〜ひろプリ×勇者であるシリーズ〜世界の壁を超えた出会い   作:やままん

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前回のあらすじ。

仲間のために、そしてこの世界から悲しみの連鎖を断ち切るために、鷹夜は決意した。

戦え。

目の前の「理不尽」を消し去るために。


第127話 見参、"闘神"と呼ばれたプリキュア。

森林に眩い光が広がっていく。

 

目の前に居るのはキュアアグニ。しかし、その姿はすごく神々しくて。

 

一同は息を飲む、変わり果てたその姿に。そしてそれと同時に…"希望"に満ち溢れてくる。

 

スサノオ「世界に轟け、希望の光ッ!!。キュアスサノオ、見参ッッ!!。」

 

キュアスサノオ。

進化を続けていくキュアアグニの新たな姿。

 

背中に現れた光輪が激しく輝く。

 

友奈「…これは…!?。」

 

 

夏凛「とんでもない力を感じる!!。後ろに下がるわよッッ!!。」

 

感じ取った夏凛の言葉に頷いた一同はスサノオの後ろに下がる。

その場に立ち尽くし、右の拳を構えて構えを取るスサノオ。

 

スサノオ「ナイス判断だ、夏凛。気をつけな、まだ実感の無ェこの力…加減なんて出来ねェぞ…!?。」

 

立ち上がった異形が咆哮を上げる。

腕をさらに生やし、スサノオに襲い掛かる。

 

スサノオ「テメェらには恨みしかねェよ。だから…全部まとめて消し去ってやるッ!!。俺たちの未来のためにッッ!!。バースト…インパクトッッ!!。」

 

拳を一気に突きつけるも、その拳圧が木々を薙ぎ倒しながら異形に向かっていく。

 

その圧は凄まじく、異形が伸ばしてきた手を悉く弾き、そして粉砕した。

 

烈火「なんつー威力だッ!?。あの悪霊の手が吹っ飛んだぞッ!!。」

 

力の感触を確かめるスサノオ。しかし、その顔はどこか浮かない表情だった。

 

スサノオ(まだだ…こんなので満足なんてしてたら、ずっと同じ事の繰り返しだ…何かを変える為には大きな動きが必要だ…俺はまだ…伸び続けなけりゃいけねぇ…!。こんなのはまだ序の口だ…俺達が相手をするのは"無限"…限りのねェ概念そのものだ…!。)

 

そう思うと同時に地面を蹴って飛び出し、閃光のような蹴りを放つ。

その蹴りはまるで斬撃のようで、異形の身体を切り裂くかのようにその身体に一閃を入れた。

 

東郷「感心してる場合じゃないわね、私達も鷹夜君に続きましょう!。」

 

 

烈火「おうさッ!!。」

 

残る一同も動き出し、戦闘に参加。

 

烈火「なんかとんでもねェパワーを得たようだが、あんまり思い詰めんなよ!?。「俺が」じゃなくて、「俺たち」が…っだッ!!。」

 

 

スサノオ「……ああ、そうだな…ッ!!。」

 

何気ないその一言が、スサノオの心の焦りを消し去った。

 

スサノオ(そうだ…俺には仲間がいる!!。ましろ、お前のその罪はみんなが背負ってくれるッ!!。だから、信じてくれ…俺達を!!。)

 

全員の思いが集約したその輝きは辺り一面に広がり、暗雲を明るく照らす。

 

スサノオ「これがッッ!人間の底力ってやつだッ!。」

 

一同の波状攻撃に合わせたスサノオの一撃が炸裂。

まるで、大砲のような一撃を誇るその威力は凄まじく、異形の顔があり得ないほどにまでひん曲がった。

 

烈火「続いて…ッッ!!。」

 

立ち込める砂煙の中から烈火が現れて。

 

烈火「雷霆…ッッ!!。」

 

大きく振りかぶったメイスを頭上に叩き込む。

 

スサノオ「どうだ……ッ!!。」

 

大きく陥没した地面の中から異形の姿が露わになる。

身体の大部分が打撃によって変形しているが、まだ絶命はしていない。

 

スサノオ「しぶとい野郎め…ッ!!。」

 

その時、ゲートが怪しく輝く。ましろが張った結界にヒビが入り始めた。

 

蒼葉「マズイぞ、結界がそろそろ限界に…!!。」

 

 

スサノオ「でもなぁああ!!。」

 

気合いを入れるスサノオ。拳を空に掲げ、光を纏う。

 

スサノオ「みんな!!。ちょっとでいい、足止めしてくれッ!!このゲートごとコイツを叩き潰すッ!!。」

 

 

東郷「そんなことが可能なのッ!?。」

 

 

スサノオ「分からねェ、だがやる価値はあるッ!!。」

 

 

友奈「分かった、そのお役目を引き受けたよッ!!。」

 

 

