〜ひろプリ×勇者であるシリーズ〜世界の壁を超えた出会い   作:やままん

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前回のあらすじ。


焔華が開発した<疑似勇者外装>。


迫りくる天災の再来に、烈火は戦う。


神に見初められし「勇者」と、人が造りし「疑似勇者」。


2つの「勇者」が今、天災に立ち向かう。


第11話 一輪の花、「勇者」と「擬似勇者」。

 

烈火「うおおおおおッ!!。」

 

 

<疑似勇者外装>を身に纏った烈火は、勇猛果敢に黒い星屑の群れに突撃。

 

 

剣型メイスを振り回して粉砕していく。

その戦闘データを収集すべく、焔華は端末を開いて烈火の戦闘を観察していた。

 

 

夏凛「ちょっとあんたッ!。離れてないと危ないわよッ!。」

 

 

焔華「お気遣いに感謝するよ。しかし、これは貴重なデータだ。これでも、命を懸けて戦う弟が心配なんだよ。」

 

 

夏凛(命を懸けて戦う弟が心配ですって?。よく言う…そう仕向けた張本人の癖に…。)

 

 

言っていることに、微塵の気持ちを感じ取れない夏凛は焔華に不信感を抱く。

 

 

そんな中、烈火はどんどん敵を屠っていく。

 

 

友奈「すごいけど、さすがに数が多いッ!。私たちも行くよ!!。」

 

 

夏凛「…ええッ!。」

 

 

烈火に続き、2人も駆けていく。

 

さすがといった所か。夥しい数の星屑に対して2人は冷静に対処。

お互いにカバーしあい、ダメージを負わないように立ち向かっていく。

 

 

烈火「…おお…。」

 

 

関心する烈火。

星屑はさらに加速し、烈火に体当たりを仕掛ける。

 

 

烈火「いてッ!。おい、この化け物が!!。」

 

 

地面を転がり、烈火はメイスを突き立てて停止。

再度、仕掛けてくる星屑を片手で受け止めた。

 

 

烈火「テメエ!。俺はサッカーボールじゃねェぞ!!。ポンポン、人を撥ねやがって!。もう許さねェ!!。」

 

 

星屑をそのまま地面に叩きつけ、掴んだまま走り出す。

 

<疑似勇者外装>で、身体能力が人離れしている烈火の加速は凄まじく、地面を削りながら星屑を引きずり走る。

 

その結果、摩擦熱によって赤熱化した星屑は発火し、轟々とその身体が燃えていく。

 

 

その様子を見た烈火は急停止。

燃える星屑の歯を掴み、投擲フォームを取った。

 

 

烈火「よい…しょおおおおおッ!!。」

 

 

勢いよく投げつけ、群れに突撃。

発火した星屑はそのまま突き抜けていき、爆散。

他の星屑にもその炎が燃え移り、巨大な火球が出来上がった。

 

 

烈火「このまま一気に満塁ホームランをぶちかましてやるよッ!。」

 

 

星屑の集合火球に近づく烈火は、メイスの柄を両手で握りしめ、打者のフォームを取る。

 

 

烈火「ぶっ飛びやがれェェェェェェッ!!。」

 

 

フルスイングで、殴打。

樹海内部を巨大な火球が駆けていき、凄まじい速度で星屑の群れを巻き込んで遠方に飛来。

大爆発を起こし、衝撃波が樹海全体に響き渡る。

 

 

夏凛「ちょ…戦法も何もあったものじゃない!。もう、滅茶苦茶よッ!。」

 

 

友奈「アハハ…でも、数は結構減ったよ?。」

 

 

夏凛「そういう問題じゃない!!。あんまり大騒ぎにすると、樹海化が消えた時に街に損害が出るかもしれないでしょ!?。」

 

 

友奈「あ…そっかッ!。」

 

 

夏凛「そっか…じゃないッ!。」

 

 

烈火「おお…飛んだな~。場外ホームラン…ッてか?。」

 

 

地面に着地する烈火は、2人に並び立つ。

 

 

夏凛「…あんたね、滅茶苦茶やりすぎよ。」

 

 

烈火「そうかぁ?。ま…必死だったから仕方ねェよな。」

 

 

樹海化が解除され、4人は讃州中学の屋上に立っていた。

 

 

