〜ひろプリ×勇者であるシリーズ〜世界の壁を超えた出会い 作:やままん
二つの世界で出来た友達。
園子は、この出会いを大切にしたい気持ちから、悩んでいた事に対して答えを出した。
二つの世界には、異常事態が起きている…ソラシド市のプリキュア達はこの状況を打破すべく、行動に出ようとしていた。
その一方で、「劇団」の「舞台」が本格的に動き出す。
題目:破滅の姫君。
開幕。
第20話 堕ちた優しき天使。
二つの世界の壁が壊されてから2週間が経った。
ここ、ソラシド市では住民がどんどん離れていく。
それもそうだ、空の異常はもはや世界規模となっている。
どのテレビ番組も全てこの報道…人々は地球の終末と捉えている。
空の向こうに見えるのは、園子の居た世界である「四国」。
きっと、状況は同じなのだろう…向こうも恐らくだがこの異常事態に動いているはず。
園子「…樹海化警報が鳴ったから、チャンスあるかと思ったんだけどな〜…メッセージがつかないや。」
SNSを利用し、向こう側との接触を図る園子。
しかし、その返答はなく端末を閉じる。
鷹夜「…ミラーパッドってやつでもいけねェのか?。」
ソラ「そうですね…この異常事態です、スカイランドに行くのも控えた方がいいかもしれません。」
フレア「その通りだ。次元境界線は歪みが生じ、目視はできるがあの穴の向こう側がどうなっているかなど想像が付かんだろう。世界を超えるという行為は容易ではない、身体が消滅する恐れだってある。」
園子「だから、洸は向こうに帰ろうとする私を引き留めたんだね〜?。」
洸「まぁな、その辺の話はフレアから聞いてたし…俺は、フレアがいたおかげでこっちに来れたからな。」
フレア「その我も、力を失ってこのような見窄らしい姿となっている。次元空間の王たる我がこの体たらくなのだ。忠告は聞いておけ。」
ソラ「むず痒いですね…この事態を引き起こした張本人はあの空の向こう側にいるというのに…。」
園子「うん、だから向こう側と連絡さえ取れれば情報を渡せるんだけど〜…ダメみたいだね〜?。」
ツバサ「街の鳥達にも話を聞きましたけど…みんなはここから離れないみたいです。本能でわかるんだと、どこに行っても同じだと言うことが。」
あげは「なるほど、野生の勘ってやつね。」
鷹夜「気持ち悪ぃのは、「劇団」の奴らが出てこねェ事だ。あいつと手を組んでるなら、必ずこの事態に一枚噛んでやがる。ソラを手に入れることに失敗してんだ、簡単に諦めるわけがねェ。」
あの日以降、目立った動きを見せない「劇団」に対して、警戒を高める鷹夜。
確かに、千景と組んでいるのなら何か仕掛けてきてもおかしくはない。
そう思って、備えはしていたがその動きが全く読めなかった。
世界を混乱させるほどの集団だ、必ず何かある。
一同はそう思っていた。
そして、当の「劇団」はと言うと…。
〜???〜
シャロ「………。」
人形を作成しながら、シャロはアデル達の会話に耳を向ける。
アデル「千景さんの計画が発動した影響で、我々の「舞台」も進めやすくなりました。世界の壁を壊す…これは、台本の一部でしたが他の方がやってくれましたからね、天はこちらに味方しているようです。」
ナイアル「あの郡千景は信用に値するのか?。」
アデル「それはお互いに思っていることでしょう、しかし我々は彼女を敵に回したくはない…我々でも苦労を強いられている事を簡単に成した方ですよ。大きな障害となる、手を組めて良かったと心から思っております。」
ギガス「それじゃあ、そろそろ始めんのか?。」
アデル「ええ、ソラさんを手に入れられなかった事で見直しが入りましたが…さすが、ナイアルさんです。「代理役」を用意していたとは…。」
ナイアル「心の闇は正直、その「代理役」が一番抱えていたからな。逆に、大きな収穫だ。あの日は失敗して良かったと思う。」
アリス「では、迎えにいきましょう?。私達の「主役」である…。」
ー虹ヶ丘ましろを。ー
……………。
ましろの入院している病院に、足を運ぶ一同。
この異常時だが、病院だけは機能していた。
目覚めの報せがないと言うことは、未だに昏睡状態なのだろう。
あの日、ナイアルによって斬られたましろは生死の境を彷徨っていた。
