〜ひろプリ×勇者であるシリーズ〜世界の壁を超えた出会い 作:やままん
2つの世界は千景の計画により壁が壊され、互いの世界が空に浮かぶ事態となった。
それが意味するのは、不吉な予兆。
そして、千景はソラシド市に赴きプリキュア達と対峙する。
迎えに来た…。
彼女はそう告げて…。
〜ソラシド市、虹ヶ丘邸〜
千景「迎えに来たわ、プリキュア。貴女達はいずれ、救いを求める者達に食い物にされてしまう。勇者がそうであるように。」
ゆっくりと歩み寄る千景。
不思議と恐怖の感情は無く、全員はその場に戸惑いの色を見せる。
中でも、一番驚いていたのは…。
園子「貴女は郡千景さんだよね…私、家にある書庫で見たことがあるの。ご先祖様の手記に貴女の名前があった…大切な仲間で、守れなかったと。」
千景「そう…私が死んだ後も、そんな後悔をしていたのね。乃木さんらしいわ。」
園子「貴女が何でここにいるかは置いといて…プリキュアを迎えに来たって…どう言うこと…それに、救いを求める者に食い物にされるって…。」
千景「貴女は勇者なのに、わからない?。私達が、大赦に…いや、あの世界の人間達にされて来たこと。」
園子「…忘れてはいないよ。騙されて供物として力を使う代償に身体の機能を一つずつ奪われて…もう、このままなんだって思ってた。でも…後悔は無かったよ?。友達を守れたんだから。」
千景「それは所詮、綺麗事よ。だから、彼女達には現実を突きつけて来たの。人を守る事に意味なんてない、結局は自分を殺してしまう事になるって。」
ソラ「そんな事…!!。」
千景「世界が違えども、その仕組みは変わらないわ。遠からず力の無い人々は期待を込めて、貴女達を祀りあげるでしょう。でもね、貴女達が守れない事態に陥ってしまったとする…そうしたら、簡単に掌を返されるわ。無能…何で守ってくれなかったんだ…と。」
あげは「勝手に決めつけないでよ…これはあたし達が自分の意思でそう決めてやってる事なんだ!。誰かに認められたいからじゃないッ!。」
千景「慈善事業のつもり?。笑えるわね…でも思い知る事になるわ。人々の期待に応える事の落とし穴に。だから、警告に来たの。絶望したくないなら、私と共に来なさい。」
手を差し出す千景。
でも、それに対して声を上げたのは…ソラだった。
ソラ「お断りしますッ!。貴女は…認められたい一心で戦って来たのかもしれないし、その先にある絶望を見て来たかも知れない!。それでも、私は自分の信じる正義のために戦いますッッ!。誰かのためじゃない、私自身の信念のために戦ってるんですッ!。」
千景「…そう…。」
少し、残念そうな表情をする千景。
わかっていたのだろう、最初から敵対する意思を持って話していた。
そして、その手には<擬似勇者外装>を纏うべく、端末が握り締められていた。
千景「やはり、アデルの言った通りね。貴女達も私の障害になる…なら、ここで芽を摘み取っておきましょう。」
表示された、紋章をタップ。
周囲に赤い花びらが舞い散り、その姿を変えた。
<擬似勇者外装>彼岸花。
千景は300年前、乃木若葉を殺害しようとして神樹に見限られ、勇者としての力を失っていた。
その代わりに得た、自分が開発した擬似勇者外装。
かつてのモチーフでもある、彼岸花を彷彿としたその姿。
武器もデスサイズであり、手慣れた武装に確かな手応えを感じる。
園子「勇者…とは違うみたいだね…。」
千景「ええ、私は神樹に見限られた際に勇者としての力を失った。だから、自分で作ったの…神に見初められた勇者ではなく、自分自身のための勇者へと変身するシステムを。これはまだ、未完成だけど…貴女達を屠るには十分ね。かかって来なさい、その耳障りな正義を振り翳してくるのなら、私は喜んで悪になるわ。そして、分かりなさい?。自らの正義の愚かさを。」
ソラ「貴女が何故、そこまで憎悪に満ちているか分かりませんが…止めて見せます!!。」
