〜ひろプリ×勇者であるシリーズ〜世界の壁を超えた出会い 作:やままん
希望達は集まった。小さな光が大きくなるように、そしてこれからどんどんその明るさを増していくだろう。
この混沌とした時代に、未来のために……。
その一方、ソラシド市ではその混沌が押し寄せて来ていた。
そして…………。
……………………………。
"ボク"は最強だ。この宇宙において、敵は居ない。
だからとても"退屈"だ。この有り余る圧倒的な力を満たす者なんてどこにもいない…でも少し、気になる事がある。
…遠い世界、まだ訪れた事もないその世界でボクに匹敵しそうな存在を感じた…あらゆる世界でボクが最強になるためにその世界に向かおうと思う。
そう、全ては……ボク自身のこの力を誇示するため。
この面白そうな"ゲーム"に参加させてもらおう。
そして…力を証明して見せよう。
神にも勝る"無"という存在がこのボクよりも強いかもしれない…そう思うと、心が躍る。それと同時に気になる存在も居る。
"プリキュア"と"勇者"。
"無"に対抗する彼女らは一体……?。
……………………………。
〜ソラシド市、鷹夜の家〜
ソラシド市に残った芽吹を除いた防人メンバーの3人は鷹夜から自宅の鍵を預かり、そこで寝泊まりしていた。
ー鍵渡しとくから好きに使えよ、自分の家みてェにしてくれても構わねェからー
そう言って鍵を渡し、鷹夜達はスカイランドへと旅立っていった。
あれから随分の時が経った気がする…3ヶ月近くか。樹と風を連れてここに帰ってくるまではこの世界を守ろうと決めていた。
そして、勇者世界に残っていた亜耶もこちら側に来ていた。"無"との戦いにおいて、巫女の力は不可欠だ。事実、彼女の神託により先手を仕掛けたりと戦闘においては有利な状況へと運ぶ事が出来た。
亜耶の力はこんな世界になってから特殊なものへと変化していた。
元来、神樹の巫女として神の声を聞く事が出来る彼女は神樹亡き現在の勇者世界ではその残滓から語られる「情報」を元に神託として代弁する事が出来た。
しかし、その"神託"がこのソラシド市でも発揮出来るようになっていた。もしかすると、「神」という存在そのものの声を聞く事が出来る力が備わったのかもしれない。
そうなると、勇者世界の巫女の歴史における歴代最高の巫女となりうる可能性だってある。
今の彼女はそんな力を備えていた。
そして今、その亜耶は楽しそうに拠点としている鷹夜の家を掃除していた。
亜耶「〜〜〜〜〜♪。」
雀「亜耶ちゃん、今日もご機嫌だね?掃除、そんなに楽しい?。」
亜耶「はいッ!。鷹夜さんのお家はとても綺麗なんですが、綺麗だからこそお掃除をしっかりしないといけないので毎日が楽しいです。」
雀「まぁ確かに…タカの性格からすると散らかり放題なイメージがあったんだけど不思議と綺麗なんだよね。それに……。」
本棚に置かれている写真を見る。そこには幼い鷹夜と一緒に写る少し強面の男の人が写っていて。
雀(この人がタカの性格を作った人なんだよね…タカはロクでもないけど、世話になった人だって言ってた。じゃあ、タカの本当のお父さんとお母さんはどうしてるんだろう……少し、気になる…。)
しずく「…加賀城、藍葉の心配をしてるの?。」
のそっと横から顔を出すしずく。雀は驚き、声を上げる。
雀「ぎゃあああッ!何、心臓止まるかと思ったッ!。」
夕海子「ここ最近の戦闘で少しは変わったかと思いましたがその臆病さは相変わらずですのね。」
雀「そう簡単に変われるわけないじゃん、バカなの…?。」
「お前達、そろそろ用意するんだ。訓練の時間だぞ。」
そこへ、ジャージ姿のシャララがやってくる。芽吹に頼まれ、今は彼女がこの3人を見ていた。
雀「たいちょー…たまには休ませてくださいよぅ…。」
シャララ「そういうわけにはいかないだろう。ソラ達にここを託されたんだ、残る私達が守り抜かねばならない。それに、私自身も強くならなければならないのだ。目標としていた人が殺されてしまったからな。」
