〜ひろプリ×勇者であるシリーズ〜世界の壁を超えた出会い   作:やままん

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前回のあらすじ。


「外」の調査を終えた一同、その道中に怨嗟の影響で変貌した黒い星屑の集団に襲われた一同。


その正体は滅んだ「外」の世界に残る人々の怨嗟によって変質したバーテックスであり、これらは全て神の制御を受け付けない特殊個体と判明した。

樹の活躍で「シン・バーテックス」の1体を撃破した一同は無事、四国に帰還していた。


勇者部が持ち帰った「プリキュア」という名の戦士の情報。


これを元に「並行世界」の存在を確信した焔華の「計画」が実行に移される時が来ていたのであった。


第16話 崩れ行く世界の壁。

 

~大赦・海祇機関~

 

 

とある施設。

 

 

神樹亡き今の時代に、加護に変わるエネルギーを作り出すべく「西暦時代」の文明レベルを模索・実験をする大赦の支部「海祇機関」。

 

 

その研究主任である焔華は実質、そのチームのリーダーであった。

 

 

勇者部が「外」の調査を終えて帰還してから5日後。

 

 

持ち帰ってきた「プリキュア」という名の戦士の情報。

 

 

ただの記録に過ぎないが、焔華はその情報だけでも満足していた。

 

 

焔華「プリキュアか…やはり、私の仮説は正しかった。この世界は一度、「並行世界」と繋がっている…「7.30天災」により、「次元境界線」に歪みが生じたか…。」

 

 

焔華はカメラに保存されていた勇者部の探索映像を見ながら、コーヒーを飲む。

 

 

焔華「フフフ、長年の研究が実を結ぶ時が来たのかもしれないな…。」

 

 

焔華の雰囲気が変化する。

 

 

黒髪の少女…その姿が一瞬だけだが重なった。

 

 

焔華(…この世界が「並行世界」へと繋がったとすれば恐らくこの世界は「特異点」となる。その力を手にした時、私の研究が終わりを迎える。さぁ…ここから始めようか…。)

 

 

ーーーこの私、◼︎◼︎◼︎の………復讐を。ーーー

 

 

〜讃州中学、勇者部〜

 

 

友奈「おはようみんな?。もう集まってるね?。」

 

 

私服姿の友奈が、部室にやってくる。

 

 

今日は土曜日…そう、休日活動の日だ。

 

 

烈火「なぁ〜…土曜日はダメだって!。昼まで寝るって決めてんだからさ!。」

 

 

蒼葉「ごねるな、どのみち集まる必要があるだろう?。」

 

 

烈火「んなの、月曜でいいじゃんか!!。」

 

 

夏凛「何だろう、ここまで堕落に忠実なら逆に尊敬するわ…。」

 

 

烈火「おおう、分かってんな夏凛!。」

 

 

夏凛「そんな所は分かりたく無いわよッ!。」

 

 

東郷「……貴方が、休日活動として今日を指定して来たんでしょう?咲良君。部員でもないのに…。」

 

 

早く済ませたいのか、東郷は気に食わない様子で蒼葉に言う。

 

 

蒼葉「そうだな…ここなら、大赦の傍受など心配しなくてもいいだろう。」

 

 

カーテンを閉める蒼葉。

 

全員がその雰囲気に、言葉を失う。

 

樹海化の中で動けたり、ギガスの癖を掴んでいたりと、謎の多い蒼葉。

 

得体の知れないその行動と思考にいつか、大きな不信感を抱かれるかもしれない。

 

そう思ったのが、蒼葉は自分の「秘密」について語ろうと決めたのだ。

 

 

何よりも…仲間のために。

 

 

蒼葉「…お前達は、俺が何故一般人でありながら樹海化の中で動けるのか…そして、「外」に拘るのか…気になる所はたくさんあると思っている。だが、全ては話せない。それだけはわかってて欲しい。」

 

 

その言葉に最初に反応したのは…東郷だった。

 

 

東郷「ふざけないでッ!。そんな事で、私達を呼んだと言うの!?。その上で全ては話せない?。時間の無駄よ、私は帰らせてもらうわッ!。」

 

 

友奈「と…東郷さんッッ!?。」

 

 

樹「もうッッ!!。」

 

 

樹は声を上げる。

珍しいその声の主に、全員が黙り込む。

 

 

樹「いいじゃないですか、蒼葉さんが誰であっても!。これまで助けてくれました…だから…全部話してくれなくてもいいじゃないですか…これから少しずつ、蒼葉さんを理解していけばきっと…全部を話してくれるはず…今はまだ、言えない理由があるだけなんです…。」

