〜ひろプリ×勇者であるシリーズ〜世界の壁を超えた出会い   作:やままん

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前回のあらすじ。

<擬似勇者外装>の適合者となった烈火。

人工的に作られた「擬似勇者」としての能力を得た烈火は、友奈達の勧めで「勇者部」に所属する形となった。

それは瞬く間に学校中で噂になり、烈火は慣れない部活動という枠組みに四苦八苦していた。

その一方で、ソラシド市に現れた「劇団」の<指導者>ギガスがこの世界にやってきていた…。


第12話 忍び寄る闇、「勇者部」VSギガス。

 

〜讃州中学、屋上〜

 

 

烈火「あ〜…かったりぃなぁ…。」

 

 

いつもの如く、屋上で友人の蒼葉とサボる烈火。

晴れ渡る空に、なだらかな波を描く海。

いつものような、退屈だと思える日常がやってきていた。

 

物陰で、蒼葉は相変わらず持ち込んでいたタブレットで調べ物をしていた。

 

 

烈火「ま〜た、調べ物かよ〜。飽きねェなぁ…。」

 

 

蒼葉「探究心無くしては、人は成長しない。俺は、「外」の世界が知りたいだけさ。相変わらず、大赦はその辺りの情報を回してこない。どうでもいいオッサンが、神官職に就任しましたなんざ誰得なんだって話だよ全く。」

 

 

烈火「お〜お〜…なかなかの毒を吐くねェ?。」

 

 

蒼葉「…そういうお前は、少し雰囲気が変わったな?。そりゃ、そうか…あの天下のサボり魔自由人であるお前が……。」

 

 

バタンっと、屋上に上がる扉が開く。

 

 

友奈「いたいたッ!烈火君、部活の時間だよ〜!。」

 

 

そう、変わった事がある。

 

それは「部活動」をする事になった事だ。

 

 

蒼葉「うちの学校でかの有名なあの「勇者部」に入部したんだからな。」

 

 

烈火「いぃッッ!?。マジでやんのッ!?。」

 

 

友奈「当たり前だよッ!。まだ、みんなと顔を合わせてないでしょッ!?。」

 

 

烈火「ちょッ…引っ張るなって!。蒼葉、助けてくれぇェッ!。」

 

 

蒼葉「行ってこいよ、青春を謳歌するチャンスだぞ。」

 

 

友奈「そうそう、咲良君のいう通りだよ!。ごめんね咲良君、烈火君連れてくよ〜!?。」

 

 

蒼葉「ああ、構わないさ。とことんコキを使ってやってくれ?。」

 

 

烈火は友奈に連れていかれ、その場には蒼葉がただ1人。

 

 

蒼葉「…<擬似勇者外装>…やはり、大赦は…いや、菱咲焔華は作り上げていたか…。」

 

 

蒼葉は、タブレットの画面を切り替える。

そこには、「<擬似勇者外装>アイリス」と表示されていた。

 

 

蒼葉「いくつか、試作を兼ねたものがあったようだな…破棄データを抜き取るのに苦労した。どうやら、烈火が纏う外装のデータが纏まれば乗り出すつもりだな…?。」

 

 

蒼葉「…「外」の調査…いや…「神隠し」の先に繋がる「世界」への転移実験を。」

 

 

……………。

 

 

烈火「菱咲烈火ッ!。2年ですッ!!。」

 

 

部室に連れてこられた烈火は、目の前にいる友奈、夏凛を含めて5人の少女に自己紹介する。

 

 

風「へぇ、あんたが噂の…。」

 

 

3年の、犬吠埼風。この部の部長だ。

そして、1年の犬吠埼樹は彼女の妹で……。

 

もう一人が東郷美森。

同い年の、超が付くほどの美人だが何せ…。

 

 

怖い。

 

 

東郷「菱咲君、もしかしてだけど…咲良君も入部…なんてあったりしないわよね?。」

 

 