そう言って、剣を握り締めるシャララ。ミラーパッド越しだがシャララもまたリオンの葬儀に参加していた。その胸のうちに秘めるのは…"悔しさ"。リオンを殺めたナイアルに対する怒り。
シャララ(いつか、貴方に届かせようと思ったのだがな……あの狂人は必ず倒す。あれは野放しにしてはいけない…倒して必ず、罪を償わせる。)
3人が日課の訓練へと着手するための用意をしようとしたその時…亜耶は手に持っていたバケツを落としてしまう。
しずく「国土、大丈夫?。」
覗き込んだしずく。その時の亜耶の目は光を失ったかのような目をしていた。
夕海子「もしかして"神託"ですのッ!?。それにしても、国土さんの様子がおかしくなくて…!?。」
亜耶は突然、ガタガタと震え出して空を見る。その様子はとても怯えたように見えて。
亜耶「"来ます"。絶望を持って…"無"の大軍勢が…"王"が。」
その瞬間、空が赤く染まる。
今までにない現象…度々現れていたDMとは違うとてつもない気配。
地面に伝わるほどの空震…そして空が…"割れる"。
「…なんだ…プリキュアと勇者はまだここに帰って来てないのか?。全く、向こうで目的は終わらせたというのにのんびりなものだな…ここを滅ぼすけど、かまわないよね?。」
響く少女の声。その正体に、防人達は困惑する。特にしずく…彼女は"彼女"の事を知っていた。
しずく「え…なんで…死んだはずなのにどうして…三ノ輪…?。」
夕海子「三ノ輪?もしかして…先代勇者の方ですかッ!?。おかしいです…彼女が生きているはずがないッ!彼女の勇者システムは三好さんが…ッ!。」
亜耶「…あれは"王"です…仮初の姿…肉体がないから"彼女"の姿を借りて来てるんです。魂を縛り付けて、その姿を借りてるだけに過ぎません…!。」
銀「へぇ…巫女というのはあたしの正体も見破れるというわけ…か。アハハ、確かにその通りさ。でもね、身も心も「三ノ輪銀」そのものさ。"我"には自我がないからね…だから"あたし"の姿をすればこうして会話が出来るというわけ…人間というのはコミュニケーションを取らなければならない面倒な生き物だ。理由をやたらと聞きたがる…だからこうして、わざわざ化けて出て来てるのさ。」
シャララ「悪趣味だな、人の心を抉るような事を。だが偽物と分かれば問題無い。」
静かに剣を抜くシャララ。だが、怨嗟の星屑の大軍団が空を埋め尽くす勢いで現れる。
銀「やれるかい、君達に…この滅びの使徒達を相手にたった4人で守り切ってみせなよ…この世界をッ!。」
その直後、怨嗟の星屑達が一斉に襲い掛かる。まるでミサイルのように、大口を開けて突撃。
雀達は戦闘装束を身に纏って応戦。その物量差故に散開してしまう。
雀「うわわわ、これヤバいんじゃ…ッ!。」
シャララ「弱気になるなッ!気持ちで負ければ圧倒されるぞッ!。」
銀「その通り、でも気合いだけじゃ無理だって事を教えてあげるよ。そう、これが現実だ。」
その時、空間を破って炎に包まれた怨嗟の星屑がシャララに激突する。
シャララ「がは…ッ…!?。」
雀「た…たいちょーッ!?。」
雀は辺りを見渡す。夕海子とシズクがボロボロになりながらでも敵を倒していっている。だが、それも直に限界が来るだろう。
夕海子「はぁ…はぁ……くっ…まるで虫のように湧いて出て…ッ!。」
シズク「クソ、隊長がやられちまったぞッ!!。コイツ…遊んでやがるッ!。」
銀「退屈だ、あたしも参加させてもらうぞ!?。」
地面を蹴って飛び出して来た銀はシズクに狙いを定める。振り翳される2振りの戦斧はシズクの銃剣を粉々に砕いた。
シズク「なっ!?ぐおおおッ!?。」
夕海子「シズクさんッ!ああ…ッ!?。」
追撃で飛んできた衝撃波で吹き飛ばされたシズク、そしてそれを助けにきた夕海子もまた、放たれた一撃により家屋に突っ込んでいく。
