〜ひろプリ×勇者であるシリーズ〜世界の壁を超えた出会い   作:やままん

145 / 146
辿り着いた世界。

そこは……"何も無い"世界だった――。


第142話 崩壊した"未来"。

 

 

…スカイランドでは、いろんな事が起きた。

元々は樹を追って、俺達の前から姿を消した風先輩を探しに追いかけただけだったのに、いつの間にか大きな戦いに巻き込まれて…。

 

「本当の敵」と遭遇して…俺達のこの“旅"はどんどん深みに堕ちていっている気がする。

 

――「もう一つの世界線」の戦いも終わらせた。千景の魂を救った。ましろを取り戻した。そして…樹も帰ってきた。

 

なのに、状況は殆ど良くなっていない。それどころか、どんどん悪化している気がする。俺達は…軽く見ていたのかもしれない。

 

 

 

そう、この……

 

――――崩壊した"未来"を見て。

 

 

 

――――――――――。

 

――て……。

 

鷹夜(…………。)

 

―きて…ッ!。

 

鷹夜(…………。)

 

起きてッッ!!。

 

 

鷹夜「…………はっ…!?。」

 

 

目を覚ました俺の目に映るのは、俺の身体を揺さぶりながら必死に声を掛ける少女…虹ヶ丘ましろ。

 

何やら、慌てている様子だ…他の奴らは?。

確か、俺達はスカイランドから次の世界に向かう為に"門"を潜ったはず…いや、次の世界って…何処に向かうつもりだったんだ?。それさえも、朧げだ…そして、何故か俺はましろの膝の上で眠っていた。

 

 

鷹夜「まし…ろ…?。」

 

ましろ「良かったぁッ!。目を覚まさなかったらどうしようって思っちゃった…私1人が先に目を覚まして…不安だったの…。」

 

 

今にも、泣きそうな顔をするましろ。

そんなに眠っていたのか…悪い事をしたな。そう思いながら、俺は身体を起こす。…身体の節々が痛ェ…まるで、地面に叩きつけられた後のような感覚…一体、何が起きてんだ…それに、「私1人」ってどう言う事だ…?。

 

状況を整理する為に、寝ぼけた脳を覚まさせる。

 

 

鷹夜「…状況が飲み込めねェ…他の奴らは…?。」

 

 

そう問いかけるも、ましろは首を小さく横に振るだけ。

まさか、またはぐれちまったのか?。そうなると、探しに行かなきゃなんねェな…まずは、ここが何処だか知る必要があるが……。

 

そう思いながらも、ゆっくりと立ち上がって辺りを見渡す。

そして俺は……息を呑んだ。

 

 

鷹夜「――おい、何処だ…ここ…?。」

 

 

――周囲を見渡すも、広がるのは崩落した建物の数々。

まるで、世界の終わりを告げるかのような光景…空も薄暗く、そして…静寂が広がっている。

 

 

ましろ「…分かんないの…けど、何となくだけど…ここ……ソラシド市だと思う……。」

 

鷹夜「何だって!?。んなバカな…俺達がスカイランドに行ってる間にどうなっちまったんだッ!?ここには、シャララ隊長や雀達が残ってたはずだろッ!?。まさか…やられちまったのかッ!?。」

 

ましろ「そんなことはないって信じたいけど…コレ……。」

 

 

ましろが見せたのは、掲示物の破片のようなもの。

殆どが焼け爛れ、視認しずらいが文字が何となくだが読み取れる。そこには……。

 

 

鷹夜「…シド…市……安全………なんだこれ…。」

 

ましろ「安全パトロールを告知する掲示物だと思う。ソラシド市では、そういった週間があるから…だから、ここはきっとソラシド市で間違いないと思うの。」

 

鷹夜「ッ……何でこんな事に…ッ!!。」

 

ましろ「あ…あのね鷹夜君……この状況もそうだけど…もっと信じ難い事があってね…。」

 

鷹夜「何だよッ!!。」

 

 

つい、声を荒げてしまう。

ビクッと、身体を震わせるましろ。すぐに我に帰り、俺はましろに謝る。

 

 

鷹夜「…すまねぇ…当たっちまって…頭がこんがらがって、冷静に考えられなかった。本当にすまねェ…そんなつもりは無ェんだ…。」

 

ましろ「分かってるよ。私だって、まだ状況が飲み込めてないもの…一旦、落ち着こう?。はぐれちゃったみんなの事もあるけど…私が知った事もちゃんと教えたいから。」

 

鷹夜「…そうだ…信じ難い事ってなんだ?。何か分かった事があるのか?。」

 

ましろ「――これを見て?。」

 

 

そう言って、落ちていたカレンダーを拾い上げるましろ。

そこに書かれていたのは……。

 

 

鷹夜「20…33年…?。」

 