その笑顔に、全く感情が籠っていない。

そう、彼女と蒼葉は何故か…犬猿の仲とも呼べるほど、互いに嫌っていた。

 

 

事の発端は、蒼葉が転入してきたとき。

そう、蒼葉は数か月前に高知から越してきた転校生だった。

 

その際に、蒼葉は東郷の顔をじっと見ていた。

そして、一言こう言った。

 

 

「うん、全然怖くないな。良かった、「同じ」だったらどう接していいか困るところだった。」

 

 

一体、何のことを言っていたのか…言われた本人はおろか全員が理解不能。

しかし、初対面でいきなりこんなことを言われた本人は、最初に抱くイメージが最悪だったと思う。

 

 

そこからか、事あるごとに2人はお互いに話そうともしない。

それどころか、烈火も時々思う蒼葉のよくわからない面に警戒の色を示している。

それもたまに、友奈を見ている時も。

 

そこが一番、気に喰わないところなのだろう、手の内を全く見せない蒼葉に信用していないのが一番の理由に近いと思う。

 

 

その関係性を知る烈火は、思わず冷や汗を掻く。

 

 

烈火「は…はいッ!。奴は入部してこない…でありますッ!。」

 

 

そう、自然のこんな不自然な言動となってしまう。

 

 

東郷「そう、良かった♪。」

 

 

友奈「ねェ、なんで咲良君のことをそんなに嫌うの?。」

 

 

東郷「あのね、常識知らずもそうだけど…得体の知れない考えを持っている人は信用しちゃダメ。後ろから撃たれることになるの。つまり、そういう事よ。」

 

 

烈火(お前…相変わらず、嫌われとるがな…蒼葉…。)

 

 

風「まあまあ、そこは置いといてさ?。あんたが「疑似勇者」だって夏凛に聞かされてんだけど…そもそも何なのそれ?。」

 

 

烈火「えっと…俺も良くわかんねェんだよな…。」

 

 

樹「ええッ!?。大丈夫なんですかッ!?。」

 

 

烈火「姉貴の話は難しすぎて理解できねェんだよ。なんか、勇者にとって代わる新しい戦力っぽいけど…。」

 

 

夏凛「昨日、そのことで兄貴に聞いてみたんだけどね…いろいろ分かったことがあるわ。菱咲焔華…大赦の天才科学者とも呼ばれる逸材よ。「海祇機関」と呼ばれる研究チームの主任って聞いたわ。神官職の人たちも、神の加護を失った今の世界で最も重要なのが「科学力」としているからね。だから、その研究チームに白羽の矢が立ったというわけ。」

 

 

風「ちょっと待って、それってもしかして…。」

 

 

夏凛「ええ、「外」の調査よ。」

 

 

「外」…それはまさしく、300年前に滅んだ本州を含めた「世界中」のことを差す。

天の神の撃退後、結界が解けてその姿を現した「外」の世界。

 

ここからはほんの少し、その姿が見えるがまさしく荒廃したままの世界。

西暦時代から時を止めたそこは、研究者にとってはとても興味深い内容となっている。

しかし今現在、「外」への出入りに関しては大赦がキツく取り締まっている。

300年もの月日が経ち、そのままの状態だ。何が起こるか分からない。

 

これは、妥当な取り締まりだ。だからこそ、大赦お抱えの研究機関がその調査の指揮をとっている。

烈火の姉はまさしくそこの研究主任…当然、「外」の状態についてはよく知っているはず。

頑なに、その研究成果を発表しないとなると蒼葉の言っていた通り、「何か理由」があるのかもしれない。

 

自ずと、全員がそう判断してしまう。

 

 

風「…「外」か…もしかして、今起きているこの「異常」について関係があるのかしら…消えた乃木ももしかしたらそこに…。」

 

 

風のその言動に、東郷は手を振るわせる。

そんな様子を見て、そっと手を置く友奈。

 

 