スサノオ「ああ、頼んだッッ!!。」

 

勇者達はスサノオの放つ一撃のため、足止めに入る。

 

烈火「言ったからにはやり遂げよッ!?。」

 

 

友奈「どのみち、コイツを倒してもゲートをどうにかしなきゃ意味がないからね!。」

 

潰れた身体のまま、異形は足掻き始める。

 

怨念…まさにそれを体現してか、執念の如く一同の命を狙う。

しかし、友奈達もまた死地を乗り越えてきた猛者だ。命の駆け引きなんていくらでも経験した。

 

怯むことなく、怖気付くことなく異形の攻撃を捌いていく。

 

勇者3人、防人1人、そして…擬似勇者2人。

 

スサノオの道を切り開くため、苛烈な攻撃を捌きながら時間を稼ぐ。

 

芽吹「ッ…まだ…!?。」

 

 

烈火「ぐっ…流石にキツイなこりゃ!!。ちょっと止めるだけでもこれかよッ!!。」

 

相手はまるで疲れを知らない化け物。そして、知能もある…怨念そのものであるその異形は抱えた恨みを晴らすがの如く、無尽蔵にも近いその腕の攻撃で徐々に追い込んでくる。

 

だが、遂に…スサノオの準備が整った。

 

スサノオ「待たせたな!!一旦下がれ、みんなッ!!。」

 

その号令に、コクリと頷く一同は散開する。天に掲げた拳を下げ、腰に力を入れて思いっきり地面を踏み込む。

 

左手で照準を合わすように前に突き出し、エネルギーを込めた右の拳を固く握り込む。

 

スサノオ「これは第一歩だ!!宣戦布告と受け取りやがれェエエエエッッ!!。」

 

大口を開けながら、異形が走ってくる。

 

スサノオ「プリキュアッッ!!レイジングブレイカァアアアアッッ!!。」

 

至近距離まで引き付け、その拳を咆哮と共に突きつける。

直後、光のエネルギーを放出するとともにその異形は断末魔を上げることなく粉砕。そして、衰えを見せないそのエネルギーはましろが形成した結界を砕いた。

 

夏凛「結界が崩れたわッ!!失敗すれば……!!。」

 

 

スサノオ「そんなもん、させるかぁあああああッッ!!。」

 

気合いの一言と共に、溢れ出す禍々しいエネルギーを押し返しながらゲートに直撃。その周辺の空間にヒビが生じた。

 

友奈「いった!!。」

 

確信した友奈。そして、ガラスが崩れたかのようにゲートはバラバラと砕け散った。

 

スサノオ「はぁ……はぁ……はぁ………よっしゃああああッッ!!。」

 

息を切らしたと同時に、限界が来たのかキュアアグニへと戻っては地面に倒れ込んだ。

 

東郷「鷹夜君、大丈夫!?。」

 

 

アグニ「…ああ…大丈夫…だけどこれ…消耗がすげぇな…指一本も動かせねェや………。」

 

力無く笑うアグニ。疲労感ゆえか、声もあがらない。

 

 

蒼葉「…とりあえず、一件落着だな?。」

 

…………………………。

 

…無事に戦闘を終え、スカイランド王都へと戻ってきた一同。

向かう先はましろを運んだ診療施設。

 

受付の案内を得て、ゆっくりと扉を開く。最初に出迎えたのはソラだった。

 

ソラ「皆さん、お疲れ様です!!。なんとかなったようですね!?。」

 

 

友奈「うん、鷹夜君の大立ち回りでね?それで、ましろちゃんは?。」

 

友奈のその問いかけに、ソラが壁際に避けると、視線を向けたましろが全員を見る。

 

意識を取り戻し、その様子に安堵を浮かべるが当の本人は力の無い眼差しを向けていた。

 

戻ってきてから始めてみるその表情…きっと、これが本性なのだろう。そして、か細い声で。

 

ましろ「おかえりなさい、みんな?。」

 

ただ一言、そう言った。

そして、一番後ろにいた鷹夜がましろに向かって歩き出す。

 

鷹夜「お前が見つけたゲートはぶち壊した。これで、しばらくは安泰だと思う。」

 

 

ましろ「そっか…ありがと?。結局はお任せする形になっちゃったね?ごめんね、みんな?。」

 

ハハ…っと笑うましろ。

しかし、それに反応したのは…鷹夜だった。

 

鷹夜「もう無理すんなよお前ッ!!。なんで謝るんだッ!?。」

 

 

ソラ「ちょっと鷹夜さんッ!!。」

 

ましろを庇おうと、ソラが立ち上がったがそれを遮ったのは…あげはだ。

 

何も言わずに首を横に振る。まるで、「やらせとけ」と言わんばかりの瞳で。しかし、あげはは理解していた。鷹夜がましろに何が言いたいのかを。

 