ソラを筆頭に、各位も変身。
構えを取り、千景との戦闘が始まる。
アグニ(なんだコイツ…「劇団」の奴らと戦った時とはまるで違う雰囲気…隙が全くねェ!!。)
スカイ「行きますッッ!。」
地面を蹴り、千景に接近。
拳を突きつけるも、その場から動く事なく首だけを動かし、デスサイズの柄を腹部に当てる。
息が止まるスカイ、その隙をついて千景がデスサイズを振り翳す。
ウイング「させませんッッ!。」
飛んできたウイングがすかさず、デスサイズを蹴り上げる。
その瞬間、左手で掌底を繰り出すが手で受け止められた。
ウイング「この騒ぎを起こしているのは貴女ですか!?。」
千景「鋭いわね、そうよ?。」
打撃のラッシュを放つウイング。
千景には掠りもせず、必要最小限の動きで避けていく。
ウイング「何故、こんなことを!?。これ、世界同士がぶつかる事になりますよッッ!?。」
千景「寧ろ、それが望みなのだけれどね。見てみたいじゃない、二つの世界が一つになるところを。」
ウイング「狂ってるッッ!!。どうなるかもわからないのにッッ!。」
千景「力の無い者は淘汰される、この世界も…私がいた世界も…そして、私がその絶対者になる。認めなかった事を後悔させてやるためにね…!。」
避けた隙を突き、斬撃を放つ千景。
まともに受けたウイングは切り傷を負いながら吹き飛ばされる。
バタフライ「あんた…そんな小さな事で世界中を巻き込むのッッ!?。アデルって言ったわね、「劇団」と組んでるっての!?。」
千景「質問が多いわね、どれか一つにしてよ。」
首を捉え、デスサイズを横凪に振る。
しかし、バタフライは咄嗟にバリアを張って防ぎ切る。
千景「やるじゃない?。」
バタフライ「クッ…危なかった…!!。」
千景「特別に答えてあげるわ。一つ目の理由だけれど…ええ、そうよ。貴女にはわからないでしょうね?。」
鎌の連撃を加えながら、バタフライは刻まれていく。
千景「ただの承認欲求と捉えてもらっても構わないわ。だって貴女は…いじめられた経験なんてないでしょ?。親からも、誰からも必要とされなかった…そして、勇者になった途端に掌を返すかのように私を称えて…バカみたいよね?。あんな薄っぺらい愛情に期待なんてして…自分に腹が立つわ。」
よろけたバタフライを容赦なく蹴り飛ばす千景。
デスサイズを引きずりながら、ゆっくりと歩く。
千景「そして、二つ目の質問だけど…それも正解ね。私は「劇団」と手を組んだ。まぁ、彼らが何をしようと知ったことでは無いけど…お互いに利用し合う間柄だし…それで十分?。では、さようなら。」
園子「させない…!!。」
分離した槍の刃先が飛び交い、千景の攻撃を阻む。
千景「乃木園子…!!。」
園子「貴女があの世界を憎むのはわかる!けど、何でここも巻き込むのッ!?。ソーちゃん(ソラ)達は関係ないじゃないッ!!。」
千景「貴女は知らないのね、私たちの世界にも居たのよ?。プリキュアが。」
園子「えっ…あぐっ…!?。」
鎌の刃が、左肩に食い込んで激痛に顔を歪ませる園子。
千景「どうやら、バーテックスが現れる前にあの世界に飛ばされたプリキュアみたい。文献がないから分からなかったけど、「外」でその情報を得たのよ。」
スレイヤー(まさか…。)
フレア(ああ、どうやらこの世界と向こうの世界には「繋がり」がある。なるほどな、ここの次元境界線に穴を開けることが出来たのは過去に一度、繋がっている可能性があると言うことか…。)
千景「そこで知ったのよ、飛ばされたプリキュアもまたバーテックスと戦った…そこに住む人々を四国に逃すために。でも結果は恐らくだけど、敗北している。文献も無いから、恐らく逃しきれなかったのでしょうね?。」
アグニ「何が…言いてェ…?。」