一時は本当に危なかった…だが、その峠を越えたことで一安心は出来た。
後は目を覚ますだけ…なのに、何故か未だに目を覚さない。
医師曰く、命に別状はなくバイタルも安定。いつでも起き上がれるほどにまで回復はしているが、何が意識の目覚めを阻害しているのかは不明とのことで、未だに集中治療室から出られないでいた。
早く目覚めて欲しい…そう願って、一同は面会出来ない病院前に足を運んでいた。
ソラ「ましろさん……。」
この世界に流れてきてから出来た最初の友達であるましろを気遣うソラ。
彼女が居てくれたから、この世界に来てもやっていけている。
その感謝もあり、恩を返して行きたい。
だからこそ、ましろの窮地に何も出来ない自分が情けなくて、腹が立ってくる。
そう考えていると、自然と身体に力が入ってしまう。
その時、周囲が静止する。
この感覚は知っている…「劇団」が来た…!。
一同は身構える。
そこへ現れたのはアデルと…ナイアル。
ましろをあんな目にしたナイアルに、ソラは思わず怒りの表情となる。
ソラ「貴方は…ましろさんを斬った…!!。」
ナイアル「敵同士だ、そんな私怨を向けられては困るね。敵は倒す、それは君たちもだろう?。」
鷹夜「テメェ…!。」
アデル「おっとッ!!。今日は、あなた方にお伝えすることがあります。そのために来ました。」
あげは「いいよ、どうせロクでもないことでしょ!?。あの千景ってやつと手を組んでさッ!。」
アデル「同盟相手を悪く言わないで頂きたいですねェ?。それは園子さんとあなた方の事を我々が非難するのと同じですよ?。」
洸「御託はいい、テメェらから現れたんなら好都合だ!。ここでぶっ殺してやるッ!。」
洸は変身してアデルに接近するも、ナイアルが立ち塞がる。
スレイヤー「テメェも後で地獄に送ってやるッ!そこをどけよッ!。」
ナイアル「させると思うか?。それに、お前如きでは僕を倒すことなんて出来ない。」
太刀を抜くと、その斬撃をスレイヤーに浴びせる。
直撃を受けたスレイヤーは、病院の壁に勢い良く叩きつけられた。
園子「洸ッ!!。」
スレイヤー「ぐっ…がはッ…この……ッ…!。」
アデル「全く、血の気が多くて困りますねェ?。こっちは、争いに来たつもりじゃないのに…。」
鷹夜「なら何しに来たんだよッ!?。」
アデル「御知らせに来たのです。あなた方にお別れの挨拶をさせてあげるために。」
ツバサ「別れの…挨拶…?。」
指を鳴らすアデル。
その傍には、ましろが浮かんでいた。
ソラ「!!!。」
鷹夜「テメェらましろをどうする気だッ!?。」
アデル「どうするって…こうするのですよ?。」
ましろの周りには、大量の剣が現れる。
仮面の下で、不敵な笑みを浮かべるアデル。
嫌な予感しかしない…阻止しようと、一同は変身アイテムを構える。
しかし、それよりも早くにアデルが指を鳴らす。
すると、一斉にその剣がましろに向かって行き…。
四方八方から突き刺さった。
あげは「あ…あ…あ…ッ……!!?。」
ましろの身体に突き刺さる剣。そこから流れ落ちるのは大量の鮮血。
ソラは、力無く座り込む。
頭の中が真っ白になった。そう、一同の目の前でましろは…。
殺された。
ソラ「い…いや…イヤァアアアアアッッ…!!。」
園子「ま…ましろん…?。」
アデル「ククク…アッハハハハ!!。まだまだ、ショーはここからですッッ!!。」
嘲り笑うように、アデルが声を上げるとましろの身体から黒い靄が広がる。
それはとても冷たく、周辺を恐怖に叩きつけるかのようなドス黒い靄。
ソラシド市全体に広がり、木々は命を吸われたかのように枯れていく。
世界は色を失う、モノクロに。そして、ましろを覆うように禍々しい漆黒の蔦が広がっていく。
ナイアル「…これが…。」
アデル「ええ、誕生しました…彼女こそが……。」
ー「破滅の姫君」ー
少女の笑い声が聞こえる。
一同は何が起きているか、さっぱり分からなかった。
ましろが目の前で殺され、そして世界が色を失った。
まるで、死の世界に立たされてるかのように全てが静止している。
その笑い声はやがて大きくなり、漆黒の蔦がソラシド市全体に響き渡る。
それは、天の裂け目にまで達して投影されている勇者の世界にまで伸びていく。
ましろを失った悲しみもある、しかしそれ以上に今の状況が飲み込めない。
