜「どうしたって…まぁ、ソラのツテで本格的な訓練を積めるならいいかなって思って始めた事だ。一つはそれ、もう一つは…ましろの事だ。」

 

 

友奈「ましろちゃんがどうかしたの?。」

 

 

鷹夜「ああ…この間、ソラとあげは姉、ツバサとエルで話したんだ。「劇団」から解放されたアイツはいつもニコニコしているが何処か使命に満ちた表情をしてるって。あいつを一番よく知るのはあげは姉だ、あの感じは無理をしてるらしい。」

 

…そう、ここ最近のましろは少し無理をしてる感じがする。

 

特に、"無の軍勢"が表立って動き始めたこと…そして、自分もアデルの片棒を担いで同じような事をした事。

 

そんな一面を見ているからこそ、何か彼女のために出来る事はないのか……プリキュア達はそう考えていた。

 

友奈「…そっか。きっと、今のこの状況を作り出した原因の一つって考えてるのかもしれないね。ましろちゃんのその気持ち、私も分かるな……。」

 

少し前を歩き、夕陽に照らされながら友奈は腕を後ろで組んであの時のことを振り返る。

 

友奈「私がましろちゃんと同じ立場なら、きっとこう考えると思う。「私がなんとかしなきゃ」って。」

 

 

鷹夜「………やっぱ、そうなるか…じゃあ、アイツは……。」

 

 

友奈「分からないよ?でも、ましろちゃんは優しいから誰かが傷付くのが嫌なんだと思う。それに、自分が傷付く側に一度回っちゃったから余計にだよ。ましろちゃんは強いよ、でも…ずっと、心が強いわけじゃない。ギリギリのところで踏ん張ってるのかもしれない。折れそうになる心を誤魔化しているのかもしれない。だからね、付いててあげて欲しいな…私の場合は私が意固地だったからさ?みんなに迷惑をかけて……だから、経験者が言います。今のましろちゃんには誰かが必要だって事。それに気付いたならすぐに気に掛けた方がいいよ。きっと…無茶をするはずだから。」

 

友奈のその言葉を聞いた鷹夜は力強い眼差しでコクリと頷き、彼女の言った通りの行動を取る。

 

鷹夜「サンキューな、友奈!!。お前に相談してよかったぜ!!。」

 

 

友奈「ううん、気にしないで?。」

 

走り去っていく鷹夜をみまもりながら、友奈は空を見上げる。

 

友奈「……自分も幸せである事。私が学んだこと…今度はましろちゃん、貴女がそれを学ぶ番だよ?。」

 

そして………。

 

鷹夜「ましろッ!!。」

 

 

ましろ「た…鷹夜君ッ!?。何…どうしたのそんなに勢いよく…。」

 

勢い良く部屋の扉を開けた鷹夜に驚いたましろは目を丸くしながら彼を見つめる。

 

そして、バルコニーへの扉が開いていた。

 

鷹夜「…お前、今から何をしようとしていた?。」

 

 

ましろ「え?。何って…お外の空気を……。」

 

 

鷹夜「誤魔化してんじゃねェよ。お前…1人で何とかする気だろ?。」

 

 

ましろ「……バレちゃったかぁ…ソラちゃん達は誤魔化せても鷹夜君は誤魔化せないな…そうだよ?。言ってなかったけどここの所毎日、私は夜に出てるの。」

 

 

鷹夜「何しに…?。」

 

 

ましろ「…見つけたの。"無の軍勢"がスカイランドにやってくる為の"ゲート"を。」

 

それを言った途端、ましろは外を見つめる。

 

ましろ「毎日少しずつね…そのゲートを閉じるために細工をしてるんだ?。プリキュアの力なら、そのゲートの入り口にバリアを張れる。だからここ最近、彼らがやってこないんだよ。でも…それじゃ、ただの予防線にしかならないから破壊する為にはどうしたらいいのか方法を探す為に毎日、そのゲートを見に行ってるんだ。今日もその見回りに行こうとしてたの。でも…鷹夜君に見つかっちゃった。」

 

その手には包帯と絆創膏、服で隠してはいるがきっと身体に傷を負っている。

 

鷹夜はそれを見抜いていて。

 

鷹夜「それはわかった。だけど、何で俺達に相談しねェんだ!?。そんな危険な事、お前1人にやらせるわけにゃ…ッ!!。」

 

 

ましろ「私はね…やっぱり、罪からは抜け出せないって思ったんだ?。この手はもう穢れきってる…だから、みんなの迷惑を掛けるわけにはいかないの。私を助ける為にみんなは頑張ってくれた、だから今度は私がみんなにその恩を返さなくちゃいけない。」

 

 

鷹夜「迷惑だなんて思ってねェよッ!!。恩ってなんだよ…俺達は仲間だろ!?。仲間の為に身体張っていくのが当たり前のことだ、負目を感じてんじゃねェよッ!!。」

 

 

ましろ「でもねッ!?。それでも、私自身が私を許せないのッ!!。私は誰かの明日を奪ったッ!それも、笑いながらッ!!。壊されていくこの王都を見て思ったのッ!!私はこれと同じことをやってきたんだってッ!!。こんなの酷いよね、許せないよねッ!?罪と向き合って生きていくって決めても、この惨状を見ればやっぱりその罪の重さを思い知らされる…心が壊れる前に、動かなくちゃいけないッ!!。私が1人で何とかしなくちゃいけないのッ!。だからお願い…目を瞑っててほしい…大丈夫、ちゃんと帰ってくるから…。」