焔華「状況終了。よくやった、かなりいいデータが取れたな。」

 

 

烈火「ん。」

 

 

烈火は、端末を焔華に返す。

 

 

焔華「どういうつもりだ?。」

 

 

烈火「どういうって…これでいいんだろ?。だから、返すって言ってんだ。」

 

 

焔華はため息を吐く。

 

 

焔華「…悪いが、お前は大赦の機密に触れている。それに、それを受け取ったという事は要求を飲んだ事になる。」

 

 

はっ?っと、烈火は目を丸くする。

その横で話を聞いていた夏凛が怒声をあげた。

 

 

夏凛「ふざけんじゃないわよッ!。彼は巻き込まれてんのよッ!?。バーテックスとの戦いがどれだけ過酷なのかは私達が一番良く知っているッ!。それが、勇者の宿命だって受け入れてんのよッ!。今更、誰かを巻き込んであんな辛い目に付き合わせるなんて真っ平ごめんよッッ!。」

 

 

友奈「か…夏凛ちゃん!?。」

 

 

焔華「お前達は今、この世界で「起きている異変」について何も知らないようだな。異常だと思わんのか、一度消えたはずのバーテックスが再び、現れている事に。」

 

 

夏凛「そ…それは…!!。」

 

 

焔華「上層の人間から聞いた話だが、この件に関しては「天の神」は関与していない。「高天原」からの干渉は一切無いと来ている。それに、あの黒い星屑達…バーテックス本体が現れるのも時間の問題だ。全てが異常なのだ…乃木園子の失踪もそれに関係している。」

 

 

夏凛「だ…だからそれは私達勇者が…!。」

 

 

焔華「神樹様亡き今、君達勇者が受けている加護も以前とは比べ物にならないほどにまで低下してきている。正直、いつ「勇者システム」が起動しなくなるのかも分からない。残滓のお陰で今は戦えているが、「満開システム」も機能するかも分からない状況に、この世界の人間達の命運を任せられると思うのか?。」

 

 

友奈「え……?。」

 

 

焔華「…大赦が無能ばかりの集団と思って貰っては困るな?。君達は良くやった…300年もの月日を掛けて取り戻した時代は間違いなく、勇者の功績だ。その功労者達にまだ戦えと言えるほど、血は冷え切ってはいないよ。神の時代は終わったのだ、今は人の時代…なら、神に見初められし「勇者」のお役目はもう終わっているとも言える。これからは…人が造りし「勇者」の時代となる。」

 

 

その言葉を聞いて、激昂しそうになる夏凛。

しかし、烈火がそれを止める。

 

 

烈火「…そんな言い方はねェんじゃねぇか姉貴?。わかったよ、このなんたら外装は貰ってやる。あんたの言う通り、乃木の捜索にも手を貸すさ。」

 

 

夏凛「ダ…ダメよ!。バーテックスとの戦いは過酷すぎる!一度その道に入っちゃったらあんた…もう戻れなくなるのよ!?。」

 

 

烈火「それはお前達もだろ?。同じ学校の同級生…ましてや、女の子達があんな化け物と戦ってるんだ。知らなかったとはいえ、俺らが今こうして退屈な日々を過ごしていられるのもコイツらのお陰なんだろ?。なら、手伝ってやるのさ。大赦の為じゃねェ…俺らの「自由」の為に戦ってやるって言ってるのさ。」

 

 

友奈「菱咲君…。」

 

 

烈火「だから姉貴、勘違いすんじゃねェぞ?。」

 

 

烈火は焔華に睨みを利かせる。

 

 

烈火「俺は自分の意思でこれを受け取ったんだ。だから、お前らの言いなりにはならねェ。だが、約束は守る。だから、そっちも約束しろ。「勇者がお役御免」だなんて死んでも思うな、そして…言うな。それが、この日常を取り戻してくれたコイツらに対して失礼だと思え。大赦のバカ共にもそう言っとけ、いいな…!?。」

 

 

烈火の訴えに、言葉を発さない焔華。

一呼吸ついて、眼を向ける。

 

 

焔華「…承知した。勇者の諸君、すまなかったな。私としたことが感情的になった。大赦の人間として、乃木園子の救出及び捜索は紛れもない最優先事項だということを伝えておく。そして、この世界に起きている異変についても、情報共有しよう。では…。」