ましろ「うん…西暦2033年を示すカレンダーの表示。ここにはそう、書かれているよね?。だからここは…私達の時代から10年後のソラシド市…"未来"のソラシド市だと思う。」

 

 

"未来のソラシド市"。

 

それを聞いた鷹夜は、言葉が全く出なかった。

時間を超えた?何故…時間を超える意味なんて全く無い。脅威は目の前にあるというのに今度の転移では何故、こんな荒んだ未来に飛ばされたというのか?。

 

――その時、俺は思い出した。

スカイランドでの旅を終えて、次の世界に向かう為に「門」を潜った事…そして、その最中で"ある襲撃"を受けた事。

 

 

鷹夜「――あの野郎…"スキアヘッド"の野郎だッッ!。」

 

ましろ「それだけじゃない…シン・バーテックスの一体も横入りしてきた……多分、私たちを分断させる為に狙った事だと思う。これは多分だけど、フレアの言ってた「転移事故」というやつじゃないかな…。」

 

鷹夜「クソ…じゃあ、他のみんなもここにッ!?。」

 

ましろ「分からないけどあの時、私だけが飛ばされた時に鷹夜君が私の手を掴んでくれたから…そうじゃなかったら、きっとここに辿り着いたのは私だけだったかもしれない…。」

 

鷹夜「…最悪だ…今回ばかりは状況が全く違う…俺達はその事故に巻き込まれて本来の目的地から外れちまったと言うことか…他の奴らだって

何処に飛ばされたのか全く分からない上に、転移するにはフレアの力が必要だ……それに、未来がこんな事になっちまってるって事は……。」

 

ましろ「…私達が…"敗けちゃった"……。」

 

 

――この荒んだ未来の光景を見て、その経緯を何となく察した2人。

これが正史ならば、自分達は敗北した事になる。

 

―"劇団"に。アンダーグ帝国"に。そして…"無の軍勢"に。

 

そして、この事故が自分達の辿る"歴史"だとすれば……。

 

 

鷹夜「――認めるかよ…こんな結末…!。」

 

ましろ「鷹夜君…。」

 

鷹夜「全員で生き残るんだ!。誰1人欠ける事もなく、今度こそ全員で!やっと、全員が一つになったんだ!。あんな奴らの好きにさせてたまるか!。何とかして、元の時代に帰る方法を考えねェと…!。」

 

 

元の時代に帰る。

これが、この"結末"を変える一歩になるかもしれない。いや、なる。

 

そうと決まれば、やる事は一つ。

 

 

鷹夜「―前に進もう。俺達が前に進む事で変えられるかもしれねェ。」

 

ましろ「…うんっ!。」

 

 

 

 

差し伸べられた手を握るましろは、その手を引かれながらこの荒廃した地を鷹夜と共に突き進んでいく。

 

不思議と、不安が消えていく…方法なんて、無いのかもしれない。時間を越える手段なんて全くと言って良いほど思いつかない。

 

けど、この手を握っていると勇気が湧いてくる。無理に等しいことでも、やれるかもしれない。

 

――こうやって、私の"事"も諦めずに手を伸ばし続けてくれたんだ…。

 

そう思うと、彼に降りかかって来た苦難の数々は途轍もないほど大きなものだと感じる。

 

"劇団"の「道化師」によって「闇の種」を植え付けられ、私は一度、"世界の敵"となった。混じり合う事のない二つの世界を無理矢理繋げ、この大きな混乱の発端となったのは、紛れもない自分自身だ。

 

これは大きな罪であり、決して拭う事の出来ないもの……私の心が弱かったから、闇に飲み込まれてしまった。あの時、取った行動を思うと今でも胸を締め付けられる。多くの人を傷付け、大切な人達を傷付けそして……涙を流させてしまった。

 

けど、みんなが諦めなかったからこそ、私はもう一度"ここ"に戻ってくる事が出来た。そしてそれは…ずっと手を伸ばし続けてきた彼が居たからこそ。

 

そんな彼が、今度はこの"結末"を変えるためにまた大きな壁に立ち向かおうとしている。

 

だったら私は…――――。

 

 

ましろ「…貴方を支えてみせる。」

 

鷹夜「ん?なんか言ったか?。」

 

ましろ「ううん、何も。頑張ろうね、鷹夜君?。」

 

ギュッと、その大きな手を握る。

 

 

――しばらく突き進んでいると、やがて大きな建物へと辿り着く。

そこには、飛行機の残骸が幾つも転がっていた…よく知っている。ここは…「ソラシド空港」だ。

 

 

鷹夜「…空港…か。人っ子一人も居ねェな。やっぱり、同じ年号…やっぱ、10年後というのは間違い無ェ。それにスキアヘッドの邪魔が入ったとはいえ、あの野郎がシン・バーテックスと一緒に邪魔しやがったと言う事は…――。」

 

 