 

 

蒼葉「……すまない、気を遣わせたな。」

 

 

蒼葉は改めて、全員の目を見る。

 

 

蒼葉「俺は…この世界の人間じゃない。」

 

 

はっ…?。っと、全員が驚愕する。

無理も無い、突拍子も無くいきなり自分は異世界人と名乗っているのだ。

 

ふざけているのかと思うだろう、しかし蒼葉は真剣な眼差しで。

 

 

蒼葉「こことは違う世界からやって来た人間…それが俺だ。そしてこの間、「外」で分かった「プリキュア」という戦士…これについても知っている。」

 

 

夏凛「なっ…!?。」

 

 

蒼葉「プリキュアという戦士もこの世界とは違う所からやって来た戦士だ。お前達勇者と似た存在とでも言おうか。彼女達も巨悪を倒すために命を賭した戦士…恐らくだが、何らかの事故で西暦時代へとやって来たのだろう。そして、大赦もその事実を知っているはずだ。」

 

 

烈火「ちょっと待て…大赦も知ってるだって!?。なら何で、それがずっと伝えられて来なかったんだ!?。そいつらは初代勇者が誕生する前にあの化け物と戦ってたんだろッッ!?。」

 

 

蒼葉「…神樹が誕生した影響だ。その加護を最も受けている「勇者」を神格化したかったのだろう。他所の世界からやって来て、神の加護を受けていない戦士の事なんて、当時は公表出来なかった…俺はそう思っている。当時の状況は絶望真っ只中だったからな。」

 

 

友奈「そんな……じゃあその、プリキュアって人はどうなったのかな…。」

 

 

蒼葉「文献が無い以上、確信は出来ないが恐らく…バーテックスに敗北したと見える。「諏訪」にも勇者が居たがそれもダメだった。そこからは知っての通りだ…この世界は300年もの間、「四国」のみとなっていた。」

 

 

東郷「それじゃあ、貴方はその事実を知るために「外」に興味を抱いていたと言うの?。」

 

 

蒼葉「それもあるが、もう一つは重要な事だ。すまない、これについてはまだ話せない。本当にすまない。」

 

 

蒼葉(この事実をこの世界の大赦が聞いていたら…過激な考えになってしまうかもしれない…俺の元いた世界は「神に勝利した世界」…だから、誰にも話せない…。)

 

 

東郷「…なら、質問を変えるわ。この間現れたあの大男の正体…それも分かっているのでしょう?。」

 

 

蒼葉「ああ、ギガスの事か。奴は「劇団」と呼ばれる組織のNo.Ⅳ…そいつも違う世界からやって来た奴で、ここに来た理由は分からんが恐らく…お前達「勇者」について調べに来たのだろう。」

 

 

蒼葉は続ける。

 

 

蒼葉「「劇団」は並行世界で暗躍を続ける謎の集団だ。一連の事件にも関連している可能性だってある。奴らがここに来たと言うことは、この世界で何かをするつもりかもしれん。」

 

 

友奈「…何かって…。」

 

 

蒼葉「奴らは「舞台」という名目で、世界を滅茶苦茶にして回っている連中だ。何故、そのような行動を取るかは不明だが…気をつけろ、奴らの暗躍には必ず「出来事」が舞い降りる。」

 

 

夏凛「あんな奴らまでここに来て、さらにシン・バーテックスまでとなると…。」

 

 

数々の敵に、不安に駆られる一同。

蒼葉は迷ったが、最後に「この事実」を告げることにした…。

 

 

蒼葉「…最も、警戒すべきは大赦…いや、海祇機関だ。」

 

 

烈火「ちょっと待て…どういうこった、それ…!?。」

 

 

蒼葉「海祇機関は大赦の一支部でもあり、神亡きこの世界の新時代を指揮していると言っても過言では無い。烈火、ここからはお前にとっても残酷になる。できれば、話したくなかったが…俺はここに来てから最も警戒をしていた所になる。毎日、屋上で調べ物をしていただろう?。それは……。」

 

 

その時、1発の銃声が響く。

蒼葉は咄嗟に避けるが右肩を撃ち抜かれ、床に倒れ込む。

 

 

樹「あ…蒼葉さんッ!!。」

 

 

「あまり、ベラベラと話してもらっては困るんだが…やはり、お前は並行世界からやって来た者だったか…怪しいとは思っていたんだよ。何せ、ずっと私を見ていたからね。」

 

 

その声の主に、全員が言葉を失う。

銃口から煙が立ち込め、ゆっくりと歩み寄るその姿…。

 