鷹夜「お前はずっと、抱え込んできたんだろッ!?。口では覚悟があるって言ってたけど、毎日毎日追い詰められてたんだろッ!?。」

 

鷹夜のその問いかけに、ましろは俯いて何も答えない。

ギュッと、シーツを強く握りしめて唇を噛み締めていた。何も答えないんじゃない、鷹夜の言った通りだから反論できないのだ。

 

鷹夜「あの時は俺も頭に血が昇っちまってた、だからお前の本当の心の声を聞いちゃいねぇ。けど、今は話してほしい。ここにはみんながいる、お前を大切だと思う仲間達がみんないるんだ。だから、お前の本当の心の声を…聞かせてくれよ…!。」

 

必死な呼びかけに、ましろは…ポロポロと大粒の涙を流しながら全員を見る。

 

その様子に一番反応したのはソラだった。無言でましろを抱きしめ、自分も涙を落とす。

 

そして、声を震わせながらましろは口を開いた。

 

ましろ「そうだよ……みんなには、覚悟があるって強がってたけど実際に私は…毎晩、同じ夢を見ていたの…。」

 

 

友奈「ましろちゃん……。」

 

 

ましろ「笑いながら街を焼き、逃げ惑う人たちに容赦無く攻撃を仕掛けていたあの時の私…そして、倒れた人は私を恨んだ目で見るの…「絶対に許さない」。そう訴えたい目で…。」

 

 

ツバサ「…でも、あなたは…!。」

 

 

ましろ「うん…わかってる…けどね、ツバサ君?例え、あの時の私が誰かに洗脳されていたとしてもこの手についた血は拭うことなんて出来ないの…一番怖いのは、無邪気にそうやって命を簡単に奪っていくこと…私は自分のこの性格の裏で芽生えた闇に気付いてなかった…でも、本質はそうだったんだなって。私はいつも…無理をしていた。」

 

 

烈火「……………。」

 

 

ましろ「だからねッ!?助けてくれた事は本当に感謝してる…大変な目にあっても、最後まで諦めずに私を助けてくれた事は本当に感謝してるのッ!!。でも、私はみんなに酷いことをした…助けられる価値なんて無いっていつもそう思ってた…だから、今回は1人でなんとかしようとした…私が傷付けた人達の痛みを知るために…。」

 

 

友奈「それは違うよましろちゃん!!。」

 

今にも泣き出しそうな目で、友奈はましろの頬に両手を当てた。

 

友奈「ましろちゃんの気持ちはすっごくわかる。同じ立場だったら私もきっとそうしてたと思う。けどね、ましろちゃんは本当に大切にされてるんだなって思うの!。じゃないと、ここまで必死になれないよ…私だって、ましろちゃんが大切…違う世界の大切なお友達なんだよ…でもね…どんなに苦しくたって、罪を背負ってたって、自分が自分を大切にしてないと心が折れちゃう…ましろちゃんが償いたい気持ちも折れちゃう事になるの…。」

 

目尻に涙を溜め、友奈は訴える。

 

友奈「私が言えることじゃないけど…もっと自分を大切にして?。その罪はみんなで背負えば良い…1人でずっと抱えることなんてない…そんな罪一つで、ましろちゃんは心を壊さなくて良い!!。私達が付いてるから大丈夫ッ!絶対に…大丈夫だからッッ!!。」

 

 

ましろ「っ…うぅ……友奈ちゃん…友奈ちゃぁああああんッッ!!。」

 

大声で泣いて友奈にしがみつくましろ。友奈もまた、ましろをあやすようにそっと頭を撫でる。

 

烈火「……お前が言いたかった事、友奈が全部言っちまったな?。」

 

 

鷹夜「…いや、俺はそこまで器用になれねぇよ。友奈だからこそ、ましろの気持ちをしっかりと理解してやれるんだろ。でも、その通りさ…。」

 

鷹夜は握り拳を作る。

 

鷹夜(俺にできる事は、敵をぶん殴れることだけ…けど、それが俺の出番で役目ってやつだ。それでいい、新しく得たこの力は…この最高の仲間達の為にあるものだ。だから俺は戦い続ける…優しい奴を悲しませない為に俺は……戦うんだ。)

 

 

…………………………end。




全ては仲間のために。

鷹夜が手にしたその力は敵を打ち払った。
そして、ましろは心の内に秘めていたその苦悩を吐き出し、一同はさらに絆を深めたと言えよう。

そして、数日が経ったある日…一同は樹を追って行った風を探す為に当初の目的へと戻る事に。未だ、目を覚さない洸と、気を沈めた園子には時間が必要だ。だからこそ、やれる事は自分たちでやろうと。

"無"に支配された樹…それを取り戻す鍵は…姉の風と、彼女のきっかけとなった蒼葉となる。

次回
第128話 その歌声を取り戻す為に。
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