「互いに利用したに過ぎん。向こうの"王"はその辺りを弁えているようだな?。」

 

 

ましろ「!!!。」

 

 

その声の主に、全身の毛が一気に逆立つ感覚に襲われる。

その目線の先には…。

 

 

鷹夜「――スキアヘッドッ!。」

 

スキアヘッド「「転移事故」に巻き込まれたとはいえ、生きているとはな。流石のしぶとさだ。」

 

鷹夜「…馴染み深い奴とようやく出会えて一安心したぜ。この世界、静かすぎて寂しかったからな…!。」

 

スキアヘッド「減らず口を…。」

 

ましろ「教えて!他のみんなは何処ッ!?。」

 

スキアヘッド「知らんな。この私でさえも「転移事故」の顛末を予測することなんて出来ない。運が悪ければ死んでいる…そうとしか言えんな。」

 

ましろ「そんな…ッ…!!。」

 

鷹夜「大丈夫さ、みんな生きてる。きっと、俺達と同じように前に進んでるはずだ。信じろ、アイツらを!。今はとりあえず、コイツが現れた事が幸運だ!行くぞましろ!コイツをぶちのめして元の時代に帰るッ!。」

 

ましろ「うんッ!。」

 

 

2人はそれぞれの変身アイテムを構える。

 

 

鷹夜「プリキュアッ!ボルケーノコネクトッ!アグニッ!。」

 

ましろ「スカイミラージュ! トーンコネクト!ひろがるチェンジ!プリズム!。」

 

 

眩い光に包まれ、この荒廃した大地に歴史を変えるべく2人の戦士が並び立つ。

 

 

アグニ「燃え上がる闘志ッ!キュアアグニッ!。」

 

プリズム「ふわり広がる優しい光!キュアプリズムッ!。」

 

 

スキアヘッド「…どうやら、お前達二人が「鍵」のようだ。」

 

アグニ「「鍵」!?。」

 

スキアヘッド「この光景を実現させる為に消えなければいけない…という意味だ。」

 

 

強襲するスキアヘッド。

アグニはすかさず防御体制を取り、その攻撃を受け止める。

 

 

スキアヘッド「…"闘神"の名を持つ戦士「キュアアグニ」とかつて"破滅の姫君"と呼ばれた「キュアプリズム」…お前たち二人を屠れば、少なくともこの結末に直結する歴史へと進める事が出来る。」

 

プリズム「私はもう"破滅の姫君"なんかじゃないッ!。悪を倒してみんなの明日を守るヒーローだよッ!!。」

 

 

鋭い蹴りの一撃がスキアヘッドの懐に入るが、ニヤリと笑みを浮かべてその足を掴む。

 

 

スキアヘッド「一度、闇に堕とされた者はすぐにまた堕ちる事になる。例え、植え付けられた意思だとしてもそれは貴様の中に眠る"一面"なのだ。」

 

プリズム「分かってるよッ!。だからこそ、心を強く持たなくちゃいけないんだ!そうならない為にッ!。」

 

 

身体を捻らせてもう片方の脚で蹴り付けるプリズム。

思わず仰け反ったスキアヘッドの懐にはアグニが既に潜り込んでいた。

 

 

アグニ「もうコイツを誰にも連れて行かせはしねェ!泣かなくて良い奴が泣くなんてそんなもんッ!。」

 

 

炎を込めた拳が腹部に減り込む。

 

 

アグニ「この俺が許さねェッ!。」

 

スキアヘッド「……ククク…素晴らしい……度重なる困難を乗り越えてここまで強くなったか…だが、現実を知ると良い。貴様達がいくら叫ぼうと、抗おうと決して覆せない絶対的な"存在"というものがあると言うことを。」

 

 

スキアヘッドの傷が瞬時に塞がる。

そして、その手にはアンダーグエナジーが渦巻いていた。

 

 

スキアヘッド「そしてそれは、お前達の目の前にいる。そう…この"私"だ!。」

 

 

収束されたアンダーグエナジーが剣へと変わる。

そしてそれを振るうと、地面を抉り取るほどの衝撃波が二人に襲いかかった。

 

 

プリズム「きゃあああッッ!。」

 

アグニ「ぐっ……クソ…コイツ……本気を出してきやがったか…!!。」

 

 

スキアヘッド「伝説の戦士・プリキュア…最期の時だ。二人仲良く死ぬが良い……ッ!!。」

 

 

 

迫り来る闇の一撃。

この一撃が、全ての"命運"を分ける…――。

 

 

……………………………end。




荒廃した未来世界での戦い。
これは、この未来を決定付ける戦いでもあった。

負けられない。

困難に阻まれ、見えなくとも分厚い壁に阻まれた二人の戦士が今…。


――その手を互いに握り締める。

次回
<終章第一幕>
第143話 閃光の剣。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。