鷹夜は言葉を失い、ソラは座り込んだまま。
あげはとツバサも辺りを見渡す。
アデル「ご紹介します、彼女こそが我々の「舞台」の主役である「破滅の姫君」…虹ヶ丘ましろさんです。」
漆黒や蔦が解けると、そこには無傷のましろが居た。
おかしい、今さっき無数の剣に串刺しにされて死んだはず…。
傷は全く無く、どう見たってましろだった。しかし、何かが決定的に違う。
ゆっくりと目を開けるましろ。瞳の色は赤くなり、フッと微笑む。
次の瞬間、意識が刈り取られそうな勢いで凄まじい「恐怖」が一同を襲う。
立っていられないほどにまで威圧的なその影響で、全員がその場に倒れ込む。
ましろ?「……おはよう、みんな?。」
いつものましろの声。しかし、その奥に潜むのは圧倒的な「恐怖感」。
声を掛けられただけなのに、不思議と戦慄する。
間違いなく姿形、そして声はましろそのもの。
だが、内に秘めているものがまるで違う。
ソラ「ましろ…さん…?。」
ましろ?「そうだよ、ソラちゃん?。どうしたの、そんなに怯えた顔をして。」
歩み寄るましろ。
しかし、ソラは本能的に後ろに下がる。
その様子を見て、ましろは笑う。
ましろ?「アハハハハハッッ!!。怖がらないでよ、今の私は「本当の私」。虹ヶ丘ましろの本当の姿だよ?。」
鷹夜「なんだよ…それ…。」
ましろ?「もう疲れたんだ…みんなの前で優しく振る舞うのは。」
鷹夜「何を言ってやがるんだお前ッ!!。」
アデル「言った通り、彼女は本当の気持ちを素直に表してるだけですよ。」
鷹夜「ざけんじゃねぇ、お前らがましろをこんな風にしたんだろうが!。一体、何をしたんだよッ!?。」
アデル「彼女の心の闇を解放しました。それだけです。」
ツバサ「心の…闇…?。」
アデル「先ほど、ご覧になったでしょう?。彼女は一度「死にました」。しかし、以前に彼女に埋めた「闇の種」は心の闇を栄養として成長します。彼女の「主人格」を一度、殺してしまえば後は成長した「闇の華」が、「第二人格」を形成して抱えていた闇を放出するのです。いわば、今の彼女は本当の彼女…優しい性格の裏に芽生えていた、闇の部分ですよ。」
あげは「なんのことを言ってるのかわからないよッ!!。」
ソラ(闇の種…それって、私に埋められてた…。)
アデル「いいですか、彼女の優しさにあなた方は甘えすぎていた。本当の彼女は、それを演じるのに疲れていたのでしょう…ですが、心から優しさに溢れていたのは間違いありません。しかし、優しすぎる人ほど心の疲弊は計り知れない…すると、どうでしょう。自然と闇を形成するのですよ。その優しさが大きければ大きいほど、抱える闇の大きさは比例している。」
ツバサ「それじゃあ…僕達のせいで、ましろさんの闇は…。」
アデル「聞き分けが良いですね、理解力があって助かります。その通りです、ましろさんの闇を育てたのは紛れもない…あなた方のなのですよ!。我々はそれを利用しただけ、そしてその主役に抜擢された…我々の「舞台」の演目は「星を停止」させること…そして、その力を行使できるのは「破滅の姫君」となった、虹ヶ丘ましろさんなのですッ!。」
ましろは笑みを浮かべながら、変身アイテムを手に取る。
そして…。
ましろ?「ひろがるチェンジ、スカイトーンコネクト。プリズム…。」
禍々しい漆黒の蔦が再度出現、ましろはキュアプリズムに変身する。
その瞬間、「星」そのものが…「停止」した。
プリズム「アッハハハハ!。さようなら、みんな。せめて、私の手であの世に送ってあげる…!。」
闇に堕ちたましろが、一同に襲いかかる。
遂に動き出した「劇団」の「舞台」。
その鍵となったのは大切な仲間であるましろ。
優しさに溢れた天使は…闇に堕ちた…。
……………end。
「劇団」の題目である「破滅の姫君」。
ましろは闇を利用されてその姿へと変貌させられた。
絶望に陥る一同、そして「劇団」の目論む「舞台」とは…。
停止した星、それは勇者世界にも影響していた。
滅びの道へと動き出した世界…お互いに違う世界にいる洸と蒼葉は自分たちの世界である「もう一つの世界線」へと、それぞれの仲間達を避難させるべく動き出すのであった…。
次回
第21話 停止した世界、「もう一つの世界線」へ…。