 

菱咲焔華…だった。

 

 

烈火「あ…姉貴!?。お前、何してやがるッ!?。」

 

 

焔華「誤解はしないで欲しい、ネズミを排除しに来ただけだ。私の「計画」に気付いているコイツを、野放しには出来ない。無論、勇者の諸君や烈火、お前達にも協力を仰ぐために来たのもある。」

 

 

友奈「計画ってなんですかッ!?。それに、協力って…!?。」

 

 

焔華「並行世界への扉を開き、この世界から脱出する。これは勇者を解放するためでもある。そう…この世界の仕組みのせいで、過酷な運命を背負わされたお前達の救済、そして…「私の復讐」だ。」

 

 

髪留めを解く焔華。長い黒髪が靡き、目の色が変わる。

 

その姿、そして纏う雰囲気…明らかに普通ではなかった。

 

その中でも不思議と、烈火だけは冷静だった。

 

 

烈火「お前……「誰」だ…?。」

 

 

その質問に、焔華は不敵な笑みを浮かべる。

そして、男性調の口調から女性調の口調へと変わった。

 

 

千景「菱咲焔華はこの世に存在しない架空の名前…私の本当の名前は「郡千景」。300年前の初代勇者の1人で…この世界から「消された」勇者よ。」

 

 

郡千景(こおり ちかげ)…。

初代勇者と名乗るその人物の名前は確かに知らない。

 

一般的に認知されている勇者は4人…そのどれもが名前を公表されている。

しかし、彼女の名前だけはこの世から「消されて」いた。

そう…大赦によって。

 

 

その事実を知るのは蒼葉のみで、名前を聞いた瞬間に驚愕した。

 

 

蒼葉「…郡…千景…!!。そんなバカな…お前はもう…!!。」

 

 

千景「ええ、死んだわ。乃木さんを庇って、星屑にやられてね。死ぬ間際に気付いたけど…どうやら、「恨み」だけはずっと留まっていたみたい。だから、今の私はその恨みの部分…菱咲焔華は転生した姿だった。私が「郡千景」と気付いた瞬間はあの時の…天の神との戦いの時だった。結城友奈…英霊達が貴女を救うためにその魂が集結した時に。」

 

 

友奈「えッ……!?。」

 

 

千景「「恨み」の部分が強すぎたせいかしらね、死んだあの日に変わった気持ちだけが天に行き、恨みだけが残り続けた…人の恨みって恐ろしいものね…転生までするなんて。」

 

 

烈火「さっきから何が言いてェんだ、姉貴ッ!!。」

 

 

千景「姉…まだ、それで呼ぶのね?。まぁいいわ、烈火…<擬似勇者外装>は私の復讐を達成するための試作品…それを返してくれるかしら?。特別に勇者と一緒に貴方を海祇機関の人間として出迎えてあげる。」

 

 

その言動に、烈火は睨みを強く利かす。

 

 

烈火「ちょっと前までなら喜んで返してたけどな、状況が変わったわ…やなこった!。復讐って聞いて誰が返すと思うんだよッ!?。コロコロと言葉が変わる奴だな、バカかお前!?。」

 

 

千景「そう…残念ね?。なら、貴方を殺してでも奪い返すわ。それ、どうしても必要なのよ。」

 

 

銃口を向けたその時、窓ガラスが割れて風が吹き荒れる。

そこにいたのは入院していた風。勇者の姿となって一同の前に立つ。

 

 

樹「お姉ちゃん!?。」

 

 

風「逃げるわよあんた達!!。ここに、大赦の人間が集まって来てるッ!!。早くッ!!。」

 

 

風の機転で、体勢を崩した千景。

すかさず銃を構えるが、すでに一同は部室から消えていた。

 

 

千景「逃したか…まぁいいわ。どのみち、計画はすでに動き出している。従わないのなら、排除するまで。」

 

 

空の一部に歪みが出始める。

 

 

千景「まもなく、扉が開かれる。そして、始めましょう…。」

 

 

ーーーこの私、郡千景の………復讐を。ーーー

 

 

……………end。




語られた蒼葉の謎。

そして、その狂気を現した海祇機関。

焔華は抹消された初代勇者…郡千景が転生した姿だった。

魂は天に召され、「恨み」だけが残った結果、千景は恨みの権化となって、この世界に牙を向ける。

歪みが強くなり、空には別の世界が映り込む光景が四国全土に広まる。

勇者達はこの現実にどう向き合うのか…そして、映り込んだその世界こそが…「ソラシド市」だった。

次回
第17話 運命、二つの世界。
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