 

 

踵を返し、焔華は去って行く。

 

その瞬間、烈火は深いため息をついて座り込む。

 

 

烈火「あーもうッ!。カッコつけちまったなぁ!。大赦のバカ共って言っちまったよ全く!。はぁ…目ェつけられたかなぁ…。」

 

 

そんな烈火を見て、夏凛は瞳を潤ませる。

 

 

夏凛「ううん…ありがと。私達の事、ちゃんと庇ってくれて。もう少しで心が折れそうだった。」

 

 

友奈「夏凛ちゃん…。」

 

 

夏凛「あんな辛い目に遭って、友奈も大変な目に遭ったのに「お役御免」だなんて言われたら…。」

 

 

そんな2人を見て、烈火は…。

 

 

烈火「…姉貴から話聞いてまだ信じられねェけど…こうして俺らが屋上でサボれるのも、お前達のお陰だって考えると…感謝してもしきれねェな。」

 

 

友奈「アハハ、サボっちゃダメだよ。」

 

 

烈火「はは、胸張っては言えねぇわな、それでもありがとうな?命かけてみんなの自由を守ってくれたんだろ?。」

 

 

友奈「そんな…当たり前のことをやってただけだよ?。誰かの笑顔が守れれば、命賭けてた意味はちゃんとある。だから…私達の戦いは決して無駄じゃなかったんだって…そう思えるんだ。」

 

 

烈火「そっか、改めてお前らのことスゲェと思ったよ。」

 

 

烈火は、焔華から受け取った端末を見る。

見れば見るほど、スマホに近いがこんな型式は見たことがない。

 

大赦は、神樹の信仰組織だとばかり思っていた。

だから、こんな近未来的な機械とは縁がないとばかり…。

 

 

<擬似勇者外装>。

 

 

勇者と似て似つかぬもの…紛い物の勇者。

 

烈火は思う。

 

勇者にとって変わる戦力を作る…本当にこの事だけにこれを開発したのか?。

 

こんなもの、簡単に作れる代物じゃないはずだ。

 

しかも、適合者が居なければ何の意味もない。

 

一体どうやって…姉はこんなものを作り上げたのか。

 

 

そう考えれば考えるほど、大赦の「闇」の部分について、気味悪ささえ覚えてしまう。

 

そして、勇者と同じく人離れした身体能力の獲得。

 

姉は…ただのデータだけでここまで精巧に構築出来たのか。

 

そう思うと、これを受け取った事に何か特別な意味があるのかもしれない。

 

 

烈火は、そう考えた。

 

 

烈火(蒼葉じゃねェが…もし、大赦がこんなものを大量に作り上げちまったら…やばい事になるんじゃ…。)

 

 

友奈「烈火君?。」

 

 

考え込む烈火の顔を覗く友奈。

思わず、慌てた反応をしてしまう。

 

 

烈火「ああ、すまねェ…考え事してた…ってか、いつの間に下の名前で?。」

 

 

友奈「アハハ、嫌だった?。つい、そう呼んじゃって…私達は同じ「勇者」。だから、お友達みたいなものかなって。ダメ?。」

 

 

烈火「いんや、構わねェよ?。その方が、親近感も湧くしな?。よろしく!友奈、夏凛!。」

 

 

2人に、手を差し出す烈火。

 

 

友奈「よ〜し、それじゃあ烈火君も「勇者部」の一員だね!♩。」

 

 

烈火「…ん?。ナンダッテ?。」

 

 

夏凛「何って…あんたもそう言う秘密を抱えてるんだから「勇者部」に入部でいいでしょ?。」

 

は…?。

それって…部活って事?。

放課後、真っ先に学校出れねェって事?、

 

そ…それは……。

 

 

烈火「い……嫌すぎるッッ!!。」

 

 

……………end。

 





<擬似勇者外装>の適合者となった烈火。

勇者と似て似つかぬものとなった烈火は、2人の勧めで「勇者部」に入部する事に。

「自由」を誰よりも愛する烈火は、時間に縛られるのも嫌いだった。

何気無い部活動の日々を送る毎日…そんな時に再び、バーテックスの反応…と、思いきやそこには「劇団」の1人である「ギガス」が現れて…。

次回
第12話 忍び寄る闇、「勇者部」VSギガス。
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