千景「大赦はその事実を知っているわ。並行世界の存在も…なのにそれを秘匿している。まるで、プリキュアなんて戦士が居なかったかのように…神樹に選ばれた勇者のみが認められる。そう…あの世界に飛ばされたプリキュアは誰にも認められることなく、死んでいったのよ。そして、この世界でもきっとそう…貴女達がこの災害を止められなかったら、人々の非難は貴女達に行く。だから最終忠告よ、私と来なさい。戦う意味を失う前に…人間に絶望する前に…。」
再度、千景は申し出る。
何が正解かは誰もわかっていない。だから、千景の言うことも何処となく理解できるし、否定はできない。
だが、それでも……。
アグニ「ふざけんじゃねェぞッッ!!。」
怒声を上げるアグニ。
一同は驚く。
アグニ「…そのプリキュアは絶望したのかよ?。誰にも認められなくて…名前を残してくれなくて、あんたみてェに絶望したのかよ!?。」
アグニは拳を握り締め、突撃する。
その炎は、怒りに加味して火力を増す。
アグニ「きっとそいつは、最期の最期まで1人でも多くの人を逃すために戦ったんだと思うぞッ!?。あんたは、戦うことで見返りを求めてる、過去に何が遭ったかは知らねェけどなッ!?。あんたの価値観を他人に押し付けてんじゃねェよッ!。」
拳を固く握り締め、全力で殴り掛かる。
千景は思わずデスサイズを盾にし、その攻撃を防ぐがその威力に後ずさる。
アグニ「自分がそんな目に遭ったからって、それを他人に向けて良い訳がねェだろッ!?。勇者達もきっと、その為に…!!。」
千景「黙れッッ!!。」
競り合いを押し切り、怯んだアグニを蹴り飛ばす。
アグニ「がっ…!?。」
千景「命懸けで戦った見返りが、心無い言葉だった事がある!?。私のかつての仲間は死んでから罵声の嵐だったッッ!!。無能だの何だの言われ…英霊として扱って貰えなかったッ!!。神格化した癖に…勝手に期待した癖に…私達の苦しみや、痛みを何も知らないで!!。守ってもらう事だけに固執してッ!!。その痛みがお前に分かるのかッッ!?。」
斬撃の嵐を放つ千景。
それは、憎悪そのものであり恨みを込めた容赦のない攻撃。
アグニは押し切られ、吹き飛ばされる。
スカイ「アグニッッ!!。」
千景「…そんな世界で生きた事がない癖に…勝手なことばかり…ッ!!。手を取らないのなら、それで良い…でもきっと、後悔する事になるわ…貴方達も味わう事になる…。」
スカイ「それでも…私達は、信念を貫きますッッ!。」
飛び出したスカイは、千景に攻撃を仕掛ける。
しかし、すり抜けたかのような静かな回避で難なく避け、首元に鎌が突き付けられる。
千景「貴女達の答えはよく分かったわ。同調しないのなら、敵対するまで…私は私の復讐の為に動く…今度こそ、私という存在を認めてもらう為に。」
スカイ「…そのやり方が、強引なやり方だとしても…ですか…?。」
千景「ええ、貴女達の言葉を借りるなら…それが、私の信念よ。」
鎌を下げ、その場で振るうと空間が切り取られたかのように歪みが生じる。
フレア「小娘が…次元に干渉出来る能力を持っているか…。」
千景「覚えておきなさい?。貴女達は今、とてつもなく大きな事件に巻き込まれている。その道を選ぶのなら、私たちは分かり合えない。残念だわ、本当に…次に会う時は、この中の誰かが血に沈む事でしょうね。」
そう言って、不吉な言葉を残して消えた千景。
空の歪みは相変わらずだ。
郡千景。
憎悪に囚われた現世に甦りし、初代勇者。
一同の敵は、さらに増えていくのだった……。
…………end。
憎悪に囚われた千景の力は底知れず、歯が立たなかった一同。
空の歪みはさらに強くなり、世界の終わりを彷彿させるような不安を与える。
そんな中、園子は先祖の事を思い出す。
郡千景と共に肩を並べて戦った伝説の勇者「乃木若葉」。
彼女のようになるべきか…この世界で友達になったプリキュアが自分達と同じような、思いをしてしまうのか…そして、自分の世界に居る仲間の事が心配な気持ち…。
園子は悩む。大切な友達の為に…。
次回
第19話 二つの世界の友達。