友奈「きっと大丈夫。園ちゃんなら、自分に置かれた状況も難なくこなしていつもの笑顔でまた会える。だから…。」

 

 

東郷「ええ…ありがとう、友奈ちゃん。」

 

 

烈火(乃木は、みんなにとって大事な仲間なんだな。こりゃ、俺も真剣にならんとな…。)

 

 

こうして、烈火の入部初日は終わりを迎えた。

 

 

その一方、海岸線で不穏な影が一つ。

 

ソラシド市に居たはずの「劇団」メンバーであるギガスは、この世界にやってきて讃州中学の方向を見据える。

 

 

ギガス「…ここに、勇者と呼ばれるガキどもがいるのか…アデルの奴、得体の知れないこの世界の事を調査しろと言っていたが…ククク、どんな野郎どもなんだろうなぁ?。あの乃木園子という勇者みてェにちっとは骨がある奴かぁ?。」

 

不敵な笑みを浮かべるギガスは、拳を鳴らして心を躍らせ姿を消す。

 

……………。

 

数日間、何も無しで過ごして来た日常。

 

烈火は相変わらず部活という経験の浅い体験で疲れ果て、教室で眠りこけていた。

 

あの、菱咲烈火が……。

 

クラスメイトがヒソヒソ話でそう話しているのが聞こえる。

無理も無い、毎日屋上でサボっている変な奴だと思われてるから。

ましてや、あの有名な「勇者部」。

表向きはボランティア活動がメインだがその実態はこの世界を守る「勇者」で結成された部活。

そこに入った唯一の男子生徒。無論、下心で入ったのでは無いかと噂が立つが烈火は何も気にしない。

 

そんな日々を過ごしていたその時、教室が…いや、世界そのものが「静止」する。

 

それと同時に、端末からけたたましい「警告音」が鳴り響く。

 

 

烈火「な…なんだぁ!?。」

 

 

風「樹海化警報よッ!。バーテックスが出たッ!。」

 

 

風が慌てた様子で烈火を呼びに来る。

 

校庭に出る一同。しかしそこにいたのは、バーテックスでもなく星屑でも無い。

 

人間…だった。

 

 

夏凛「はぁ!?。人ッ!?。」

 

 

ギガス「ククク…要領さえ掴めばこういうフィールドが形成されるのか…全く、よく出来たシステムだなぁ?。それほどにまで、人に危害を加えたくねェか…死してなお、寛大な神様だなぁ?。」

 

 

樹「えっと…あのッ!。危ないですよ、避難してくださいッ!。」

 

 

ギガス「ああ気にすんな嬢ちゃん。これ、やったの俺様だからな。」

 

 

東郷「どういう事…樹海化は防衛結界…だとしたら、あの人は「災厄」として認定されてる…?。」

 

 

烈火「何が何だかわからねェけどあいつ、ヤベェ感じがするッ!。行くぞ、みんなッ!。」

 

 

烈火の掛け声に、戸惑いながらも全員が戦闘装束を身に纏う。

 

 

ギガス「ヒャハッ!いいねェ!?。やる気マンマンって事だ…俺様はギガス。「劇団」のNo.Ⅳ<指導者>だ。さぁ、テメェらの力を見せてみなァァァァッッ!。」

 

地面を蹴って飛び出すギガス。

拳を掲げると、空を切り裂くほどの勢いで振り翳す。

 

本能的に避ける一同。当たった地面に巨大なクレーターが出来る。

 

 

風「はぁ!?。何あの出鱈目な力ッ!。」

 

 

夏凛「貰ったら終わりよッ!。人間だからって躊躇しちゃダメッ!あいつは…私達を殺しに来てるッッ!。」

 

 

ギガス「思い切りがいいなぁお前ッッ!?。流石、命のやり取りをやってきただけはある、プリキュアの奴らとは覚悟が違うなァ!?。」

 

 

友奈「プリキュアって…!?。」

 

 