雀「み…みんなぁああッッ!!。」
恐怖を押し殺し、雀は走り出す。そして、倒れる3人の前に立って盾を全面に構える。
銀「何が出来るんだ?そんな薄い盾でさッ!!。」
大振りの一撃が雀の盾にぶつかる。
その場にこだまする金属音はとても重く、防いでいるのにその重みでダメージを受ける。
シズク「か…加賀城…ッ!。」
夕海子「いけませんわッ!まるで防御が効いてないッ!!。」
雀「っうう…腕が砕けそう…でも、守らなきゃ…みんなが帰ってくるから……それに、誰も死んでほしくないから…ッ!。」
何度も攻撃を受け続け、盾にヒビが入り始める。
身体は軋むし、腕は砕けそうでとても痛い。逃げたい思いが込み上げてくるも、雀の脳裏にはスカイランドに向かった鷹夜達が浮かび上がる。
本当は自分もついていきたかった。でも、きっと足を引っ張るかもしれないからせめて帰ってくる場所だけでも守りたいーーー。
その思いが恐怖を乗り越えていた。だが無情にも、敵の攻撃は苛烈さが増すばかり。
そして遂に……雀の鉄壁の防御が砕けてしまった。
銀の攻撃に加え、怨嗟の星屑の突撃を35発も受け切ったのだ。流石の雀でもそれは無理だった。打ち上げられる身体が宙を舞う。朦朧とする意識と共に、仲間達の声が聞こえる。
銀「あはは、すごいなお前!。こんな人間、初めて見たよ…でも、無理だったようだね?さ、コイツらの餌になりなよ。よく頑張った方だよ?。」
16体の怨嗟の星屑が落ちてくる雀を捕食しようと大口を開けて迫り来る。
雀(…ぁ…これ…死んだな……嫌だなぁ…化け物に食い殺されるなんて……ごめん、タカ…私……守れなかったよぉ……。)
涙を落とす雀は目を閉じて最も恐れていた"死"を迎え入れようとした。
亜耶「!!!。また"来ます"…今度は……とても大きな力…。」
2度の神託を受けた亜耶。するとその時、雀を捕食しようとした怨嗟の星屑が一瞬にして消し飛んだ。
そしてそれは、銀も感じ取る。だが、感じたことは……途轍もない力。
銀(なんだ、何が起きた?"誰"が来た?この力は……我々とは違う別の…"破壊の力"!?。)
黒い閃光が奔った。その瞬間、空を埋め尽くしていた怨嗟の星屑は一瞬にして消滅。そしてその先には……白い衣を纏った少女が立っていた。
雀「…え……何……誰…?。」
「…とても大きな力を感じた…どうやら、ボクの力を証明するには打って付けなのかもしれない。そこの赤い奴、ボクと勝負しよう。」
少女の声の裏にある強烈な「闘気」は無意識にその場にいるものを身震いさせた。それは、剣の達人でもあるシャララもだ。
シャララ(なんだあの少女は…何か危険な気配がする……それにあの姿は……。)
銀はゆっくりと斧を構え、その少女を見る。
銀「…お前は"誰"だ?。"我々"とは違った力を感じる…とても危険な力だ…。」
銀の問いかけに、その少女の表情は変わらない。少女は歩きながら地面に倒れる雀達を見ることもなくただ一点…銀を見つめていた。
それはまるで、好敵手を見つけたような高揚感に満ちた眼差し。
そして、見られたものが感じたのは……途轍もない気迫。
「…ああ…そうだ、"プリキュア"って名乗りをあげるんだった……よく分からないから慣れないな…。」
少女は"プリキュア"と名乗る。
シュプリーム「"シュプリーム"だ。全宇宙で一番強い…存在だ。」
………………………………end。
突如としてソラシド市に現れた謎の少女「シュプリーム」。
銀の姿をした"王"はその存在に警鐘を鳴らす。
唯一、"無"を脅かす存在…この少女を本能的にそう捉えていた。
"彼女"が求めるものは純粋な力比べのみ…"プリキュア"と名乗る割にはその行動理念がまるで見えない。
そして、このソラシド市で「最凶」と「最強」がぶつかり合う…。
次回
第140話 "破壊"と"無"、「最強」VS「最凶」。