 

 

鷹夜「行かせねェぞ!!。お前が1人で苦しむ必要なんて何もねェだろうがッ!!。」

 

 

ましろ「…ッ…酷いよ…なんで、私なんかを気にかけるの…何でいつもそうやって…私を"守ろう"とするのッ!?。」

 

遂には泣き出してしまって、ましろの両目からは大粒の涙がボロボロと落ちる。

 

歯を食いしばり、声も震える。

 

鷹夜「…悔しかったんだよ…ナイアルの野郎に斬られ、そしてお前は一度アデルに"殺された"。目の前でその手を掴んでやる事ができなかった…闇に呑まれ、世界の敵になっちまって…お前はずっと「劇団」に踊らされちまってる…今もそう、その影がずっとついて回ってきてお前を苦しめてる…お前が償いたいっていうその罪だって…「劇団」にメチャクチャにされちまってるからなんじゃねェのか?。」

 

 

ましろ「だからこそ、私1人が断ち切らないといけない…もう、アデルは居ない…だけど、「劇団」として世界の敵になった私の罪をみんなに背負わせるわけにはいかないの…そこを退いて、お願いだから…私に罪を償わせて…。」

 

 

鷹夜「…退かない。」

 

 

ましろ「ッ……何でわかってくれないの…なんで、私の覚悟を…認めてくれないの…生半可な気持ちなんかじゃないってどうして理解してくれないの…ねぇ、私ってそんなに頼りない…?。そうだよね…今もこうして、鷹夜君を困らせてる……ホント、ダメダメだなぁ……ソラちゃんのように強くなれないや……。」

 

自身を嘲るように、ましろは涙を流しながら机に置いたミラージュペンを取る。

 

強硬手段に入るつもりだろう、道を阻む鷹夜に力無く歩み寄りながらキュアプリズムに変身する。

 

変身して分かった、やはり身体はボロボロだった。少女には似つかわしくない生々しい傷跡がたくさん残っており、そして右腕に巻いた包帯には血が滲んでいた。

 

それを見た鷹夜は歯を食いしばる。

 

プリズム「…ねぇ…お願いだよ…私にもう少しだけ頑張らせて……大丈夫、絶対にみんなの所に帰ってくるから。もう、どこにも行かない…みんなには正直に話すから…今だけは、私に…託して…?。」

 

弱々しい彼女のその声。鷹夜はそこまで追い詰められていたことに気づかなかった自分に腹が立った。

 

そして、変身…炎を纏いながらプリズムに立ち塞がる。

 

アグニ「それでも退かねェ…お前は俺にきっかけをくれた奴だ。お前が居なかったらきっと俺は…ここまで強くなれなかった。俺はお前に"仁義"を貫き通す。その苦しみをいくらでも背負ってやる、だからもうやめろよ…優しい虹ヶ丘ましろを貫くのを。お前も幸せになっていいんだ、だから…その背負ってる罪を俺にも背負わせてくれよ…!。」

 

 

プリズム「…うあああああああッッ!!。」

 

もう、感情が滅茶苦茶になったプリズムは無我夢中で突撃。

 

しかし、腕を取ったアグニはプリズムの首筋に手刀を当てて意識を奪った。

 

目が虚になり、涙を落としながらプリズムはアグニを見つめて、そして…変身が解けてミラージュペンが床に落ちた。

 

その時、勢い良く扉が開く。

 

ソラ「な…何の音ですかッ!?って…ましろさんッ!?。それに鷹夜さん…どうして…!?。」

 

 

エル「ひぐ…ッ…ケンカ…ダメェ…ッ…。」

 

 

あげは「タカ坊ッ!何があったのか説明してッ!!。」

 

 

ツバサ「た…鷹夜さん…!。」

 

 

ソラ「…ましろさんのその傷は!?。」

 

 

アグニ「ましろを寝かせとけ。あげは姉の言った通り、コイツはとんでもねぇ無茶を繰り返してやがった。動くのもやっとな傷だ、医者に罹らねェといけねェぐらい酷い傷を負ってやがる。何があったかは後でちゃんと説明してやる、でも今は…コイツのやってる無茶を俺が代わりに引き受ける。頼んだぜ?…。」

 

そう言って、アグニはバルコニーから飛び出して屋根伝いに外に飛び出して行った。

 

ソラ「ましろさんの無茶って……。」

 

 

あげは「ましろん…あんた、バカだよ…本当に…。」

 

…………………………。

 

 

アグニ(…罪とか…恩とか…そんなものはどうだって良いんだよ…お前が傷付く必要なんて何もねェ…すまなかったな、ましろ。ちゃんと気付いてやれなくて…でも、見てろ……俺はもうあの時とは違う…誰も悲しませねェ為にこの炎を燃やし尽くしてやる…それが今の俺がある理由であり、戦う…"理由"だッ!。)

 

 

……………………end。




ましろの罪。

その大きすぎる代償は彼女の精神を磨耗させていた。

"もう、誰も悲しむ必要なんて無い"。

仁義と共に、もう一つの理由を見つけているアグニはその為に戦う。

その理由は…優しすぎて、心を壊しやすいましろを守ること。

次回
第126話 断ち切れ、悲しみの連鎖。
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