ギガス「まぁ…そのうち、お前らも会うかもなぁ?。」

 

 

ギガスは友奈に接近。拳を突きつけるも、友奈は見切って避ける。

そして、カウンターとして左の拳でギガスの横腹に一撃を入れる。

 

 

ギガス「…ほう…お前のバトルスタイルは俺様に似てるな?。いい一撃だ…でもな?。軽いわ!!。」

 

 

友奈の手を掴み、真横の木の幹に叩きつける。

 

 

その衝撃で、友奈は意識が一瞬にして飛ばされる。

 

 

東郷「友奈ちゃん!?。この…ッッ!?。」

 

 

狙撃銃でギガスの右腕を弾くが、規格外の筋肉による防御力は凄まじく、弾丸は食い込む事なく地面に落ちる。

 

 

東郷「なっ…!?。」

 

 

ギガス「おいおい、銃なんざで俺様の筋肉が傷付くと思うかぁ?。」

 

 

ギガスは右手を掲げる。

すると、空気を揺るがす程のエネルギーを溜め込む。

 

 

風「ちょ…ヤバいのが来るッッ!!。みんな避けてッッ!!。」

 

 

ギガス「…遅ェよ。」

 

 

エネルギーが溜まった右手で勢い良く地面を叩く。

すると、砕けた地面と共に凄まじい衝撃波が一同に襲い掛かる。

 

 

その余波で全員が四方八方に吹き飛ばされ、木々に叩きつけられる。

身体がバラバラになりそうな衝撃を受けた一同は動けないでいた。

 

圧倒的すぎるその力、バーテックスとは違った恐怖が一同に襲い掛かる。

 

 

友奈「ぅ……。」

 

 

意識を取り戻した友奈。しかし、眼前にはギガスが立っていて。

 

 

ギガス「テメェが結城友奈か…噂は聞いてるが、この程度とはな…そうだ、テメェが死ねばここにいる奴らはどんな顔をするかな?。一旦、殺してみるかぁ!?。」

 

 

拳に力を込めるギガス。トドメの一撃を友奈に放とうとする。

 

友奈の窮地に動けない一同。東郷が叫ぶ。

 

 

東郷「いやぁあああ!!。友奈ちゃんが…友奈ちゃんがッッ!。」

 

 

友奈「あ…あ…ッッ!?。」

 

 

ギガス「…さよならだ。」

 

 

拳を容赦なく叩きつけるギガス。そして、立ち込める砂煙。

誰もが絶望した。

 

確かに感じた感触に、思わずニヤけるギガス。

拳をゆっくりと上げて死体を確かめようとする。

しかし、目の前に居たのは…。

 

 

烈火「ぐぬぬぬ…いってぇなこの野郎ッッ!!。」

 

 

両腕を交差させて、友奈の前に立つ烈火。

 

あの一撃でのダメージは、頭部からの出血のみでその重みにより烈火の立つ場所は大きく凹む。

 

 

夏凛「ちょ…まともに食らってるのにあれだけのダメージで済んでるの!?。」

 

 

ギガス(どういう事だ…今のは確実に命を刈り取るほどの一撃だぞッッ!?。今まで耐えられた奴なんていねェ…それを…頭からの出血のみで意識すら飛んでねェだと!?。)

 

 

烈火「…よ〜くわかった…お前がとんでもねぇほど強いってことが…そして…。」

 

 

血を拭って前髪を掻き上げ、落ちたメイスを拾って鼻先に突きつける。

 

 

烈火「とんでもねぇクソ野郎ってことがなッ…!!。」

 

 

…………end。




突如現れたギガス。

その圧倒的な力により勇者を瞬く間に追い詰めていく。

目の前に迫る友奈の死。
確実にそれは成されると思った。しかし、割って入った烈火はギガスの攻撃を受けてもまともにダメージが入らない。

そして、ここから始まる。
烈火の怒涛の反撃が。

次回
第13話 反撃、怒涛の烈火。
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